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忙しいときこそ息抜きの時間を。仕事やプライベートで使いたい「純喫茶」のすすめ

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息抜きしたいときに行きつけの純喫茶があるといい

こんにちは、東京喫茶店研究所二代目所長の難波里奈と申します。純喫茶が好きで、全国のお店を巡っています。

さて、社会人と学生の違いの1つといえば「自分のために使うことができる時間の量」ではないでしょうか。企業で働くとなると、少なくとも朝の9時ごろから夕方18時あたりまで会社で過ごすことが多いと思います。さらに繁忙期や常に忙しい人たちは、毎日のように終電まで仕事をして、帰宅したらもう眠る時間……という生活リズムではないでしょうか。

そんな慌ただしい暮らしが続くと体力や気力は徐々に弱まっていくことに……。こんなときに、自分をほっとさせてくれる場所があったり、気持ちの隙間を埋めてくれる好きなものや趣味を持っていると、多少の困難は乗り越えられると考えています。私の場合は「音楽を聞くこと」「読書」「旅行」、そして「純喫茶と呼ばれる喫茶店へ通うこと」です。これらによって現実の悩みが画期的に解決されるわけではないのかもしれません。しかし、文字や音楽が与えてくれる一種の現実逃避感や充実感によって、気持ちが救われることは多々あります。特に私にとって「純喫茶」は、日々の感情の隙間を調整してくれる大切な場所なのです。

なぜ、純喫茶?

純喫茶とは、一般的には「アルコールを提供せず、ホステスのサービスもなく、純粋にコーヒーを楽しむための喫茶店」を指すと言われています。しかし、私の中ではもっとゆるやかにとらえ、「昭和の時代から近隣の人たちに愛され、今も昔のままの状態で営業を続けている喫茶店」と定義しています。

私にとって純喫茶の存在意義は、仕事帰りの自分へのご褒美であり、モヤモヤした感情や悩み事から一時的に脱出するための場所でもあります。細かい味の違いは分からなかったものの学生時代からコーヒーを飲むことは好きで、自分の好みのコーヒーに出会えると幸せな気持ちになり、時間を見つけてはたくさんの店へ通っていました。しかし、最近になって気が付いたことがあります。それは、もちろんコーヒーを飲むことは好きですが、それ以上に「一息つく時間」がとても好きだということでした。

「一人になって少しぼんやりしたい」「座って誰かと話したい」それはほんのわずかな時間だとしても気分転換になります。もちろん、そのためにはカフェやチェーン店を利用することもあります。しかし、どうしてこんなにも純喫茶にばかり夢中になってしまったのか……。それは、昭和という時代が持つ空気感がもともと好きだったこともあり、当時の雰囲気を色濃く残す店内の家具やインテリアのある空間に座っているだけで、貴重な昭和の博物館にでもいるような気分を楽しめるからです。いつもと違う空間に気分もリフレッシュできるのです。

また、私の勝手な意見ですが、食べ物や飲み物が存在する場所では、誰もがある程度は気をゆるめることができるのではないかと思います。しかし、レストランでは背筋が伸びすぎてしまう、居酒屋では酒の力でいささかリラックスしすぎてしまう……そんなときに、コーヒーや軽食を気軽にいただける純喫茶はちょうどいいのではないでしょうか。純喫茶はチェーン店などに比べて扉を開けにくいという声も聞きますが、大丈夫です。通っていくうちに自分の好みも分かるようになり、だんだんと慣れていきます。

おすすめの純喫茶

では、実際に私が通う純喫茶をいくつか紹介します。ぜひ自分好みの居場所を見つけてみてください。

有楽町「ROYAL(ローヤル)」

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まずは有楽町の「ROYAL(ローヤル)」です。駅前の東京交通会館の地下にあり、ビル自体が昭和の空気に包まれています。同じビルには大型書店もありますので、好きな本を1冊購入してから向かうのもいいでしょう。私は主に仕事の帰り道や、有楽町で買い物をした後などに訪れます。

白いシャツに黒いパンツスタイルで正装した、ベテラン店員による丁寧な接客も居心地の良さの1つ。そんな空間の中、店内奥の席で1本足のデザインが素敵な赤い椅子にゆったりと腰を掛け、周りの人たちの会話をBGMに本を読むのがおすすめです。

