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1回NGを出された企業にどうアタックする?
1年半の浅い社会人経験を乗り越え転職したS・Oさん(26歳)
「狙いたい業界や会社はあるが、今の実務経験では採用される自信がない」と思って転職を躊躇した経験はないだろうか? それでもS・Oさんは「1日でも早く新天地を見つけたい」と活動を始め……。
(取材・文/入倉由理子 総研スタッフ/木下ミカエル)
THANKS! ある特定の技術分野や業界を目指したい場合、どう転職活動するか。「狭き門」でもどうくじけずに進んでいくか。今回は、一度はあきらめていた「人工知能」分野を手掛けたいと活動を進めたケースをご紹介します。
PROFILE
人工知能ソフト開発会社 システムエンジニア
S・Oさん(26歳)
2000年、私大精密機械工学部を卒業。卒業研究のテーマにした人工知能を手掛けたいと思うが、当時国内では該当企業が見つからず、制御ソフト開発部門があるソフト開発会社に入社。顧客のダム監視制御システムの制御プログラムソフトの開発に携わる。
 技術の将来性、汎用性のなさから今後に不安を感じるようになり、2001年7月転職活動を開始。10月、人工知能ソフトの開発会社に転職した。
SCHEDULE 転職決意から内定まで約2カ月
2001.6 「適職フェア」に通いつめる
ほぼ隔週で参加。めぼしい企業を探す
2001.7 適職フェア5回目
本命A社、予備B社の2社に応募
2001.7 9日後、A社から連絡
面接を受けられる! やった!
2001.8 応募から11日後、B社一次面接
ほぼ内定。うれしかったが保留
2001.8 A社一次面接
経験の浅さを問われず「ホッ」
2001.8 A社二次面接
成長できる環境か確認する
2001.8 A社内定
すぐにB社に内定辞退の連絡
2001.9 引き継ぎ、退職
20日間常駐先の先輩に引き継ぎ
2001.10 A社入社
2週間の「失業」の後、入社
||  キッカケ編  ||  適職フェアに通い続ける日々
||  活動編  ||  本命企業の対応に翻弄される
||  引き継ぎ編  ||  顧客である常駐先の先輩を巻き込む
キッカケ編 適職フェアに通い続ける日々

2001年3月16日 転職情報誌をパラパラ

 ソフト開発会社に入社して約1年。やはり、転職したほうがいいかもしれない。大学で精密機械を学んだことで、制御システムに携わることができる今の会社を選んだが、現在担当するダム監視制御システムは、僕にとってはあまりにも言語、開発環境、すべてにおいて将来性が感じられない。このままいても自分の市場価値が高まるとは思えない。
 転職情報誌を初めて購入し、パラパラとめくる。しかし、正直なところどんな業界に行きたいのか見えない状態だ。


6月9日 初めての適職フェア

 ついに行動に出ることを決意。モヤモヤを吹っ切るために適職フェアに参加してみた。
 適職フェアで目につくのは、携帯電話やPDA向けのソフト開発会社やメーカー。一方「制御」という技術自体は好きなので、できれば離れたくない。業界自体が成長分野であれば、市場価値の高い経験が積めるかもしれない。
 希望が募る一方、実務経験が浅い今の自分のスキルレベルで採用されるのか不安がある。応募資格で必須といわれるC言語も学生時代に学んだだけで実務経験がないのが心配だ。


6月23日 制御じゃダメなのか!?

 転職という2文字が頭に浮かんでからほぼ3カ月。
 隔週末で開催されるエンジニア関連の適職フェアには、ほぼ毎回参加している。今日も出掛けていく。4、5社のブースに座ってみる。
 ある会社で話を聞いたところ
「制御系の仕事はコストの安い中国にとられて、今後、国内でニーズが高まることはないだろう。やめておいたほうがいい」
 と言われ、ショックを受ける。―が、この人は本当に分かってるのか?とも疑問を感じた。

 ああ言われたが、やはり好きな制御技術にはかかわっていたい。


7月21日  「君じゃ難しい」と一蹴

 適職フェアももう5回目。今まで収穫なしだったが、今日は「入社したい」と心から思える人工知能ソフトの開発会社A社に出合えた。
 人工知能分野は大学時代から興味があって、卒業研究のテーマとして選んだほど。当時この分野の会社に入社したいと思ったが、国内にはほとんどなく、泣く泣くあきらめたのだ。この技術分野なら、確実にステップアップできるだろう。

