リクナビNEXTジャーナル

キャリア・ビジネスの情報満載【リクナビNEXTジャーナル】

専業主婦になるのが夢だった。でも、体調を崩した夫が会社を退職し…――フロイデ株式会社 吉谷愛社長の「働く」とは?

f:id:k_kushida:20161115145947j:plain

「無職・フリーターを含む千人の未経験者をウェブエンジニアに育てる」をミッションに掲げ、注目を集めているフロイデ株式会社。福岡を拠点に、東京と北九州に事業所を構え、ここ数年で急成長。国内はもちろん、海外でのプロジェクトも始まりつつあります。

この会社を率いるのは、家に帰れば2児のママでもある吉谷愛さん。若いころは専業主婦になりたかったという吉谷さんが、なぜ社長になり、このようなミッションを掲げるようになったのか――。そこには地方都市に住む女性ならではの視点がありました。

 

結婚から3週間で夫が退職! やむなくプログラマーに復帰

――吉谷さんが起業に至ったいきさつを教えてください。

文系の短大を卒業後、地元の会社でいわゆるOLをしていましたが、パソコンが好きだったので、24歳のときプログラマーに転職しました。でも一生仕事を続けるつもりはなくて、夢は結婚して専業主婦になること。それで29歳のとき、同業だった夫と結婚、晴れて専業主婦になりました。

ところが結婚して3週間目に、夫が体調を崩して仕事ができなくなってしまったんです。前の会社に戻ろうかとも思ったのですが、辞めて3週間ではさすがに言い出し難くて……。そこでフリーのプログラマーとして仕事を再開。幸い、お仕事をくださる方もいて、夫も自宅での作業はできたので、ふたりで仕事をするようになりました。

そのうちにだんだんリピートで仕事をくださるお客さまも増え、ふたりではこなしきれないようになり、知り合いのフリーターや無職の人にプログラミングを教えて手伝ってもらうようになったのです。

 

――会社にしたのはどのタイミングで?

15年前です。といっても、父がたまたま持っていた休眠会社をそのまま使わせてもらったので、起業というよりやむなく会社にしたという感じですね。だから依然として社長になるというイメージが持てず、代表取締役になったのはそれから5年も経ってからです。

 

リーマンショック襲来と同時に第1子妊娠。大きなお腹を抱えて東京へ

f:id:k_kushida:20161115150146j:plain

――東京にオフィスを開設したきっかけは?

リーマンショックです。社員の半分くらいがまったく仕事がない状況になり、東京に行けば何とかなるかもしれないと、東京で営業を始めたのが2009年。不思議なもので、そんなタイミングで第一子を妊娠。臨月のお腹を抱え、お客さま先で「発注いただけなかったらここで産みますよ!」くらいの勢いで営業していました(笑)。

やがて東京オフィスを構えることができるまで業績も回復。昔はフリーターだったり無職だった若い子たちも、いいエンジニアに育って来ていたのですが……。ここでまたちょっとしんどいなと思うようになって。というのも、今まであまり感じなかったこと、言い方は悪いけれど、いい学校を出てないとか元フリーターといった、私たちのもともとのバックグラウンドを意識せざるをえなくなったんです。

 

――それはつまり、「IT業界も他業界同様、現状では学歴や職歴がモノをいう世界だった」……ということですか?

そうですね。本来、IT業界というのは、価値あるサービスやシステムを作れるなら、学歴や年齢、人種といったことから比較的自由な職業のはず。ですが、日本の一般的なIT業界も他の業界同様、大企業を頂点に下請けがあって孫請けがあって……という大きなピラミッド構造になっています。私もそのピラミッドを上っていこうと一生懸命やっていたのですが……。だんだん仕事の内容より、大きな声で折衝するノウハウとか、ポジショントークの上手な人の方が有利な気がしてしまって。

そのころから、声の大きさよりも、きちんと価値のあるものを提供できる人が主導権を握って、お金を得られる仕組みを作りたいと考えるようになりました。

 

「千人の未経験者をエンジニアにする」発想の背景

――フロイデではフリーターや無職の若者など、未経験者を積極的に採用していますね。

会社では私は経営者ですが、家に帰ればふたりの子どもがいるママ。会社とはまったく違うネットワークで知り合った人の中には、すごく苦しい思いをしている人が少なくありません。特に地方では、何かの事情で一度踏み外してしまうと、セーフティーネットが機能してないことも多い。情報もなく、限られた選択肢のなかでダブルワーク、トリプルワークしながら子育てしているシングルマザーなど、なぜこんなことが許されているのかと腹立たしいことがいっぱいあります。

そんな状況を見ながら、自分や会社にできることは何だろうと考えた結果、出た答えが「無職やフリーターを含む千人の未経験者をエンジニアにする」というミッションでした。千人の無職やフリーターがエンジニアになり、結婚したら2千人、子どもがひとり生まれたら3千人、家族や兄弟も含めたら1万人の人生が変わるかもしれない。

1万人といえばほぼ夕張市の人口です。それだけの人の人生が良い方向に変わったら、社会にインパクトを与えられる。学歴も若さもない普通の主婦の私だからこそ、そしてそんな私が興した会社でそのミッションをなしとげるからこそ、世の中に与えられるインパクトとメッセージがある。それこそが私のロール(役割)であり、私やフロイデという会社の社会に対するベネフィット(価値)だと思ったのです。

 

――そのミッションを掲げてから、何か変化はありましたか。

1年前にこのミッションを出してから、いろんな人が力を貸してくれながら「ここを助けよう、これを何とかしよう」という話が来るようになりました。実際、国内はもちろん、最近まで戦争状態だった中東の国や東南アジアなどで、フロイデのシステムでエンジニアを育成するプロジェクトが始まりつつあります。

 

ネットワークがあれば、どんな状況でも事業を継続できる

f:id:k_kushida:20161115150245j:plain

――フロイデでは、エンジニアを育成しながら、同時に転職や独立も積極的に支援していますね。

無理やり会社に囲い込むより、うちにいたエンジニアがほかの会社に行って、うちに仕事をくれたり、面白い仕事だから一緒にやろうといってくれたりする方が、みんながハッピーになれると思いませんか? 世の中に価値あるものを提供できるエンジニアを育てて外に送り続ける限り、再びリーマンショックのような状況になっても、その「絆」で私の会社は生きていける。持続可能なエコ・システムの発想です。

 

――育成にはどのくらいの期間を充てているのですか。

フロイデではエンジニアの育成を、Off-JT(座学)とOJT(仕事で学ぶこと)の両輪で進めます。Off-JTの期間は3か月。ただし必ず「成果物を出して誰かを幸せにするのが目的の仕事」を用意して、Off-JTとOJTが確実に紐づくようにしています。

他のIT研修企業の方からは「ふつうは2年間でやる内容ですね」と驚かれるほど、かなりギュッと詰まっていますが、そこをクリアしないと次の仕事につながらないのでみんな必死です。

ただ、私自身が、パソコンは好きだったのにセンスがなくて、技術を習得するのにかなり苦労したんですね。だから初心者がどこでつまづくか、手に取るようにわかる。それもあって、未経験者でも引き上げていくことができるのだと思います。

 

――産休や育休、時短勤務や在宅ワークなどの制度も充実していますね。

小さい子供や介護があってあまり家を空けられない人も、今はITの技術があれば自宅で仕事ができる時代。そのためにITをどう活用し、どんなサービスを作ればいいか。有名大学卒のエンジニアが知らない世界を知っている、元フリーターや元無職だからこその発想で、新しいインターフェースを提供できる可能性があると思っています。

 

自分も含めた、みんながハッピーになれる働き方を

――学歴や経歴不問となると、採用の基本は面接だと思いますが、最近の応募者やビジネスパーソンを見てどう思われますか?

残念ですが、多くの人が、ベクトルが「内向き」になっていると感じますね。ビジネス雑誌などで、よく「僕の市場価値」とか「私のキャリア」という言葉を見ますが、「自分の~」というとき、ベクトルは自分自身に向いています。自分の評価にばかり目がいっているから、ついお客さまの顔色や社内政治といった、よけいな部分が気になってしまう。

私がそれに気が付いたきっかけは、ゲスな話ですが、お金です。なんのために仕事をするか。それはお金を稼ぐためですよね? つまり、会社、ひいてはお客さまからお金をいただくからには、それ以上の価値を提供しないといけない。そのためにはどんどん新しいことを取り入れなくてはならないし、つねに勉強しなくてはならない。そう考えられるようになると、自然と成長につながります。

また、働いてお金を得るということは、逆にいえば「この人は支払ったお金以上の価値を提供してくれるだろう」と、誰かに期待されているということでもあります。簡単にいうなら、給料の分、ちゃんと働いてね、という期待ですね。それに応えるためには、今の自分の実力を見つめる必要があるし、ときには自分自身を変革しなくてはなりません。

 

――自分を見つめるって、意外と勇気が要りますよね。

それが怖くて「私なんて」と言う人も多いと思いますが、それは一種の思考停止。「私なんて」と言ったとたんに守りに入り、新しいことができなくなります。私自身、会社にしてから5年も代表取締役にならなかったのは、「私が社長なんて」と逃げていたから。でもその期待から逃げているうちは成長はないと、今ならわかります。

失敗したくないからやらない、ではなく、まずやると決めてから、そのうえで出てくるリスクやコストにどう対処するかを考えればいい。人の力を借りる大切さもよくわかるようになります。

そのうえで、自分も含めたみんながハッピーになるにはどうすればいいか、考えて欲しいですね。「自分なんて」と言いながら、一方で「自分はこんなに時間を使って辛い思いをして頑張っているのに!」と苦しい顔していたら……。本人は良くても、家族は? 部下は? そんなリーダーについていきたいと思うでしょうか。

 

――子どもに「お父さんみたいになりたくない」と言われそう。

大切なのは、「ベクトルは外に向けつつ、ハッピーの価値観の中に自分や自分の家族もちゃんと入れる」ということ。特に今、リーダーの立場にいる人には、ぜひ一度立ち止まって考えて欲しいですね。

それから若い人には、就職にしろ転職にしろ、「自分が提供する価値あるモノでお客さまや誰かが幸せになって、自分もハッピーになる」ということを、真剣に考えて欲しいと思います。

 

吉谷 愛

1972年生まれ、福岡県出身。プログラマー、専業主婦を経て、現在はフロイデ代表取締役社長。システム開発を手がけながら、現在は技術講師としてエンジニアの育成にも努めている。著書に『土日でわかるPHPプログラミング教室』(SBクリエイティブ)など。

文・小野千賀子

自宅・海外どこからでも自分の仕事ができるワーママになりたかった話

f:id:kensukesuzuki:20161013101052j:plain

こんにちは。シックス・アパート株式会社で、広報とオウンドメディア編集長を担当している、壽 かおり(ことぶき かおり)と申します。

シックス・アパートでは、今年の8月から、オフィスに限らずどこで働いてもいい制度「SAWS(Six Apart Working Style:サウス)」をはじめました。リモートワークは慣れていたけれど、毎日となると一気に働き方が変わります。小学2年生のむすめを育てつつ、いろんな場所からフルタイムで働き、業務時間外には他社の仕事もお手伝いしている。まだはじまったばかりではありますが、わたしの新しい働き方の実践と、気づいたことをご紹介します。この記事が、働き方を考えるきっかけになれば幸いです。

そもそも自分は、どんな働き方がしたいのだろう?

