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会議ではどのような「集中」が必要か?チーム効率を上げる心得とは

前回記事では、個人でできる「集中」のコツをご紹介しました。

しかし、同僚と一緒に、あるいはチームで取り組む業務の方に、より多くの時間をとられることもありますよね。

そこで今回は、複数のメンバーと協業する際に、集中力を高め、効率化を図るコツをご紹介します。お話しいただいたのは前回同様、『仕事ができる人の『集中』する習慣とコツ』の著者である石井貴士氏です。

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会議や商談などでは「集中」の質を変える

まず、「集中状態」には2つの種類があるということを意識しましょう。

●レベルI の集中

…世間一般で言われる集中状態。他のものが目に入らないほど、1つの物事に集中する。ゲームに夢中になっていて、「ご飯よ!」と声をかけられても聞こえていないような状態。

●レベルⅡの集中

…全方位に注意を払う集中状態。宮本武蔵のように、空を見上げながら、小鳥のさえずりを聴きながら、忍び寄る敵の足音も聴いている。前から来る敵を斬りながら、背後の敵にも注意を払う状態。

ちなみに、男性はレベルⅠの集中が得意で、女性はレベルⅡの集中が得意だと言われています。

さて、個人で黙々とこなす仕事においてはレベルⅠの集中状態に持っていくことで作業がはかどりますが、会議、プレゼン、商談など複数の人と行う仕事においては、レベルⅡの集中状態をつくることが大切です。

ところが、実際には、レベルⅠの集中状態で会議に参加している人も少なくありません。例えば…

  • 資料を読みながら考え込んでしまい、他の人の発言が耳に入ってこない
  • 自分が言いたいことを話すのに集中し、他の人の表情を見ていない
  • 発言中のメンバーだけを見ていて、同席している他の人の表情を見ていない

その場にいるすべての人がこんな状態では、お互いの真意を読み取ることができず、納得のいく結論に至りません。結果、同じような会議を繰り返すことになり、時間をムダにしてしまうでしょう。

具体的には次のような「集中」を心がけてみてください。

会議に出席中は、すべてのものを視界に入れておく

会議中、配布された資料やプロジェクタースクリーンをずっと眺めている人がいます。こういう人は活字で書いてあることは目に入りますが、活字になっていないものを見落としてしまいます。

それよりも、その場にいるメンバー一人ひとりの表情の変化、ちょっとした振る舞いなどに目配りをしましょう。すると「この意見に対し、この人は疑問を持っているんだな」「口ではこう言っているけれど、本当はそう思っていないのでは」といった真意を汲み取ることができます。

それに応じて、適切なタイミングで言葉がけができれば、本音の意見も出やすくなり、議論が進みやすくなるでしょう。

つまりは、言葉だけで会話するのではなく、「心を通わせる」ことに集中することが大切です。相手が否定的な言葉を発していても、「完全に反対」ではなく「この部分がクリアできたら賛成」と考えている可能性もあります。暗い表情をしていても、単に体調が悪いだけで、気持ちの面では前向き…などということもあります。

言葉の表面をそのまま受け取って「こう考えているんだな」と判断せず、「裏側にはこういう意図があるかもしれない」と想像力を働かせることに集中してみましょう。


完璧さを追求するより、不完全な意見を数多く出す方が効率的

会議でアイデアを求められ、最初から完璧な意見を出そうとする人がいます。
そういう人は、思いついた意見を完璧にしようと練り上げる作業に集中し、そのまま時間だけが過ぎてしまうこともあります。

メンバー全員がそんな調子なら、会議は滞ってしまいますよね。

アイデアは、最初に数多く出すことが大切です。不完全な状態でも、とりあえずアウトプットするのです。そうした「タタキ台」があれば、他のメンバーが意見を発しやすくなり、「だったらこの方がいい」という対抗案が生まれ、議論の活性化につながります。

特に新人や若手はこの役回りを積極的に担いましょう。経験を積んだ先輩や上司ほど「間違ったことはいえない」という意識も強くなるもの。だからこそ新人が、先輩から「それではダメだ。ここが問題だ」というツッコミを入れてもらえるようなパスを回すのです。

「不完全な意見ばかり出して、ダメな奴と思われないか」と不安に思うかもしれませんが、ちゃんとした上司であれば、積極的に発言してチームの活性化に貢献するメンバーを必ず評価してくれるはずです。

自分の「役割」に集中することも大切

意見をどんどん出すべき、と言いましたが、時と場合にもよります。メンバーそれぞれが役割分担された状態で会議に参加する場合、思いつきですべてのことに口を出そうとすると、場を混乱させてしまいます。

