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応募条件の謎 解明シリーズ 第2回「リーダー・マネジャー経験」の巻
シリーズの第2回目は、近年特に応募要項の中で目立ってきた、「リーダー経験」と「マネジャー経験」を取り上げる。これらの記載を見て、その定義や差異をすぐに答えられる人は少ないはず。それでは、具体的にどんな経験があれば、応募条件を満たしているのだろうか。その答えを究明した。
(取材・文 総研スタッフ/高橋マサシ) 作成日:03.07.30


THANKS! 自分にはリーダー(マネジャー)に近いキャリアはあるが、肩書きはない。それでも応募は可能なのか? こんな気持ちで転職を逡巡している人が多くいます。今回はこれら経験者を求める企業の思惑とともに、この「謎」に迫ります。
Part1 || 求人データから探るリーダー・マネジャー経験の最新事情
Part2 || 「リーダー」と「マネジャー」は、それぞれ何を意味している?
Part3 || リーダー・マネジャーを求めるホントの理由&対処法
Part1 求人データから探るリーダー・マネジャー経験の最新事情

 リーダーやマネジャーを求める企業はどれだけあるのか。ソフト系とハード系では、どれほど差があるのか。リクナビNEXTの応募要項に書かれた内容から、最新事情を見ていこう。

リクナビNEXT応募要項に見るリーダー・マネジャー経験分布

ソフト系職種(ソフトウェア・ネットワーク) ハード系職種(電気・電子・機械)
グラフ ソフト系職種(ソフトウェア・ネットワーク) グラフ ハード系職種(電気・電子・機会)
※「希望条件で探す」で検索した「リーダー・マネジャー経験」が記載の件数(7月7日現在) ※マネジャーの場合は、「マネジメント」などを含めた複数の単語から抽出。

経験年数の指定は少ないもののスキル設定はハイレベル

  リーダー、マネジャー募集の応募要項で目立ったのは、「経験者」としてその経験年数を問わない募集が多いことだ。一方で、経験年数を問う場合は、ほとんどが3年以上。しかも、一番多かったのが5年以上だった。この二極化は何を意味するのか。
 「仕事の内容」を比較してみた。「3年以上」など年数記載の募集には、いくつか専門特化型の業務があった。しかし、全てではなく、経験年数の記載がなくても、高度なレベルの仕事は多いのだ。以下のどちらが、経験年数を求めている募集か、分かるだろうか。

 A:「大手企業の新規事業拡張による再構築。UML、JAVA、XMLなどを使ったプロジェクトの統括推進」
 B:「移動体通信端末(W-CDMA、PDC、GSMなど)の、ソフトウェア設計開発プロジェクトの推進管理」


 どちらもプロジェクトマネジャーの募集だが、Aが「経験者」、Bが「経験3年以上」だ。
 このように見てくると、問われているのは経験の長さではなく、「経験の質」ではないかと思えてくる。任される仕事の難易度は高いが、うまくチームをまとめられたり、プロジェクトを推進できるエンジニアなら、誰でも歓迎という意味だ。

入社後のプロジェクトは既に決定済み

■リーダーとマネジャーの募集要項例

■リーダー・マネジャー採用の
 近年の傾向


・経験年数より実務経験を重視
・経験プロジェクトの規模を重視
・最適任者のピンポイント採用
 上記に、リーダー・マネジャーの募集例を挙げた。意外に多かったのが、管理メンバーの人数設定。リーダーもマネジャーも同様で、少なくて5人以上、多くて30人以上が条件となっていた。また、上の例では省略してあるが、「仕事の内容」が詳細に書かれている応募要項がかなり多かった。
 すなわち、リーダー・マネジャー募集の特徴とは、@ポジション(リーダーやマネジャー)、Aプロジェクト規模(管理メンバー数)、B業務(仕事内容の詳細な記載)が、具体的に固まっていることだろう。

 以前であれば、「リーダー数が少ないので候補を採用」「できるマネジャーを他社からヘッドハント」など、これら職種が転職後に実務に就くまでには、多少の余裕があったように思われる。しかし、入社後の仕事は決定済みなのだ。
 このように具体的な案件を用意している企業の、リーダー像、マネジャー像とはどんなものか。仕事内容の定義から始めてみたい。
Part2 「リーダー」と「マネジャー」は、それぞれ何を意味している?

  リーダー、およびマネジャーとは何かを、転職コンサルタントに聞いた。具体的な例を挙げて話していただいたが、3人からはほぼ同じ答えが返ってきた。

応募要項例

リーダー:役職ではなく実務キャリアがあればよい

 「リーダー」では主任・係長クラスとあるが、あくまで一例だ。役職はなくても実務経験があれば、企業は「経験者」とみなすという。
 「役職ではなくても、権限を委譲され、プロジェクトを束ねているような人材は、リーダー経験者といってよいでしょう。逆に『チーフ』などの肩書きがあって、権限も部下もない場合があります。企業はこの人をリーダー経験者とは見ません」(稲垣氏)
 「課題を与えられて、自己完結でプロジェクトを遂行する。つまり、部下はいないが各部署の調整や裁量権はある場合、企業によっては経験なしだと思います。ただ、アピールはできます。同様に、周囲から頼られる存在で後輩の面倒見がよい、などの人も、積極的にアピールするべきでしょう」(佐藤氏)