ところで、あなたは、どんな働き方がしたいですか?

わたしは働き方について考えるとき、中学生の頃に思い描いていた将来像を思い出します。それは、いつかはこどもを持ちたいということ、そして働き続けていたいということ。

中学生だったわたしがハマっていたのは、周りの人よりもちょっとだけ早く手に入れたパソコン98Multi CanBeを使ったパソコン通信でした。パソコンで文章や絵を生み出すことや、通信して誰かと共有することは、とっても楽しかった。パソコンを使った仕事であれば、女性であることの能力的なハンディは少ないだろうし、通信技術が発達すればいつでもどこでも働けるようになる。そんな働き方が出来たら、家族との時間を大事にしつつ、自分らしく楽しく生きることが出来るはず。大人になったとき、そういう生き方ができていたらいいなと、思い描いていました。

それから20年ほど経って、いまわたしは、MacBook 1台持ってカフェを飛び回り、国内外からリモートワークで働くようになりました。大手を振ってリモートワークができるようになったのは、8月にはじまった会社の新制度「SAWS」のおかげです。

リモートワークを推奨する制度「SAWS」で自由になった働き方

わたしが所属するシックス・アパートは、今年の8月に「SAWS」という新しい働き方を開始しました。SAWS とは、全従業員が全ての勤務日において、自由な場所で働くことができるというものです。神保町のオフィスに出社しても良いですし、自宅でも、カフェでも、コワーキングスペースで働いてもOKです。

SAWS について詳しくは、この↓記事をご覧ください。

 

まだスタートして1か月ほどなのですが、だんだんと自分の働き方が定まってきました。

私の働き方は、週の半分ほどは自宅や外出先の近くのカフェでリモートワーク。残りの半分も、会議のある日は午後のみオフィスに出社、といったスタイルです。出社するのは週2回程度。朝のピーク時をずらせるので、満員電車とも無縁になりました。

リモートワークで変わった、5つのこと

1. プライベートの時間が増えた

毎日出社するスタイルだと、平日の昼間に仕事以外のことを出来るチャンスはほぼありません。でも、自宅やその近所で働いていれば、業務の合間に銀行や病院、こどもの学校などでのちょっとした用事を済ませることができます。

小2のママとしては、だんだん難しくなる漢字に繰り上がり&繰り下がりの筆算、音読や作文のチェック、縄跳びの練習、お友達と遊ぶお約束の確認など、見てあげたいことが大量にあります。出退勤の時間が不要になった分、こどもと過ごす時間は毎日1時間以上増えました。自分の健康維持も兼ねて、早めに学童にお迎えに行って、こどもといっしょに近所の公営プールに週数回通えるようになったのも良いところです。

また、これまで休日に詰め込んでいた用事を平日にこなせるため、休日は休日らしく、家族と過ごすリフレッシュの時間に使えます。

2. 働く時間が朝型にシフト

SAWS 開始以降、出社の必要がない分、早めに仕事をスタートすることが出来るようになりました。

毎日出社していたときは、だいたい9時半ごろにオフィスに到着して業務開始し、19時近くまで働くのが基本。そして、帰宅後に、必要に応じて残りの作業を進めていました。

現在は、むすめを学校に送り出した8時すぎに、そのままMacをひらいて業務開始できます。頭が冴えて集中できる、午前中の業務時間が一気に増えたのは大きなメリットです。

3. ランチ会を活用して社外の方との交流が増えた

もともと広報であるため他社の方とのやりとりが多かったのですが、出社不要なスタイル SAWS をきっかけに、これまで以上に他社の方との交流を増やしています。

そのひとつが、他社の方と情報交換しながらのランチです。週1-2回は、メディアの方や他社の広報、主催しているオウンドメディア勉強会のメンバーなど、普段ご無沙汰しているいろんな方のオフィス近くまで出かけていって、一緒にランチを食べています。社内のメンバーとランチに行くような感覚で、仕事の話もしますがプライベートの話もたくさん。引きこもりがちなリモートワークだからこそ、あえて外に出る用事を作るという意味でも有用です。

4. フリーアドレスで社内他部署の人との交流も増えた

SAWS の取り組みのひとつとして、神保町にあるシックス・アパートのオフィスは、総務スタッフ以外の全ての席をフリーアドレスにしています。

ほとんどのメンバーが、会議など用事のあるときしか出社していないため、オフィスにいる人の顔ぶれは毎回違います。業務上は接点のない部署の人とも、フリーアドレスの席が隣り合って話をする機会ができたのは、思わぬ副産物でした。

5. カフェ・オフィス・自宅・海外など、好きな場所で働ける

SAWSを8月に開始して、まだたった1か月。ですが、すでにさまざまな場所で働いてみました。

<カフェ>

f:id:kensukesuzuki:20161003171713j:plain
一番多い勤務場所は、カフェです。個人的には自宅よりも、集中できるので多用しています。朝、自宅で作業をスタートして、煮詰まったらすぐに近所のカフェへと移動。または、他社でランチミーティングや会議がある場合はその近辺のカフェで業務を進めています。

ちなみに、カフェワークや自宅の環境整備など、リモートワークのために追加でかかる費用を会社が支援する制度はただいま準備中です。

<オフィス>

f:id:kensukesuzuki:20161003171722j:plain
次に多いのは神保町のオフィス。会議に参加するためでもありますし、たまにはみんなと顔を合わせて話をしたい、というのもあります。また、移転して間もないため、神保町界隈のランチスポット開拓も楽しみのひとつです。

<同僚の自宅>

f:id:kensukesuzuki:20161003171731j:plain
同僚と一緒に作業しなければいけない業務があったときは、同僚の自宅に出向き、作業を行うこともありました。我が家とその同僚の家は自転車で20分程度の距離。お互いオフィスに出社するよりも近かったのです。同僚宅の居心地の良い環境と美味しいコーヒーのおかげで、集中して作業できました。

<香港のAirBnB宿からも>

f:id:kensukesuzuki:20161003171743j:plain
夏休みに家族旅行で香港に行く予定があったのですが、旅行中のとある日にプレスリリース配信が必要になりました。リリース配信は、広報にとって重要な業務のひとつです。このときは、休みの予定もリリースの予定も変更せず、旅先から対応しました。リリース当日の作業は最小限になるよう、休み前に事前にほとんどの準備を終えておけば、問題ありません。

どこからでも働けるというのは、会社としてリモートワーク前提の業務システムを整えているからこそ実現できることです。

リモートワークの難しい点も、自由であるところ

リモートワークのおかげで自由度が増した一方で、難しい点も同じく自由であるところです。

たとえば、毎日働く場所、時間をすべて自分で決める必要があります。出退勤というルーチンが無いため、オンオフの切り替えが難しいこともあります。仕事始めのタイミングがつかめずダラダラしてしまうことや、逆に仕事を切り上げるタイミングを見失ってしまうことも。これについては、自分なりの業務開始・終了のルーチンを作るのがよいかと思います。

また、コミュニケーションについても課題です。社内チャット「Slack」を活用して、業務報告をしているのですが、まわりのメンバーの顔も姿も見えない分、何をやっているのかわかりにくくなっているところがあります。同様に、自分がやっていることも、まわりに伝わりにくくなっているかもしれません。これまで以上に自分がやっていることや進捗、結果を社内にも意識的に発信していくことが重要です。

リモートワークだからできる、パラレルキャリア

そしてもうひとつ、前職からの縁でノルウェーのブラウザ会社 Vivaldi の広報とマーケティングコミュニケーションを、シックス・アパート業務時間外にお手伝いしています。

Vivaldi のオフィスはノルウェーと米国にあり、日本で活動しているのはわたしひとりなので、完全リモートワークで進めています。Vivaldi で働く仲間は、アイスランド、ノルウェー、アメリカ、ロシア、アフリカと世界各地にいます。こちらも業務上のやりとりは、Slack がメインです。

Vivaldi のお手伝いも、シックス・アパートが副業を認めてくれているからこそ出来ることです。広報としては、「主にB2B向けのCMS」と「B2C向けのブラウザ」という違うジャンルの製品を扱うことで経験値や人脈が広がることが何よりのメリットです。また個人としても、英語を使う機会を維持できるという点もよいところです。

リモートワークもパラレルキャリアも、業務と学びのための時間の使い方、業務環境の整備など自分でマネジメントしなければいけないことがたくさんあります。より良い働き方を自ら考えてデザイン出来る人にとっては、最適な働き方なのではないでしょうか。

さいごに

さまざまな幸運があっていま、中学生のころの自分が思い描いていた理想の働き方がほぼ実現出来ているな、と思います。

オンラインのさまざまなコミュニケーションツールやクラウドサービスのおかげで、多くの仲間と一緒に働きやすい環境で働くことが出来ているし、海外とつながる仕事もできる。家族との時間も作れる。あとは、「これまで以上に成果を出して貢献していかねば!」と身が引き締まる思いもあります。

中学生の頃に思い描いていたのは、ちょうど今の30代の姿でした。では、この先の40代、50代、そしていつかこどもが巣立った後、シニアになってからどう生きていたいでしょうか。ロボット技術やAIの急速な発展で人間が働くこと自体、減っているかもしれません。どんな形にせよ、人間の働き方は場所や時間を問わない方へと変わっていくと思います。「こういう働き方であれば、これからもずっと長く楽しく働ける」と思える働き方を、会社とともに作り、発信していきたいなと思っています。

 

f:id:kensukesuzuki:20161003171845p:plain

壽 かおり
シックス・アパート株式会社
広報 Six Apart ブログ編集長

1980年、奄美生まれ。ノルウェーOpera社のマーコム、B2Bマーケ担当を経て、2010年、CMS(コンテンツ管理システム)プラットフォーム「Movable Type」などを提供するシックス・アパート入社。2014年まで「Zenback」プロダクトマネージャー、2014年より同社の広報・マーケティング担当、オウンドメディア「Six Apart ブログ」編集長、エッセイ投稿サイト「ShortNote」運営を手がける。また、個人としても「Vivaldi」ブラウザの広報、数社のPR業務支援、ライター・ブロガー活動も。

個人ブログ: http://www.kaoritter.com/

壽 かおり Kaori Kotobuki (@kaoritter) | Twitter

 

 

日本の金融ウーマンが、40代でNYの人気料理家へ転身。再婚・出産を経て、新たな人生を切り開いた生き方とは?