こうした場合は、一人ひとりが自分の役割を果たすことに集中するべき。会議に呼ばれたら、「自分には何を求められているのか?」という点に考えを集中させましょう。

プロジェクトの初期段階で、アイデアを持ち寄るような状況であれば、専門外の人の意見が参考になることももちろんあります。しかしプロジェクトが進行する中では、前後の状況を知らないまま担当外のことに口をはさむと、進行を止めてしまうことにもなります。しかも担当者を不快にさせてしまっては、その後のコミュニケーションもスムーズにいかなくなる恐れもあります。

ここでも、全方位型の集中(レベルⅡの集中)をすることで、他の人と自身の役割・立場の違いを理解して対応するようにしてください。

 

石井 貴士/作家、(株)ココロ・シンデレラ 代表取締役

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1973年生まれ。高校2年のときに、「1秒で目で見て、繰り返し復習すること」こそ、勉強の必勝法だと悟る。代々木ゼミナール模試・全国1位(6万人中1位)、Z会慶応大学模試・全国1位を獲得し、慶應義塾大学経済学部に合格。大学卒業後はテレビ局のアナウンサーとして活躍。在職中に、突然、「無職からスタートしてビッグになったら、多くの人を勇気づけられるはず!」と思い立ち、退職。世界一周旅行に出発し、27カ国を旅する。帰国後、日本メンタルヘルス協会で「心理カウンセラー資格」を取得。2003年に(株)ココロ・シンデレラを起業。現在、1冊を1分で読めるようになる「1分間勉強法」を伝授する一方で作家活動も展開。累計63冊、200万部を突破するベストセラー作家になっている。主な著作に、『仕事ができる人の『集中』する習慣とコツ』(すばる舎リンケージ)、『本当に頭がよくなる 1分間勉強法』(KADOKAWA/中経出版)ほか。

 

EDIT&WRITING:青木典子

 

映画「フォレスト・ガンプ」に学ぶ、運も味方も手に入れるまっすぐな生き方

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たった一本の映画が人生を変えてしまうことがあります。そんな「運命の映画」には、必ず「刺さるセリフ」があるものです。

映像、音楽、衣装など、総合芸術と呼ばれる映画にはたくさんの見どころがあります。中でも私たちの胸を強く打つのが、登場人物たちが語るセリフ。悩んだとき、落ち込んだとき、人生に足踏みしてるとき。たった一本の映画の、たった一言が、その後の自分を大きく揺さぶることがあるのです。そんな「運命的な映画のセリフ」を、筆者の独断と偏見でお届けするこのコーナー

今回ご紹介するセリフは、アカデミー賞主演男優賞の演技が光るトム・ハンクスの出世作「フォレスト・ガンプ 一期一会」(1995年)から。知能指数は人より低いが足だけはめっぽう早いフォレストの「半生」と、アメリカを象徴するさまざまな「事件」をオーバーラップさせながら、誠実に生きることのすばらしさを愉快に教えてくれるヒューマン・ドラマです。

私がこの映画を初めて観たのは大学生のころ。何かと物事をむずかしく考えてしまうとき、フォレストのまっすぐな生き方や、彼を温かく見守りつづけた母の教えを事あるごとに思い出させてもらったものです。そして母がフォレストに遺した最期の言葉は今でも胸に刻まれて、何があってもひたむきに前に進もうと思い改めるのです。

 

バカをする者がバカ

時は1950年代。アメリカはアラバマ州の方言で「うすのろ」「まぬけ」を意味するガンプ(gump)の名をもつフォレスト・ガンプはIQ75の少年。同級生にバカにされ、石を投げられ、スクールバスの席さえ譲ってもらえないいじめられっ子です。しかし母から教わった「バカをする者がバカなのよ(だからあなたはバカじゃないのよ)」の言葉を受けて、とことんまっすぐに育ちます。

そして月日は流れ、フォレストは高校生に。なおもいじめられていた彼はクルマで追いかけてくるいじめっ子たちを脚力で振り切って、そのままアメフトのグラウンドに乱入。脇目も振らず選手の誰よりも早く駆けぬけて、その足を大学に見初められたところから彼の人生が転がりはじめます。

 

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その人生は運命なのか、風に吹かれているのか。フォレストはアメフト選手として活躍したのち、大学卒業後は陸軍の一員としてベトナム戦争へ。そこで出会った、エビのことなら何でも知っている黒人のババに「帰国したら一緒にエビ商売をやらないか」と持ちかけられます。ババは無念にも銃撃に倒れますが、フォレストは彼との約束を守り、帰国後にエビ漁を開始。ふたりの名をとってババ・ガンプ・シュリンプ社を設立し、戦地で上官だったダン小隊長とともにエビ・ビジネスで成功を収めます。しかし得たものがあれば、失うものもある。フォレストは最愛の母を病気で亡くすことになります。

