仕事を選ばなければ見つかります!
そうです、残念だけど認めてもらえないのです。あなたは放浪病にかかってしまったんですね。若いうちに放浪したい気持ちはわかります。私の周囲にも、すっかりインドにハマってしまったり、タイの貧民窟に行って、日本で働く気力を失ってしまった人もいますしね。ただ、放浪して世界標準に漬かると、日本標準に戻すのは非常に困難です。企業は見事にそこを見抜いています。
もう1つは、視野が広がったと言うけれど、その方向が間違っているという問題があります。企業が求めているのは、企業のシステムにどれだけ適合してよく働けるか。そこから考えると、あなたは規格外になってしまっているんです。あなた自身は成長しているつもりでも、企業にとって、その成長は不必要。社員たちを焚き付けて働かせている場に、放浪病にかかっている人が一人入社してくると、逆に周りの士気が落ちてしまうかもしれませんよね。
むしろ、放浪してきた経歴は、隠した方がいいくらいです(笑)。まあ、隠すのもなんですが、経験して来たことを意気揚々と面接でしゃべったら、「こいつ、使えないな」と思われるに決まってます!もし、経歴を認めてほしいのなら、例えば、出版関係なら編集プロダクションの小さな会社など、自由人が入りやすい会社を受けてみる。あるいは、旅行代理店の小さな会社で、添乗員の仕事なら世界放浪の経験を求められるかもしれない。都会を離れ、農村での農業や酪農関係の仕事もいいと思います。選ばなければ、仕事は必ずあるはずです。今のあなたを求めてくれるところがね!
年月をかけて仕事が認められる努力を
今の日本で「仕事がない」と言っているのは、仕事を選んでいる人たちです。世界を見て来たと言いながら、仕事を選んでいるのだったら、あなたは何を見て来たの?本当に仕事がなくて、臓器を売るような国だってあるんだから。楽しくぬるいリゾート感覚で生きていけるのがこの世の中だと勘違いしている部分が自分の中にないかどうか見極め、自分が放浪して来た意味をもう一度、厳しい目できちんと総括し直してみることをおすすめします。そうしたら企業の戸も開くかもしれません。
企業ではすぐ鍛えられる新卒の方が優先されるのは当然でしょう。不利になるとわかって放浪に出たのだから、人の3倍は頑張らないと仕事はないよね。そして、そんなの大したことじゃない。あとは、自分が何をやりたいのかを考え、正社員という雇用形態にこだわらず、契約社員やフリーでいいから、自由人としてではなく、仕事人としてスタートをしてみる。かなり周回遅れであることを自覚して、何年もかけて仕事を認めてもらえるようにするといいんじゃないかな。
私も漫画家としてはエリートコースではなく、脇道から入って来た人間なので、編集者にやりたい仕事を通すまで18年かかりました。もう、私も超周回遅れだったの。でもなんとかなったよ!あなたも、もし4年放浪していただけなのなら、8年から10年は社会人より遅れていると思って本気で頑張ること。でも本気で頑張れば、きっと追いつけるはずです。