外資系証券会社で働く金融ウーマンから、40代でまったくの異業種である料理家の世界へ華やかに転身された、ひでこコルトンさん。今や「ニューヨーク流おもてなし」をテーマに予約がとれないほど人気の料理教室を主宰し、米国フジテレビでは3年間レギュラー出演。去年には念願のレシピ本を出版されており、ニューヨーク在住の日本人女性の間で圧倒的な知名度を誇ります。

そのコルトンさんが、今年7月に開かれた、NY在住の20~30代女性向けコミュニティ「ニューヨーク女子部♡」が主催するトークショーに出演。この記事では、そのトークショーの内容をまとめ、コルトンさんが夢を実現してきた道のりや、多忙なスケジュールの中どのように仕事・結婚・子育てを両立してきたのかなどを記しました。

f:id:k_kushida:20160921155556j:plain

自分を幸せにできるのは、自分しかいない

ニューヨークに来たのは1990年。その前はモルガン・スタンレー証券の日本支社で働いていて、そこで出会ったアメリカ人と結婚しました。彼はニューヨーク本社から派遣されて一時的に日本で働いていたので、任期が終わるとともにふたりでニューヨークに移り住みました。それがニューヨーク生活の始まりでした。

でも、最初はニューヨークに行きたくなかったんですよね(笑)。ここ10年で治安がよくなりましたが、当時のニューヨークはアッパーイースト(ニューヨークの高級住宅街があるエリア)以外は危ないと言われていて、最近トレンドのミート・パッキング・エリアなんてもっての他!今思えば、あの時にマンションを買っておけば、今頃ごろ高く売れたのにって思うんですけどね(笑)。

ニューヨークに来てからは金融の仕事を辞めて、アメリカ料理を学びはじめました。アメリカ料理とは一体どんなものなのか興味があったからで、まずはカナリー・インスティテュート・アメリカという料理学校で基本を学びました。けれど、そろそろ子供も欲しいなと思っていた5年目というタイミングで、結婚生活が破たんしてしまったのです。

前の主人とは色々な価値観が合わなかったですし、その頃私も若かったのでしょうね。男性が女性を幸せにするものだという古い考え方をしていました。でもアメリカ人と結婚するということは、精神的にも経済的にも自立するのが当たり前。離婚という辛い経験を通して「自分を幸せにできるのは、自分しかいない」ということを学びました。

f:id:k_kushida:20160921155901j:plain

 

離婚後は料理の道に進まず、生活のためにウォール街で再就職

その後、日本に帰ることも考えたのですが「こんな辛い思い出を抱えて日本に戻りたくない。いい思い出を沢山作ってからでもいつでも戻れる。」と思ったので、とりあえずこのニューヨークという世界の大都市でやれるだけ挑戦してみようと思いました。

結婚してからはずっと料理の道へ進むプランを立てていましたが、ニューヨークで一人で生きていかなければならなくなったので、再び金融の世界に戻ることにしました。そうして、スイスに本社があるUBS証券会社に再就職しました。

UBSではアメリカ株のセールスをしていました。これがまた面白くて!アメリカのことを色々な業界から学べるのです。ホールフーズ・マーケット(ニューヨークをはじめ、アメリカ全土で人気のオーガニックスーパー)のCEOにもこの時にお会いしました。

ちょうどホールフーズがオープンするタイミングだったので、様々なストラテジーを学びました。例えば、今アメリカでは野菜や果物を山積みにして、フレッシュに見えるように水を吹きかけて販売しているスーパーが多いですが、あれは当時ホールフーズが最初に始めた戦略なんですよ。

 

ニューヨークでの婚活は難しい。これってホント!

仕事はとにかく楽しかったけれど、私は小さい時に母を病気で亡くしていることもあり、その頃は再婚して早く子供が欲しいと念願していました。母親になることが私の人生で最も重要だと言っても過言でなかったからです。でもエリートで素敵な独身男性が多数いるのでは?と期待していたUBSにいたのは、既婚者ばかりでした(笑)。それにNYで独身女性が独身男性と出会うって、とっても難しいことだったんです。

当時TVドラマ「Sex And The City」が大流行中で、ちょうど私も主人公キャリーのようなタウンハウスに住んでいたのですが、彼女と同様に「本当にどこに素敵な独身男性がいるのー?!」といつも共感の連続でしたから(笑)!

でもそれでも私は結婚がしたかったので、アメリカ人でも日本人でも、友達という友達に「誰かいい人がいたら紹介してね」と言っていたんです。

f:id:k_kushida:20160921160249j:plain

 

プライベートが順調だと他もうまくいく

するとある日、女友達からオフィスに電話がかかってきました。「ひでこに紹介したい男性がいるんだけれど、会いたい?」と言われたので「もちろん」と答えた所、「今からカンファレンスコール(会議電話)で彼に繋ぐね」と言われ、そのまま仕事をしているフリをしながら彼と初めて話をしました(笑)。

彼とはその日の仕事終わりに私の勤めていた会社の受付で待ち合わせをして、一緒に日本食レストランで食事をし、それから今までずっと一緒です。

彼は前の主人とは全然違うタイプで、年下ということもあって可愛らしくて飾り気のない自然体な人でした。私が早く子供が欲しいということを彼も分かっていたので、出会って2年後の2000年の2月22日に結婚しました。なぜか「2」が続いてるから今でも覚えているんです(笑)。そしてふたりだけで南の島に行って、夕方の砂浜で裸足になって結婚式を挙げました。

前回の結婚では、お互いに沢山ゲストを呼んで盛大に式を挙げたのにポシャったので(笑)、2回目はふたりの為だけに挙げました。失敗をすると本当に何が大切かって見えてくるんですよね。だからその経験は無駄になっていなかったなと思います。そして結婚してから「2」年後に息子が生まれました。

結婚や出産などプラベートが順調になるにつれて、仕事など他のことも上手くまわり始めました。ニューヨークは、時に殺伐とした冷たい面のある街。まさに「大都会の砂漠」です。そんな街ではプライベートが幸せでないと、仕事や他の事に対してもなかなか力が出ません。だからプライベートが順調ということは、人生にとって非常に大切なポイントだと思います。

 

リーマンショックで、起業を決意

息子は予定日にピッタリ生まれたので、私は出産ギリギリまで会社で働いていました。当時39歳の高齢出産だったので、最初は体調が心配でしたが、無事に自然分娩で出産し、その3ヶ月後に会社に戻りました。

でもずっと欲しかった子供が出来たのに、一緒にいられないことにジレンマがあったのと、ナニーさん(フルタイムで子育てをする職業の人)を雇って子育てをするというのが日本人の私には慣れませんでした。息子もナニーさんがあまり好きではなく、私が会社に行くのを嫌がっている姿を見たり、逆に私と一緒にいると息子の精神が安定する事が分かったので、どうしようか悩んでいました。

ちょうどそのぐらいのタイミングで、リーマンショックが起こりました。職を失った人も財産を失った人も沢山いました。その時に金融業界にいた人達はみんな考えたと思います。「一生この仕事でいいのだろうか」と。私も仕事にやりがいはありましたが、「おばあちゃんになってもこの仕事をしているのかな?」と考えた時に、「多分していない」と思ったんですよね。そこで「職を変えるなら今しかない!」と思い、すぐに退職をし起業することを決意しました。

 

NY流おもてなし料理教室が生まれた経緯

起業するなら漠然とフード関係の仕事をしたいと思っていましたが、実績もない私が突然「お料理教室を始めます!」と言っても誰も来てくれない可能性が高い。でも私は有名シェフの知り合いもいましたし、アイディアも沢山ありました。そこで最初はあるセレブシェフとコラボレーションをして、シェフがデモンストレーションでお料理をするのを、日本人のお客さんに日本語でご説明するイベントを開催しました。それからレストランやワインセラーを巡るツアーなど色々なイベントを企画しました。

f:id:k_kushida:20160921160710j:plain

私はこれまでアメリカ人のホームパーティや企業のイベントにたくさん参加してきました。そこで気づいたのは、ニューヨークでのおもてなしやパーティの仕方は、日本とは違いエンターテイメントに溢れているということです。その経験から、アメリカ人のパーティで学んだアイディアやエッセンスを、日本人の皆さんとシェアできるようなお料理教室を開きたいなと思うようになり、料理だけでなく、テーブルトップやフラワーアレンジメント、音楽、香りなどの空間プロデュースまで含めた料理教室をスタートしました。

料理教室では毎回テーマを決めてそれに合わせたコーディネートをしていきます。例えば、バレンタインがテーマだったら料理にマゼンタピンクのカラーを取り入れたり、バラの香りがするデザートをお出ししたり。音楽やテーブルコーディネートもとことんロマンティックに演出します。そんなお料理教室に参加した生徒さんから「ここは普通のお料理教室じゃない!五感をフルに楽しませてくれる3Dなお料理教室ですね!」などと感動していただくことも多く、私自身やりがいを感じています。

 

ひでこコルトンが考える、ブランディングについて

私はどうせやるなら、普通のお料理教室はやりたくないと思っていました。というのも、ウォール街で働いていた時にトップから「うちの会社は普通の人はいらない。何かに突出した人になりなさい!」と教えられてきたからです。だからまだ誰もやっていないこと、そして他の人がマネできないことをしたいと思ったのです。これってニューヨーカーが常に目指していることでもあると思うのです!

私はニューヨークに長年住み、お客様の接待で素敵なお店にもたくさん行き、お洒落なパーティや感動的なおもてなしを色々見て学んできました。そして日本人にアメリカ株を売ることを通して、日本とアメリカの架け橋となる仕事をしてきました。だから、ニューヨークのエンターテイメントが散りばめられたパーティやアメリカならではの食材や調理方法を日本人にお伝えするお料理教室にしたいと思ったのです。

また「おもてなし」とつけたのは、自分でもちょっと恥ずかしいなと思いながらも、ストレートにコンセプトが伝わるかなと思いました。そのあとオリンピックで「お・も・て・な・し」って流行りましたが、私の方が先ですからね(笑)!!!

 

ママがハッピーじゃないと、家族もハッピーじゃない!

f:id:k_kushida:20160921160949j:plain

パーティ参加者からの質問(1)

―― コルトン流、仕事と家庭の両立の仕方とは?

ニューヨークはベビーシッターなど日本よりも子供を預けられるサービスが多いので、仕事と子育ての両立はしやすいと思います。私は日本でもお料理教室を開催するのですが「小さい子供がいるので参加できないんです。」とおっしゃる生徒さんも少なくなくて、最初聞いた時は「日本ではお子さんがいると、そんなに色々と制限されてしまうんだ!」と驚きました。

でもアメリカ人の考えはそうではなくて、自分でやらなくちゃいけない事はもちろんやるけれど、人を雇って出来ることはお願いする。やっぱりお母さんがハッピーじゃないと、子供も旦那さんもハッピーじゃないですし、家庭も暗くなってしまいます。だから私は色々と工夫をして、1週間に1度は大人だけの時間を作ったり、たまには夫婦ふたりでディナーに行ったり、主人に子供を見てもらって女友達と女子会をしてメリハリを作っています。大人の時間って本当に大切なんです。

 

人生あと1週間しかなかったら、どうします?

パーティ参加者からの質問(2)

―― 起業と会社勤めのメリット・デメリットについて教えてください。

もちろん会社勤めはお給料が定期的に入ってきますし、安定もしていますからそういう点ではいいですよね。でも人生短いんですよ。もうあっという間に時間が経ってしまいます。特に会社勤めをしていると1年2年、3年がいつの間にか過ぎてしまう。もちろん今本当にやりたい仕事をしていたらいいですが、そうじゃなかったらこれを10年やるのか?20年やるのか?そこまで考えて今の会社にいるかを考えた方がいいと思います。

もちろん転職も出来ますが、といっても同じ分野にしか行かれないと思います。なので本当にこの仕事でいいのかと考えて、それがもしNOだったら、明日にでも次にやりたいことを考えた方がいいと思います。

起業も会社勤めも、どちらも大変なことは沢山あります。だったら人生あと1週間しかないと言われたら、あなたはどうしますか?ってことです。

f:id:k_kushida:20160921161400j:plain


そしてもし挑戦するなら、好きな事をベースにしたいですよね。私もお料理教室をするのは体力勝負で大変なことも多いですし、自分の体調不良のせいでクラスがキャンセルになることだけは絶対に避けたかったので、今お料理教室を続けて5年目ですが一度も風邪をひいたことがありません。

いつも年末のクラスで「今年もみなさん、お疲れ様でした!!」と最後のレッスンが終わった後に熱が出るというぐらい、本当に気力でやっています。だからもし次にチャレンジするなら、それぐらいの気力と情熱をもって出来るような好きなことを選ぶといいと思いますよ。

 

最後にみなさんへメッセージ

人生はあっという間。やりたいことがあったら その夢に近づく努力を明日からでも!

