IT・Webスキルに注目するキラキラ女子が増えている!~「TECH::LADY HOLIDAY」イベントレポート

IT・Webスキルの習得に興味を持っている若手女性のためのキャリアイベント「TECH::LADY HOLIDAY」が5月21日(土)、開催された。主なプログラムは、IT・Webを活かして活躍している女性ゲストのトークセッションと、ゲストと参加者による交流会。トークセッションでは女性ゲスト4名が、IT・Webスキル習得のいきさつや、スキル習得により今感じているメリット、そしてそれぞれのキャリア観などを語った。

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参加者の8割が20代、若い女性にITスキルが注目されている

 会場である渋谷のイベント&コミュニティスペース「dots.」には、休日の午前中にもかかわらず96名もの参加者が集まり、注目度の高さがうかがえた。

 参加者のうち8割は20代。イベント会場には若い女性が集まり、まるで女子会のようなキラキラした雰囲気。一昔前には見られなかった光景であり、にわかには「IT系イベント」とは思えないほど華やかだ。約7割は会社員で、「ITスキルの習得はキャリアの可能性を広げるものなのか知りたい」「ITスキルの習得で将来の可能性を広げたい」という思いで参加している人が多かった。

 トークセッションに登壇したのは、ラブグラフ取締役の村田あつみさん、「Table mania」編集長の菅野有希子さん、フリーランスWebデザイナーの出口友梨さん、そしてdiv取締役の中山紗彩さんの4名。いずれも、ITやWebに関するスキルを活かして、キャリアを広げている女性。モデレーターはdots.のコミュニティマネージャー小沢宏美さんが務めた。

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8,568通り、あなたはどのタイプ?

トークセッション「IT・Webスキルで、キャリアはどう広がるのか?」

 フリーランスWebデザイナーの出口さんは、現在1歳3カ月になる男の子のママ。美大を卒業後、アパレル会社でECサイトの運営を任され、その後IT企業でWebデザインを担当。結婚・出産後はそれらの経験を活かしてフリーランスで活躍している。

「初めの会社では、『パソコンを少しいじれる』という理由でWeb周りの仕事を任されるようになりました。Webデザインやプログラミングは、覚えれば誰でもできること。ITスキルは誰もが表現しやすい一つの手段だと思うし、需要もあるので仕事につながりやすいスキルだと思います」

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フリーランスWebデザイナー 出口友梨さん
美術短大を卒業後、アパレル会社でECサイトの運営を経験し、IT企業でWebデザインを学ぶ。結婚を機にフリーランスに転身し、家事や子育てをしながらWebデザイナーとして活躍。主に21時~24時の数時間を活用して在宅ワークを行っている。

 div取締役の中山さんは、ITスキルを習得するメリットとして「コストがかからず何かを始められる」「好きな世界観を表現できる」「場所や時間を問わず仕事ができる」などを挙げた。

「『TECH:CAMP』というプログラミングスクールを運営する会社の人間の立場から言えば、世の中のニーズに対しITスキルを持っている人はまだ少なく、女性は特に少ないのが現状。なので、ITスキルを持っているだけで活躍のチャンスが広がると思います。ITスキルを持っているだけで、新規事業に携わってみないかとか、企画をやってみないかなど、声をかけられる可能性も。やりたい仕事が、より獲得しやすくなると思います」

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株式会社div取締役 中山紗彩さん
大学時代、法人の20代女性向け事業開発やコンサルティング実行事業の立ち上げを経験。卒業後、リクルートキャリアに新卒入社し、教育機関の連絡サービス「うさぎノート」を起案し事業化。現在はdiv取締役として「TECH::CAMP」の経営企画、広報などを担当

 もともとITやWebが好きだったという、ラブグラフ取締役CCOの村田さん。カップルや夫婦、家族のデートに同行し写真撮影を行う「ラブグラフ」は、村田さんが大学時代の時に発案し、立ち上げたサービスだ。趣味として始めたものがビジネスになり、自身のキャリアにつながっている。

「子どもの頃、皆さんピアノや水泳、ダンスなど、いろいろな習い事をされたと思います。習い事が高じて、プロになった方もいるでしょう。ITスキルもそれと同じ。ためしにやってみたら、ハマるかもしれないし、向いていると思えるかもしれません。私も選択肢の一つにITがあり、ハマったので伸ばしたという格好です」

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株式会社ラブグラフ取締役CCO 村田あつみさん
大学時代からWebデザイナーとして活躍し、「美学生図鑑」などを担当。卒業後、リクルートホールディングスにIT人材として新卒入社。学生時代に立ち上げた「ラブグラフ」にフルコミットするために退職し、現在はWebマーケティング、デザイン、開発までマルチにこなす。

 Webマガジン「Table mania」を主宰する菅野さんは、1年前まで専業主婦だった。当時は迷走期で、やってみたいと思ったことにいろいろチャレンジしていたという。ネイリストを目指し、学校に通ったこともあったとか。

「やってみなければ、向いているか向いていないのかわからない。あまり決め過ぎず、ふらっとやってみて、はまらなかったら固執せず止めて次に行く…ぐらいのユルフワでもいいと思います。とりあえずやってみて、向いていると思えたらアウトプットしてみて、足りない知識があれば学んで…と繰り返していくとスムーズに仕事へと進んでいくのではないでしょうか」

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「Table mania」編集長 菅野有希子さん
シンクタンクのコンサルタントなどを経て、絵になる食卓を作るWebマガジン「Table mania」を立ち上げる。イベントのオーガナイズやテーブルコーディネート、フードスタイリングなども手掛ける。

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IT・Webスキルで自身の感性を発揮すれば、仕事が楽しい、人生が楽しい!

