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ソフトウェア&回路設計技術が新サービスを生み出す!注目の画像処理技術大解剖 ソフトウェア&回路設計技術が新サービスを生み出す!注目の画像処理技術大解剖
ソフトウェア&回路設計技術が新サービスを生み出す!注目の画像処理技術大解剖
ソフトウェア&回路設計技術が新サービスを生み出す!注目の画像処理技術大解剖
ソフトウェア&回路設計技術が新サービスを生み出す!注目の画像処理技術大解剖
今、世界のハイテク企業の注目を集めている画像処理技術。デジカメ、ITS、医療機器、偵察衛星まで適用範囲は驚くほど拡大している。そしてそれらの需要に対応するため、多くの企業がエンジニアの募集を開始。その実態を調査した。
(取材・文/伊藤憲二 総研スタッフ/関洋子)作成日:03.06.04
Part1 デジタル家電、自動車、セキュリティー、医療……盛り上がる画像処理マーケット
画像処理技術は日本が世界をリード
「画像処理技術は、日本が世界をリードしていける分野です。とくに産業用として実用化するという点が優れていますね」――画像センシング技術研究会会長で、芝浦工業大学教授の高木幹雄氏は語る。

 画像処理技術は今、世界のハイテクメーカーから熱い注目を浴びている。身のまわりにデジタルカメラ、デジタルビデオカメラやインターネット接続機能付き携帯電話などの映像機器があふれていることひとつを取っても、市場規模が年々拡大していることがわかるが、それだけではない。画像処理技術が利用されている主な分野を挙げてみよう。

高木幹雄氏
画像センシング技術研究会
会長
高木幹雄氏
画像処理技術の主な利用分野
1 エンドユーザー向け
画像関連装置
デジタルカメラ、テレビ、プリンター、スキャナーなど
2 ファクトリー向け
検査装置
製品、部品の欠陥などをカメラで自動的に判定
3 医療用機器 レントゲンやMRI(核磁気共鳴画像装置)、
MRA(磁気共鳴血管造影装置)など
4 CCDカメラ、
タッチパネルなどを
用いた認識装置
指紋照合によるセキュリティー装置、
ナンバーを読み取る道路監視システム、偵察衛星など
5 CAD/CAM 工業やコンピュータグラフィックに使用
産業用、民生用の市場規模も急速拡大中

鴻谷奈央氏
株式会社富士経済
大阪マーケティング本部
第一事業部
インダストリー第一事業担当
主任研究員
鴻谷奈央氏
 これらはあくまで大ざっぱな分類ではあるが、列記したもので市場規模が拡大していないものはひとつもない。デジタルカメラは前年比30%以上の高率で伸び続けている。富士経済の大阪マーケティング本部の鴻谷奈央氏によると「工業用検査装置は製造業が中国に工場進出する際に品質を維持するという目的で導入するケースが増えている」というのだ。同社の試算によれば、2006年には日本メーカーだけで800億円規模の市場に成長するという。
 画像処理技術が注目される最大の要因は、今後のビジネス的な発展可能性の大きさだ。日本航空や政府は現在、人間の顔の形や瞳の紋様から個人を識別し、チェックインを行うというe-チェックインの実証実験中だ。指紋、声紋、顔などでセキュリティーチェックを行うシステムの需要は、今後飛躍的な伸びが期待できる分野だ。
 自動車でも高度道路交通システム(ITS)の進歩が著しい。現在でもCCDカメラを使用して車線をはみ出さないようコントロールしたり、自動的にアクセルを調節して車間を維持したりする装置が一部の車種に搭載されているが、この技術を発展させていけば、いずれ自動走行が実現される。この技術をめぐっては世界が開発競争を繰り広げているが、今のところ日本が優位性を保っている。
産業画像処理システムの市場規模
産業画像処理システムの市場規模

出典:「2003画像処理システム市場の現状と将来展望」
調査会社:富士経済
 そのほか、情報家電が実用化されれば家電にCCDカメラが実装されることになる。その延長線上には、介護機能や防犯、家事の自動化といったロボット家屋がある。画像処理技術は現在の生活を便利にするだけでなく、生活の様式そのものを革命的に変える可能性すら持っているのだ。

