お金をかけなくてもおしゃれはできますよ
自分のことがダサく見えちゃうの、よくわかります。私も同じ経験があるのよ。歌手になるために熊本の田舎から東京に出て来て初めて渋谷の街を歩いたとき、周りの人たちがあまりに垢抜けておしゃれなのでびっくりしたんです。熊本にいたころ、「亜紀ちゃんはかわいくておしゃれね」って言われていたから、お気に入りのツーピースを得意気に着て上京したんですけどね。
ところが、渋谷のウィンドーに映る自分の姿がものすごくダサくて、道行く人はさっそうとカッコよく歩いてる。都会と田舎の違いを見せつけられました。だからと言って嘆いていてもしょうがない。そのころは私も洋服を買うお金がなかったから「よし!私なりに自分で“素敵”と思えるまで研究しよう」って決めたんです。そのとき着ていたツーピースのスカートがタイトだったので、麻のようなラフなトップスをベルトと合わせたり、ジャケットだけ使うときはジーンズを履くとか、それはもう鏡の前でいろいろ工夫しました。
お金をかけたからって、必ずしもおしゃれに見えるとは限らないでしょ。むしろブランド物のバッグを持つなんて、無理してお金を出せば誰でもできちゃうこと。それよりは安いノーブランドでも自分に合うものを見つけ、自信を持って身につけるほうが勇気もいるし、ずっとおしゃれだと思うんです。私が上京して最初に見た渋谷でも、普通の洗いざらしの白いシャツにジーンズ姿の人がすごくカッコよかった。今の若い女性がヒール部分の剥げたブランド靴を平気で履いていたりするのを見ると、1足のブランド靴を履きつぶさずに、3足くらい普通の靴を交替で履いて痛めないように気をつけたほうがおしゃれなのにな、って思います。
素敵と思われるには、背筋を伸ばして笑顔!
要は、高価なブランド品やアクセサリーで身を固める人と競ってもしょうがない。見た目の華やかさで競おうとしないことですよ。清潔にさえしていれば、お化粧もネイルもシンプルでいいと思うんです。あとは、いちばん大事なのが笑顔ね。笑顔ってほかの何ものにも替え難いもの。しかも一切お金がかからないでしょ(笑)。だから、お金じゃなくて笑顔で勝負することよ。誰でも仕事の場では戦わなければいけないわけだから、人前でずっと笑顔でいるのって、実はお金をかけたおしゃれよりずっと難しいし、すごく覚悟がいることなんです。
あなたも今の自分を見る立場になって考えてみるとわかると思うけど、自信なさそうに暗い顔をして歩いている人がいたからといって、「どうしたの?大丈夫?」ってわざわざ聞きにいかないでしょ。お金がなくて洋服が買えないからって「じゃあ、お金あげるわ」とは言わないわよね。暗い人が近くに寄って来たら、自分もなんとなく暗くてイヤな気分になっちゃう。そういうものなのよ。「あの女の人、暗くて変ね」って思われちゃうの。だから素敵と思われるには、まずしゃきっと背筋を伸ばして明るく笑顔でいることなんですよ。