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発見!職場の人間関係でわかる☆エンジニア残業方程式 タイトル 残業時間は「上司との関係」の絶対値に反比例する 発見!職場の人間関係でわかる☆エンジニア残業方程式
残業時間は仕事量に比例する──。だれもがそう思いがちだ。しかし本当に残業時間に影響を与える因子は仕事量だけだろうか。上司や同僚、部下との人間関係は作用しないのか。職場の人間関係と残業時間の相関を3回に分けてレポートする。第1回目は上司との関係について徹底解析する。
解析・文/中村仁美 総研スタッフ/高橋マサシ) 作成日:05.05.25
【方程式】上司との仲が「普通」な人ほど残業時間が増加
 職場の人間関係と残業時間との相関を調べるため、Tech総研では、25〜39歳までの男性エンジニア500人にアンケートを実施した。質問内容は1カ月の平均的な残業時間、上司・同僚・部下との仲のよさ、技術スキルとコミュニケーションスキルのレベルの自己採点など。第1回目の今回は、上司との人間関係が残業時間にどう影響しているのかを解析する。
上司と残業時間の関係を表す方程式
残業時間上司との人間関係スキルの段階数
平均残業時間スキル係数の最大値スキルのレベル
上司との関係とスキルの掛け合わせで残業時間が変化
 上司との仲のよさと残業時間の相関グラフを作成すると、±5が最も残業時間が少なく、関係が「普通」に近づくにつれ、残業時間が増加する傾向が見られた。このことから、上司との仲のよさの絶対値に反比例することが導き出された。さらにその傾向を顕著にしているのが、スキル因子であると判明した。
 つまり、上司との関係にスキル因子を掛け合わせて、残業時間との相関を見てみると、よりこの傾向が明らかになるのだ。
スキルは高くなればなるほど、残業時間も増加する。
【解析結果】残業時間に影響するのは「気持ちの振幅度」と「相反する2つのスキル」
 上司との仲が普通のときに最も残業時間が増え、かつそれにはスキル因子が影響するという方程式が導き出された。その過程を解説し、解となった方程式を考察する。
仮説とは異なり絶対値が導き出された理由
Figure1-A
残業時間と上司との仲のよさの関係
残業時間と上司との仲のよさの関係
 まず編集部では、「上司と仲がよければ残業時間は減るのではないか」という仮説を立てた。というのも、上司との間柄がうまくいっているほど、おいしい仕事をより優先的に回してもらえるのではないか、と考えたからだ。
 しかし、仲のよさと残業時間をクロス集計し、その結果を表示すると、Figure1-Aのような散布図が得られた(色が濃くなっているところにデータが集中)。つまり、上司との仲が「最高によい」「最低に悪い」の両極端に近づくほど、残業時間が減る傾向が見られたのである。

 これは上司への感情が「よいか悪いかと聞かれればよい(悪い)」や「どうしてもよいか悪いかの判断ができない」と希薄なものではなく、よし悪しにかかわらず、深くなるほど残業が減ることを表している。
 仲がよければ仮説どおり、上司と良好な関係を築くことで、自分に合った仕事ができている可能性が高く、仲が悪い場合は人間関係が険悪なことで、上司が部下に仕事を頼みにくい状況にあるのかもしれない。
エンジニアとしてのスキルがさらに傾向を顕著に
Figure1-B
残業時間と上司との仲のよさにスキルをクロスさせた結果
残業時間と上司との仲のよさにスキルをクロスさせた結果
※スキルをクロスすることで、データ散布が小さくなり、より明確な傾向が見られた
 さらにこの傾向を顕著にする因子は何かと調べたところ、コミュニケーションスキルや技術スキルという、スキル因子と判明した。技術スキルと残業時間の関係は、意外にもスキルが上がると残業時間が微増するという傾向を示した。
 本来、「仕事量が一定」であれば、スキルが高くなれば残業時間は減少する。しかし実際は、スキルの高い人に仕事が集まり、残業時間を増加させているようだ。

 そこでこのスキル因子を、上司との仲のよさと残業時間との関係に掛け合わせたのが、Figure1-Bである。このようにスキルという要素が加わることで、残業時間が上司の仲のよさの絶対値に反比例するという傾向が、いっそう顕著になったのである。
【各 論】職種の違いで残業時間に影響するスキル因子が異なる
 残業時間は上司に対する気持ちの深さ(正負とも)に反比例するという傾向をより強める、技術スキルとコミュニケーションスキルという2つの因子。では、それらはほかの要素とどのように関係しているのか。
ハード系の残業はコミュニケーションスキルに比例
Figure2-A
ハード系エンジニアの残業時間とスキルの関係(線形近似で表示)
ハード系エンジニアの残業時間とスキルの関係(漸近線で表示)
 上司との人間関係と残業時間は、上司との仲のよさの絶対値に反比例し、その相関をより顕著にするのはスキル因子であった。しかし、コミュニケーションスキルと技術スキルを全体と職種別に掛け合わせたところ、ソフト系とハード系の職種差によって、先の傾向に与える影響が異なることが判明した。

 ハード系エンジニアの場合は、コミュニケーションスキルに反比例する。つまり、コミュニケーションスキルが高い人ほど、残業時間が多くなるということだ(Figure2-A参照)。
 これはハード系ならではの特徴。というのも、ソフト系エンジニアの場合はハード系ほど顕著ではないものの、コミュニケーションスキルに比例、つまりコミュニケーション力が高くなると残業時間が減るという逆の傾向を示したからだ(Figure2-B参照)。
ソフト系の残業は技術スキルに比例
Figure2-B
ソフト系エンジニアの残業時間とスキルの関係(線形近似で表示)
ソフト系エンジニアの残業時間とスキルの関係(漸近線で表示)
 一方、ソフト系エンジニアの残業時間に関係するスキル因子は、技術スキルだ。技術力が高い人ほど残業時間が長くなる。つまり、残業時間は技術スキルに反比例するのである(Figure2-B参照)。
  特にコンサルタント、システム開発職(制御・組み込み系も含む)ではその傾向が強く見られた。傾向がさほど顕著ではないのは、ネットワーク系職種や社内SEだ。

 この技術スキルとハード系エンジニアの関係は、ソフト系と逆だった。技術スキルが高くなればなるほど残業時間が減少する、技術スキルに比例する傾向を示している(Figure2-A参照)。
 
残業時間を減少させる方法 上司への好き嫌いを明確にし、使えないエンジニアだと主張すること
 上記の結果を総括すると、残業時間の最も少ないエンジニアとは、上司と非常に仲がよく、もしくは非常に仲が悪く、スキルの低い人ということになる。残業時間を短くしようと思うなら、上司との関係を希薄にするのではなく、積極的にかかわっていくことが重要であり、かつ仕事のできないヤツと思わせることが肝要と結論付けられる。
 
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高橋マサシ (総研スタッフ)からのメッセージ
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この方程式は解析の繰り返しにより導き出されました。サンプル数は500人ですが、かなりの高率で「真」に近づいているのではないでしょうか。それを確認するためにも、あなたの数値を方程式に入れて、ぜひ検算をしてみてください。砂浜から小石を探し出すようにして方程式を見つけてくれた中村仁美さん、本当に感謝しています。第2回目は「同僚偏」、第3回目は「部下偏」。こちらもよろしくお願いします!
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