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凡人は自分を「過大評価」し、賢人は決して「過信」しない――マンガ『インベスターZ』に学ぶビジネス

『プロフェッショナルサラリーマン(プレジデント社、小学館文庫)』『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」(日本経済新聞出版社)』等のベストセラー著者である俣野成敏さんに、ビジネスの視点で名作マンガを解説いただくコーナー。今回は、三田紀房先生の『インベスターZ』の第10回目です。

『インベスターZ』から学ぶ!【本日の一言】

こんにちは。俣野成敏です。

名作マンガは、読むリラックスタイムですら学びの時間に変えることができます。私が強くお勧めする選りすぐりのマンガの名シーンの1コマを解説することで、より多くの方に名作の良さを知っていただけたら幸いです。

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 ©三田紀房/コルク

【本日の一言】

「投資はこれ・・・冷蔵庫と思え」

(『インベスターZ』第2巻credit.15より)

 

大人気マンガの『インベスターZ』より。創立130年の超進学校・道塾学園にトップで入学した主人公・財前孝史は、各学年の成績トップで構成される秘密の部活「投資部」に入部します。そこでは学校の資産3000億円を6名で運用し、年8%以上の利回りを上げることによって学費を無料にする、という極秘の任務が課されているのでした。

投資家は「繁盛店のシェフ」を目指せ

財前が道塾学園の投資部に入部して半月あまり。定例の投資会議が開かれ、そこで財前は投資部の資産状況を見ることになります。保有資産3000億円のうち、半分はキャプテンの神代(かみしろ)が運用。資金はさまざまな業界の株に投資され、場所も世界中に及んでいました。

投資状況を目の当たりにし、圧倒される財前。神代は、自分がファンドマネージャーとして、他の部員たちの運用状況もすべて把握する立場にあることを説明。「これだけの金額と投資先をどのように管理しているのか?」という財前の疑問に対して、神代が指し示したのが冷蔵庫でした。

「投資家は、優秀なシェフとなれ。優秀なシェフは食材の在庫管理がうまい。食材が常に新鮮であれば、料理の味も良くなり売り上げも上がる。そのためには、冷蔵庫の中身を常に把握し、食材を無駄なく使うこと。投資もこれと同じで、常に全体を把握し、取引に矛盾がないかを管理しなければならない」。それがファンドマネージャーの仕事であり、財前もやがては投資部のキャプテンとして、その仕事を引き継ぐ日がくることを知らされたのでした。

在庫管理はビジネスを左右する“キモ”

冷蔵庫の事例は在庫管理の話です。在庫管理で欠かせないのが「現状把握」です。

たとえばこれを自宅の冷蔵庫に置き換えるのであれば、冷蔵庫の大きさ、中に入る容量、自分が買い物に行く頻度などから、買う分量を決めていきます。通常は冷蔵庫が空になる前に次の食材を買いますが、今あるものを把握しておかないと、結局、食材を無駄にしてしまいます。

これは、ビジネスでもまったく同じです。その最たる例がコンビニエンスストアです。コンビニは廃棄量を減らすために、天気予報をチェックしたり、学校の周辺行事をチェックしたりするなどして販売量を予測し、仕入れを行っています。在庫管理はビジネスをする上で、大事な要素の一つです。

「今がわからない」ことが無駄遣いの元凶

この考え方は、部屋の片づけなどにも当てはまります。以前、人気女優の北川景子さんがあるテレビ番組の中で、「服は10着くらいしか持ちません」と発言されていました。人気女優といえば、クローゼットの中に洋服がズラッと並んでいるようなイメージがありますが、北川さんは「仮に2着買いたい服があったら、代わりに2着処分できるのかを考えてから買う」そうです。

これこそ“在庫管理発想”だと言えるでしょう。つまり「自分が持っているものがわかっていなければ、本当に必要なものが買えない(選べない)」ということです。

大事なのは、「まずは自分の目の届く範囲を知る」ということです。それがわからなければ、自分にとって管理できるのが5着なのか、それとも10着なのかがわかりません。

あなたも洋服を買ってみたら、実は似たような服をすでに持っていたり、新しいのを買っても結局、着る服はいつも決まっていたり、という経験をしたことがあるのではないでしょうか?この現象は、自分の持っているものをきちんと把握できていないことから起こります。

大切なのは「適正値を知る」こと

何をするにも、「現状把握から始める」というのは基本なのではないかと思います。たとえばマネジメントをする際なども同じです。私の場合、これまでの経験則から「自分が直接管理できるのは25名前後」と思っていますが、これがわからずに部下の管理が手に余ってしまう人が大勢います。

こう言うと「だったら、大企業ではどうするのか?」と思われる方もいるかもしれません。その場合は自分で全員を見ようとせずに、「自分の代わりに25人をマネジメントできる人」を育てることです。仮にそういう人を5人育てれば、100人の部下をマネジメントすることが可能となります。ムリして自分の限界を広げようとするよりも、いち早く自分の限界を知り、それに対する対策を採ったほうが建設的だと考えますが、いかがでしょうか?

人はつい、ものにしても、お金にしても「多ければ多いほどよい」と考えがちです。しかし大切なのは「必要なものを、必要な分だけ手にする」努力です。それには現状把握が欠かせません。もちろん、自分が実現したい目標に近づくに従って、必要だと思うものもその都度変わっていくものかもしれませんが...。

 

俣野成敏(またの・なるとし)

大学卒業後、シチズン時計(株)入社。リストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。31歳でアウトレット流通を社内起業。年商14億円企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらに40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社)『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』(クロスメディア・パブリッシング)のシリーズが共に12万部を超えるベストセラーに。近著では『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』が12刷となっている。著作累計は34万部超。2012年に独立後は、ビジネスオーナーや投資家としての活動の傍ら、私塾『プロ研』を創設。マネースクール等を主宰する。メディア掲載実績多数。『ZUU online』『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも寄稿している。『まぐまぐ大賞2016』で1位(MONEY VOICE賞)を受賞。一般社団法人日本IFP協会金融教育顧問。

俣野成敏 公式サイト