疲れた、忙しい…ネガティブな「口ぐせ」をプラスに言い換えるには?

自分では気づいていないかもしれませんが、誰しも、つい口にしてしまう「口ぐせ」を持っているものです。

周りの人を観察してみると、仕事中に「あー疲れた」「しんどいなあ…」とこぼしている人、「はあ~…」とため息をついている人…いませんか?これらのネガティブな言葉は、すべて「口ぐせ」ですが、意識していっているわけではなく、大半が無意識のうちに口を突いて出てしまっています。

しかし、「たとえ無意識に出た口ぐせであっても、ネガティブな口ぐせは感情に大きな影響を与え、どんどん自分の気持ちをマイナス方向に導いてしまう」と、臨床心理士の山名裕子さんは警鐘を鳴らします。環境、感情、行動(言葉)、志向、身体の5つは密接に関係し、互いに影響し合っているからなのだとか。だからこそ、「口ぐせをプラスに変えるだけで、心が軽くなり、考え方が前向きになり、身体が軽くなり、行動の範囲が広がる」とおっしゃっています。

そして先ごろ、人生を明るく前向きにするための口ぐせと、その効果をまとめた山名さんの著書、『幸せを引き寄せる「口ぐせ」の魔法』が発売されました。今回はその中から、ビジネスパーソンがつい言ってしまいがちな「ネガティブ口ぐせ」と、その対処方法をいくつか、ご紹介します。

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「疲れた…」は負の呪文と心得る

「疲れた…」は、誰しも言いそうになってしまう口ぐせです。通勤途中、仕事の途中、残業中など、つい口を突いて出てしまうという人も多いでしょう。

 ただ、「疲れた」という言葉の威力はとても大きいので注意が必要。耳から入った言葉が、脳に「疲れている」と指令を出してしまうため、自律神経の働きが乱れてしまうのです。その結果、ますます体は疲れ、重くなってしまいます。

「疲れた」状態を色に例えてみるとわかりやすいです。よどみ、まだらになった茶色や黒など、濁った暗い色を創造する人が多いのではないでしょうか?
「疲れた」と口に出すと、その濁った暗い色がそのまま表情に出てしまいます。すなわち、顔色は悪くなり、表情は淀み、しわが寄ってしまうのです。

「疲れた」という言葉を、「お疲れ様」に替えるだけで、身体に与える影響はがらりと変わります。「お疲れ様、自分!よく頑張った!」という、達成や激励のニュアンスになるからです。

 自分を励ます言葉を選べば、自然と活力が湧いてきます。言葉は現実を創るということを、覚えておいてください。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

「忙しい」と口にすると、それだけでパフォーマンスが下がる

 デキる人は、常に活発に動いていて、仕事もプライベートも充実させています。傍から見ると十分に「忙しい」状態なのですが、そういう人から「忙しい」という言葉が出てくることはまずありません。

 なぜなら、「忙しい」と口にすると、その言葉が自分の耳から入り、脳が「今自分は忙しい状態なんだ」と認識して、精神的な余裕がなくなってしまうから。精神的余裕がなくなると、自身の仕事の内容を精査しなくなり、仕事の質が下がります。つまり、「忙しい」とこぼすほど、自ら切羽詰まった状態を作り出し、自分を追い込んでしまっているのです。

 中には、本当は忙しくないのに、「忙しい」と言うことで“忙しい自分”に酔っている人も見受けられます。前者とは置かれた状況が違いますが、この場合も注意が必要。「忙しい」と言うことで現状に満足してしまい、そこで成長が止まってしまうからです。「忙しい=もう十分頑張っている」と自分の限界を決めてしまい、さらに上を目指す気持ちになれなくなります。

 実際に仕事が山積みな状態でも、できるだけ「忙しい」と言わないほうが結果的にプラスです。例えば、「まだまだいける」「大丈夫!」という言葉に言い換えれば、自分自身を鼓舞してくれ、さらに上を目指すパワーが生まれます。ただ、くれぐれも無理をし過ぎることなく、こまめに休息を取ることは忘れないでください。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

