客観的になる練習をしてみては
私はうまくいかないとき、流れに身を任せちゃう。だから、どんな状況でも「もうダメ」って、せっぱつまった感じにはならないのね。集中するときと力を抜くときの落差が激しくて、それをずっと繰り返してきてるから、無駄な力はあんまり使わないんです。バレエでもピアノでも集中してやっていたけど、「これ以上うまくなる能力は自分にないな」とわかったら、さっさとやめちゃったし。これはもう、小さい頃からの私の性格だから参考になりませんね(笑)。でも、あなたの仕事でも、力を抜ける部分ってきっとあると思うんですよ。
そういうときって、じたばたしてもどうにもならなかったりするんですよね。あんまり気合い入れても、力の入れどころが間違っているのかもしれないし、思ってもいなかったことが、うまくいかない原因かもしれないしね。だから少し力を抜いて、自分のことや周りの人のことを客観的に見てみるといいかもしれませんよ。
人の集中力って何時間も続くものじゃないので、仕事を毎日ずっと頑張っているというのは、あまり賢明ではないような気がします。それで結局は気力もなくなって疲れちゃうなんて、建設的じゃないですよね。真面目で頑張りやさんなんだと思うんですけど、仕事も恋愛も「自分が、自分が」って主観的にばかりとらえてると、本当の原因ってわかりにくくなっちゃうんじゃないでしょうか。もちろん、そういう人だからこそのいい面もたくさんあるんだけどね。
だから、がむしゃらに仕事をするんじゃなくて、1カ月くらい、ちょっと違う考え方や見方をするように心がけたり、逆にわざと気を散らしてみたりするとか、趣味に打ち込んでみるのもいいと思いますよ。客観的になる練習をすることで、自分の立ち位置とか、うまくいかない原因がだんだん見えてくるんじゃないかな。
スランプを与えられたほうが、良くなる人もいる
それから、人ってステップアップする前はだいたいスランプっぽくなるんですよね。スランプを感じることで伸びるタイプの人もたくさんいて、そういう人は人生の中でも何回かスランプが訪れると思うんですけど、自分の力で乗り越えることができると、そのたびに強くなっていくんですよ。
私はそんなに頑張らなきゃいけないことがないから、スランプで思い悩むことってないんです。そういうスタンスが気持ちいいから、ずっとやってきているだけなので、心地いい仕事のやり方は人によって違うんですよね。スランプを与えられる人は、与えられたほうがよくなる人なんだと思うし、そういうふうに考えたほうがいいじゃないですか。私もあなたのこのスランプは、きっと次への素敵なステップにつながると思いますよ。