 

人生はチョコレートの箱

生まれつき体が弱く、知能指数も低かったフォレストにとって、母は一番の理解者であり庇護者でした。背骨がゆがんで歩行が困難だった息子のために装具を用意したときは「これは魔法の靴よ」「他人にバカにされてはダメよ」と勇気づけ、IQの低さから養護学校への入学を勧められたときも「お前はみんなと何ひとつ違わないのよ」と励ましてきました。ありのままのフォレストを愛し、何でもわかりやすく説明し、ひとりでも強い心をもって生きていけるよう背中を押し続けてくれたのが母だったのです。

「じきに死ぬの」と病床でほほえむ母は最後のちからを振りしぼり、最愛の息子に「自分の運命は自分で決める」ことの大切さを説きます。人生はチョコレートの箱のようなもの。食べてみるまで中身はわからない。だからその手で箱を開け、どんな形のチョコレートを選びとるかは自分自身で決めるのよ、と。そして、こんな言葉を遺すのです。

「神がお前に与えたもので、ベストを尽くすのよ」

 

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誠実さというギフト

「ギフト(gift)」という言葉には「才能」という意味があります。その力は神様から与えられた贈りもの、という考え方が英語圏にはあるのでしょう。ただ、頭が良いことや絵を描けること、ギターを上手に弾けることだけが才能ではありません。人がもつ力はすべて神様からの贈りものであり、たとえば人に対する「誠実さ」さえギフトと呼べるかもしれません。

事実、フォレストはその誠実さが好転して、みずからの人生を切り開いていきます。自分はあまり賢くないことを自覚して、ママの教えをしかと受け止め、人との出会いを大切にし、人に対してまっすぐ向き合う。そういう人柄だからこそ、彼を応援したり救ってくれる人が現れる。運も転がり込んでくる。打算も野心もない、この純度の高い誠実さは、ひとつの才能なのかもしれません。言葉を真に受けて冗談が通じないのは玉にきずですが、それもまた愛嬌のひとつでしょう。いずれにしても彼は、ただ誠実に生きました。人に対しても、自分に対しても。

もしかしたら私たちは、与えられたもの以上の力を望みすぎなのかもしれません。今ある力でベストを尽くさず、他人をうらやみ、必要以上に人より優位に立とうとしているのかも。でも大切なのはフォレストのように、そしてママの言うように「与えられたものでベストを尽くす」こと。そうすればその後の人生はきっと、チョコレートの箱のように楽しいものになるはずです。

そうそう、フォレストには母のほかにもうひとり、心から大切に想う人がいます。その人とどう出会い、どう向き合い、どう人生が転がるのか。ぜひ本編を見て、彼の「ギフト」にふれてみてください。

 

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 『フォレスト・ガンプ 一期一会』

Blu-ray
2,381円+税
発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
TM & Copyright (C) 1994 by Paramount Pictures. All Rights Reserved.TM, (R) & Copyright (C) 2012 by Paramount Pictures. All Rights Reserved.

※2016年07月の情報です。

 

 

※今回、取り上げたセリフは当該シーンの字幕を元にしています。原文の解釈や表現できる文字数の違いから、吹き替え版とは若干異なります。

 

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文:松岡厚志
1978年生まれ、ライター。デザイン会社ハイモジモジ代表。ヨットハーバーや廃墟になったプールなど、場所にこだわった映画の野外上映会を主催していた経験あり。日がな一日映画を観られた生活に戻りたい、育児中の父。
イラスト:Mazzo Kattusi

 

【20代の不格好経験】会社設立3年目に資金ショートが発覚、「社長に物言えない組織」を反省~株式会社ファームノート代表取締役 小林晋也さん

今、ビジネスシーンで輝いている20代、30代のリーダーたち。そんな彼らにも、大きな失敗をして苦しんだり、壁にぶつかってもがいたりした経験があり、それらを乗り越えたからこそ、今のキャリアがあるのです。この連載記事は、そんな「失敗談」をリレー形式でご紹介。どんな失敗経験が、どのような糧になったのか、インタビューします。

リレー第19回:株式会社ファームノート代表取締役 小林晋也さん

ライフスタイルアクセント株式会社CEO 山田敏夫さんよりご紹介)

 