マネジャー:リーダー職に加えて予算管理の実務経験

 3人のコンサルタントは、マネジャー職はリーダー以上に企業色が強く、その権限や裁量権の差が大きいと語った。共通していたのは、予算の管理だ。
 「いわばマネジャーは中隊長で、リーダーは小隊長。しかし、リーダーがマネジャーを兼務するケースもあったりと、企業や部署によりかなり異なります。ただ、マネジャーは営業や予算の管理をするので、数字を読めることが実質的な条件になるでしょう」(清野氏)
 「マネジャーは、リーダー職にプラスして、予算管理、部や課の事業進捗の管理、あるいは処遇面での裁量権がある人ですね。逆にいえば、マネジャーから管理業務を除いたのがリーダーと考えられます」(佐藤氏)

(取材協力)
株式会社リクルートエイブリック
株式会社アイテック
株式会社クロップス・クリエイト
キャリアプロモーション一部 ITCAグループ 稲垣礼仁氏
人事事業部 部長 清野義則氏
エグゼクティブサーチ事業部 コンサルタント 佐藤 淳氏
Part3 リーダー・マネジャーを求めるホントの理由&対処法

  企業がリーダー、あるいはマネジャーの経験者を求める背景は何か。そして、応募条件に不足がある場合はどうすればよいのか。どちらの場合もキーワードは、「プロジェクトを任せられる」ことだ。

企業はなぜ「メンバーを束ねる人」を欲しているのか?

リーダー・マネジャーを求める企業の本音
理由1:仕事はあるから適任者を入れたい
基本構想を立てて確実に実行に移すまでのシステムが複雑化し、顧客の要望も高度化。完遂できれば企業の評価が上がり、成長も見込めるのだが、束ねる人材が急速に不足。とにかく適任者がほしい。

理由2:経験年数ではなく仕事ができればよい
「リーダー経験3年以上」などの条件は、「3年もあれば5つか6つのプロジェクトを担当しているだろう」という、実績の目安にしている場合が多い。現場と顧客が仕切れれば、年数は気にしない。

理由3:文字通りの「即戦力」でなくてもよい
リーダーやマネジャーの仕事には、各社独自の業務進行、社内ルール、企業風土などが大きく影響する。企業も承知しており、入社当初はサブリーダーなどを担当、徐々に主業務を任せるケースが多い。

  応募条件への「リーダー」「マネジャー」記載の増加は、需要拡大の表れだ。背景には、企業システムのネットワーク化、協業化、グローバル化がある。そのため、この数年で案件の複雑・高度化が顕著になってきたのだ。

 「案件が複雑になり、顧客の要望も高くなっています。そのため、企業がリーダーに求めるスキルは『ユーザーニーズを聞き出せるなどの対人折衝力や、部門間の調整能力』が多くなってきました。
 マネジャーについても同様です。現在の大型案件は、戦略、インプリメント、事業計画、実行など、フェーズごとに業務と担当者が分かれています。これを1つのシステムにつなげるわけですが、顧客を満足させながら現場全体を仕切れる人が、非常に少ないのです」(稲垣氏)
 「チームやクライアントの管理は、コツコツ型の人には向かないかもしれません。プロマネになったから転職したいと来社する人もいるほどです。だからでしょうか、人がいなくて困っています。」(清野氏)

 一方で、経験年数はさほど気にする必要はないようだ。
「大切なのはプロジェクトを完遂できること。それよりも、『基礎研究から製品化まで幅広い工程に携わった』など、経験したプロジェクトの特徴を把握してください。これがアピール材料になります」(佐藤氏)


企業はどこまで譲歩できるか、どうすれば譲歩させられるか

企業の譲歩のポイントと対策法
●全くの未経験⇒かなり難しいが、自分の素養を根拠とともにアピールする。
●役職はないが経験はある⇒経験があればよい。具体的な実務経験を説明する。
●管理人数が少ない⇒ベースとなる技術力と対顧客能力の高さをプレゼンする。

 採用ニーズの高いリーダー・マネジャーだが、未経験者の応募ははっきりいって困難。しかし、可能性がないわけではない。
 「年齢が上がったので何となくリーダーになった人。これを『経験はあっても素養はない人』とすれば、『経験がなくても素養はある人』がいます。今、この素養を見て採用するケースが出てきています。例えば、頼られる存在で後輩の面倒見がよい、外注のとりまとめを買ってでたなど、具体例を挙げて『面倒見のよさ』を強調しましょう」(清野氏)

 また、「メンバー10人程度のリーダー経験者」などで、その数を満たしていない場合はどうだろうか。
 「例えばSI企業で、協力会社に業務委託しているが十分でなく、ソフト系子会社に新規依頼をする場合の、プロマネ募集。こんな場合は、独立系ソフトハウスから『作り込む力』を期待した採用もあります。管理人数が不足しても、対顧客能力が高くて技術力がきちんとある人なら、可能性大。前向きに応募を考えましょう」(稲垣氏)

 エンジニアのリーダー・マネジャー職不足が、転職市場で声高に叫ばれるようになってまだ数年程度。その間、不況下であってもニーズは途切れず、むしろ高まっている。理由は、案件の増加、複雑・高度化、人材の育成が追いつかない、の3つだ。
 リーダーやマネジャーをキャリアアップと考えるエンジニアなら、突出した人材が少なく、企業が積極採用しており、今後の需要増も見込める、今が狙い目だ。
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高橋マサシ(総研スタッフ)からのメッセージ
 リーダーやマネジャーって、向き不向きが分かれると思いませんか? アイテックの清野氏が語っていたように、職位が上がったから現場に戻りたいと転職するエンジニアも多くいます。一方で、「昔は向いていないと思ったけど、やってみたら面白い」というエンジニアも結構いるんですよ。あなたはどちらのタイプですか?
 「応募条件の謎」シリーズ、次回の8月20日が最終回です。テーマは「年齢」。ぜひご期待ください!

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