メニューは果物がふんだんに使われたパフェや、その厚さに思わず驚くハニートーストをぜひいただきたいところです。

新橋「パーラー キムラヤ」

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続いては新橋の「パーラー キムラヤ」。新橋駅の銀座線から都営浅草線へ向かう途中の駅ビルの中にあります。こちらも仕事終わりに立ち寄ることが多く、あえて携帯を開かずに、水槽でゆらゆらと泳ぐ金魚を眺めながら甘いものを食べるのがいつものパターン。雨の日でも濡れずに訪れることができ、待ち合わせにも最適です。

食事のメニューも豊富で、懐かしい味のするナポリタンや昔ながらの飾りつけがうれしいプリンア・ラ・モード、クリームソーダもあります。スーツ姿の男性たちが、テーブルを囲んで可愛らしいパフェを美味しそうに召し上がっている姿を見かけることも。とても微笑ましい光景です。

新宿「名曲・珈琲 新宿 らんぶる」

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最後は「名曲・珈琲 新宿 らんぶる」です。新宿といえば人の多さに疲れてしまうほど活気のあるにぎやかな街ですが、喧騒から抜け出して静かにぼんやりとしたくなったときにおすすめのお店です。また、深夜まで営業しているので、食事は済んだけれどコーヒーを飲んでのんびりしたいときや休日など、誰かと一緒の夜に重宝します。

1階席は一見して特徴的なところはないのですが、入口から地下へ降りると、そこにはまるで舞踏会場に迷い込んでしまったような空間が現れます。大きな階段、そして200席あるという赤いベロアの椅子が綺麗に並びます。混雑しているときもありますが、だいたいはいつ訪れても空席のある安心感も嬉しいのです。店長さんおすすめのメニューはコーヒーゼリー。1つ1つ店で作られたゼリーの上に、真っ白なアイスクリームがのっています。

* *

このように街ごとに1つでも好きな純喫茶ができると、1人のときも誰かと一緒のときも、どこか心強いのではないでしょうか。

余談ですが、私の現在の職場は日本橋です。数年前、転職活動の面接が終わり、そのやりとりが十分に満足いくものではなく不安な帰り道でした。でも、済んだことを悩んでいてもしょうがない……と、途中で見つけた日本橋三越本店の近くにある「メラミ」という純喫茶に入りました。

やさしそうなママさんにそのことを話したところ「大丈夫よ! 上手くいくといいわねえ。そこに勤めることになったら、またうちに来てね」と、笑顔で言って下さり、とても気持ちが楽になったことを覚えています。後日、その会社には無事合格。今では仕事帰りに、たまにその純喫茶に寄っては当時のことを思い出して感謝しています。

純喫茶のマスターやママさんは人との接し方が上手な方が多く、会話の勉強にもなります。また、その距離感ゆえ家族や友人には話しづらいことを、つい話せてしまう点も素敵な魅力の1つです。

純喫茶のいいところ

昔ながらの純喫茶では比較的ゆったりと座ることができ、1人あたりの使用スペースが広いところも多いです。雑誌や新聞を読んだり、テレビを見ることもできます。また、もちろんチェーン店もたいへん便利ですが、純喫茶は100軒あれば100人のマスターやママさんの個性をあらゆるところに垣間見ることができます。その純喫茶にしかないこだわりを楽しめると考えたなら、コーヒー1杯500円も高すぎることはなく、価値があるものではないかと思っています。

皆さまも、仕事の合間や帰り道、近所に純喫茶を見つけたら扉を開けてみてはいかがでしょうか? 美味しいコーヒーを飲みながら、1人でぼんやりしたり、マスターとおしゃべりしたり……。自分と向き合う新しい時間の過ごし方が見つかるかもしれません。

写真撮影/難波里奈

著者:難波里奈

難波里奈

東京喫茶店研究所二代目所長。東京生まれ・東京育ち。現在、日本橋に勤務の会社員でありながら、仕事帰りや休日にひたすら訪ねた純喫茶は1500軒以上に。その後も、東京を中心に全国の純喫茶を巡り、ブログ「純喫茶コレクション」に店内の様子や訪問時の記録を綴っている。2012年には、初の著書『純喫茶コレクション』(PARCO出版)、2015年夏には『純喫茶へ、1000軒』(アスペクト)上梓。純喫茶の扉を開ける瞬間が至福のとき。純喫茶の魅力を広めるためマイペースに活動中。

Twitter:@retrokissa