繰り返しになりますが時間はあっという間に過ぎてしまうので、やりたいことがあったらその夢に近づく努力を明日からでもされるといいと思います。そして夢への実現には人との繋がりが大切。運って人が運んでくるものだと思うんですよ。ですから人と人との繋がりを大切にしながら、夢に向かって毎日少しずつでもいいのでチャレンジしていただければと思います。

執筆・写真 鮫川佳那子(さめこ)

ひでこコルトン

f:id:k_kushida:20160921161755j:plain

料理家、COLTONS NEWYORK代表取締役

CIA(Culinary Institute of America)で料理の基礎を学ぶ。外資系投資銀行に10年勤務した後、会社を立ち上げる。新聞や雑誌等で幅広く掲載され、2012年より米国フジテレビ・料理コーナーに出演中。クラスは日本からお忍びで参加する芸能人や旅行者、そして現地駐在員の奥様でいつも満席。メンバーは既に1,500名を超える。初めての著書「NYのおもてなしレシピ」が講談社より好評発売中。

「新鮮! こんなの初めて!」 NYのおもてなしレシピ (講談社のお料理BOOK)

f:id:k_kushida:20160921162140j:plain

作者:ひでこコルトン

出版社:講談社

協力:honto

f:id:k_kushida:20160907105854j:plain

読みたい本に必ず出会える。読みたい本を読みたい形で読める。
「honto」は書店と本の通販サイト電子書籍ストアがひとつになって生まれた
まったく新しい本のサービスです。

全国1200ヵ所設置、保育料は平均約6000円!「ヤクルト保育」が愛され続けるワケ

 待機児童の問題が取りざたされる中、かねてより保育所を設け、子育てと仕事の両立が図れる職場環境として、定評のあるヤクルト。ヤクルトレディの拠点で約2500か所あるセンターに対し、保育所は約1200カ所運営されている。

 「真心」と「人の和」を大切にするヤクルトの保育システムはどのように発展してきたのか。株式会社ヤクルト本社宅配営業部の筒井真理子さんと保育士の資格を持つ君塚奈美さんに話を聞いた。

f:id:w_yuko:20160607135240j:plain

▲君塚奈美さん(向かって左)、筒井真理子さん(向かって右) 

ヤクルトの保育システムは「助け合い」から始まった

 現在のヤクルトレディの原型である「婦人販売店システム」が始まったのは1963年。本社でも大々的なPRを行ったことから、それまで専業主婦として過ごしていた女性たちが多く現場で働くようになった。

 当初は、朝のお届けがメインで、一般の人々が目覚める頃には仕事を終えて帰宅するスケジュールだったため、保育は特に必要とされていなかった。その後、時代の移り変わりとともに昼まで業務が発生するようになったため、子どもの預け合いが自然と行われるようになり、徐々に全国的に広まっていった。そうした流れを汲んで、ヤクルトの販売会社が保育所を正式に運営するようになったのが約40年前だ。その結果、保育所に魅力を感じヤクルトレディになる女性の数が増え、ピーク時は約6万人に達した。主婦の働き先が限られた時代に、子どもをしっかりと預けられるシステムを構築したことによって、ヤクルトレディの数は伸び続け、並行してヤクルトの販売本数も飛躍的に伸びていった。

併設型と離接型の2種類ある保育所システム

 現在、約2500か所のセンターがある中で、保育所が併設もしくは離接するセンターは約1200か所。利用者は全国のヤクルトレディのうち7965名で、少子化に伴い、その数は減少傾向にある。

 保育所にはセンターの中や隣にある併設型と、別の場所にある離接型が2種類あり、その多くは併設型だ。1センターに対して、子どもが一人しかいないような地域は、送迎バスを使い、ひとつの保育所に子どもを集めるといったケースも増えてきている。

 ヤクルトの保育所の大きな特徴として、保育料のお手頃感がある。通常、保育施設を利用すると数万円を覚悟しなければならないが、ヤクルトの場合、各地の販売会社によって価格設定は異なるものの、全国平均約6000円と安い。また、二人目の子どもからは半額もしくは割引価格で子どもを預けられる保育所も多い。もともと、ヤクルト保育所は「互いに困っているから、助け合いましょう」という母親同士の交流から始まったため、高額な保育料で経済的負担を負わせないようなシステムが構築されている。

 

f:id:w_yuko:20160607135426j:plain

▲ヤクルトレディからのみ購入可能な「ヤクルト400」とカルシウムも摂取できる「ジョア」

異年齢で少人数に合わせた独自のカリキュラム

 ヤクルト保育所は、1歳から2歳の子どもを中心に、1保育所あたり、約10人前後の子どもを預かる。

 共働き家庭の増加とともに、認可外の保育所が年々増えているが、その一方で、保護者から求められる保育のレベルも高くなっているのが現状だ。ヤクルト本社では7年前から全国の保育所にメンテナンスを入れる保育チームを結成。全保育所には、法律に基づいた保育を実現するため、本社の保育チームが作成したカリキュラムを全国の保育所に配布。一般の保育マニュアルは年齢別になっているものが多く、異年齢で少人数の子どもが集まるヤクルト保育所では利用できないことがあるため、異年齢でも遊べる独自プログラムを本社で開発し、全国の保育所に提供している。また、隔月ごとに保育の情報誌が配布され、最新の保育の情報や行事のやり方が共有される。

「異年齢で遊ぶことの最大のメリットは、下の子は上の子から刺激を受けつつ、上の子は下の子への思いやりを育めることです。10人前後の少人数制であるがゆえに、自然と保育士(者)との関わりも密になります。そのため自立が早まり、面倒見のよい子に育つといった声もよく聞きます」(君塚さん)

f:id:w_yuko:20160607153714j:plain

「子育てを気軽に相談できる場所」である強み

 核家族化が進む中、身近に保育のプロである保育士(者)に子育てを相談できる環境があるのも、ヤクルト保育の大きなメリットだ。

 「例えば、おむつ外しのトレーニング。本当に初めての子育てをヤクルト保育士(者)から学ぶケースも多々あり、非常に役立っていると耳にします。また、周りが働きながら子育てをしている仲間ばかりなのも、子どもが病気になったときなど仕事の調整をさせてもらいやすく、心強いです」(筒井さん)

 また、本社では、こうした体制をサポートするためにフリーダイヤルを開設。保育士(者)や販売会社がフリーダイヤルで問い合わせできる体制を整えている。相談内容によっては、本社が直接保育士(者)や販売会社に対応することもあるそうだ。

 問い合わせで最も多いのは、児童の病気やアレルギーの受け入れに関する相談。病気も多様化しており、自分たちで受け入れてよいのかどうかの判断がつかないといったケースが増えているという。その場合、本社側で自治体、小児科医などにヒアリングし、内容を確認してフィードバックするようなかたちで対応している。

f:id:w_yuko:20160607153854j:plain

 家族全員がゆとりを持って過ごせるワークライフバランスが理想

 共働き家庭で、帰宅時間が遅く、家事が負担になっているという女性は少なくない。けれど、ヤクルトレディのタイムスケジュールは、午後2時から3時には帰宅できることから、残りの時間を家の用事や家族と過ごす時間に充てることができる。ゆえに10年20年と長期に渡り働いている人たちも少なくない。中にはヤクルト保育所で育った人がヤクルトレディとなり、自分の子どもをヤクルト保育所に預けるといったケースもある。

f:id:w_yuko:20160607153748j:plain

 「共働き家族で円滑に家族生活を継続させるために大事なのはゆとりだと思います。ゆとりを持って子どもの成長について話せる時間を親がキープするためにも、自分たちがクタクタにならないような環境作りは大事です」(筒井さん)

 「保育士目線で見ていると、子育てしているお母さんたちは、年々孤独になってきているなと感じます。周囲から求められるものも大きくなっているし、お母さん自身の求めるものも大きくなっているのに、子育てを相談できる相手がいないというケースが目立ちます。そういう意味で、ヤクルトには子育て中の女性たちを孤独にさせない文化が根強くあって、保育所にはそれがよく反映していると思います」(君塚さん)

 

取材・文・撮影 山葵夕子

 

進まない「女性の活用」にワーキングマザーが思うこと

働くママたちのコラム

こんにちは、スギ花粉症歴13年ほどの朝倉A子です。妊娠・授乳期には薬を飲めないのがつらいですね。今年もマスクでしのぐかあ…。

f:id:asakuraa:20160213003354j:plain

さて今回は、最近よく聞く「女性の活用」について、活用される側から考えてみたいと思います。

男性管理職から見た働く女性

社内で「女性の活用について」という座談会が開催されました。出席者はさまざまな部門の男性管理職です。議事録が展開されたので読んだところ、そこで出た意見としては…

  • 女性は仕事へのモチベーションがライフステージに影響されやすいので配慮が必要
  • 働く意欲があっても、育児などで十分にそれを発揮できない環境の女性もいる
  • 昇給や昇進に興味がない女性もいる、見極めが難しい

などなど。はいおっしゃる通りです。気を使わせて申し訳ありません。

特に出産を機にリタイアする女性が多いのを「残念」「もったいない」と感じているようで、「勤続を会社や部署がサポートすべき」というのは総意の様子。そして全員が口を揃えて「女性にはいろいろな状況、考え方の人がいる。それを理解し、適材適所で活躍させてあげたい」と言うわけです。ありがたい話です。

が、私は知っている。

我が社の男性社員の、奥さんの専業主婦率はめちゃくちゃ高いということを…。

「女性の活用」には推進派、だが自分の妻は専業がいい?

仕事の場で、管理職として物を言えと言われたら、時代が求めていることを言えるのは当然でしょう。実際、女性の部下を理解しようとしてくれている管理職が増えているのも、女性の立場からちゃんと感じています。

ですが「だが自分の妻は専業がいい」と男性が考える限り、女性は永遠に、仕事か家庭の二者択一を迫られることになるのです。私はこのあたりに、「女性の活用」なるものがなかなか進まない一因があると思っています。

出産や育児といったプライベートの事情がどうしても仕事に影響してくるのが女性です。これはもう、ある程度仕方ないと言うしかないでしょう。一方男性のほうは、いまだに「プライベートと仕事は切り分けられる」と思っている人が多い。そこが非常に気になります。

結婚した女性が社会に出ていくということは、当然ながらその分、家や家族、親族に関するもろもろのことを男性が請け負わなければいけないということです。ですが、「女性の社会進出を応援する」=「自分が家のことを積極的に請け負う」というところが結びついていない男性が多い気がします。

社会進出する女性のことは応援する、だけど自分の妻は家にいてほしい。家のことは妻に任せて、自分は仕事に打ち込みたい。

あのね、これではバランスはとれないよ!

