「社内不倫は一斉メール」など、
変わった経営方針で、
「落ちこぼれ集団」と言われた
赤字会社を経営改革。
「日本経営品質賞」を2回受賞するほどの
優良企業に育て上げた。
ベストセラーとなった著書も多い、
敏腕経営者に20代の働き方を聞く
将来に不安を感じるのは、ヒマだから。そして失敗していないから
若い人は将来に不安を抱えていると聞きますが、不安を持つ必要なんてありません。どんな時代であってもマーケットがなくなることはないからです。つまり、「仕事がゼロになることはない」ということ。食いっぱぐれることはないんだから、将来に不安を抱える必要はない。余計な心配をしなくていいんですよ。
それでも不安を感じるのには、理由が2つある。1つはヒマだから。人は何もやらない時間があると不安になる。私なんて朝4時半に起きてずっと分単位で仕事してるから、不安なんて感じるヒマがない。終業後も歌舞伎町でアルコール消毒しなきゃならないから(笑)、夜は夜で忙しいし。
不安ならそれを感じないほど仕事すればいい、いろんなことに挑戦してみればいいと思うけど、困ったことにそれがまた不安の原因になるんだな。人は新しいことをするときに不安を感じるものだから。その不安をなくすには勉強をするしかない。勉強すればヒマじゃなくなるし、新しいことをしても不安じゃなくなる。一石二鳥ですよ。
勉強とは、自分で経験で得たことをブラッシュアップすること
じゃあ、どんな勉強をすればいいか。社会で必要な勉強というのは、学校の勉強とは違う。自分の経験で知ったことや学んだことをブラッシュアップしていくことです。学校の勉強は記憶力がいいことが評価される。だから本を読んで知識を入れればいい。でも、社会に出て評価されるのは行動です。行動して出した結果しか評価されない。だから経験を積みながら学んでいくことが重要なんです。
例えば、彼女がいない人に、「どうしてつくらないの」って聞くと、「理想があります」って言うでしょ? それは逆なんですよ。理想は彼女をつくってから持たなきゃ。いろんな恋愛経験をして、その経験をもとにどんどん自分をブラッシュアップさせていく。そして自分が成長してから理想の彼女にアタックする。そうすればうまくいくでしょ。
仕事も同じなんです。若い人は失敗を怖がってなかなか行動しないけど、それじゃ何にも身につかない。教わることは大事ですよ。私だって成功している人にたくさんいろんなことを教わってここまできました。でも、いくら教わっても最初からうまくできるわけではない。人から教わっただけで、いきなり大きな仕事ができる人なんていないんです。他人から教わったことを自分で経験して、失敗して、なんで失敗したか自分で考えてみる。考えるということは、過去の経験を振り返ることをいうんです。そうやって考えてやっと他人の教えが自分のものになる。そうやって人の器っていうのは大きくなっていくんです。人は成長するために失敗するんですよ。
“1日36万円のかばん持ち”が
話題となっている。
朝6時から仕事が終わるまで、
ずっと小山社長のそばについて、
仕事のやり方を一部始終見させてもらう
研修プログラムだ。
費用は3日間で108万円。
決して安くはないが、
1年先まで予約で埋まっているという
社会人になりたてのころは、3歳上くらいの先輩のまねをするのがいい
かばん持ちをする人には、隠し事なくすべて見せます。朝6時に幹部社員と一緒に私の自宅に迎えに来て、そこからはずっと一緒です。私は一日数軒、取引先や銀行を回りますが、なるべく車を使わず電車で移動します。多い日は1日1万歩ほど歩きますから、1歩あたり36円ですね。結構いい値段ですけど、リピートする人も多くて10回以上私のかばん持ちをしている人もいます。忙しさに耐え切れず、途中で逃げ出したかばん持ちも2人いますけど(笑)。
なぜ、そんなに人気があるのか。さっきも言いましたが、人から成功法則を聞いたり本を読むだけでは身につかない。実際にやり方を見て体験するのが一番の勉強なんですよ。かばん持ち研修に参加するのは中小企業の経営者ですが、私と同じようにできなかったら人前でも怒りますよ。そうしないと覚えない。人は怒られて成長していくんです。