 現在、多くの企業が画像処理関連の開発体制を強化している。それとともに、画像処理技術を手がけるエンジニアのニーズも、飛躍的に高まっている。未来志向の製品開発については、各社が生き残りをかけてしのぎを削っている。デジカメや携帯端末、プリンターなどの既存の製品についても、競争力を維持するためにコストダウンを行う必要があるが、そのためのエンジニアパワーも必要だ。雇用市場においても、画像処理関連分野は注目を集めているのである。
Part2 生かせるスキルと活躍フィールド
画像処理業界が求めるエンジニアニーズは多彩
 画像処理技術のエンジニアの数は、企業が採用したいという数に比べて、絶対的に少数である。画像処理の注目度が高まったのがつい最近だからだ。前出の高木氏は言う。
 「画像処理は、要素技術だけをみればそう難しいものではありません。極端な話、画像に興味があれば、どの分野のエンジニアでも活躍するフィールドはあると思いますよ」
 画像処理というと、CCDカメラやディスプレイなどがまず思い浮かぶが、実際にはそれらの機器やデバイスを駆動したりデータを処理したりするための回路、動力、ソフトウェア、認識アルゴリズムなど、関連するスキルの分野は枚挙にいとまがない。具体的には、どのような職種の人材が求められているのか挙げてみたい。
画像処理業界が求めるエンジニア像
1 回路設計技術者
アナログ、デジタルどちらもニーズが高い。どんなに質の高いレンズやディスプレイも、制御が悪ければ実力は発揮できないからだ。回路の高密度化、システムLSI化などはコストダウンの面でも重要な役割を担う。
2 ソフトウェア技術者
MPEG、画像・映像信号処理などの専門知識がなくとも、ソフトウェア技術者のニーズは幅広い。産業向け画像処理システムでは、「熟練者でなくても扱えるようGUIによる視覚操作やウィザードを実装することが求められている」(前出・鴻谷氏)。WindowsやUNIX、Linuxのプログラミングの経験がある程度でも活躍の機会はある。
組み込み系OS(Linux、Windows、TRONなど)のエンジニアは、組み込みチップの多い映像機器分野などでニーズが高い。システム工学の観点からは確率・統計の知識を持っていると有利だろう。これらの経験がなくともC、C++などのプログラミング言語、ないしLSI言語などを習得しているエンジニア、エンドユーザー向けソフトウェアを手がけたことのある人などは採用される可能性は十分だ。
3 制御・機械設計技術者
プリンター、スキャナーなどのパソコン周辺機器から医療機器、産業向け画像処理システムに至るまで、制御系、機械設計技術者は必要不可欠。これらの商品は正確な動作が要求されるのはもちろん、静音設計、耐久性向上なども売れ行きを左右するからだ。
4 材料、化学系エンジニア
プリンター向けの顔料、インクの開発から素材、機器のモジュール設計などの機構設計など、活躍のフィールドは幅広い。軽量設計、品質向上、コストダウンなどの点でニーズが高い。
画像処理分野はまだ黎明期、まずチャレンジ
 画像処理は、エンジニアにとってやりがいを実感できる分野だ。要因はいくつもある。画像処理技術自体がまだ完成形を見ておらず、これから大きく進歩していく未来技術だということ。利用法そのものも周辺技術の発達とともに新しいものが生まれる可能性が大で、思わぬ新製品を手がけられるかもしれないということ。モノづくりの喜びを日々味わえるというわけだ。が、それだけではない。画像処理は機械、電気、材料、ソフトなど、多くの要素技術が使用される、技術の複合体だ。画像処理に携わって得られる技術は画像処理のみにあらず。自分のスキルを生かしながら、多くの分野の技術をどう統合してモノづくりをしていくかという、システムエンジニア的発想も身についていく。画像処理はエンジニアにとって、チャレンジする価値は十分にある。
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