本気であれば仲間はわかってくれる
僕も友達や仲間は大事だし大好きです。でも、友達のために生まれてきたんじゃない。会社を辞めることは、一緒にやってきた仲間に悪いと感じているのかもしれませんね。僕だって同じように悩みますよ。自分の夢に向かって突っ走って行きたいけど、それは、ある人にとっては残酷なことかもしれないって。だけど、情だけでは生きられません。「情」と「友情」は違うんです。
だから、もしこのまま給料をもらっていても、目標がなくなってしまうと心底危機感を感じているとか、やりたいことに向かって攻めていきたいと本気で思っているなら、それはもう、会社を辞めてもいいんじゃないでしょうか。そこに友情うんぬんは関係ない。むしろ、喜んで送り出してくれるのが、本当の友情だと思いますよ。
一人になってもやる。その覚悟も必要
僕もよく「今井さんって、止まってることがないよね」って言われるけど、別にがむしゃらにやりたくてやってるわけじゃなく、夢を実現させたいだけ。映画のお金集めに走り回って、ドラマ何本も掛け持って、必死だったことなんかを振り返ると、がむしゃらなんてやりたくないですよ(笑)。僕は今も夢が進行中だけど、あなたはみんなと夢を持ってやってきて、次第にそれが見えなくなってしまったんだろうな、きっと。
だったら、忠告しておきたいことがあるな。それは、仲間と熱くなれるのは年齢と深い関係があるってこと。あなたが仲間とがむしゃらになったのは、すでに 10年前。そりゃあ、若いうちは盛り上がるわけですよ。でも、それから月日を経て、同年代の仲間の多くは家族を持ち、背負う責任が重くなってるはず。あなたも恐らく、同年代の連中たちともう一度夢を追いかけるのは難しいでしょう。がむしゃらになりたいのだったら、それができる新しい若い仲間を自分で集めたほうがいい。
僕は小さな劇団で独立してから、いろんなことがあったけど、ずっとブロードウエイを目指して、ついに98年、その夢が叶った。その時、各地から公演のオファーがあったから、勢いづいて「よし!次はロンドン、ロス、ハワイでやるぞ!」と言ったら、仲間が怖じ気づいて、次々と辞めていってしまった。みんなも同じように望んでくれてることだと思ってたから、「これ以上、雅之の夢につき合う気はないよ」と言われた時は、えらいショックでしたよ。そんなふうに仲間が去って、また立て直さなきゃならない時だってあるんです。
だから、10年前に仲間と盛り上がったからと言って、また同じようにできると思ったら大きな間違いで、人間、どうしてもテンションが上がるのは最初だけ。だんだんと文句も言うようになる。だから、一人になってもやる覚悟を持つことが必要ですよ。