私も若いころは優秀な先輩のまねをたくさんしましたよ。女にもてたくて、ものすごくもてる男に金を払って、口説き方を教えてもらったこともあったなあ(笑)。
間違ってもできない人のまねをしてはだめですよ。あと、とんでもなく上の人のまねをしてもだめ。小学1年生がいきなり6年生のまねをしてもうまくできないでしょう? ビジネスでも同じです。社会人になりたてのころは、3歳上くらいの先輩のまねをするのがちょうどいい。
うまくいっている人のまねをするといいことがあります。感性が身に付くんです。ビジネスには物事を正しくつかみ取る力と優れた感性が必要なのだけど、うまくいっている人のまねをして、いいものをどんどん取り入れていくことで、感性は磨かれていくんです。
自分より優秀な人がいる会社にいくな。ダメな人がたくさんいる会社に行け
あと、ビジネスを成功させるうえで大事なことは、自分より優秀な人がいる場所で勝負しないこと。みんな実力以上の会社に行きたがるでしょ? そんなところで勝負して一番になれるか、ということですよ。私は中学校のころから経営者になろうと思っていたけど、大学では麻雀ばかりしていて9年間も通ってしまったんです。それで就職活動のとき、考えた。「自分よりできない人が集まっている会社はどこか」と。それが今の会社です。だから会社に入っても成績が良かったし、結局トップにもなれました。
営業でもそうですよ。自分より仕事のできない人がいる場所で勝負しないと。頭がいい人ばかりの場所で勝負するから、なかなかいい成績が出ないんです。それじゃ仕事は面白くないから、ストレスばかりたまる。数字は人格を作ります。誰も認めてくれなかったら人格者にはなれないし、逆にみんなから注目してもらえたら人格はどんどん育っていくんです。
あともうひとつ、成功するために必要なことがあります。それは「物事をすべていいほうに考える」ことです。私はいつも楽しそうだと言われますが、それはどんなことでもプラスにとらえるからです。昔からそうだったわけじゃないですよ。27歳くらいのころ、飲み屋のおねえさんから「どうしていつも苦虫をつぶしたような顔をしているの」と言われましてね。オレがモテない原因はそれか、と(笑)。そう言われてから、それじゃダメだなと心底思ってね。そこから作り笑いをするようになったんです。面白いことに作り笑いでもだんだん楽しくなってきた。「いつも笑顔ですね」とみんなから言われるようになって、仕事もうまく回るようになった。だから、どんなことでも常によいほうにとらえるようにしたんです。コップに半分の水が入っていたら、多くの人は“半分しかない”と考えるけど、私は“半分もある”と考える。そうすると未来が明るくなるんですよ。
事実は一つ。でもとらえ方は2つ。ポジティブに考えるかネガティブに考えるかで、未来はがらっと変わってきます。他人と過去は変えられないけど、未来と自分は変えられる。明るいのが好きなのは虫だけではありません。未来を明るく考えられる人に、チャンスと人は寄ってくるものですよ。
小山昇著
朝6時から仕事が終わるまで小山社長について回るという、3日で108万円のかばん持ち研修。予約は1年待ちだという。なぜそんなに人気があるのか。本書では、かばん持ち研修の内容から、「訪問先で出されたコーヒーは飲まない」「借金はとことん限界まで借り、なかなか返さない」「社内不倫は一斉メール」「電車は先頭か最後尾のどちらかに乗る」「1億円の決済も数分で決める」「短所はあったほうがいい。長所を磨くことだけに注力する」など、小山社長が経験から編み出した独自の経営術、仕事術、時間の使い方、人の動かし方まで、まるでかばん持ちを体験したかのように詳細に書かれている。経営者だけでなく、20代30代の会社員にとっても非常に勉強になる本だ。ダイヤモンド社刊。
http://www.diamond.co.jp/book/9784478028605.html
- EDIT/WRITING
- 高嶋ちほ子
- DESIGN
- マグスター
- PHOTO
- 栗原克己
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