急な接待でも大丈夫! すぐに使える「おもてなし」テクニック

「よかったらこのあと、食事でもいかがですか?」

夕方の打ち合わせが長引いた際など、急にクライアントと会食する場面がビジネスシーンでは多々出てくるものです。

そんな急な接待の場での立ち振る舞いによって、「この人とは今後も付き合っていきたい」と思われる“おもてなし上手”と、好印象を残せない“おもてなし下手”に分かれるのではないでしょうか。

その「評価の分かれ目」について、広告代理店の営業マンとして、飛び込み営業成功率72.6%、累計30億円以上の案件を獲得。また3000人以上のVIPと交流した経験を持つ「気配り」のプロフェッショナル・後田良輔さんに話を伺いました。

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おもてなしとは「ちやほやすること」ではなく「重要感を与えること」である

おもてなしや接待というと、相手をちやほやしておべっかをするというイメージがありますが、ちやほやするだけでは、「もっと重要なビジネスをこの人としてみたい」と思われるまでには至りません。むしろその逆。3000人以上のVIPを見てきた経験を振り返ると、おべっか上手よりもむしろ口下手な人の方が、「この人と一緒にいると何だか楽しい」と思わせる人が多い傾向がありました。

口下手なのに“おもてなし上手”と言われ、次々と重要な仕事を任されるようになる人は、おべっか上手とは明確に異なるゴールを接待に設けていました。それは「相手に重要感を与える」ということです。

おべっか上手のゴールは、その場の雰囲気を盛り上げ、相手を褒めることで気分良くさせることに注力しますが、口下手なのに接待上手な人は、褒めるよりも「あなたは重要な人物である」という認識を与える行動を繰り返し行っていました。

これにより接待が終わった後も、じわじわと相手の自己満足が増幅し、「この人と一緒に過ごしたい」「もっと重要な仕事を一緒にやってみたい」という評価を獲得することに成功しています。

しかも重要感を与えることはほんの少しの工夫で誰でもできます。ビジネスはもちろんプライベートのデートでも使える方法ですので、やらない手はないのでは。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

相手に重要感を与える方法-1「子供のころの話を聞く」

接待での会話というと、どうしても仕事の話をしてしまいがちですが、それは「重要感を与える」という目的で考えると間違いです。ぜひ接待では仕事の話はほとんどせず、相手の子供のころの話を聞くようにしてください。「今の仕事は子供のころから興味があったのか?」「今、夢中になっている趣味は学生時代から続けているのですか?」など、プライベートな話になるような質問を行い、それに関して深掘りして質問をしていくのです。

仕事の話は、「自分ではなく売上に興味があるのだな」と相手に思わせますが、自分の子供のころの話は、「明確に自分に興味がある」という印象を相手に与えます。人は自分のことを熱心に聞いてくれる人に好意を持ち、この人は自分の心を楽しくさせてくれる重要な人物であると思う性質を持っているものです。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

相手に重要感を与える方法-2「相手の好みを知っておく」

「ビールよりワインが好き」「コーヒーより炭酸水が好き」「肉より魚が好き」など、個人の趣向を何気なく覚えておき、注文の際に「たしかワインがお好きでしたよね?」などと自然に切り出すと、「おっ!」と一目置かれる存在になることができます。普段の付き合いの中で、意識的に細かな趣向に関して確認し、覚えておく。接待に行く前に、相手のSNSを確認し、投稿している写真やタイムラインから「好み」を把握するなどしておけば、相手の趣向をさりげなく確認することができます。

事前に相手のことを知ろうとし、より良い関係を作ろうとしていたことは、接待の端々に現れ、単純な褒め言葉よりも相手に嬉しさを与えます。「相手に楽しんでもらうためには、何を知るべきなのか」という視点で、ぜひ情報を集めてみましょう。

相手に重要感を与える方法-3「家族またはプライベートな時間を巻き込む」

相手を接待に誘うということは、家族の時間を奪うということでもあります。妻帯者であれば、一人で育児をしている奥さんがいるかもしれません。独身で実家暮らしの方であれば、お母さまの晩御飯が無駄になったかもしれないのです。重要感を与える接待では、このような時間を奪われた方にまで気を配る必要があります。

家で待っている奥さんや子供、親御さんのために、お寿司やお菓子の詰め合わせなど、普段自分では買わないようなお土産を用意し、「ご家庭でどうぞ」と渡すようにしましょう。また相手が独身の場合は、そのまま離れて住む親御さんに渡せるような品や、プライベートで味わうことのできるお菓子やおつまみを用意しましょう。良い接待とは相手とその人を支える家族までを満足させるものなのです。接待に行ったことにより、家族も幸せになるような仕組みが作れないかと工夫するのが、おもてなし上手の習慣なのです。

相手に重要感を与える方法-4「感謝の気持ちを見せる」

「この人と今後もお付き合いをしたい」と思われる評価の分かれ目は、お礼の仕方で決まります。「接待に付き合ってくれたお礼」をメールすると思いがちですが、“おもてなし上手”は「接待の場で感じた気持ち」をメールで「見える化」します。

接待の場で聞いた相手の子供の頃の話で、自分が感じた気持ち。一緒に同行されていた部下の方の店員さんへの態度が素晴らしかったなどのエピソード。接待の場で得た情報で自分が勉強になったことや今後取り組んでみたいと思ったことなど、具体的な気持ちや事実をメールで「見える化」するのが“おもてなし下手”のお礼の作法です。人は自分が誰かに影響を与えたと実感すると、自然と自分に誇りを感じるものです。ぜひお礼メールを通して、相手の誇りと重要感を目で見えるようにし、読ませてあげましょう。

――おもてなしとは「相手に重要感を与えるためにするもの」です。
そして接待とは、おべっかや高価な会食だけで構成されるものではありません。もともとの原点に戻り、どのようにしたら、この人と一緒にいたいと思ってもらえるか、感謝の気持ちが一番伝わるだろうか、喜んでもらえるだろうかと考えてみてください。
たったそれだけで、いろいろなことが好転しはじめ、人生が劇的に変化していきます。

後田良輔氏/ビジネス書作家・コラムニスト

後田良輔氏/ビジネス書作家・コラムニスト

1972年生まれ。大手3大広告代理店に勤務し、「誰でも使える気配り術」を駆使する気配りのプロフェッショナル。これまで応対したVIPは、東証一部上場社長、世界企業のCEO、政治家、医者、弁護士、大学教授、大物俳優・女優、ミリオンセラー作家、世界No.1クリエイターなど総勢3000名を超える。この特別丁寧に接しなければならない顧客との交流で磨かれたスキルと「東京・名古屋・大阪」の現場勤務で身につけたリアルな経験を組み合わせた、独自の「誰でも使える気配り術」に定評がある。
著書に、『気配りの正解』(ダイヤモンド社)『<落ちこぼれでも3秒で社内エースに変わる!>ぶっちぎり理論38』(ダイヤモンド社)、『逆境を活かす! 就活面接「エモロジカル理論」2015年度版』(実務教育出版)『1秒内定面接術」』(インプレス)など。これらの実績を買われ全国の大学や企業から講演・研修依頼が殺到。新聞・雑誌などメディア露出は50回以上。「世界からキャリアの悩みをなくすこと」をミッションとする。

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