 ワクワクしながらブースに座る。しかし、「今の会社ではC言語やってないの? ちょっと難しいね」と一蹴されてしまった。内心がっくりしながらも「力をつけてまた来ます」と言い残し席を立った。

 この日、工作用ロボットの制御システムを手掛けるB社も発見。給与も高く、開発言語も一般的なC言語を使うことができ、現在よりは将来性が感じられる開発環境だったので、履歴書を出すことにした。

活動編 本命企業の対応に翻弄される

7月30日 A社からメールがきた!!!

 適職フェアから家に帰ってみたら、なんとあきらめていた人工知能ソフトの開発会社A社からメールがきていた。
「あなたのキャリアを当社で生かしてみませんか」
 ??? 僕のキャリアでは無理と言っていたはずだが……。
 間違いでも何でもラッキー。心が躍る。とにかく応募書類を添付し、面接の日程を決めるためにメールを返信した。いつでも応募できるようにと準備しておいた職務経歴書が役に立った。


8月1日 B社はもう内定?

 工作用ロボットの制御システム開発会社B社からも書類選考通過の連絡を受け、面接を受ける。一次の人事面接で、「ほぼ内定なので、次の社長面接を受けてください」と言われ、少しうさんくさささえ感じてしまった。

8月3日 A社一次面接

 A社の一次面接。人事担当者と1対1だ。面接前から不安を抱いていたのは、1度適職フェアではっきりと「君では難しい」と言われてしまっていること。人工知能はおろか、ソフト開発という視点で見ても社会人経験の浅い自分自身のスキルは高いとは言い難い。しかし、きっと僕の「将来性」にかけてメールをくれたんだろうと信じることにした。「あきらめない」ことが、僕のキャリアを切り拓く原動力になると思ったからだ。
 とはいえ、面接では緊張した。
「これまでに使った開発言語は?」という質問にどぎまぎする。
「学生時代になりますが、C、C++なら使っていました」と答えておく。しかし、全体的には技術的なことより志望動機を中心に質問され「こんなんでいいの?」と肩透かしをくらう。


8月5日 A社からメールがこない

 適職フェアの後はクイックレスポンスだったのに、1日待ってもメールがこない。

8月6日 B社はちょっと……

 A社からは、まだメールがこない。

 今日はB社の社長面接だったので、気を取り直して臨む。しかし社長の話からは、「この環境で成長できそう」という気配は感じられず、顧客先への派遣人員を増やすための頭数合わせという印象。
 仕事内容的にも、現在勤務する会社とそれほど環境が変わらないように感じてしまった。もし内定をもらっても入社しないかも、と面接の最中に思いを巡らしていた。


8月7日 待ちぼうけ……

 今日もA社から連絡がこない。やっぱり技術的な力不足だろうか……。でも、あきらめたくはない。

8月10日 A社二次面接の連絡!

 待ちに待った一次面接合格のメールが届いた! 天にも昇る思いですぐに返信し、二次面接の日時を決めた。

8月16日 ココロの準備

 昨日の15日まで夏休み。明日の17日は夕方からの面接だが、祖父が亡くなったことにして、16日、17日と会社を休むことにしてしまった。
 気持ちを落ち着けたかったのがその理由。ここまできたら、入社したいなあ……。


8月17日 ドキドキの面接

 A社の二次面接。今回、面接担当者は事業部長と部長の2人。今回こそは、技術力や経験について聞かれるのではないかと不安に感じていたが、案の定、質問された。ここでウソをついても仕方がない。「即戦力になれるレベルではない」と正直に答えた。しかし、ここで事業部長が「これから勉強すればいいじゃない」と言ってくれて、ホッとする。

 その後はA社の事業内容について、事業部長が話し続けた。面接というより「説明会」という雰囲気だったが、人工知能の大きな可能性をあらためて認識せざるを得なかった。やっぱり入社したいと強く感じた。


