叱ってちょーだい

毎回著名人にあなたの悩みをぶつけていただく、このコーナー。熱く、愛を持ってお答えします。
悩
「過度の『顧客第一』についていけません…」

うちの会社の「顧客第一」に、だんだんついていけなくなってきました。というのも、先日、お客さんにセクハラをされて、思わず怒鳴ってしまったときのこと。上司に報告すると、慰められるどころか、「お客様を怒鳴るとは何事だ!」と叱られてしまいました。こんな職場ではついていけません。私が間違っているんでしょうか。(営業・28歳)

人間到る所に青山在り
今週の叱り役

ジャーナリスト
鳥越俊太郎

1940年、福岡県生まれ。京都大学文学部国史学科卒業後、毎日新聞社入社。新潟支局、大阪・東京本社社会部、外信部テヘラン特派員、『サンデー毎日』編集長を経て、89年、キャスターに。99年の桶川女子大生ストーカー殺人事件での報道姿勢が評価され、日本記者クラブ賞を受賞。関西大学で教鞭も執る。

もっとベターなやり方があったはず

あなたは「すべて自分以外の誰かが悪い」という言い方をしているね。確かに、セクハラをするお客は悪い。絶対に認められないことだと思うし、それをケアできない上司も悪い。だけどね、営業ならいろんなお客を相手にしなければならないですよね。

どの程度のセクハラだったのかわからないけれど、あなたが一方的な被害者にならないよう、相手をハンドルするのも仕事のうちではないだろうか。いちいち相手と同じ土俵に立って反応していたのでは、仕事人とは言えません。

たとえば、セクハラされた時、もっとベターな対応の仕方はなかったか、考えてみてほしい。上司に報告した時も、前向きになるような話し方だってあったはずなんだ。「私だけの問題ではないので、会社の方針としてはどう対処すべきなのか、これを機会にお聞きしたいのですが」とか、そんなふうに言っていたら、上司だって全然違う反応をしたはずだよね。そもそも、上司に慰めてもらおうとする考えが間違ってる。

大事なことは、自分の仕事にどれだけ意味や価値を見いだしているかであって、あなたがもし、今の仕事に愛着を持っているのなら、多少の困難は工夫しながら処理できるはずだ。しかも、その積み重ねで、顧客第一主義を実践する営業にもなっていけるでしょう。

失敗や悩んだことの収穫は大きい

多くの人は、困難にぶつかって悩みそうになると、方向を変えて違う場所に行こうとする。けれど、それをやってしまうと、結局はいつも逃避ばかり繰り返す人生を送ることになって、何も身に付かないんです。

実は、悶々と自分の中で悩み苦しむというのはとても大切なことで、人間、成功することよりも、失敗したり、悩んだりしている時の方が、将来につながる収穫は大きいものなんです。だから、失敗することや悩むことを恐れず、それを正面から受け止め、歯を食いしばって自分で解決してみる。これくらいで泣きごとを言っていたら、どこへ行っても仕事はできませんよ。

僕も新聞社時代、仕事でたくさんつらいことはあったけど、家で愚痴をこぼしたことは一度もないし、周囲から「そんなとこへ行ったの?」と言われるような所へ飛ばされても、基本的にはすべて楽しんで仕事をしてきました。「警察を回らなくていい」と言われ、落第記者の烙印を押されたこともあったし、同期よりちゃんとした仕事を与えられなくて、くやしい時期もあったけどね。

だけど、どこへ行っても共通して感じたのは「人間(じんかん)到る所に青山(せいざん)あり」ってことなんです。どういう意味かと言うと、「青山(せいざん)」とはお墓のことで、自分が死ぬ場所はどこでもいいのだということ。裏を返せば、たとえどんな場所であっても、心がけ次第で、人は楽しむことができるという意味なんです。

自分以外の者のせいにして、愚痴ばかり言ってると、そこで自分が塩漬けになってしまうんですよ。

EDIT
マインドシェア
WRITING
羽塚順子
PHOTO
岡本寛

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