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やっぱりエンジニアはオモシロイ!
技術未来人インタビュー
エンジニアが担うべきは日本の再生。
イノベーションで大逆転を起こせ
フューチャーシステムコンサルティング株式会社
代表取締役社長
金丸恭文氏
「IT導入に上流も下流もない」という金丸恭文氏。ITコンサルティングに関して、世間で言われる技術力の伴わないコンサルとは一線を画すビジネスを展開。その金丸氏にこれからのITエンジニアの未来について語ってもらった。
(取材・文/上阪徹 総研スタッフ/関洋子) 作成日:03.04.02
[PROFILE]
●カネマルヤスフミ
1954年、大阪府生まれ。神戸大学工学部を卒業し、79年TKC入社。82年ロジック・システムズ・インターナショナル入社。NTTPCコミュニケーションズ取締役等を歴任後、89年にフューチャーシステムコンサルティングを設立。1999年、株式店頭公開。2002年、東京証券取引所1部上場。公職では経済同友会幹事を務める。
日本のITはまだ、過去と決別していない
──この10年は、金丸さんにはどのように映っていらっしゃいましたか?
金丸:私が会社を設立したのは89年。それからバブルが崩壊し、いろんな業界で大変な出来事が起きたわけですが、われわれの業界はオイルショックのあとも仕事が絶えなかったという過去の成功体験があって、IT産業だけは不景気とは無縁だ、といった意見をいう人が多かったですね。それが、93年くらいに変わっていく。
 
 米国の世界的なハードウェアメーカーが巨額の赤字を出し、異業種から社長を迎えたりしました。日本でもソフトウェア産業が政府に不況業種として認定された。ただ、私は会社をつくって以来、ずっと今日まで忙しいんです。ところが政府が不況業種に認定する。妙な話です。事業も拡大して運転資金も必要なのに、業種を言うとそれだけで融資が来ない。そんな時代でした。

 だから、93年、94年頃は、さすがに強気の私も、ちょっと様子を見たほうがいいかな、と感じたことを覚えています。そうこうしているうちに、95年にWindows 95、そしてインターネットが続き、新しい時代の幕が開いていったわけです。

──では、ここ数年の日本のITについて、金丸さんはどんな印象をお持ちですか?
金丸:過去の時代に決別できず、新しい時代に乗り換える準備もしないまま動いてきた気がします。市場と技術革新の変化は、ピーク時に40万人いたIBMの社員を20万人までに激減させるほどのすさまじいものだったんです。ところが日本はどうだったか。同じようなことが起きたか。過去の習慣や慣習、価値観を本当に捨て去ったか。それができていないから、世界の勝ち組になれないのだと思う。
 
 95年を境に技術のドメインが変わりましたから、個々のエンジニアも本来ならばリニューアルして新しい技術を身につけていなければならなかった。ところが自分自身は変わっていないのに、インターネットが出てきて、ネットバブルが起きて、それがITバブルと相まっていって、勘違いをしてしまった人たちがたくさんいる。
 
 バブルの風が吹きやんだ今、本当の実力が問われています。あなたの技は何か、と。今、顧客のニーズに貢献できない技の不良債権、人材の不良債権が蓄積されつつあると思う。このことに経営者やエンジニアが正面から向き合うのは勇気がいるんです。だから、いろんなことを先送りしているのではないかと思います。
技術者がいち早く人材大移動する国にならないと、国力は上がらない
──エンジニアの人材の流動化という点ではいかがでしょうか?
金丸:私は多くの大企業で、もっと多くのエンジニアが会社を去るべきだったと思っています。それができなかったために、会社自体も苦しくなった。去らなかった個々のエンジニアも、何年間かしがみついたがために技が陳腐化してしまった。
 
 こういう時代には、技術者の大移動が起きなければダメなんです。なぜなら技術者は、最も早くその会社の将来を察知すべき人種だからです。いくら経営者が抽象的な用語で未来を語っても、技術者は自分のやっている仕事を通し、具体的な客観的事実として未来を知ることになるわけでしょう。