8月18日 振り返ってみると……

 昨日の面接を振り返ってみると、われながら落ち着いていたと思う。
「入社したい」という気持ちが高まる一方、ふとわれに返り、その場で2つの質問を投げかけた。現在の会社を選んだときの失敗から、「市場価値が高まる」「成長できる」環境なのか確認するのを忘れたら本末転倒ということに気がついたからだった。

 1つ目は派遣ではなく、自社で仕事ができるかどうか。スキルアップという側面から考えた場合、自社にいるほうが会社の持つ核となる技術に触れる機会が多いと考えたからだ。これについては、明確に「顧客先への派遣はない」という回答が得られてホッとした。
 2つ目は仕事におけるルールを聞いた。「キレイなシステムを作ること」という言葉に感動する。ただ頭数をそろえて工数を稼ぐのではなく、品質の維持を大切にしている会社だと確かめられた。
 給与は下がりそうだが、それよりも技術的な成長が大切。早く内定の連絡がこないだろうか……。


8月19日 イライラして過ごす

 内定が出るか、出ないか。イライラして落ち着かない。意味もなくA社のHPをのぞきに行ったりする。

8月20日 内定通知!!

 内定のメールが届く。うれしい。先に内定が出ていたB社に連絡を入れる。とても言いにくかったが、「別の会社に入社することにします」と正直に話し、内定を断った。
引き継ぎ編 顧客である常駐先の先輩を巻き込む

8月21日 まずは常駐先から……

 入社を10月1日と決めた。早く退職を申し出なければならない。まずは、相談に乗ってくれた顧客である常駐先の先輩に話す。「よかったね」という温かい言葉をもらったうえに、その後発生する引き継ぎに協力するとも言ってくれた。

8月22日 部長に電話

 本社の部長に電話し、話したいことがあるので時間を作ってほしいと申し出る。相手も内容を察したのだろうか。飲みに行く時間を作ってくれた。

8月24日 世間話から……

 部長と飲みに行く。最初は世間話から始まる。多分、本題に入るタイミングをお互い探っていたのだと思う。  少し酒が入ってから「辞めさせてください」と切り出す。部長は予測していたものの、やはりショックを受けたようだ。その場で退職願は受け取ってもらえず、再度、本社に提出に行くことになった。

8月27日 事業部長代理と話す

「転職?どこに行くんだ? どうせ三流会社だろ?」
 事業部長代理は部長以上に聞く耳を持たない。しかし、この言葉でますます「この会社ともおさらばだ」という気持ちになり、いい意味で踏ん切りがついた。
 引き継ぎの準備はしっかり進めていることを伝え、さらに「この時期にご迷惑をかけて申し訳ないのですが……」と言い続け、やっとのことで退職願を受け取ってもらう。


9月3日 退社に向け、引き継ぎ

 常駐先とは後任者は来ない形で話がついた。引き継ぎを、常駐先の先輩相手に始める。自分の担当していた仕事をすべてドキュメント化し、進捗状況もファイルにまとめた。常駐先といい関係を築き、味方についてもらったことでスムーズに引き継ぎが進む。
 このまま順調にいけば、今月末には退社だ!

今だから言える・・・反省の小部屋
組織体制や顧客の獲得法も確認すべきだった
 市場価値を高めることを目的にA社に転職し、最初はその技術力の高さ、任される仕事の面白さに感動していた。しかし、営業に積極的ではなく、顧客は縁故頼みという会社なので、サービスを提供するという面では劣っている部分がある。顧客満足度も低いように思える。組織体制や顧客の獲得方法など、チェックすべきだったと思う。
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木下ミカエル(総研スタッフ)からのメッセージ
 一度でも「意中の会社」に難色を示されると「もうだめか」とあきらめがち。経験年数の浅さというハンデがあったS・Oさんでしたが、めげずに転職活動に取り組み、見事転職を果たしました。
 あなたなら意中の会社を振り向かせるために、どんな秘策を使いますか?
ぜひTech総研までお寄せください。

このレポートの連載バックナンバー

エンジニア☆マル秘転職活動記

エンジニアが転職を決意してから入社するまでのプロセスを日記形式で紹介。行動、感想、入社後の反省点などをリアルに綴る転職ドキュメントです。

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