叱ってちょーだい

毎回著名人にあなたの悩みをぶつけていただく、このコーナー。熱く、愛を持ってお答えします。
悩
「仕事をうまく割り振るには…?」

仕事をうまく割り振りできず、悩んでいます。昨年から部下10人を預かる商品企画のリーダーに任命されているのですが、いつも定時に帰る部下と、深夜まで残ってくれる部下と、仕事量の格差ができてしまいました。えこひいきという噂もたち始め、部下からの信用をなくしています。部下たちの要求、要望を聞きすぎたのが良くなかったと思うのですが、名誉挽回は可能でしょうか?(商品企画・30歳)

みんなにいい子はできません
今週の叱り役

夜回り先生
水谷修

information
『夜回り先生と夜眠れない子どもたち』
(サンクチュアリ出版)

「いいんだよ。過去のことは」不登校、非行、リストカット、薬物乱用… 子供たちは大人たちに何を求め、大人たちは子供たちに一体何ができるのか。水谷さんが13年の夜回りで見つけたたったひとつの答えとは?
1956年、横浜市生まれ。上智大学文学部卒業後、高等学校教諭に。13年余りの夜間高校在職中、「夜回り」と呼ばれる深夜パトロールを行い、若者たちの更生に尽力。また、各種メディアの出演や日本各地での講演を通して、少年の非行・薬物問題の実態を訴え続けている。第17回東京弁護士会人権賞受賞。著書に『夜回り先生』(サンクチュアリ出版)など

一人で強がってしくじるより、弱音を吐いてしまおう

僕も君と似てるかもしれないけど、学校の掃除時間に「掃除をしたくないヤツはしなくていい」って言ってた。心ない掃除をしても意味がないから、掃除当番をつくったこともない。僕が率先してやって、手伝う気持ちのある子がやるという形。文化祭や体育祭の学校行事も同じ。「いつもやらない子はズルい」って愚痴を言う子には、「文句を言うならやめな」って言う。でも、クラスが割れるのはまずいから、生徒を集めてそれぞれ言いたいこと言わせるんです。僕は「命令してまでやってほしくはない。でもみんなと一緒にやりたいんだ。どうやって解決したらいいか考えてくれないか」って投げかけます。

君もそうやって、「みんなで話し合いたい」って投げかけてみたらどうかな。全員でオープンにしてみる。一人で悩んでいては何も解決しませんよ。たとえば、「Aさんは来週1週間は早く帰りたいと申し出てますけどいいですか」「Bさんはいつも残業してるから、その見返りを認めてあげたいと思いますがどうでしょう」というふうに。みんなと民主的に話し合っていけば、何か光が見えてくるはず。そして弱音も吐いてしまう。本音を自分からさらけ出してしまうんです。大事なのは君が10人の部下の接着剤になることで、そのためには強がってしくじるよりも、弱い部分をさらけ出して一緒に考えてもらうこと。「なんだ、この弱い上司は」って思う部下もいるだろうけれど、これだけ残業してくれる部下もいるのだから、必ず誰かが一緒に考えてくれる。そこで再構築していくんです。どうしても解決できそうになかったら、「私はもうダメだから、仕事をこなすことを最優先に決めます」って言えばいい。

上と闘う姿勢が部下からの信頼を厚くする

もう一方で、君は部下の代表でもあるわけだから、あまりに労働条件が悪いようなら、上司に訴えていくのも部下の信頼を取り戻すことになると思いますよ。残業手当を保障してもらい、残業してくれる人に見合った給与になるよう、上司に掛け合ってみるとかね。僕が生徒に信頼された最大の理由はね、生徒のために校長を脅すことがざらだったから(笑)。「この子を進級させないと、マスコミに学校の内部告発をするから」とか。そのことで処分願いを出されて、給与が上がらなかったことも度々です。でも、今まで僕が面倒を見た5000人の卒業生は、「リトル水谷」として、全国で連絡を取りながら動いてくれてる。教師でも会社の上司でも、上の人間と闘うことは、生徒や部下の信頼をものすごく厚くするんですよ。

でも、部下の味方になると上司に疎まれることになる可能性も大きい。それでもやっていくのか、逆に上司に気に入られて部下をこき使う人間になるのかは、あなた自身が決めて割り切るしかない。人生に何を求めているかにつながるものです。みんなにいい子でいるのは無理なこと。この水谷も憎まれることはあります。卒業させて2年目のとてもいい子だった元生徒から「アンタを恨んでる」って手紙を受け取ったことがありました。「家庭がめちゃくちゃで、つらかった。先生に助けてってサインをいっぱい出したけど、気づいてくれなかった」って。だから僕は「本当にごめんね」って素直に謝った。失敗することは誰にでもあるんです。謝ることから入っていけばいいんです。

今の僕は子どもたちにつくられたと思ってます。進学校にいた時は進学させる教師に、夜間学校に行ってからは夜回り教師にって。それは、仕事のニーズに合わせるという意味では、どの仕事も同じですよね。いい教師の条件も、いい社員の条件も同じで、一番は仕事が好きなこと。二番目は失敗を謙虚に謝れること。人間は失敗から学んでいくんですから、すぐに謝れば失敗してもいいんです。だから、いい子でみんなに好かれようとしないで、失敗して嫌われる勇気を持ちましょうよ。

EDIT
マインドシェア
WRITING
羽塚順子
PHOTO
刑部友康

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