「これでやれる」と確信をつかんでからにしよう
今すぐ、サラリーマン生活に終止符を打って成功しようと思うのだったら、それは甘いですね。まずは今の生活を続けながら、2年間は準備をしてください。「子どもが小学校に入る前に」という時期には間に合わなくなってしまうかもしれませんが、急いで失敗してしまうより、今の会社で結果を出し、2年間起業の勉強をして、ビジネスモデルについて知識を持ち、これでやれるという確信を7〜8割方つかんでから地方に行くことをお勧めします。
それをしないとどうなるかと言うと、地方に転職はしてもネットショップは立ち上がらず、苦労をすることになるでしょう。それに、転職先の仕事は片手間にして起業しようとするわけですから、その会社にとっては迷惑な話です。都会の大企業であれば、あなたのような考えに若干寛容な場合もありますが、地方ではまず無理だと考えるべきでしょう。
また、10年前であれば、特産品のネットショップでもいけたと思いますが、競合が多すぎるのと粗利が低いことを考えると、今からでは厳しい。粗利が非常に大きな商品やサービスであれば、ネットショップで生活費を稼ぐこともできますが、1000〜5000円程度の特産品を扱ったとして、宅配費や決済の代金回収費用などを入れると、ほぼ利益はないんですね。相当苦労をすることになる。あなたの一番大事な親友を事業に引き込もうとするなら、「これで稼げる」というビジネスモデルをよく考えないと、親友まで失うことになりかねませんよ。
今の会社も自分もプラスになることを考える
なぜ、準備期間が2年間かというと、成功する起業家はそのくらいの期間、準備をしている人が大半だからです。起業しようと意識をしてから、アイディアを熟成させて発芽させるまで、だいたい2年はかかるわけですね。あなたも、田舎に帰って起業するという目標を持ったのなら、今勤めている会社は辞めるから関係ない、というのではなく、今の会社を通じてあなたの田舎のような地方にできることはないか、会社にも自分にもプラスになる分野は何かを考え、2年かけてしっかりビジネスアイディアの検証をしてみることです。
自分が次の目標を持ったからこそ、今の会社にどうやって利益の置きみやげができるのかを考えなくてはなりません。例えば会社からお給料を取ってやろう、利用しよう、吸い尽くしてやろうというような気持ちでは、次の事業はうまくいかないものです。「立つ鳥あとを濁さず」ではありませんが、自分がやれることを尽くし、持っているものをすべて会社に置いて来るという気持ちでいると、仕事の実力もつくし、今までいた会社の同僚たちみんなが応援してくれるようになるんですね。
また、地方の友人に「田舎は仕事がない」と言われるそうですが、それは真実ではありませんね。田舎だからこそできる仕事は、今の時代たくさんあります。例えば、土地に恵まれている利点を活かし、都会で疲れた人たちを癒すヒーリングビレッジをつくるとか、地方へIターンして成功する道筋についての情報発信をして「田舎暮らしコンサルタント」をするなんて仕事だってできる。そんなふうに、自分の目指すライフスタイルや方向性を考えながら、今の会社にも貢献する。焦らずにその両方をこの2年間で実践してみましょう。