環境 ・・・ 地球温暖化を防ぐ世界最高の技術

 運転者の意に応え、快適な移動を約束してくれるクルマ。しかしそれは同時に、“命を預かる機械”であることも忘れてはならない。「万が一の事故の際、人の安全をどう確保するか」。さらにはそれを超えて、「事故を起こさないクルマへ」――。そんなテーマにおいても、カーエレクトロニクスは大きな力を発揮する。

 2009年9月に誕生した鳩山政権。民主党はマニフェストの中で、CO2などの温室効果ガスを、2020年までの中間目標として25%削減することをうたっている。一方、これまで温室効果ガス削減に及び腰だったアメリカも、オバマ政権誕生で方針を転換、「グリーン・ニューディール政策」を打ち出すなど、先進国の間では、より一層の「環境負荷低減」に向けての流れが強まりつつある。

 もちろん、こうした流れの加速を待つまでもなく、自動車開発の世界は「環境性能」を、より研ぎ澄ます方向へと積極的に進みつつある。2009年10月末から11月初めにかけて、幕張メッセで開催された東京モーターショーでは、各社とも自慢の、世界の先端を行く環境対応モデルを出展。さまざまなスタイル、特色を持つハイブリッドカー(HV)や、電気自動車(EV)がズラリと並んだ。そして今後も当分、HVやEVとともに「クルマ社会」を支えるガソリン車、ディーゼル車もまた、「環境にやさしい」クルマへと、着々と進化を遂げている。現在では、ガソリン車であっても原価換算で15%は電装品が占めるという。特にその中でも、“環境性能”に直結するのが、コンピュータによってエンジンの働きをきめ細かに制御するECUだ。

 燃料混合気の爆発でピストンを動かす内燃機関は、排気ガスの発生は避けられない。しかし、エンジンの動きをセンサーで検知し、常にその状態に合わせた最適な混合気を送り、最適なタイミングで給排気を行えれば、燃費やクリーン性能は劇的に向上する。
 これまで、NOxやばい煙の発生が問題視されていたディーゼル車も、新たな触媒の開発に加え、混合気を高圧にし、噴射を電子制御することで、充分にクリーンなだけでなく、むしろ燃費や出力の点で際立つ「優等生」として復権を遂げつつある。ここでもまた、エレクトロニクスがクルマの進化の最前線を担っているのである。

制作・監修 Tech総研編集部 (執筆/川畑英毅 編集/宮みゆき)