信念を曲げてまでやる必要はない
気持ちはよくわかります。やはり僕も自分がいた相撲部屋には、お世話になったと思っているから、義理は欠きたくない。うちに来たいと言ってくる人はしょうがないけど、どこかの部屋から、わざわざ引っ張ってくる行為をするのは、僕もイヤですね。信念を曲げてまでやりたくはない。あなたもこうやって露骨に言われたらつらいでしょうね。
やりたくないと思うのなら、やらなければいい。そのためにはいい方法があるんですよ。上司にこう言われたら、「わかりました」と言わずに「頑張ります」とだけ言って営業に出かけるんです。「わかりました」と答えてしまうと、言われた通りに前の客を取りに行くように聞こえてしまいますよね。僕もこの「頑張ります」で、ごまかした経験がけっこうあります(笑)。言われたことに従いたくない時の常套句ですよ。
僕がいた相撲界は上下関係が厳しいから、納得できないことや理不尽なことを言われても我慢する世界。気にくわないからって、わざとケガさせるような相撲をする人だっていますからね。でも、いつかそいつを抜けばいい。つまり結果を出せばいいんです。
一生懸命やっているうちにファンは付いてくる
今は「新弟子になりそうなのがいるよ」って言われたら、僕は自分の足でどこまでも行ってみるし、その本人がダメでも、知り合いができて、またその人から紹介してもらったりって、自分でどんどん動いていれば、出会いは広がりますからね。営業の仕事もそうでしょう。うちの部屋だって、まだできてから1年。見込みある弟子を取って行かなきゃならないのは、新しい会社で営業1年生のあなたと同じです。だんだんと部屋が力をつけていけば、向こうから「入りたい」と言ってくれる人もいるかもしれない。でも今は頑張って自分から開拓していくのみです。
相撲でも仕事でも、ファンは自分でつくるものじゃなく、一生懸命やっているうちにだんだんと付いてくるものだと思うんです。努力していれば、結果が出なくても応援してくれる人は必ず出てくる。どこかで必ず見てる人がいるということです。「こいつ一生懸命やってるな」と思ってもらえたら、どこかの会社から誘われたり、仕事を紹介されたり、任されたりすることが出てくるかもしれない。
だから一緒に頑張りましょう。こんなことを偉そうに言ってる僕こそ、誰かに相談したいくらい(笑)。誰でもみんな悩みはある。それを乗り越えるには、今の仕事を一生懸命にやっていくことなんです。