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(プロフィール)
北海道帯広市生まれ。機械部品の商社で営業を担当した後、2004年にCMSプラットフォーム「Movable Type」を専門とするシステムインテグレーター株式会社スカイアークを創業、代表取締役に就任(現任)。2013年11月にスマート農業ソリューションを提供するITベンチャー、株式会社ファームノートを立ち上げ、代表取締役に就任。

 

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▲酪農・畜産経営を効率化するクラウド型牛群管理システム「Farmnote」。スマートデバイスへのタッチ操作だけで牛の個体管理ができ、牧場経営の「見える化」が可能になると評判を集めている。このほど、牛の個体情報をリアルタイムで収集するセンサーデバイスを開発、管理データのリアルタイム化を実現している。


「来月末に700万円分の支払いがあるのに、手元に70万円しかない」

 2004年にCMSプラットフォーム「Movable Type」を展開するスカイアークという会社を立ち上げました。その後、2013年にクラウド型牛群管理システムを手掛けるファームノートを設立し、現在は2社の代表取締役を務めています。

 初めに立ち上げたスカイアークでは、さまざまな失敗やトラブルを経験しました。中には「もうだめか…」と倒産を覚悟するようなトラブルもありましたが、一つひとつ乗り越え、何とか今日まで来られました。それらの経験が糧となり、2社目のファームノートの立ち上げは比較的スムーズでしたね。すべてが一度経験したことですから。

 スカイアークで初めに「もうだめか…」と思ったのは、設立3年目の時。経理のすべてを任せていたスタッフがいたのですが、彼から突然「来月末に700万円分の支払いがあるのに、手元に70万円しかない」と打ち明けられたんです。それまで経営が危ないと思ったことは一度もなく、完全に寝耳に水でした。

 原因は、私があまりに経理に無頓着で、彼に任せきりになっていたこと。そして、会社の立ち上げ期だけに「自分が頑張らねば!」と走り続けていたため、知らず知らずのうちに「気軽に声を掛けづらい雰囲気」を出していたこと。…だからといって、直前まで資金が足りないことを黙っているのはどうかと思いましたが、泣いても笑っても、会社の寿命はあと1カ月。どうすればいいか冷静に考え、その直前にたまたま食事会で出会ったベンチャーキャピタルの方に連絡、何とか出資をいただけることになりました。

 このベンチャーキャピタルの方は、たまたま私と同じ帯広の出身。ぱっと顔が浮かびましたし、先方も突然の申し出にもかかわらず快く話を聞いてくれました。出資をいただいたのは、もちろん当社の事業を評価してくれた結果ではありますが、帯広出身でなければ話を聞いてくれたかどうか。

 この時の失敗経験から、「社長に自由に意見を言える環境を作らないとダメだ」「応援してもらえる要素があればあるほど、生き延びられる確率が上がる。“地元愛”が応援の要素になることもある」という学びを得ました。

「自分が一番できるから」と権限委譲をしてこなかった

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 しかし…振り返ってみれば、それから約10年間、ファームノートを立ち上げるまでは、学びを活かし切れていなかったように思います。

「社長に自由に意見を言える環境を」と言いながら、「自分がやるのが一番手っ取り早いし正確だ」と、周りに仕事を任せてきませんでした。もちろん、社員は大勢いましたが、完全に権限移譲することはありませんでしたね。自分よりできる人であれば任せたい気持ちはありましたが、そういう人を探す努力もしませんでしたし、既存の社員を自分よりできるぐらいに育てようという意識も低かったのです。

 そんなある日、ある畜産農家の経営課題に触れ、クラウドを使った牛群管理システムを手掛けるファームノートを立ち上げることになりました。「この新しいビジネスにかけよう!」という思いから、100%コミットしていたスカイアークの事業を社員に権限移譲したんです。すると…売り上げ、利益ともにぐんと上がったから驚きました。

 おそらく、私がずっと先頭に立って旗を振り続けていたから、社員はみんな私に意見を言いづらく、それぞれの力も発揮しづらかったのでしょう。「社長の影響力が強すぎる会社は、社長に意見を言いづらくなり、伸び悩む。社員に権限委譲し、任せる会社が伸びるのだ」と改めて実感させられました。

酪農家の「絶対に作ってほしい」とのニーズに触れ、クラウド型牛群管理システムの立ち上げを決意

 ファームノートを立ち上げたのは、スカイアークに酪農家から問い合わせが入ったのがきっかけ。詳しく話を伺っているうちに、飼育している牛一頭一頭を管理する苦労に触れたんです。

