リーダーになるというのは、立場も心も変わること
リーダーになったということは、今までと立場が変わったということ。立っている位置によって、人は心も変えなければいけないんだ。判断力とか決断力も。
そして、地位が変われば批判も受けるようになるものだよ。しかも、人を惹きつけるには、ねたまれる要素も必要だったりする。他人の意地悪や嫌がらせなんて、そんなささいなことはいいじゃないか。「もっと意地悪してよ」くらいにかわしてみたらどうだろう。あまり真剣に考えていると苦しくなってしまうなら、今はジョークが必要だね。
意地悪をされたぶん、10倍笑えばいいんだよ。何人か誘って一緒に笑える仲間をつくればいい。そしてもし、その仲間の誰かが意地悪したり、裏切ったとしても、また違う人が来るから大丈夫なんだよ。
俺の人生の中でも、仲間に裏切られたことがあったけど、そいつが戻ってきても笑っていられる。周囲が「なぜ笑って許せるんだ」って不思議そうに言うけれど、それは常に俺には夢があるから。裏切られてもそいつと同じ視点じゃないと思えるから許せるんだよね。人間は過ちを犯すものだし、俺を裏切ったことなんて、天から見れば小さいことだからどうでもいいんだよ。そうやって、笑うにも視点を変えるという知恵がいるってことだよ。
「ありがとう」の言葉でプラスのエネルギーにしろ
そもそもリーダーになるということは、いいエネルギーが押し上げてくれてるのだから、そのことに感謝した方がいいね。ありがとうという言葉を100回繰り返して言ってごらん。大声を出すもよし。不満のエネルギーが充満してるから、プラス思考にするのは難しいんだけど、「ありがとう」という言葉は、マイナスのエネルギーをプラスのエネルギーに転換できるからね。
そうするうち、いずれは誰かが認めてくれるさ。「時は全ての裁判官」という言葉があるけれど、時が経たないとわかってもらえないこともたくさんあるからね。
俺はパラオの海に潜って、10年以上も前から珊瑚を植え付けているけれど、ずっとそのことを続けていても「猪木さんの趣味だからね」と、軽く言われてしまったりするんだよ。でも、それは趣味じゃなく、次の世代のためにできることを、俺自身が変わってやっていかなきゃいけないと思ったから、そうしているんだ。周りに変わることを期待しないで、自分自身が変わるしかないんだよ。