「できない」と言ったとたんにチャンスが消える

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 口に出した言葉には、それを現実化するパワーがあります。例えば、責任ある役割を任されたとき、少し高めの目標を与えられたとき、「できない」という否定の言葉を使ったが最後、「本当にできなくなってしまう」ので注意が必要です。

 中には謙虚な気持ちで「私には荷が重いかも…」などと言うケースもあるかもしれませんが、その瞬間に周りが期待しなくなるし、二度と頼まれなくなります。謙虚に受け止めたつもりが、自らチャンスを潰してしまっているのです。

 もしも「できます!」と自信を持って言うことができないならば、「やってみます!」に言い換えるといいでしょう。「できるかぎりやってみます」でもいいかもしれません。

 人は誰しも、新しいことに挑戦するときには大きな不安やストレスを覚えます。しかし、一歩踏み出してみないことには何もわかりません。一歩踏み出すことでうまく歯車が回り出し、「想像よりも簡単だった」「思ったよりも自分に向いていた」などと思えることも。

「できない」の一言で可能性をシャットアウトするのではなく、「できます、やってみます」などのプラスの言葉で自分の背中を押せば、チャンスが広がりますよ。

「やっぱりだめだった」ではなく「今回はたまたま」と考える

「やっぱり…」という言葉は、失敗が怖い方、傷つきやすい方が、リスクヘッジのためによく使う言葉です。

 例えば、仕事で失敗したときに「やっぱりダメだった」と言えば、「最初からそう思っていたんだから仕方ない」と自分の心を慰め、満足させることができるからです。

 しかしこれは、単に失敗と言う現実を受け止めず、失敗の本質から目をそむけているだけにすぎません。だから、失敗からの学びがなく、また同じ失敗をしでかしてしまう。そして、そのたびに「ほら、やっぱり…」でやり過ごすと、失敗ばかりが続く「負のスパイラル」に陥ってしまいます。

 例えば、商談が却下されたとき、「この商談、やっぱりだめだった…」と言ってしまったことはありませんか?確かに商談自体は不成立に終わったかもしれませんが、クライアントに向けたプレゼンテーションの中のいくつかは、相手の心に刺さったかもしれません。企画の一部分は、非常に有効な策として認められていたかもしれません。それもすべてひっくるめて「やっぱり失敗した」という言葉で終わらせてしまっては、全く成長がありません。

 初めは辛いかもしれませんが、安易に「やっぱり」を口にすることを止め、「今回はたまたま」と捉え、できるだけ口に出しましょう。それにより、失敗の中に合ったかも知れない「成功の兆し」を、見つけようという姿勢になれます。小さな成功であっても、見つけられれば自己肯定感が高まり「次はもうちょっと頑張ろう」と前向きな姿勢になれますよ。

ネガティブな感情が湧くのは当たり前。ただ「口に出すとき」はポジティブに

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 怒り、あきらめ、否定…これらのネガティブな感情を抱くことは、ごく自然なこと。この本においても、ネガティブな感情にふたをして、無理にポジティブに捉えることは推奨していません。

 ただ、ネガティブな感情を「口にするとき」は、できるだけポジティブなものに言い換えたほうが前向きになり、その後の人生がうまく運ぶようになる――と著者は説いています。

 本書では、今回ご紹介した「言ってはいけないネガティブな口ぐせ」をプラスに言い換える方法のほか、「幸せになれる口ぐせ」「チャンスをつかめる口ぐせ」「美しくなれる(ステキになれる)口ぐせ」などが具体的に紹介されています。

 紹介されている「前向きな口ぐせ」は、どれも奇をてらったものではなく、日常的で当たり前の言葉ばかり。でも、その当たり前の言葉が、普段どれだけ言えていないか。この本を読むと痛感させられます。
 最近、仕事で成果を出せていない、仕事がうまく回っていないと感じる人は、もしかしたら「口ぐせ」に原因があるかもしれません。自分の口ぐせを認識し、前向きな言葉に替えることが、現状を変えるきっかけになるかもしれませんよ。

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参考書籍:『幸せを引き寄せる「口ぐせ」の魔法』/山名裕子/ダイヤモンド社

EDIT&WRITING:伊藤理子

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