 例えば、牛舎を回っていて「この牛、ちょっと元気がないな」と思ったら、事務所まで戻って紙で管理した資料の中からその牛の体調変化や治療歴などを見なければならない、とのこと。これをクラウドシステムで管理すれば、スマートフォンやタブレットなどでその場で確認できますし、その牛のデータもどんどん蓄積される。酪農・畜産経営の生産効率が高まり、経営も安定すると想像できました。

 そこで、「この分野に特化した会社を立ち上げよう」と決意。まる1日かけて何千ページという関連資料を読み込み、クラウド型牛群管理システム「Farmnote」のベースとなる事業計画を練り上げました。そして、知り合いづてに3件の酪農家を紹介してもらい、事業計画を見てもらったんです。すると、3件すべてから「絶対にやるべきだ。やってほしい」との意見をもらえました。ユーザーが求めているならば絶対にやるべきだ、と改めて背中を押されました。

 会社の立ち上げは2回目。やり方は覚えていましたし、同じ轍は踏みませんでした。システムの仮説検証に必要となる、ある程度まとまった自己資金を用意し、その後第三者割当増資を実施する計画を立てました。結果、資金面でとん挫することはありませんでした。

システムの仮説検証の過程で「収益化が難しい」ことに気づき、方向転換

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 しかし、今までに経験したことのない壁に、新たにぶつかりました。仮説検証の過程で、「このソフトウェアだけでは利益は得られない」ことに気づいたのです。

 日本の酪農畜産市場は、約1.3兆円。この市場に特化したシステムを作っても、上げられる収益には限界があるとわかったからです。そして我々の前に何社か、同じシステムに挑戦したベンチャーがあったこともわかりました。でも、いずれも利益を確保できず、撤退を余儀なくされていたとのこと。「ユーザーが抱える課題を解消したい!」という思い先行で突き進んできたことを反省しました。

 ここで、農家が求めているものは何か、改めて熟考しました。「Farmnote」に対して農家が感じている最大のメリットは、一頭一頭の詳細なデータがクラウド上に蓄積されていくこと。そのデータを最大限活用する方法を考える中で、「データのリアルタイム性」の重要さに気づきました。

 牛にセンサーを付け、牛の情報をリアルタイムでつかむことができれば、スタッフが目で見て手入力するよりも、さらに詳細なデータが入手でき、いち早く「牛の変化の兆し」に気づくことが可能になります。

 センサーを付ければ、移動距離、採食、半数、睡眠などのデータがつかめます。例えば、病気になったらエサの摂取量が減り、移動距離も短くなるため、兆しをつかんですぐに治療を行うことで健康な牛を増やすことができます。逆に発情期に入ったら活動が活発化し、同じところをうろうろし始めるようになります。このタイミングで人工授精すれば、妊娠の確立が上がり、効率のいい繁殖が可能になります。

 国内では、約400万頭の牛が飼育されていると言われています。これらの牛一頭一頭にセンサーをつけることを考えれば、我々の収益可能性は一気に広がります。

 そこからすぐにセンサー開発に着手、約2年かけてこのほど完成させました。当初のファームノートの事業イメージとはだいぶ変わりましたが、酪農家のためになるものが作れましたし、ようやく収益ベースに乗せられるイメージもつきました。

 なお私は、この過程で何百という農家のもとを訪れ、現場を経験し、農家の経営状況を見ています。現場を知り、ユーザーである農家を知らなければ、本当に支持されるものは作れないと考えているからです。今では農家に「小林さんは私以上に牛のことを知っている」と言われるまでになりました。

 もちろん私一人の知識で終わらせず、得た知識はメンバー全員に共有し、権限委譲も進めています。社員のうち、半数以上は私と同じぐらい牛に精通しています。残りは社歴の浅い新人ですが、新人には1カ月間、現場を経験してもらい酪農家の課題や不満、不安を理解し、経営をコンサルテーションするという研修を実施。着実に知識量を増やしてもらっています。…この点においても、スカイアークでの学びを今に活かせているのではないかなと思っています。

将来は牛のみならず、「食全般」の生産効率向上に尽力したい

 今は牛に特化し、牛群のパフォーマンス最大化を目指していますが、将来は広く「農業全般」に目を向けていきたいと考えています。

 2050年に地球の総人口は90億人を超えると試算されていますが、そうなると1人当たりの農地面積は今より3割足りなくなると言われています。今は食料が潤沢にありますが、早晩食糧危機が訪れる。第一次産業において食の生産効率を高めることが、食糧危機の回避につながると考えており、その一助を我々が担いたいと考えています。

