いじめではなく、助言として捉えなさい
いじめられてると思い込んでいるようだけど、先輩はいじめるつもりはなくて、案外、軽い気持ちで言ってるんじゃないかな。「付き合いが悪いから、もうちょっと付き合いをしろ」という意味合いを込めての助言だと思うんです。だから、ひと言ひと言をいじめられているとか、悪いほうにとらえないほうがいいですよ。
俺も若いころ、一人でアパートを借りるには経済的に苦しくて、寮生活をしていたことがありました。あなたと同じように人と話すのが嫌いでね。誰かと群れるのもイヤだったんですよ。でも、努力はしたよ。例えば、その寮には風呂がなくて、みんなで誘い合って銭湯に行くんです。自分だけ好きな時間に行ける雰囲気じゃないから、最初は嫌々ながら一緒に行くんだけど、そうするうちにね、だんだんと自然に話せるようにもなるし、気持ちもほぐれてくるんですよ。
それで、休みの日も遊びに誘われるようになってね。寮にギャンブル好きな人が多かったのはいいんだけど、オートレースに誘われるわけです。俺は競艇に行きたいの(笑)。だから、俺からは競艇に行こうと言うけど、「今度はオートレースに付き合えよ」って言われたら、付き合うようにする。音楽好きな人に誘われたら、ギターを聴いてあげたりもした。そうやって、気が進まないこともほどほどに付き合いながら、寮の仲間とはうまくやっていたんです。
そして、どうしても自分で行きたい用事があるときは、前もって「俺、今度の日曜は映画に行くから」というふうに宣言しておく。それでも何か押し付けられそうになったら「行く約束をしてる相手がいるから」と言えばいいんです。自分一人の用事じゃなくて、誰かとの約束があると言えば、相手も強くは言えないからね。
元気にあいさつをするだけで変わります
そんなふうに、寮生活というのは人との関わり方を身をもって学べるし、話すことが苦手なら、それを克服するいい訓練の場になるはず。今のあなたのように、話すことが苦痛なままだと、たとえ寮じゃない会社に転職したとしても、また同じような思いをすることになっちゃいますよ。人と関わらずにすむ環境なんてないんだもの。
話すことが苦手で、先輩とも気まずいと感じたら、元気にあいさつをするだけでもいいじゃないですか。「おはようございます!」って言うくらいなら、話すわけじゃないからできるでしょ。そうやって必ずあいさつをしていれば、少なくとも「オマエがいると暗い」とは言われないし、努力していることだって伝わります。世の中はもっと厳しいんです。今の寮から逃げずに、ここでもう少し自分を鍛えましょうよ。