もっとベターなやり方があったはず
あなたは「すべて自分以外の誰かが悪い」という言い方をしているね。確かに、セクハラをするお客は悪い。絶対に認められないことだと思うし、それをケアできない上司も悪い。だけどね、営業ならいろんなお客を相手にしなければならないですよね。
どの程度のセクハラだったのかわからないけれど、あなたが一方的な被害者にならないよう、相手をハンドルするのも仕事のうちではないだろうか。いちいち相手と同じ土俵に立って反応していたのでは、仕事人とは言えません。
たとえば、セクハラされた時、もっとベターな対応の仕方はなかったか、考えてみてほしい。上司に報告した時も、前向きになるような話し方だってあったはずなんだ。「私だけの問題ではないので、会社の方針としてはどう対処すべきなのか、これを機会にお聞きしたいのですが」とか、そんなふうに言っていたら、上司だって全然違う反応をしたはずだよね。そもそも、上司に慰めてもらおうとする考えが間違ってる。
大事なことは、自分の仕事にどれだけ意味や価値を見いだしているかであって、あなたがもし、今の仕事に愛着を持っているのなら、多少の困難は工夫しながら処理できるはずだ。しかも、その積み重ねで、顧客第一主義を実践する営業にもなっていけるでしょう。
失敗や悩んだことの収穫は大きい
多くの人は、困難にぶつかって悩みそうになると、方向を変えて違う場所に行こうとする。けれど、それをやってしまうと、結局はいつも逃避ばかり繰り返す人生を送ることになって、何も身に付かないんです。
実は、悶々と自分の中で悩み苦しむというのはとても大切なことで、人間、成功することよりも、失敗したり、悩んだりしている時の方が、将来につながる収穫は大きいものなんです。だから、失敗することや悩むことを恐れず、それを正面から受け止め、歯を食いしばって自分で解決してみる。これくらいで泣きごとを言っていたら、どこへ行っても仕事はできませんよ。
僕も新聞社時代、仕事でたくさんつらいことはあったけど、家で愚痴をこぼしたことは一度もないし、周囲から「そんなとこへ行ったの?」と言われるような所へ飛ばされても、基本的にはすべて楽しんで仕事をしてきました。「警察を回らなくていい」と言われ、落第記者の烙印を押されたこともあったし、同期よりちゃんとした仕事を与えられなくて、くやしい時期もあったけどね。
だけど、どこへ行っても共通して感じたのは「人間(じんかん)到る所に青山(せいざん)あり」ってことなんです。どういう意味かと言うと、「青山(せいざん)」とはお墓のことで、自分が死ぬ場所はどこでもいいのだということ。裏を返せば、たとえどんな場所であっても、心がけ次第で、人は楽しむことができるという意味なんです。
自分以外の者のせいにして、愚痴ばかり言ってると、そこで自分が塩漬けになってしまうんですよ。