 まず2020年に国内の農業、つまり牛以外の豚舎や鶏舎、そして畑作等にも進出し、2030年にはグローバル展開において成果を上げたい。その頃には、需要と供給を測って余剰生産をなくすなど、別のアプローチからの効率アップにも挑戦したいと考えています。

自分にとっての「スーパーサイヤ人」を見つければ、手っ取り早く夢に近づける

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 自らに制約条件をつけてしまうと、人は行動できなくなります。

 せっかくやりたいことがあるのに、知識量や経験量を理由に自分に制約条件をつけ、「まだ知識が足りないから挑戦できない」「勉強する時間がないから挑戦できない」などと言い訳する人がいますが、そんなことを言っていたらいつまでたっても先には進めません。

 これらを簡単に解決する方法として、私は「スーパーサイヤ人理論」をお勧めしています。

「スーパーサイヤ人」とは、漫画『ドラゴンボール』に登場する戦闘民族「サイヤ人」が戦闘力を上げるために変身した形態のこと。主人公である孫悟空などがそれに当たりますが、「地球人であり、サイヤ人に比べれば戦闘能力が低い」キャラクターであるクリリンは、悟空と行動を共にすることで、地球人としてはあり得ない戦闘経験を積み、「世界で最も強い地球人」になりました。

 目指す分野において優れた経験を積んでいる人、すでに大きく成果を挙げている人など、自分より10倍すごい人、すなわち「自分にとってのスーパーサイヤ人」を見つけ、近づく努力をする。そして近くでその一挙手一投足を見て学び、助言を得ることで、知識量や経験量の制約を軽く飛び越えることができます。

 ファームノートの株主には、スーパーサイヤ人ばかりに入っていただき、悩み事はすぐに相談しています。いよいよ行き詰まってどうしようもないときでも、すぐに「仙豆」(センズ:『ドラゴンボール』に登場する奇跡の豆)をくれる。会社を上場に導いた経験者もいて、私の悩みは皆さんどれも経験してきたものばかりなので、アドバイスが実に明快なんですね。「なるほど!」と一気に視界が晴れるんです。

 同じレベル、もしくは同じレベル以下の人とばかりつるんでいては、成長はありません。目標がある、やりたいことがあるならば、常に自分より10倍すごい人とぜひ出会う努力をしてほしいですね。

 スーパーサイヤ人に「仙豆」をもらえるぐらい近しい存在になるには、素直に教えを乞い、次回会うまでにそれを実践して報告すること。できたこと、できなかったことを分析して次への課題を洗い出すことも大切。努力が見えれば、人は応援したくなるものです。新しい助言をさらに実行していく過程で、どんどん自分を磨き上げていくことができるでしょう。いつの間にか、知識量や経験量の制約がなくなっているはずですよ。

 

EDIT&WRITING:伊藤理子 PHOTO:平山諭

>>【あわせて読みたい】「20代の不格好経験」シリーズ

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【“見直し”がカギ】お金が貯まる会社員はもうやっている!4つの節約ポイント

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夏のボーナスはいかがでしたか? 国家公務員のボーナスは、管理職を除く行政職職員(平均36.4歳)の平均支給額が約63万100円と、前年夏に比べ約1万200円増(1.6%増)と発表になりました。民間企業の会社であっても昨年よりは少し増えた人が多いのかもしれません。しかし、ゼロ金利時代においては、どこにお金を預ければいいのか、迷ってしまいまうもの。

そこで身に付けたいのがお金に対するリテラシー。『はじめての人のための3000円投資生活』(横山光昭著、アスコム刊)によると、少しでも投資を始める人と全くやらない人では将来的にかなりの差が出るといいます。しかも投資は月3000円の自己資金で始められるというから驚きです。とはいえ、まだまだ給料が少ない若手ビジネスパーソンのなかには、月3000円をねん出するのも難しいという人もたくさんいるでしょう。そこで、今回はその本の中から、会社員が手軽にできる節約術を指南します。

 

【ポイント1】「生命保険」を見直す

 

ファイナンシャルプランナーである著者の横山氏のもとに相談に訪れる人のなかには、保険料を払っているせいで貯金ができない「保険ビンボー」になっている人が多いとか。

月々の額は少ないように見えても、一生払い続ける生命保険は不動産の次に高い買い物とも言えます。夫婦で2~3万円支払っている場合は、本当にそんなに支払う必要があるか、見直してみるべきでしょう。その際、知っておきたいのは、保険の役割です。保険には「医療費にあてる」「死亡時に備える」「貯金代わりにする」。この3つの役割があります。

 

