【アントレプレナー×グローバル】巻き込まれたもの勝ち!ビジネスリーダーが説く学生イベント

 就職活動に対する自信がない、自分がやりたいことか分からない…そんな不安を口にする学生は多い。だからこそ、立場やスキルの違いを気にせずに、率直に他人の意見に耳を傾けられ、働くことや失敗することへの恐怖心を払しょくできる場が今、求められている。

 そんな中、近年注目を集めているのが、学生のうちからグローバルリーダーを育成するイベントだ。そこでは、授業や企業セミナー以外で、実際に現在活躍しているグローバルリーダーと学生たちが気軽に交流を持つことができる。中でも、情熱ある学生を早くから発掘し、支援していきたいという起業家や投資家、経営者たちからの期待の声は大きい。また、学生たちにとっても、こういった場を通して、親や指導陣、バイト先の先輩以外のメンターを見つけられることは、その後の進路を決めるうえで重要な役割を果たしている。

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 世界の起業家、イノベーター、起業支援機関と連携し、アントレプレナーシップとイノベーションを推進することを目的に創立された一般社団法人IMPACT Foundation Japan(以下、「IMPACT JAPAN」)は、月に一度、STUDENTxMeet Upという学生向けのイベントを東京・表参道で開催。今年6月からは仙台でも同様の活動をスタートさせた。同イベントは、学生が日本に与えるインパクトを最大化することを目的に創立。掲げられているスローガンは下記の3つだ。

1.新しい友達と出会い、つながろう
2.新しい話題に出会い、学ぼう
3.素晴らしいスピーカーと出会い、ヒントを得よう

 カリフォルニアで生まれたTEDxから派生したStudentxは、そのフランクさもしっかりと受け継がれている。ホームパーティーのような立食スタイルで、紙コップに入れたソフトドリンクを片手にピザやサンドウィッチ、から揚げやフライドポテトなどをつまみながら、前半は互いを紹介し合う。

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 多くは経済や経営を専攻し、アントレプレナーシップやグローバルに関心の高い学生が集まっているが、中には仲の良い友だちに誘われ、主旨を知らぬまま参加した、という学生も。当初、ピザをパクつきながら遠くから眺めていたものの、だんだんと場の雰囲気に慣れ、次第に打ち解けあっていく。

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 また、英語を話せる学生と海外留学生たちとの交流の場としてもStudentxが担う役割は大きい。日本人が英語で話しかけ、海外留学生が流暢な日本語で返すといった国際色豊かなイベントならではの光景も。

 適度に打ち解けあい、お腹が満たされたあとはゲストスピーカーによるプレゼンテーション。この日のゲストスピーカーは、世界90ヵ国とつながる教育ベンチャー企業ClassDoの創立者であり、CEOの曾超繁(チャン・チュウファン)氏と、経営コンサルタントであり、多摩大学客員教授としてMBAを教える本荘修二氏。スピーチはふたりとも英語だ。

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▲曾超繁氏

「今日、僕が話すのは、人生というのは、そもそもまったく思い通りにいかないということです」と話し始めた曾氏は、マレーシアに生まれ、中学生時代をシンガポールで過ごし、その後はカナダの高校と大学に進学。それぞれの地域で地元の学校に通うことで、教育に対する考え方や取り組みの違いを実感。就職後も、日本の製造業や国際銀行など、複数の企業でさまざまな職種についた。「遠回りだったが、今はすべての経験が役に立っている」と話した。

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 一方、本荘氏は“I love me”の感情が持たらす影響力について図を用いて解説。時に「自分の幸せは何か?」と、静かに自分自身と対話する時間を持つことの大切さを説いた。

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 他人(親も)の言うこと、社会(組織)の当たり前に囚われず、自分らしさを追求する。そのためには、a-haと思ったら、見切り発車でやってみる。漫画『ほのぼの』の名台詞「困る前に困るな。困ってから困れ!」を引用し、学生たちを激励した。

 この日、本荘氏は、新調した小千谷縮の着物姿で登場。「なぜ着物姿なのか?」という質問に対しては、「僕の学生時代は服のセンスがあまりよくなく、『カッコいい』と言われたことがなかったが、8年前に着物を身につけて以来、人からよく褒められるようになった。国際カンファレンスに出席しても、すぐに顔を覚えてもらえる。人生はいくつになってもよりハッピーにできる、という好事例です」と答えた。

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▲向かって左が本荘修二氏、右がStudentx Founder ダレン・バルコム氏

 IMPACT JAPANは、このほかにも、 Microsoftとパートナーシップを組み、学生主導によるソーシャルグッド(社会貢献に類する活動を支援・促進するソーシャルサービス)目的のアプリケーションサービスを開発。また、東京大学の学生を中心に発足した学生団体BizJapanが主催した、日本の学生とハーバードケネディスクールの学生による「日本の社会問題」を考えるワークショップを共催するなど、多角的に学生を主体とした次世代リーダーの育成に取り組んでいる。

 「人生もビジネスも“巻き込まれちゃった感”は、とても大事。よい刺激になれば」と関係者は語る。

  予定終了時間を大幅に過ぎても参加者たちは話が止まらず、名残惜しそうに会場をあとにしていた。ここから生まれた才能やアイディアが、近い将来、世界へと羽ばたいていくのが楽しみだ。

取材先リンク:Studentx Facebookページ

取材・文・写真:山葵夕子

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