お金と人を全面的に信じちゃいけない
これだけお金の災難に遭うということは、何かあなたにも問題があると思うんです。ただ、自覚するのは難しいので、まずは、周りの人に相談してみましょう。同じ職場でアドバイスしてくれる人がいればベストです。いない場合は、誰か信用できる知り合いに頼んで、客観的な視点で原因を探ってもらいましょうよ。そのことで、気づくこともあるんじゃないかな。
僕も、若いころからお金のことでいろんな災難に遭ってきました。世間を知らずに成功すると、悪い大人たちが寄ってくるんですよ。今だったら決してハンコを押さないような契約書に、何も理解せずに押してしまったり、視聴率を上げるため、お金でなんとかしようとするマスコミに巻き込まれたり。裁判沙汰になったことだってあります。事業をしている今でも、頭の中は「会社の借入金をどうやって返そう」なんてことばっかりで、イヤになっちゃいますけどね(笑)。
会社を経営していると、お金のことで「うまい話」を持って来る人もいます。でも、おいしい話なんて、世の中にそうそうころがっているわけがないんですよね。それから、お金を貸したら、戻ってこないと思ったほうがいい。その覚悟で相手にお金を渡すということです。いろいろと苦い経験をして僕が痛感したのは、「お金と人は信じちゃいけない」ってこと。ほとんどの人は、お金をたくさん持つと豹変してしまうんです。
人を見極めるための投資だと割り切ろう
部下が持ち逃げしたり、失ったお金に対しては、くよくよ考えずに、「人を見極めるための投資だった」と、割り切ることですよ。ビジネスをやるうえでは、自分自身が成長するための“投資”だって必要です。人の上に立てば、自分の下にどんな部下を置けばいいのか、その部下をどう扱うか、見極め、判断できるようにならなくてはいけませんからね。
あなたの場合、なくなったのは会社のお金なので、会社に損失を与えたわけですよね。そのことで、あまりに肩身が狭いのなら、仕事環境を変えてみるのもいいかもしれません。お金から離れてみるんです。全くお金と無縁の仕事はないでしょうから、例えば、お金や数字を管理する立場ではなく、できるだけ関わらずに済む仕事を選ぶ、とかね。
どうしてもお金を扱わなくてはならない場合、今度はお金の管理を人任せにしないことですよ。できることはすべて自分でやり、そのことに対して自信と責任を持つ。そうすれば、少なくとも持ち逃げされたり、だまされることは格段に減るはずです。お金に縁がないとか、運がないという人はいません。誰にでも平等にあるものだと思うんですよ。それをきちんと活かすかどうかは、本人次第ですからね。