ICタグ／市場規模30兆円の次世代技術に今から参入！


	一度知ったらやめられない技術職の醍醐味。その代表といえば、研究開発＝R&Dだ。研究開発はあらゆるものが対象。だからこそ、「やりたいモノづくり」の求人情報は、なかなか網羅しきれない。ここでは、次世代を担う新技術をキーワードに、最新の業界事情と採用動向を解析する。R&Dはオモシロイ！（取材・文／伊藤憲二　総研スタッフ／高橋マサシ）　作成日:03.09.24

解析テーマ

ICタグ

市場規模30兆円の次世代技術に、今から参入の準備をしたい

　　バーコードに代わる次世代商品管理技術といわれるICタグが、いよいよブレークの兆しを見せてきた。総務省はICタグの市場規模が、2007年には実に最大31兆円にまで拡大するという予測を立てている。日本の基幹産業のひとつである自動車産業でも、その市場規模は40兆円程度。単一商品としては、異例の需要が期待されているのだ。

　近未来の巨大市場を狙って、各国でデファクトスタンダード取りが激化している。日本では今年6月、TRON OSを考案した坂村健・東京大学教授が率いるユビキタスIDセンターが、ICタグの標準規格を決定した。アメリカではマサチューセッツ工科大学がオートIDセンターを設立、標準策定に着手するなど対抗色を強めている。

　ICタグそのものはICに無線アンテナを実装し、RFID（無線による非接触識別）技術で認証を行うというシンプルなものだが、実際に運用するためには、周辺機器の開発やソフトウェア開発も必要だ。
　経済産業省はこうした状況をにらみ、情報家電やICタグなど広範な製品に使用できる、新たなファームウェア向けの国産OSの開発も検討しているという。次世代のコア技術としてにわかに台頭してきたICタグから、目が離せない。

　リクナビＮＥＸＴで、ICタグの開発者を直接募集しているのは2社(8月31日現在)。いずれも印刷物に加え、ICカードなどの電子製品を新たな収益の柱としている大手印刷会社である。
　印刷会社というと紙媒体のイメージが強いが、実際には半導体、情報加工などIT技術に優れており、ICタグ開発をリードする存在だ。

　もちろん半導体メーカー、ソフトウェアベンダーなど、従来のIT関連企業もICタグの開発意欲を強めている。また、ICタグは本体だけでなく、ICタグの情報の読み取り装置や、情報を管理するためのソフトウェアなど、ICタグ運用のための環境整備はすそ野が広い。ICタグ開発を志望するエンジニアは、関連業界を横断的にチェックしておく必要があるだろう。

　求められるスキルも、IC回路設計はもちろんのこと、タグに無線アンテナを実装するための無線技術、半導体材料、ネットワーク、ソフトウェア、C++プログラム開発、RSAなど幅広い。多くのエンジニアにとって、転職対象となりやすい業界といえるだろう。