 

ちなみに内閣府調査によると、「育児や家事は誰の役割だと思う?」という問いに対し、「妻」と答える男性の割合が50%を超えるのが50代以上なんですね。40代はかろうじて44.7%にとどまり、以下年齢が下がるほどにこの割合は減っていきます。ぬう、50代…。この世代が会社の制度を作っていることを考えると、どうか意識の向けどころを変えてほしい。

内閣府 平成25年度「家族と地域における子育てに関する意識調査
参照:図表 2-3-2 家庭での育児や家事の役割<SA>(性・年代別)

男性がパートナーに求めていること、の調査データ

f:id:asakuraa:20160212194603g:plain

これは結婚した後、どのようなライフコースをたどりたいかを男女別に調査し、1998年から2011年にかけての変化を追ったものです。

  • 「女性が理想とするライフコース」は長年ほとんど変化なし
  • 「女性が予定するライフコース」は、「専業主婦コース」「再就職コース(※)」が減り「両立コース」が増加。「理想」と「予定」が年々乖離していっているという切ない話…まあこれは余談です
  • 男性がパートナーに期待するライフコース」でも「両立コース」が増加

※再就職コース…結婚や出産を機に一度退職し、その後復職するコース

これを見る限り、若い層には自分のパートナーにも働き続けてほしいと思っている男性が増えているのがわかります。理由はどうあれ、ふむふむ。

男性が結婚相手に求める条件、の調査データ

が、一方…前図と同じ調査でのデータです。

f:id:asakuraa:20160212195603g:plain


「両立」を求める増加率に比べると、結婚相手となる女性の職業や経済力に関する考慮・重視度はそこまで上がっていない…。それどころか「家事・育児能力」への重視度はしっかり上がっているという。パートナーに「両立」もしくは「再就職」を求めている男性は70%以上もいるのに、結婚の条件としては「関係ない」が過半数という不思議。

パートナーに仕事を続けてほしいと思うのであれば、パートナーがどのような職に就いているかはとても重要。でもまだそこには意識は行っていないのだろうと思わされるデータです。

このへんのちぐはぐさが、活用活用と叫ばれているわりに、やっぱり子供を産むと仕事をあきらめざるを得ないことが多い女性の現状と、無関係でない気がします。

「女性の活用」は職場改善だけで実現するものではない!

ダイバーシティという言葉がすっかり一人歩きしていますね。私の会社でもこれが叫ばれ始めて一年くらいたちます。そして社内では今のところ、「ダイバーシティ=女性の活用(もっと狭く言うと女性の管理職増)」という扱われ方をしていて若干疑問なのですが、まあそれは置いておいて。

企業で「女性の活躍のため」と銘打って制度や意識の改革を進める時、どうか忘れないでいただきたいのです。

結婚した女性の活躍を推進するのであれば、バリバリ仕事をする女性を妻にし、家のことも子供のことも、町内会のことも親のことも、すべて自分事として半分担うことのできる「夫」が必要なのだということ。そういう男性が増えない限り、「女性の活用」が実るのは難しいということ。

仕事人としてではなく、一人の男性として、あなたは女性が社会で輝くことを、本気で願っていますか? 自分の「仕事とプライベート」のバランスを変えてでも、それを支援したいと思っていますか?

会社の制度やマネージャーの意識だけを改革しても足りないのです。そこに気づく人が増えてくれたらと切に願います。

 

結婚してからパートナーの価値観が変わった時にどう受け入れるかという課題もまだありますね。子供を持ったらリタイアすると約束していた奥さんが、やっぱり復帰したいと言いだした…という悩みを聞いたこともあります。もうこれは難しい。住んでいる地域によっては保育園を見つけるだけでも大変でしょう。その方は家を買った場所が保育園激戦区だったようで、それも「えーっ!」の一因だった様子。それはわかる…。

いずれにせよ、そういう問題が出てきた時「約束が違う」で片づけず、人には働くことでしか得られないものがあるのだと認めた上で、パートナーとのベストな答えを見つけられたらいいなあと思います。そのぶん男性側にも、仕事一本で生きなくてもいい選択肢をあげたいですよね。このへんは男性側の葛藤の声を聞いてみたいところです。

 

別に、女性の活用を謳うんだったらあなたも家事をしなさい、と言っているのではないのです。ただ女性が社会に出たら、そのぶん家庭に割く時間は減って当然。じゃあそこを誰かが補わないとね、というところまで議論が届いていないアンバランスさに、気づいてほしいのです。

会社から「活用したい」と思ってもらえる女性が、社会で活躍するにはまず家庭内の無理解と戦わなければいけないなんて、それこそ「残念」だと思いませんか。

 

というわけで、流行りの「女性の活用」について、ワーキングマザーの一人としてつぶやいてみました。

 

出典:国立社会保障・人口問題研究所ホームページ (http://www.ipss.go.jp/

 

朝倉A子

f:id:tany_tanimoto:20150929144939j:plain

30代半ば、メーカーに勤務する5歳男児の母。
最近はマーケティングと名のつく部署をうろうろしています。
三度の飯より本が好き。今読んでいるのはスケルトン探偵シリーズ『葡萄園の骨』!

 

>>「働くママたちのコラム」はこちら

働くママたちのコラム

「つい頑張りすぎちゃう人」がワーママになったら…先輩に学ぶ「ほどよく手抜き」9つのコツ

働くママたちのコラム

仕事、そして友人からの誘いや頼まれごと――何でも引き受けて、つい頑張り過ぎてしまうこと、ありませんか。

何事も手が抜けない人、「完璧にこなさなくちゃ」と思っている人は、子どもが生まれた後、育児と仕事を両立しようとするとオーバーワーク状態に。強いストレスを感じて、ときには爆発してしまうこともあるようです。

 

ワーキングママ&パパ向けの情報サイト「日経DUAL」の編集長・羽生祥子さんによると、「育児をしながら仕事でも活躍しているママたちは、仕事や生活面で『ほどよく手抜き』することで、時間と気持ちに余裕を持たせている」と言います。

そこで、「日経DUAL」でも紹介された「頑張り過ぎないコツ」について、先輩ママたちのノウハウをご紹介します。

先輩たちが実践している工夫や行動は、できるものについては出産前から習慣づけておくのもオススメです。

 f:id:k_kushida:20160301133546j:plain

【コツ1】同僚を頼る。余裕があるときは積極的に同僚を手伝う

責任感が強い人は、自分の仕事は自分でやり遂げなくては…と思いがち。けれど、「自分でやらなければ」は思い込みであることも多いようです。

自分でやるべき仕事、人に任せても差し支えない仕事を分類し、自分がやらなくてもいい仕事については、後輩やアシスタントに振ります。「自分でやった方が早いし、確実」という気持ちは抑え、後輩の成長を支援するつもりで思い切って任せてしまいます。その代わり、多少でも余裕があるときには、グループ内の雑務を引き受けたり、周囲の同僚に『何か手伝いましょうか』と声をかけます。「お互いに助け合う」というムードを作り上げることで、困ったときに頼りやすくなります。

そして、感謝の気持ちは、言葉で伝えるのはもちろん、時々はモノで示します。旅行に行った際など、「いつもありがとうございます」のメッセージカードとともに、一人ひとりに一つずつお土産を渡します

 

「子どもが熱を出したり入院することが多く、急に休まなければならないことがあるので、自分のデスクの周囲には仕事の進捗状況や期限などがわかるように資料を揃えておいてあります

 

【コツ2】買い物は「夜中」「通勤中」にネットで

ワーキングママを圧迫する家事の一つが「食材や日用品の買い物」。仕事帰りにスーパーに寄って、両手いっぱいに荷物を持って帰るのは負担が大きいもの。ワーキングママたちは、休日にまとめ買いをするほか、「宅配」をうまく活用しています。

生協の宅配サービスを利用。子どもがネ寝た後、夜中に15分程度、ネットで翌週分の食材などの注文をしておきます

 

通勤電車の中で、ネットスーパーで食材や日用品を注文。休日に届くように手配します

 

食材の宅配サービスでは、野菜がカットされているもの、1つのメニューの食材がセットになっているものもあるので、調理時間が短縮できる商品を選んでいます

 

【コツ3】調理は「時短」アイテムをフル活用

f:id:k_kushida:20160301134831j:plain

「独身のうちはあまり料理していないけれど、子どもができたら手作りのものを食べさせたい。でも調理は面倒そう…」と思っていませんか。最近では、手を抜いても美味しくできる調理アイテムが充実しています。

 

シリコンスチーマーをよく使っています。野菜を茹でる際、洗ってシリコンスチーマーに入れてレンジでチンするだけでOK。鍋でお湯を沸かす時間と手間を省いています

 

圧力鍋は調理時間を大幅に短縮できる。中でも、『電気圧力鍋』は材料調味料を入れてボタンを押すだけで、後は何もしなくても完成。火を使わないので、台所から離れて他の家事をすることもできます

 

オーブン調理器『ウェーブ』が便利。トースターに入れられる耐熱皿で、卵とウインナを入れて、トースターのパンの隣に置いて加熱すれば、一人分の朝食があっという間に完成。お皿に移し替える必要もないので洗い物も増えません

 

【コツ4】「朝時間」を使うことで、夜にイライラしない

子どもが寝た後、残った仕事や家事を片付けるという人は多数。けれど、それがストレスの元になることも。

 

子どもを寝かしつけてから仕事や家事をしようとすると、子どもがなかなか寝てくれないとき、焦ってイライイラしてしまいます。ママのイライラは子どもにも伝わり、子どもが不安になってますます寝付きが悪くなるという悪循環に。そこで夜は仕事や家事をしないと決めて子どもと一緒に寝てしまい、朝早く起きて仕事や家事をしています

 

【コツ5】「在宅保育サービス」を利用。ときには「ママ友」にも頼る

「どうしても定時で仕事を終えられない」「出張が多い」といったママをサポートしてくれる保育サービスはいろいろ。

 

在宅保育サービスを利用していました。シッターさんに保育園にお迎えに行ってもらい、私が帰るまで自宅で子どもと一緒に過ごしてもらうというものです。折り紙で遊んだり、絵本を読んでもらったり、お風呂にも入れてもらったり。私か夫が帰宅するころには、子どもはパジャマ姿で待っていてくれていました。そのほか、同じ時期に出産したママ友に保育士さんがいらしたので、謝礼を支払って子どものお世話をお願いしていた時期もありました

 

同じマンションに住むママ友と仲良くなり、残業で保育園へのお迎えが間に合わないときなど、お互いにサポートし合っていました。私の子どもを保育園に迎えに行ってもらい、私が帰るまで自宅で預かってもらっていました

 

【コツ6】「残業OKデー」を決めて、仕事の帳尻を合わせる

f:id:k_kushida:20160301181225j:plain

保育園へのお迎えのため定時には帰らなければならないけれど、仕事が終わらない…。そうなると、追い詰められた気分になり、時には家に仕事を持ち帰らなければならないことも。

 

週1回、曜日を決めて、子どものお迎え&食事&お風呂に入れるのをパパやシッターさんに任せています。その日は『残業OKデー』として、遅れている分をカバーする時間にあてます

 

【コツ7】「週末は子どもにとことん付き合う」と決めて、平日は仕事に集中

忙しい仕事を抱えながらも、子どもとのコミュニケーションを密にとらなければ…と思うことで、いっぱいいっぱいになってしまうことも。そこで、平日は「ゆっくり子どもに接しられないもの」として、週末にその分をカバーするママも。

