お店づくりは、一緒に暮らしていく家族づくり
私もお好み焼きと鉄板焼き、バーと、小さいけど3つのお店を経営しているから、よくわかります。働いてくれる若い人を集めて定着させるのって大変ですよね〜。でも、働く側の立場で考えると、たとえバイトであっても、働く子が仕事にやりがいを感じたり、将来の夢やビジョンを描けるようにしてあげないと、長くは続かないのよ。だから、スタッフのやりたいことを聞いてあげて、「じゃあ、一緒にこんなふうにやっていかない?その後にこうしてみたらどう?」って、将来の展望を見せてあげながら、お店の一員として溶け込んでもらうことが大事だと思うんです。
もうひとつ、溶け込んでもらう仕事場の雰囲気って、すごく重要。特に都会なんかで一人暮らしの人にとっては、仕事場のメンバーが家族みたいなもの。だから、一緒になかよく暮らせる家族をつくるようにしてはどうかしら。お店づくりは家族づくり。うちでは、誕生日やクリスマスに、ちょっとしたピクニックやバーベキュー、スポーツなんかをして楽しみながら、すごくアットホームにしてます。
うちの店にも、地方から出て来て警察官を目指していた男の子がいるんだけど、「じゃあ、警察官の試験に受かるまで、うちで一緒に頑張ろうね」って、バイトを続けているうち、その子はずっとうちで働いてくれることになったんです。店で働くことにすごくやりがいを感じるようになってくれて、警察官になる夢を蹴ってまで、うちでやりたいと思える何かが、明確に見えたみたい。でも、それは私の力じゃなくて、店長のおかげ。現場で毎日、スタッフたちとのいい関係を、店長が積み重ねてくれていたからなんです。
店長には陰で厳しく、表では立ててあげましょう
私はなかなか店に顔を出せないんだけど、店長たちは本当によくやってくれています。ありがたいことよね〜。でも、私が店長と二人で会うときは、灰皿をまめに取り替えてとか、もっとトイレの掃除をとか、細かいことまですごく厳しく言うの。「このことは、絶対にやってくださいって、何回も言いましたよね!」なんて(笑)。だって、お客様には、美味しいだけじゃなく「このお店を選んでよかった」と思って、お金を払っていただける空間づくりをしたいから。そこは、きちんと納得してもらうんです。
そのかわりね、スタッフやバイトの前では、店長のことをうんと立てます。「一番親身になって、みんなのことを考えてくれているのが店長」ってことを、わかってもらえるように話すの。こちらから経費を出しても「店長のおごりだから」って食事に行かせて、店長の株を上げたりね。スタッフに対して気になることがあっても、たまにしか店に行かない私が偉そうに注意するのはみっともないし、店長に言ってもらったほうがいいでしょ。だから、店長に全部任せています。
あなたも、店長に「今の若い子はみんなダメ」なんて言わせてないで、陰では厳しく言うべきことを言って、表に出たら敬意をはらって店長を褒めてみてはどうかしら?家ではうるさく言うけど、人前で立てる「女房役」になるんです。会社の顔になる立場のあなたが店長の女房役になって、現場のみんなにねぎらいの言葉をかければ、店長もスタッフたちも魅力ある会社だと思って、頑張ってくれるんじゃないかしら。あとは、あなた次第。頑張ってね!