マイナス思考から脱皮してみよう
あなたは自分のことを頑張ったり努力ができないと思っているようですけど、今まで「仕事のいいところ」を見てきたのかな?イヤなところばかり探してしまっていたんじゃないかな。僕もボクサーで食べられるようになるまで、いろんな仕事をしてきたけど、どんな仕事だってイヤなところはいっぱいあるよ。それを「こういうところが楽しいから、まあいいや」と思えるかどうか。要はプラス思考にできるかが大事じゃないかと思うんだ。
こういうことを言えるのも、実は、僕自身がずっとマイナス思考人間だったから。22歳でプロボクサーになって間もなく、今の奥さんと知り合ってすごく付き合いたかったんだけど、「どうせ俺は無理だから」って思ってたのね。それをジムの仲間に話したら、「内藤ってマイナス思考だよね。どうしてあきらめから入るの?」って言われて、ハッとしたんだよね。
それからというのも、彼女への手紙攻勢から始まって、3回もフラれながら、やっと付き合えるようになってね。結婚までできたんです。あのときの同僚の言葉があったから、あきらめなかった。僕は自分のマイナス思考に気づいてからというもの、とにかく「あきらめから入らない」「いいほうを見る」って、変えていくようにしたんだ。
「自分は幸せだ」と思える力があるか
僕にアドバイスをくれた同僚は、究極のプラス思考で、練習しなくてもボクシングできるって豪語していた。それでも、悪いところばかり見てるヤツよりずっといい。それまでの僕は、人に対しても「なんだ、あいつイヤな感じ」なんて思って、話しかけないこともあったわけ。子どものころにいじめられてたせいもあるかもしれない。でも、人の悪いところを見ないように心がけたら、イヤな感じかどうかなんて気にしないで、誰にでも話しかけられる自分に変わったんだよね。そうすると、人との会話やコミュニケーションがどんどん変化して、いろんなことが楽しくなったんだ。
あなたにも、そうやって、いいところを見て膨らませていくことをしてもらいたいな。それができるようになると、「あれがつらい」「これができない」じゃなく、「まあいいや」って、力が抜けてラクになるよ。会社の人たちとも楽しく話せるようになってくると思うんだ。
それから、僕は試合のとき、毎回7キロくらい減量するんだけど、それが滅茶苦茶つらくてね。だけど、「俺は計量さえ終われば食えるんだ。一時じゃねえか。世の中、食べたくても食べられない人がいっぱいいるんだ」とか、「馬鹿野郎、俺はボクシングができるだけ、全然幸せじゃないか」って思うようにしてる。あなたは9回も転職ができているんだよね。転職したくてもできないとか、あなたの仕事をやりたくてもやれない人っていっぱいいると思うんだよ。仕事を選んでできるという、その幸せをかみしめてほしいです。