 

平日は一緒にゆっくりできない分、週末はとにかく子どもが中心。公園だって行きたいと言われればどんなに寒くても一緒に行って、『帰りたい』と言いだすまでは徹底的に付き合います

 

【コツ8】子どもを家事のサポーターに

 子どもが少し大きくなってくれば、家事を手伝ってもらうことで負担が軽減できるように。

 

洗濯物をたたむのは、子どもが小さいときから一緒にしています。最初はきれいにたためなくても、できるようになったら、手伝ってもらって早く終えられたりできます。家事の時短と共に、触れ合いを楽しんでいます

 

【コツ9】頭をリセットするための「自分時間」を確保

f:id:k_kushida:20160301181817j:plain

自分の時間を100%家族のために使い、自分の時間が持てないことで追い詰められてしまうママもいます。

 

一人時間が全くないことで気持ちも追い詰められてしまうので、週末に1時間、ホットヨガに通っています。レッスン中の瞑想の時間に、頭をリセットできるんです。子どもと言い合いした後でも、「こういうふうに声をかけてあげればよかったな」「次はこんなことをさせてあげたい」とポジティブな解決策がひらめく時間。今までにはなかった自分の時間を持つおかげで、笑顔で家族に接することができています

 

――子どもが生まれてからでは、状況を冷静に判断したり、対処法を考える余裕が持てないかもしれません。事前にワーキングママ&パパの体験談を見聞きして、自分がストレスを抱えそうなことを想像し、対策をシミュレーションしておいてはいかがでしょうか。

 

 >>「働くママたちのコラム」はこちら

働くママたちのコラム

<この記事の関連サイト>

 日経DUAL

f:id:k_kushida:20160301181500j:plain

【参考記事】

子育てと仕事の両立 私を支える10の法則

“デュアラー”の生きる道

家族も仕事も「両方大事」でいいじゃない

DUAL時短ラボ

f:id:k_kushida:20160112113425j:plain iction!(イクション)は、
「はたらく育児」を
応援するプロジェクトです。
くわしくはこちら

 

 EDIT&WRITING:青木典子

 

ワーママのカリスマが伝授!仕事と子育ての両立術

ふたりの息子さんの母親であり、スゴ腕の転職エージェントとして家庭とキャリアを両立する森本千賀子さんは、多くのワーママのロールモデルです。バイタリティ溢れるその活躍ぶりを支えているのは、これまで試行錯誤しながら磨き上げてきたという仕事術や時短術。工夫を重ねて辿りつかれた両立のテクニックについてお伺いしました。

 

f:id:k_kushida:20160224193821j:plain
▲株式会社リクルートエグゼクティブエージェント エグゼクティブコンサルタント 森本千賀子

 

妊娠中から会社に復帰時の自分に向けて準備を!

私は、もともと戦略的にキャリアプランを考えるようにしていたので、妊娠中から「会社からの信頼貯金の残高を増やそう」と意識していました。妊娠がわかったときには、上司に「復帰後も、サポート体制を整えてしっかり働くつもりです」と話しました。これは実はすごく大事なこと。マタニティ・ハラスメントの問題もあって、上司側としては、こうした話を女性には聞きにくいもの。男性の場合は特に「どれくらい仕事にウェイトをおくの?」とは聞きづらい。だからこそ、自分から意思表明しておくことが重要なのです。復帰時まで人事預かりになるケースもあるので、意思を伝える相手として人事も忘れずに。会社からの「信頼貯金を増やす」には、会社にとって求められる人材になる、会社に恩を蓄積しておく、という2点が重要だと思います。職場を離れる前までの期間はパフォーマンスを向上させる努力をしたり、マネジメント業務も積極的に行ったり、しっかり仕事をする意欲・スタンスを持ち、そして見せておくことが大事です。

 

社内人脈の再確認をしつつ妊娠報告を

f:id:k_kushida:20160224194133j:plain

現在所属している部署以外にも、これまでお世話になった人には、御礼もかねて妊娠報告をしておくことをおすすめします。私は人事や上司への報告を終えた後、元上司や先輩、後輩など、社内でお世話になった方をランチに誘いました。これまでの人脈を温め直しておくという意味と、様々な部署から情報が入ってくるように「情報源」を持っておきたいという動機がありました。こうやって挨拶しておくことで、「新しいサービス考えているから、戻るとき手伝ってよ」と声をかけてもらうことも。復帰する際に提示された配属部署の情報を集める際にも、こうした方々にとても助けてもらえました。また、社外で関わった方やクライアントでも関係性を大切にしたい方がいれば、タイミングをみて報告をしておくとよいでしょう。有事の際の配慮ある対応が、プラスに印象づけることにもなり、結果として信頼につながります。

 

産休前は職場に迷惑をかけない気の利く人でありたい

資格取得の勉強や読書など教養を高めるための活動など、産休中は様々なことをするチャンスでもあります。私は「関係性」を向上させるための工夫をいろいろとやりました。
たとえば産休中には、後輩やアシスタントスタッフたちを家に招待して料理を振る舞いました(笑)。自分が外に出るよりも、家に呼ぶ方がむしろ楽で好都合。おでんを大きな鍋にドカンと作って、みんなでおしゃべり。多いときは一回に15人ほど呼んで……のべ200人は家に呼んだと思います。
また、会社員の場合は会社支給の暑中見舞いや年賀状がありますが、産休・育休の間は自腹を切って自分で出していました。これまで作ってきた、いろいろな方との関係性を薄めないように、関係性をつなぐための工夫にはこだわっていましたね。

 

産休・育休中も社内についての情報をキャッチアップ

f:id:k_kushida:20160224194157j:plain

人事との関係性もすごく大切です。出産前には、人事部の部長、課長、担当とそれぞれの方とランチをして関係性を築いていましたし、人事担当の女性スタッフともかなり仲良くなっていました。そうすることで育休中にも社内報を送ってもらったり、人事異動についての詳しい情報を共有してもらえたり、離れていても社内事情に詳しくいられるので、職場復帰のイメージもつきやすくなりますよ。

 

復帰時こそ新しい可能性にチャレンジするのがおすすめ

私は、キャリアの選択肢は多いにこしたことはないと考え、復帰先の候補部署は一つではなく、ぜひ3つは欲しいと人事部にリクエストしていました。部署選びで重視したポイントは3つ。「ワーキングマザーへの理解がある上司か」「時間の融通が利く働き方ができるか」「自分がやりたい仕事ができるか」これを軸に検討しました。
また、今までと違う部署へチャレンジすることにも前向きでした。育休前も異動の連続で免疫力はありましたのでこれまでと異なる価値観の人と一緒に働くことで視野が広がり、成長できることを身をもって体感していました。復帰時は元の部署に戻るのが一番楽なように思えますが、まわりの期待値が産休前の自分と重なり高いままだったり、自分も「できるはずなのに、思うようにいかない」とプレッシャーを感じてしまったりも。復帰をチャンスに自分をゼロリセットしてみるのも、一つの可能性として大いにありだと思いますよ。

 

時短でも高いパフォーマンスを発揮!効率化と熟睡の工夫

f:id:k_kushida:20160224194228j:plain

時短勤務で復帰しても、「会社にとって必要な人」という存在を目指せるとよいですよね。それには「時短なのにここまでできるの?」と思われるような成果を出すことが求められます。私の場合は、業務の効率化をはかるためのインフラ整備に徹底的にこだわりました。書類のフォルダわけの工夫、テンプレートの活用、メールの処理の効率化のための文字登録。「よ」で始まる言葉だけでも「よろしくお願いします」「よろしくお願い申し上げます」「よろしく!」とたくさんのバリエーションを登録。それでとうとうパソコンが壊れてしまって、アシスタントに「辞書登録が原因です」って怒られたり(笑)。
環境作りにも力を入れました。私は夜10時くらいには子どもと一緒に寝て、朝3時には起きて活動を開始する朝型生活。一番理想的なゴールデンタイム(22時~2時)に寝ているのですが、さらに睡眠の質を上げるため、マットレスと枕を厳選しました。寝室には空気清浄機を入れるとともに、寝かしつけのときにはアロマも焚いています。遮光カーテンも睡眠の質を高めるのに効果的ですよ。こうした工夫をすることで、自分だけでなく、子どもも夜泣きをしないでっすり寝てくれるので一石二鳥です。余談ですが、私は毎朝6時には出社していたので、近所の方は、私のことを築地市場に勤めていると思っていたほどでした(笑)。

 

家事代行サービス・ベビーシッターなどプロの力を積極活用!

お願いできることがあれば積極的にアシスタントさんに仕事を振り分けて、まわりの力を総動員しながらパフォーマンスを上げていくのが私の仕事スタイルですが、それは家庭内も同じ。「私じゃなくてもできることは、アウトソースで解決!」と割り切って、プロの力を家事と育児に活用。家事代行サービスは週1回。ベビーシッターは週1、2回。子ども2人のお迎えから夜22時すぎまでの時間帯の面倒を見てもらい、私が遅い時間までの仕事も日帰り出張もできるような体制を整えました。
ここで私が大切にしたのは、プロの方々との関係性をしっかりつくること。なぜ子どもを保育園に預けてまで仕事をするのかという“想い”をプレゼン共有するなど、応援団になってもらえるようにこちらのことを理解してもらうよう努めました。誕生日や母の日にはプレゼントを贈ったりも。「ここは、自分の家だと思って気になるところは動かしてください」と全面的にお任せしておくと、家中がどんどんキレイになっていくんです。「ここもいじるなんて!」なんて多少のことは気にしないのがポイント。また、よく聞かれるのですが、信頼できる「この人なら!」という人に出会うまでは、知人や友人など、人脈を駆使して探すしかありません。納得するプロを見つけて、信頼関係を築くための工夫も積み重ねて……様々な方の力を借りながら、子どもが幼いときの両立は乗り切ることができました。

 (2016年1月取材)

 

株式会社リクルートエグゼクティブエージェント 
エグゼクティブコンサルタント
森本千賀子

f:id:k_kushida:20160224194309j:plain株式会社リクルートエグゼクティブエージェントにて、リクルーティングアドバイザーとして、大手からベンチャーまで幅広い企業に対し人材戦略コンサルティング、採用支援サポート全般を手がける。主に経営幹部・管理職クラスでの実績多数。成長フェーズにあわせた課題解決には定評があり、多くの経営者のよき相談役として公私を通じ頼りにされている。2012年7月には、NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』に出演。
著書に『リクルートエージェントNO.1営業ウーマンが教える 社長が欲しい「人財」!』『本気になれば人生が変わる! HONKI SWITCH ON』『メンターBOOKS 女性管理職のFAQ』『1000人の経営者に信頼される人の仕事の習慣』『本気の転職パーフェクトガイド―トップコンサルタントが教える』など多数。
33歳で長男、39歳で次男を出産。ワーキングマザーとして持ち前のバイタリティで仕事と家庭を両立。日経DUALでは両立をテーマにウェブ連載中。1970年生まれ。

