開き直るくらいの自信を持とう!
悲観することはないよ。クリエイターには、すぐ花咲く人もいれば、何十年もかかる人もいるけど、それは才能がないからじゃなく、時代にマッチしていない、つまりタイミングが悪いことだってあるからね。「私の作品を理解できないクライアントが悪い」と、開き直るくらいの自信があってこそ、クリエイターって成り立つものなんだ。だから、自分のやっていることに、絶対的な自信を持っていこうよ。
デザインの仕事も、僕がやっている音楽も同じ。いつ、どこで認められるか、作品のどこがよくて、どこが悪いのかなんて、つくった本人もわからないよね。だけど、ほかの誰のものでもない、自分がいいと思ってやってる、そのままの仕事がいいに決まってる。だから、コツコツと続けていけばいいの。小さな仕事を積み重ねていくうち、何か大きなことが見えてくることもあれば、自分の中で方向性が変わることもあるんだよ。
あなたは、自分の中で、大きな仕事はクリエイティブでやりがいがあって、小さな仕事はそうじゃない、と区別してるよね?僕は違うと思うんだ。たとえ、小さく見える仕事でも、手を抜かずに楽しみながらやっていると、ふと、興味がわくことに出会ったりするものだよ。「すげえつまんない、向いてない」と思うような仕事も、あるとき、実は「すげえ面白い、向いてる」ってことに気づく場合もある。とことん納得いくまでやった上で、「やっぱり、どうしてもつまんない、自分には合ってなかった」と結論を出すのならしょうがないけど、中途半端なところで投げ出しちゃう若い人が多すぎるんじゃないかと、僕は思ってるんだ。
自分の中に仕事用のマニュアルをつくるな
自分は何が得意で、どんな特性があるかって、就職してから探すんじゃなく、学生時代に見つけておくといいんだよね。僕なんかは、高校のころからバンドをやって、米軍キャンプを回って演奏したりしながら、大学のときには「絶対に音楽でメシを食っていきたい」って、強く思ってたわけですよ。もちろん、それから何十年と音楽を続ける中では、うまくいかないときもあった。でも、これ以上、好きになれるものはないから、ほかの道は考えられなかったんだ。
だからといって、プロ意識を持ったこともなかったよ。プロの仕事として意識すると、自分の中に仕事用のマニュアルができてしまうからね。クリエイターって、型にはまったマニュアルをつくらないよう、いろんな仕事のたび、スライムのように柔軟に形を変えてくものじゃないかと思うんだ。自分自身を常に新鮮な状態にしていられるのが理想だよね。僕も若いころは「音楽とはこうあるべき」みたいな、青臭いことも考えた。でもね、年を重ねていくうち、人生を納得したものにしていくことによって、それが自然と作品ににじみ出て、自分色の音楽になるんだって思うようになったのね。「自分を不愉快にしないようにする」ことが大切なんだ。
その人が持って生まれたサガとかキャラって、大人になってから簡単に変えられるものじゃないよね。なのに、それだけでは世の中を渡っていけない焦りを感じて、会社や社会にすり合わせた仕事用のキャラを演じて、結局、自分を不愉快にさせてる人って、多い気がするんだよ。不愉快なクリエイターになるよりはさ、小さな仕事を積み重ねながら、いつか訪れる“チャンスやラッキーを待てる体質”をつくっていこうじゃない。