医療費はある程度の貯金があればまかなえるし、高額の医療費には高額療養制度があるため、自己負担分の一部が戻ってきます。病気やけがで仕事を休むと収入がゼロになってしまう自営業ならともかく、会社員は加入している健康保険によっては、働けなくなった時に収入を保障してくれる制度が整っているケースが多いんです。自分が加入している健康保険にどんな制度があるか、一度、調べてみる価値あり。

 

高くなりがちなのが、死亡時の保障。死亡時の事情も人によってまちまちです。そんなに高い必要があるのか、もう一度見直してみましょう。住宅ローンを組んでマイホームを買っている場合、団体信用生命保険(団信)に加入するので、死亡時や高度障害の際はローンが相殺されます。保険は社会保障や貯金でまかなえない部分をカバーするものと心得ると、自分の生活に見合った保険が分かります。

 

【ポイント2】「電力」を見直す

 

2016年の4月から、電力の小売り化が全面自由化されました。このため、地域の電力会社以外でも電力を買うことができるようになりました。ガス、コンビニ、通信などさまざまな事業者が参入し、2016年5月末時点で登録事業者は300社を超えています。なかでも電話やインターネット、ガスなどと「セット割」できるところもあるので、一度、調べてみるといいでしょう。4人家族だと電気代を含めた年間の固定費が年間1万円も安くなる場合もあるそうですよ。

 

 【ポイント3】「格安スマホ」を利用する

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月の携帯代はいくらでしょうか。少し前までは1万円前後という人が多かったと思いますが、賢いビジネスパーソンのなかには、格安スマホに乗り換えている人も増えているそうです。格安スマホとは、MVNO(仮想移動体通信事業者)が、ドコモやauなどのインフラを借りて音声通信やデータ通信サービスの提供をしているもの。電話番号はそのまま使え、利用料金は大手キャリアの半分以下。無料通話アプリなどを利用すれば、通話料を抑えることもできます。

 

 【ポイント4】「ふるさと納税」をする

 

昨年から「ワンストップ特例制度」ができ、ますます便利になった「ふるさと納税」。会社員はやらないと損と言われています。「ふるさと納税」とは、気に入った自治体に寄付ができる制度。自分の故郷でなくとも、気に入った町や、災害で困っている村などどこでもOK。

 

ふるさと納税をすると、寄付した金額から自己負担金2000円を除いた金額の寄付控除が受けられます。つまり、所得税や住民税が安くなるということ。魅力なのが、返礼品です。肉や魚、米、野菜、フルーツなど、寄付先の特産品がもらえます。これまでは「ふるさと納税」をする場合、確定申告をしなくてはなりませんでしたが、会社員の場合は「ワンストップ特例制度」があり、5つの自治体までなら、寄付後、自治体に申請用紙を返送すれば、自動的に翌年分の住民税が安くなります。手間もかからず、おいしい魚や肉がもらえるのですから、ぜひとも試してみたいものです。

 

 

いかがでしょうか。貯金をするにあたって大事なのは「何のために貯金をするのか」、目的をはっきりさせることだと横山氏は言います。目的があるほうがモチベーションはぐっと上がり、成果に違いが出てきます。逆に「将来が不安だから」という漠然とした不安に駆られてやっても、ネガティブな気分だけ先行してしまい、結局は続かないとか。確かに、貯金でも何でも、ポジティブに前向きな気持ちでやったほうが成功する率は高いですよね。楽しくやることが長続きの秘訣です。

 

本紹介

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『はじめての人のための3000円投資生活』(横山光昭著、アスコム刊)

投資経験がゼロでも、貯金がなくとも、誰でも簡単に始められる投資の指南書。テレビや雑誌で大活躍の家計再生コンサルタントが「人生を変える」お金の増やし方を伝授。「月に3000円の投資なら、まずはバランス型の投資信託」など、少額で始められる投資法が具体的な投資銘柄とともに書かれている。

 

文・牛島モカ

 

【『美味しんぼ』海原雄山のモデル】ビジネスパーソンが見習いたい!美食家・北大路魯山人の飽くなき探求心

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夏が近づいて、薄着と体型が気になる季節に入りました。健康と財布にやさしい、納豆の力を借りる日々へと、今年も突入したわけですが、いくらおいしかろうと毎日では飽きてしまいます。そこでまだ試していないレシピを探していると「納豆茶漬け」なる食べ方を見つけました。なんと作り方を書いているのは、美食の大家である北大路魯山人です。京都生まれなのに納豆好き? ともすれば贅沢なものばかり食べていると思われかねない美食家・魯山人先生の、食に対する強烈なこだわりや人となりを少し紹介します。