株式会社リクルートエグゼクティブエージェント

【関連サイト】

日経DUAL連載「家族も仕事も『両方大事』でいいじゃない」

 >>「働くママたちのコラム」はこちら

働くママたちのコラム

ワーママが訊かれるとつらい「5年後、10年後のキャリアプラン」

働くママたちのコラム

 こんにちは、逆子体操に意味はないという統計を知ってショックを受けている朝倉A子です。あのきっつい体操、頑張ったのに…のに…。(※お医者様や助産師さんによって考え方が違うと思いますので、指導に従ってくださいね)

f:id:asakuraa:20160211144654j:plain

さて表題の件、私が子供を持ってから、毎回困ってしまうのがこの「中長期キャリアプラン」です。

私の会社では、年に一度これを提出します。上司が相談に乗ってくれるのですが、毎度かなり頭を絞って建前を炸裂させないとこのプランは出てきません。それはなぜか。

 

5年後に、今と同じように働けていたら奇跡

結婚したり子供を持ったり年齢を重ねたりすると、人生が自分の事情だけでは回らなくなってきますね。祖父母や親、義親の介護、子供の進学や環境の変化など、さまざまなことが仕事に影響してきます。

この意識は女性のほうがより強い気がします。男性は介護や育児といったプライベートの事情が自分のキャリアに食い込んでくることを、あまり想定していない人が多いように見える。介護や育児は女性の仕事だという認識がまだ一般的だということでしょう。まあそれについての是非は本題とずれるので今回は置いておいて。

私も夫が長男なので、義父母に何かあった時は仕事をやめる必要が出てくる可能性を、常に覚悟しています。

一生フルタイムで働き続けられるなんて、よほどの奇跡が起こらない限りあり得ない。

そう感じている女性は多いんじゃないでしょうか。

そんな中で「5年後、10年後にどんなふうに働きたいか提出して」と言われても、「書こうと思えば書けますが、ただの夢物語にしかなりません」という気がして、なかなか本気で取り組みづらいのです。特に気になってしまうのは以下の点。

1.場合分けができない

前述したような「子供が健康なら…」「親が元気なら…」なんて個人の事情を書き連ねて提出するわけにはいきません。でもこれを端折れば端折るほど、内容は現実から離れていくわけで。書いたはいいものの、これは提出して許されるものなのか…? と正直葛藤します。

2.書いたことを約束できない

「1年後に復帰し、その後1年間の同部署での勤務を経て〇〇部門への異動を希望」とか書いて提出した場合、「復帰の意思があるのだな」「その後も働き続けるのだな」と思われますよね。けれどそれはあくまで「すべてがうまくいったら」の場合の話であって、復帰が叶わない時もあるだろうし、今と同じようには働けない可能性もある。

何一つ約束できない状況で、プランだけ提出するのが非常に無責任に思えて、ためらわれるのです。


人事側からしたら「誰だっていつ何が起こるかわからない中で働いてるのだから、今わかる範囲でプランを立ててくれればいい」という感じでしょう。それもそうです。しかし子供がいると、「何かが起こる」ことはほぼ確実なのです。ただそれがいつ、どの程度のレベルで襲ってくるかはわからないというだけで。そこの確信があるだけに、軽率な約束をしたくない…そういう心理が働きます。

「両立」の定義って?

そんな悩みをもらした時、上司からもらったのが「旦那さんも協力してくれているなら両立もできるよ、大丈夫」という励ましの言葉でした。そこでまた考えてしまう。「両立」とはなんぞや?

私の場合、これから数年の間に予測されるライフイベントは下記です。

  1. 第二子の出産
  2. 育休からの職場復帰
  3. 長男の小学校入学
  4. すぐ近くに住んで育児を手伝ってくれている実母の転居

まず私の今後のキャリアプランは、これから生まれてくる子供が健康で、預ける場所が順調に見つかることが大前提になります。その先のことはすべて、これらが揃わなかったら描けない条件付きの未来なのです。未来といってもほんの一年後のこと。

そして復帰と同時に長男が小学校に上がることになります。噂の「小1の壁」はやって来るのか。こればかりはその時が来ないとわかりませんが、このタイミングで仕事をリタイアすることも、当然視野に入っています。

で、肝心の「両立」とは何を指すのか?

これは人によってかなり違うと思います。私の考えを「仕事」軸と「家事」軸で整理してみるとこんな感じ…

f:id:asakuraa:20160211123613g:plain

私にとって「両立できている」と言えるレベルは、「仕事レベルは高め」「家事レベルはそこそこ」といったところです。どちらも最高レベルでできればベストですが、環境的に不可能なので最初から目指しません。妥協した結果の「両立できている」がこのブルーの円のあたり。

これを「両立」とする場合、両立するためには尋常でない意志の力と体力、周囲の協力、また子供が元気であることが必要になります。それでもこの両立はそもそもが「妥協の結果」です。必死の思いをしながら、理想には程遠い「両立」を目指し、それを前提としたキャリアプランを提出する…できなくはないが、むなしい…。

キャリアプランはなんのために立てるのか

しかし、この中長期キャリアプランは会社のためだけではなく、自分のために立てるものでもあるわけですよね。であれば自分の人生計画を整理する機会として使わせてもらおう。最近はそう前向きに捉えるようになりました。

会社に対して何も確約ができないからこそ、人生計画を整理しておかないと、何かあった時に深刻な迷惑をかけかねない。たとえば今の私なら、自分が復帰するのに必要な条件は何か? それが揃わなかった時どうするか? そういった自分のためのキャリアプランを頭に置いておくのは悪くないと思うのです。

 

ちなみに私は書き出しこそしないまでも、人生計画のイメージははっきりしているほうだと思います。なのでなおのこと、適当なキャリアプランを提出することに抵抗があるともいえる…。

ですがもう、会社に出すプランがある程度適当なものになるのは仕方ないと割り切ることにしました。その代わり自分の中では綿密なプランを立てておく。事情が変わり、そこの差異が大きくなった時は上司に報告する。そのあたりが精一杯かなと。

 

もしこれまでそういった人生計画を具体的に考えたことがないのであれば、一度立ててみるのもいいかもしれません。自分の10年後までを「思うようにいった場合」「まあまあ思うようにいった場合」「そうでもなかった場合」くらいにイメージしてみるだけでも、今後の人生で何か思わぬ事態にぶつかった時の対処の具合に差が出る気がします。

一例として、私が現時点でイメージできる計画はこんな感じですかね。

f:id:asakuraa:20160211123738g:plain

理想の実現は難しそうですが、せめてこの間くらいの人生を送れるといいなあ…。

 

考えることは多いのに、考える暇はない、それがワーママですから、まず備えておくことが大事。そう思う今日この頃です。


ではまた次回!

 

朝倉A子

f:id:tany_tanimoto:20150929144939j:plain

30代半ば、メーカーに勤務する5歳男児の母。
最近はマーケティングと名のつく部署をうろうろしています。
三度の飯より本が好き。今読んでいるのは『銀河英雄伝説5 風雲篇』!

 

 >>「働くママたちのコラム」はこちら

働くママたちのコラム

ワーキングマザーとして守るべき、職場での最低限のマナー

働くママたちのコラム

こんにちは、学芸会で息子の成長に涙した朝倉A子です。浦島太郎のお芝居は、冒頭の亀をいじめるシーンがカットされていましたよ。「理由:亀役の子がかわいそうだから」大変な時代ですね。f:id:asakuraa:20160120123255j:plain

さて表題の件、一部の困ったワーママが、ワーママ全体の印象を悪くしてしまっている…そう感じたことはありませんか。

必死に世の中の誤解や無理解と戦って、それでも誰がほめてくれるわけでもなく、「子供の顔を見ると疲れが吹き飛ぶ」とかいうたわ言を男性連中から聞かされキーッとなりながらもなんとかやっていこうとしている時、「ちょ待てよ!」と言いたくなってしまうようなワーママに出会うと、勘弁してと叫びたくなりますね。

たとえば私の目にした・耳にしたワーママさんたちのお話。

「すいませーん、帰るんで、あとお願いします!」

時短取得中のワーママBさん。

その日の仕事が終わらないと、「ごめんなさい、私もう帰らないといけないんで、あとお願いします!」といきなり残務を人に任せて帰ってしまうそうです。

私はそうやって任されてしまうほうの人(男性)からこの話を聞きました。彼も子供がいるだけあって、働く母親の大変さは理解しています。「でもこれだけはお願いしたい(涙目)」とのこと。

1.せめて事前に言ってほしい

当然ですが振られた方にも自分の業務との調整があります、せめて帰る少し前に、進捗を報告してほしいとのこと。そりゃそうだ。

2.業務量が多すぎるのであれば、上司と相談して配分を変えてほしい

Bさんの場合、ぶん投げ帰宅があまりに多すぎると周囲は感じている模様。育児との両立を考えた時に、今の業務量がそもそも過負荷であるなら、上司と相談して配分を変えてもらってほしいとのこと。

3.周りの感情も汲んでほしい…

Bさんが悪いわけじゃないことは、部署のみんながわかっています。家も遠いし、さぞ大変だろうと気遣っています。けれど、せめてもう少し残されたメンバーに対して気遣う態度を見せてくれたら…というのが周囲の本音の様子。みんな人だもの、不満が募ればそういう部分にも神経を尖らせてしまうよね。

 

3はさすがに言いづらそうにしていましたが、気持ちはよくわかります…。

私はBさんと同じ部署だったことがあるおかげか、Bさんの態度と周囲のモヤモヤがなんとなく推察されます。Bさんはニコニコほんわかしてとてもいい方ですが「進捗報告なし、終わらないと期限間際に周囲に投げる」という傾向は当時からあったように見受けられます。それがワーママになって自分を正当化しやすくなった分、NGな点が強化されてしまったのではないかなと。

確かに仕事も家庭も子供のことも、全部完璧にこなすのは大変。でも「ワーママは無責任」というイメージがついてしまったら、みんなが働きにくくなってしまう

やはり組織で働く仕事人として、最低限のエチケットは守らないと。気をつけよ…。

子持ちであることを盾に、会社のルールを捻じ曲げちゃった

同じく時短取得中のワーママCさん。

異動によりとある男性の下に就いたのですが、彼女はこの上司が苦手でした。ちなみにその上司さんは言葉がきつく昔気質で難しいタイプとも言えますが、うまくやれる人もいますし人望もあります。しかしCさんとは合わなかった模様。

結果、Cさんは人事部に交渉し、原則不可とされている「時短時間の拡大」をしたのです。

私の会社は、時短取得時間は「2時間/日」→「1時間/日」という縮小はできますが、原則として逆はできません(それが良いのかどうかは置いておいて)。

そこをどう説得したのか、心身のストレスを訴えて短縮をもぎとってきたそうです。ストレスというのも本物なのだと思います。しかし周囲には「あの上司と顔を合わせる時間を少なくしたった」と戦果報告、たぶんこれがいけなかった――。

これを聞いた時は衝撃でした。そういうことをされると、やむにやまれず時短取得している人の印象が悪くなるからやめてほしいなあ、とついまともな感想を書いてしまうくらい衝撃。

 

フルタイムで働きたいところを、保育園の事情や子供の負担を考え、泣く泣く時短を取得している女性も多いはず。そうやって涙を呑んで時短勤務という選択をしているのに「子持ちのおかげで嫌なことを回避しやすくていいね」と周囲に思われたら、もう気持ちの持っていきどころがないわけです。ただでさえ一部の人からは「子供が風邪なので会社休みます」→「自分は元気なのに休めていいね」と悪意のある解釈をされがちなのに、だ!