 日本は技術者がいち早く人材大移動する国にならない限り、国力は上がらない。しかし、これからはエンジニアも変わっていくでしょうね。過去の価値観と決別しなければ、企業もエンジニアも生き残れないからです。
 
 今後、重要なのは意識と行動と時間です。時間がたったらつらさが減るか増すか、よく考えたほうがいいですね。エンジニアは時間がたてばたつほど静止しているリスクは大きくなります。何もしないまま時間だけが過ぎていくことが最も危険です。
 
──これからエンジニアが持っておくべき意識とは、どんなものでしょうか?
金丸:右肩上がりの時代はゼネラリストがもてはやされました。人の意見をうまく調整することでよかった。でも、今は違います。必要なのは、付加価値をどうやってつくり上げるか、「革新(=イノベーション)をどう起こすか」です。
 
 革新を起こすときには、自分の思考の中に制約があってはダメですね。「ここから先はビジネスだから関係がない」とか、「ここから先はテクノロジーだから関係がない」とか、こんなことを言っていたら、革新など絶対に起きない。
 
 また、イノベーションを起こすのは、専門家とは限りません。大事なのは、イマジネーションなんです。だから、技術屋はもっと事実の前に誠実であるべきだと私は思います。地球にあるものが全部技術だけで存在するわけではないんですから。

──では今後、エンジニアに託された未来とは、どんなものでしょうか?
金丸:日本再生でしょう。イノベーションは大逆転を起こします。強い企業が世界に突然現れる。政治も何も関係なく、市場の中に現れる。だからこそ私が強く言いたいのは、優秀な人こそチャレンジングな舞台を選ぶべきだということです。  優秀な人が、イノベーションを起こせないような企業に行っても仕方がないんです。
 
 あんなに難しい受験の問題を解けた人たちが、前例ばかり大事にし、何も変えようとしない会社にまだまだ大勢いる。才能を生かし切れていないわけです。イノベーションを起こしやすい組織やポジションに優秀な人がたくさん行けば、この国は大きく変わっていくと私は思いますね。
技術者ほど評価されたいと思っている人種はいない
──金丸さんが仕事をするうえで最も大切にしていることはどんなことですか?
金丸:最後は楽天主義ということです。日頃は楽天的に行動しているくせに、最後に悲観主義になってしまう人がけっこう多いんです。“楽天主義”というオブラートで包むことじゃないでしょうか。
 
──これからエンジニアが人生を楽しむために大切にすべきことは何でしょうか?
金丸:向上心でしょうね。それなりの努力をした結果があるから、楽しみを得られるわけです。どこかのカンパニー、組織に属せば楽しみが来るという事ではありません。だから、個人の技を磨くしかない。

 私は、失敗体験を明るく語れるくらいの成功体験を持たなければいけないと思っています。100失敗しても、1成功したら、100の失敗は笑い話に終わる。いちばんつまらないのは、失敗もしてない、成功もしていない、という人の話です。毎年、昇給でいくら上がったか、ばかり気にしている。それでは、あまりに寂しいですね。
 
──いい仕事をするために、大切になる環境とはどんなものだとお考えですか?
金丸:善なるものでマネージすることだと私は思っています。世界中で最もピュアなのは、日本人の技術者です。技術者としての良心をまだ持っている。だから、経営者は、エンジニアの心をプラスに捉えることに視点を置くことが大切。そういう会社なら、技術者はいい仕事ができると思う。技術者ほど評価されたいと思っている人種はいない、と私は思っていますから。
インタビューを終えて
若いころ、奈良の山奥でコンピュータのノイズ測定という地道な作業にも携わった金丸さん。「みんな、今ごろは飲んでいるのかな」と思いながらも、「何かを発見したい」というこだわりからそれに没頭したという話を伺いました。この話からも金丸さん自身に流れる生粋のエンジニアの「性」を感じ取ることができました。また関西出身で阪神ファンとのこと。時間があればぜひ、今年の「阪神」はどうなる、という質問をしてみたかったです。ちなみに私は大阪人です。(総研スタッフ/関洋子)

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