仕事があるだけでありがたいこと
終戦直後の貧しい時代、私は北海道の釧路に10人兄弟の中で育ったの。親に負担をかけないよう、小学4年生から新聞配達をして、給食費や修学旅行費も自分で出してたわ。15歳で家を出てからもずっと自活してるから、仕事の質なんて関係なく、生きていくためには働くことが当然だと思ってるの。だから、ちょっとつらいことがあると、すぐ仕事を辞めちゃう若い人たちの気持ちが理解できないのよ。
そういう仕事人間の私に言わせれば、忙しいのは大歓迎。仕事のない方がよっぽど気分が滅入るわ。みんな“キツい、危険、汚い”の3K仕事を嫌がるわよね。でも、働き盛りに忙しいのは大いに結構なこと。私はスケジュール帳がびっしり埋まるまで仕事を入れるわ。そりゃあ、2〜3時間の睡眠で終日働いてたらキツいわよ。でも、お風呂に入りながら「ああ、今日も一日いい仕事ができたわ」って充実感を味わえるのが幸せなの。ビールもおいしく飲めるし、「明日もまた頑張ろ!」って気持ちになる。あなたはまだ36歳の働き盛りなのに、何をこんなことでグチってるのかしらね。私は62歳だけど、あと30年は現役で頑張るつもりよ(笑)。
私は毎日自分の身体を鍛えて、10センチのピンヒールを普段でもステージでも履いてるの。これが8センチになったら引退だと思ってるわ。身体にいいと思うことはすべて実行してるし、基本的に食事は一日1食のみ。お酒やタバコは止めないけど、これはストレスを溜めないため。きちんと自己管理してるわけよ。あなたはできてる? 自分のことを管理できなきゃ、人のことなんて管理できないと思うの。
魅力がなければ部下はついてきてくれない
しかも、部下が辞めていくのも、仕事がキツくて質が低下してるのも、あなたは全部人のせいにしてるわよね。そうやって誰かのせいにして仕事でてんぱってるあなたを見て、若い部下は「この人について行こう」と思えないのよ。魅力を感じないもの。たまには飲みにでも連れて行って、しっかりコミュニケーションすればいいじゃない。若い子たちだって会社の外で腹を割ってあなたと色んな話をすれば、信頼してくれるようになるんじゃないかしら。
私はニューハーフに踊りのレッスンをするけど、あなたの立場と同じで、こちらに魅力がなければついてこないから、アメとムチを使い分けるの。いくら若くてかわいい新人でも、練習についてこれなければ「もうアンタには無理だからやめなさい」ってはっきり言うし、遅刻してくる子にも「もう来なくていい!」って怒るわよ。それでもこちらが本気なら、「頑張りますからお願いします」って必死でついてくる子がいるし、そういう子は一流になるのよ。
もちろん、私も15歳からいろんな仕事をしてきたから、嫌な仕事だってあったけど、舞台ではプロとしてきっちりやってきたわ。文句がある時はグチらないで、文句を言いたい相手に直接「この野郎!」ってぶつかる。たとえ目上だろうと関係なく、とことん話し合う姿勢でね。あなたはまだ、誰にも直接意見をぶつけてないんでしょ? それじゃあ、部下にだって信頼されないわよ。こうやってグチる前に、それをするべきじゃないかしら。