残念ながらこういった手厳しい解釈は現実に存在します。意地悪!なんて言っていられません。我々はいろいろな考え方がある世界の中で生きていくことを自ら選んでいるわけですから。

それでも、だからこそ、我を通すために都合よく子持ちであることを利用するのはダメ、ゼッタイ。時短や休暇といった育児中の従業員のための制度は、特権ではなく、会社や周囲の人たちからの恩赦のようなものと受け止めるくらいの気持ちでいたほうがよいと思うわけです。

ワーママとして職場で守りたいマナー

というわけで、いくら苦労の多いワーママといえども、子供を理由に好き勝手していいわけではありません。誰も何も言わないけれど、どこかに軋轢が生まれているかもしれない。そしてそれは、好き勝手した本人ではなく、他のワーママにこそ影響を及ぼす可能性がある…ということで、自戒も含めて、気をつけていきたいよねというのが以下4点です。

1.仕事をさせてくれることを「ありがたい」と思いたい

卑屈になろうと言っているわけではなく、このくらいの姿勢でちょうどいいんじゃないかなと個人的には思います。仕事の多さを嘆くより、「自分に任せてもらえてありがたい」とまず思いたい。そしてその負荷が大きすぎるようなら、周りの人のために早めに「申し訳ありません、無理そうです」と手を挙げたいところです。

2.周囲の厚意を当然と思わないようにしたい

素直に甘えるのは大事です、でもそれを当然と捉えてはいけないと思います。子供がいれば突発的に会社を休んだり早退したりする機会はどうしても発生します。このこと自体を気に病むのはもはや過剰なストレスにしかならないので、無用だと私は思います。ですが、常に周囲に何かしらの負担をかけて働かせてもらっているのだという意識を忘れてはダメだと思うのです。

3.仕事はきちんとしたい

前回も似たようなことを書いた気がしますが…要するに、自分が大変であることにあぐらをかかないようにしよう、ということです。いくら大変だろうと、それはあくまで自分の話であって、仕事をおろそかにしたりマナーを無視したりしていいというわけではありません。やはり仕事はマザーかどうかに関係なく、ひとりのビジネスパーソンとしてきっちり遂行すべきです。

4.常にワーママを代表している意識を持ちたい

一人の振る舞いが、ワーママ全体の印象として受け取られる可能性は非常に高いです。自分だけの都合を考えて、他の人の可能性を狭めるような行為は社会人としてNGですよね。

 

うーん文字にすると綺麗事に聞こえてしまうなー。でもこれ私が日常でかなり強く感じていることです。見ればわかるとおり、ワーママに限らず、組織で働くうえでは誰にでも当てはまる、ごく当然のマナーばかりです。これから増える一方であろう「仕事もちゃんとしたいワーキングマザー」たちのために、今のワーママたちが特にこういうことに気をつけていかないと、「マザーに働かれると迷惑」と社会が認識してしまうよ。その危機感を持ちたいと思うのです。

子育てと仕事の両方でベストを目指すのは、自分の努力だけではどうにもならないことが多いだけに本当に大変。自分がなんとかやっていくだけでも一苦労なのに、他のワーママのことまで気にしていられるか! という気持ちも正直あります。あるのですが、余裕のある時に少しそのあたりを気にしてみるだけで、ワーママ全体の環境改善に一歩近づくのかなあ、なんて考えたりします。

 

ではまた次回。

 

朝倉A子

f:id:tany_tanimoto:20150929144939j:plain

30代半ば、メーカーに勤務する5歳男児の母。
最近はマーケティングと名のつく部署をうろうろしています。
三度の飯より本が好き。今読んでいるのは塩野七生『チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷』。

 

 >>「働くママたちのコラム」はこちら

働くママたちのコラム

ワーキングマザーの理想の上司は独身男性?

働くママたちのコラム

 こんにちは、古いメーカーに勤め、そういう会社にはレアな中途入社の♀、朝倉A子です。どのくらいレアかというと、数百名いる本社勤務員の中で、同じ立場の女性を一人も知らないってくらい。

f:id:asakuraa:20160119030343j:plain

 

上司について考えてみる。

突然ですが、子持ち女性を部下に持つ管理職の男性を二つに分けてみます。

 Aむっちゃ理解を示すタイプ
 B全然気にしないタイプ

私はこのどちらのタイプとも仕事をしたことがあります。結果、Bの「気にしない」上司のほうが断然合いました。ちなみにAは妻帯者、子持ち、かつ奥さん専業多し、Bはもっぱら独身(バツイチ含む)ですね。

 

B「気にしない」タイプの特徴は「そういうのよくわからないから本人に任せる」というスタンスです。出張も「行けるなら行ってほしい、無理なら教えて」という意向で、国内も海外も行かせてもらいましたし、子供の熱などで急な休みをもらう時も「大変だねーママ!」という感じで承認。当然、他の人と同じ基準で評価もしてくれます。

 

一方A「理解を示す」の特徴は「俺は母親業の大変さを知っている、だから無理はさせない」ドヤァ。いや、ありがたいのはありがたいんですけど…母親にもいろいろいてね。

私は幸い実母が近くに住んでいるうえに夫も協力的なので、かなり働ける環境にありますし、働きたいからこそそういう環境を整えたわけです。

それを「気遣い」という名目のもと「朝倉さんはお子さんいるから、無理に来なくていいよ」と出張からハブられ、「お子さん待ってるよ、早く帰らなくていいの」と謎のプレッシャーをかけられ、あげくの果てに成績は「お母さんなんだし、まあ今は無理せずに」と△評価

おい…。

「他の人より勤務時間が短いし、出張も休出もできていないから」という理由ならわかりますが「お母さんなんだから」ってナンデスカ?

こういう考え方の人には何を言っても無駄だろうと悟り、特にゴネたりはしませんでしたが、私の社会人生活の中で最もモチベーションの下がった時期が、この上司の下にいた期間でした。

悪気はないんだろうと思います、というかもう善意の塊です。

 

だがしかし、聞いてほしい。

「子持ち女性は"仕事はほどほどでいい"と思っている」なんてただの先入観です。子供がいようがいまいが、働きたい意欲は出産前となんら変わりません(人によるけど)。

ただいろいろな事情がそれを許さなくなるというだけです。そういう事情が周囲に迷惑をかけることをわかっているから、「私、働けます!だから仕事ください!」という主張ができなくなるだけなのです。

近くに子育てに奮闘している奥さんがいる人ほど、そこを理解しづらいのかもしれません。

 

また上司繋がりで驚愕したのは、私と同じフロアで働く女性のケース。

彼女は妊娠初期に海外出張に行っていました。大変だなあと思っていたら、その方の上司(典型的Aタイプ)に「うちの奥さんが、妊娠初期でも海外旅行に行って問題なかったって言うから大丈夫だよ、安心して行ってきて」と言われ、行かざるを得なくなったそうです。

経験者各位には改めて説明する必要もないと思いますが、妊娠期間の体調や状態は人によってまったく違うので、自分の奥さんを基準にするのは無意味というか危険です。出産経験がありながら夫にそのアドバイスをした奥さんも奥さんだと思わなくもない…。

最終的には行った本人の責任なので、上司だけのせいにするのは違いますが、上司にそう言われて、「私はお腹の子が大事なので行きません」てなかなか言えないですよね。無事その子供は産まれてきましたので、今だからできる話です。

 

というわけで、管理職の皆様へのお願い、そしてワーママとして気をつけていきたいこと

上司との関係を左右するのは、能力や人格よりも「相性」だと私は思うわけです。が、相性が悪かったら取り換えられるわけでもなし、やっぱり当たりはずれは大事です。

このご時世、子持ちの女性を部下に持った管理職の男性は、「自分の管理能力が試されている…!」と思うはず(推測)。その気合が空回る人もいれば、うまくはまる人もいる。それだけのことなんだと思います。

そんな管理職の皆様に、部下からお願いしたいのは下記2点です。

 

1.子持ち女性に対する思い込みは捨てて

子持ちであろうが、仕事に対する意欲は人それぞれです。本人がどう働きたいと考えていて、どう評価してもらいたがっているのか知る努力をお願いします。意欲はあっても、育児環境がそれを許さない人もいます。とにかく本人と話をしてほしいのです。

2.とりあえず自分の奥さんのことは忘れて

身近にサンプルがいると、そればかりを参考にしがちなのかもしれません。しかし何度も言うように、子持ち女性の考えや環境は千差万別。どうか自分の奥さんを基準にしないでください

 

一方、我々ワーキングマザー側も気をつけたほうがいいところがありますよねやっぱり。というわけでまとめてみました。

 

1.自分がどんなふうに働きたいのか、またどんなふうなら働けるのか整理する

状況が許せばフルタイムで働きたいのか、時短で満足なのか? 出張は行きたいけれど行かれないのか、行かせないでほしいのか? など、自分の現状と欲求をまず整理したいところです。これ案外じっくり考える機会ないんですよね、子供の成長や健康状態で状況がコロコロ変わるし。別に建前と本音が違ってもいいと思います。とにかく自分の中で、自分の仕事上のスタンスをはっきりさせておいたほうがよいと思うのです、なぜなら2に続くから。

2.上司の理解促進は自分の手で行う

ワーママを部下に持った上司は、おそらくけっこう困っています。私たちは部下として、上司が我々のどこを理解できずにいるのか、何を誤解しているのかを読み取る必要があります。その上で、1でまとめた自分の環境やスタンス、仕事への意欲を正直に語り、「私はこういう部下です」と伝える努力が必要なのだと思います。これを怠って「上司が無理解」と嘆いているワーママさんはけっこう多い気がします。わかってもらう努力をしないとダメ、絶対。

3.与えられた仕事は真摯にこなす

当然ながら、子持ちであることに甘え、仕事のクオリティをおろそかにするのはもっともやってはいけないこと。残念ながらそういうワーママさんを目にすることもままある(これについては次回語りたいです)。無理をしろというのではありません。自分の分の仕事は、高い品質で、期日を守って進めましょうという、ただそれだけです。

「子持ちの私にこんなたくさんの仕事、無理」というのであれば2を実施しましょう。負荷が多いことに、上司は気づいていても言えずにいるのかもしれません。「あなたは子持ちなので仕事を減らします」とは言いづらいはずです。この業務量はこぼす! と思ったら、部署のためにも早めに上司に相談すべきです。

 

以上です。この1~3は密接に関係していて、例えば3をやらずに2をやっても、そりゃ理解は得られないよと思いますし、1の整理をするには、3のようにある程度ちゃんと仕事していないとダメなんだよなあ、と思ったりします。

部下として、上司を助けるのは当然の仕事ですよね。いろいろと気を使わせる部下で申し訳ありません…という立場ではありつつも、その中で最大限活用してもらうために、我々側もそれなりのセルフプロモーションが必要なのだと思うわけです。

そういえば私の会社は女性管理職がまだ少ないので、女性の下についた経験はないのですが、そういう環境だとまた違った葛藤ややりやすさがありそうだなあと。

どなたか経験のある方、教えてください。

 

ではまた次回!

朝倉A子

f:id:tany_tanimoto:20150929144939j:plain

30代半ば、メーカーに勤務する5歳男児の母。
最近はマーケティングと名のつく部署をうろうろしています。
三度の飯より本が好き。今読んでいるのは創元推理文庫『ウィンブルドン』!面白すぎてそのまま二周目。

 

 >>「働くママたちのコラム」はこちら

働くママたちのコラム