 村田さんは以前、「人生において仕事をしている時間はとても長い。仕事をしている時間が好きになれないと、人生が辛くなると気付く瞬間があった」という。

「家族や仕事を大事にする、好きな仕事に就く…これを信念として持っています。この信念が、『ラブグラフ』という、家族やカップルを笑顔にするサービスの発案につながっているのだと思っています」

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 中山さんも、「好きなことを仕事にしないとつらい」という意見に同感だと話す。

「私は人として生まれた以上、他者貢献して生きていきたいという思いを持っています。でも、自分自身が満たされた状態じゃないと、他者貢献をするという余裕を持てるフェーズには行けません。だから毎日、まずは自分自身を満たされている状態を作りたい。好きなことを仕事にすると、人生と仕事を分けることなく、とことんのめりこむことができ、幸福度が上がり満たされるようになるんです」

 出口さんは、「子どもメイン」の生活スタイルを崩すことなく、働けている現在が幸せだという。

「今、息子は1歳3カ月で、これからがもっとかわいい時期。このまま仕事を減らさず、子どもとの時間も大切にしていきたいですね。そして、子どもが学校に通うようになり手が少し空くようになったら、今よりもっと大きな仕事や、自分がやりたいおしゃれなサイトなどにチャレンジしてみたいという希望を持っています」

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登壇者の「リアルボイス」に刺激を受けた女性が多数

 IT・Webスキルを武器に、自らのキャリアを広げてきた登壇者のリアルボイスに、刺激を受けた参加者は多かったようだ。交流会でも、若い女性が目を輝かせて、登壇者に詳しく質問する風景が見られた。なお、イベント後のアンケートでは、「イベントに満足した」と答えた人が97%にのぼり、「プログラミングを学んでみたい」との声が多く挙がった。

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右:宮下ゆりかさん(IT系ベンチャー勤務)
左:俵小百合さん(ネット関連企業勤務)

「自分の好きなことや感性を活かした仕事をすることに興味があります。すでに成功している方の話に勇気づけられ、一歩踏み出す機会をいただきました」(宮下さん)

「仕事を長く続けたいという気持ちはありますが、必ずしも会社員のままでなくてもいいのでは?と思っていました。このイベントで、子育てをメインとしている方が働く手段としてITを使っていることを知り、勉強になりました」(俵さん)

「Webデザインの仕事は女性にこそ向いている」~出口さん

 最後に、全くの初心者から、仕事を任される過程でWeb知識を付け、今やフリーランスで会社員時代より多い収入を得ているという出口さんに、IT・Webスキルを習得するメリットを伺った。

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「私は、子どもができたら働きに出るつもりはありませんでした。会社員時代に積んだWebやデザインに関する知識を活かせるよう、妊娠中に勉強をして、フリーランスとして独り立ちしました。クライアントにはあらかじめ、小さな子どもがいるので熱を出したりする可能性があること、働くのは21時~24時なので急な修正などには対応できないことを伝えています。応援して下さるクライアントが多く、嬉しいですね。

 私がやっているWebデザインは、言語が決まっているし型もあるので、勉強すれば誰でもできると思います。イメージで難しそうと思っている人が多いようですが、意外ととっつきやすいはず。それに、女性は男性に比べて感覚が繊細。ファッションやメイクなど、『人に見せる』ことにも慣れています。だからこそ、微妙な色使いにこだわれたり、ちょっとしたズレに気付けたりするのが強み。そこに「技術」が乗れば、よりクオリティーの高いものが作り出せると思っています。

 この分野は、勉強すればするほど、やれることが増えていきます。PCの進歩も早いので、飽きることがありません。女性にこそぜひ一度、挑戦してみてほしいですね」

ITスキルの習得は、キャリアを広げるための選択肢の一つに

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 トークセッションでは、4名の登壇者が「ITスキルを持つ女性がまだ少ない今だからこそ、スキルを持っておけばキャリアにプラスだしチャンスもつかみやすい」と口をそろえた。また、出口さんの例のように、ITやWebは、結婚して子どもが生まれるなど、ライフステージが変わっても長く続けていける可能性の高い分野とも言える。

 これから本格的なキャリアを築こうと考えている若い女性が、いち早く注目しているIT分野。キャリアを広げるための選択肢として、ITスキル習得を考えるのも一つの方法かもしれない。

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EDIT&WRITING:伊藤理子 PHOTO:刑部友康

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