後悔のない人生を選びましょう
ペットをどう思っているかは、その人の言葉遣いでよくわかるんです。「ハウス」のことを「檻」とか、「リード」のことを「鎖」と言ったりね。私はドッグフードを「ご飯」と言いますけど、「えさ」と言う人がいます。自分の家族に対する食べ物を「えさ」だなんて言いませんよね。その言葉を聞いた時点で、ペットとの関係性や価値観が全く違う人だとわかります。多分、この上司も「えさ」と言うタイプなのでしょう。でも、違う価値観を持ってしまっているのだから、そこは変えることができないし、押しつけることもできないんですよ。
だからといって、上司に希望を聞き入れてもらえないまま迷っている間に、どんどんあなたのわんちゃんが弱って、もしも亡くなってしまったら、あなたは「あのときこうしておけばよかった」と、一生後悔すると思いません? 私はあなたに後悔のない人生のほうを選んでほしい。たとえ、それがもし社会人として、ビジネスマンとして失格であったとしても、「家族を最後まで看取ってあげたい」と願い、行動することは、人として素晴らしいことじゃないですか。
最期は一緒に過ごしたいとはっきり言えますか
私は、たまたま身内やスタッフなどの周囲にとても恵まれていたので、どんなに仕事が忙しくても、ここまでうちのわんちゃんたちを育てることができたんだと思うんですね。仕事場に連れて行っても仕事中は面倒をみてくれる人がいて、連れて行けないときもご飯をあげてくれる人がいて、海外出張のときも預かってくれる人がいて。そういう人間関係を築いてきたので、一度もペットホテルやシッターさんのお世話になったことがないんです。だから、うちの子たちはすごく幸せだと思います。
でも、もしもそういう状況でなかったらと考えると、あなたと同様、私もうちのわんちゃんのために、「ごめんなさい、この仕事はお断りさせて」と、仕事を犠牲にすることもあるかもしれません。プロの女優として「そんなことで」と叱られるかもしれないけど、その前に私は一人の人間でありたいんですね。うちのわんちゃんは私の分身だし、魂のパートナー。そこまで強く愛しているので、もしもこれで最期とわかったら、仕事はキャンセルしてでも一緒に過ごしたいとはっきり言えるし、迷いはありません。
愛犬と一緒に暮らして、こうして相談してくるあなたにとっても、わんちゃんは唯一のバディなのですよね。上司に反対されたことで思うように介護ができずに、自分を責めてしまうくらいだったら、思い切って残業の少ない会社に転職して看取ってあげるほうが、私は人として素敵だと思います。家族への愛は揺らがないものであるはず。あなたにはまだ迷いがあるのじゃないかしら。本当に愛しているのなら、迷いを見せてはダメよ。