Dang Dang 気になる嫌われ魯山人の一生

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唯我独尊を貫いた毒舌家&芸術家

魯山人は明治、大正、昭和の三代を生きた人物で、1883(明治16)年に京都で生まれ、1959(昭和34)年に横浜で亡くなりました。

自らの美的欲求の赴くままに、料理、陶工、書、茶を究めんとし、42歳の時に東京・永田町でオープンした会員制の高級料亭「星岡茶寮」を舞台に、料理をとりまく総合的な美を築き上げたことで有名です。

性格は無遠慮で気難しく偏屈、口を開けば他人の悪口ばかりの毒舌家であったため、敵も多かったといわれています。現代では、マンガ『美味しんぼ』のラスボス・海原雄山のモデルとして知られているため、私たちも何となくイメージがしやすいのではないでしょうか。

激烈な個性は非常に複雑な家庭環境などが影響しているとされますが、星岡の成功後も、星岡の解雇、戦争と困窮、人間国宝の辞退、没後に起きた一大贋作事件とエピソードには事欠かない壮絶な人生を歩んでいます。

魯山人、オオサンショウウオを鍋にする

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鍋にすると翌日の方がうまいらしい

『山椒魚』といえば井伏鱒二を思い出しますが、魯山人も同じ題名の文章をしたためています。ただし内容は「オオサンショウウオを食べたらとてもおいしかった」というグルメ批評です。

本人によれば味はスッポンを上品にした感じで、非常にうまく、汁もうまいと味を絶讃。ぶつ切りにして長時間煮たものの、なかなか柔らかくならず苦心していますが、一晩寝かせたオオサンショウウオはやわらかくなり、不思議と皮がとろとろになると書いています。そして特筆すべきは香りに関する記述です。

腹を裂いたとたんに、山椒の匂いがプーンとした。腹の内部は、思いがけなくきれいなものであった。肉も非常に美しい。さすが深山の清水の中に育ったものだという気がした。そればかりでなく、腹を裂き、肉を切るに従って、芬々ふんぷんたる山椒の芳香が、厨房からまたたく間に家中にひろがり、家全体が山椒の芳香につつまれてしまった。ー『山椒魚』より、1959(昭和34)年

オオサンショウウオはその内に保護動物となり、限られた地域にしかいないので入手が困難でしたが、偶然手に入った時はおいしく食べていたそうです。国の特別天然記念物に指定されてからは、捕食が完全に禁止されましたので現在では幻の珍味となりました。もし鴨川付近を這ってる子を見つけても、晩のおかずにしてはいけません。

現代でいえばディレクターorプロデューサー? 魯山人に学ぶ『仕事の成し方』

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既存の価値観に囚われない”独自の視点”を持ち、理想を実現するために”人を動かす”

魯山人の有名なエピソードのひとつに、フランスの有名なレストランを訪れた際、出された鴨を、持参したわさび醤油で食べたというものがあります。これは単純な傍若無人さとは違い、自らが信じる美食の価値観に従った結果でした。他にもガマガエルを煮付けにして食べてるなど、魯山人はいわゆる悪食にもチャレンジしています。

魯山人にとって料理は、自身を大いに楽しませてくれる、美しい物のひとつでした。料理に対する姿勢は、美術品を愛でて追い求める姿勢と同じです。料理についていえば、いったい何がうまいのかを考えるために、あらゆる物を食べることが必要で、魯山人はそれをひたすら実践していたのです。

強烈な”個”のエピソードに事欠かない魯山人ですが、いっぽうで創作においては、大勢の料理人や陶芸家の力を借りる方法をよく採りました。作りたい料理・器のビジョンを腕の立つ料理人・陶芸家に示し、彼らの技術を使って形にしてもらうわけです(もちろん自ら台所に立つ・器に筆を入れることもありました)。

既存の価値観に囚われない”独自の視点”を持ち、理想を実現するために”人を動かす”。今風に言うとアートディレクターや総合プロデューサーといった振る舞いは、現代を生きる我々ビジネスパーソンも学ぶべきところがありそうです。

ビジネスパーソンの夏バテ対策に効く! 納豆茶漬けは、ねって、ねって、ねりまくるのが”魯山人流”

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最初から醤油を入れてねるようなやり方は下手

最後に我々でも食べられるものも紹介。美食を追求するために、何でも食べる魯山人でしたから、一般に京都人が苦手とされる納豆だって平気で食べました。むしろ「納豆の茶漬けは意想外に美味いものである」と語り、細かくこしらえ方を解説しています。

基本的には、よく練った納豆をご飯にのせて、お茶をかけてできあがりですが、いくつかポイントがあります。

(納豆のねり方)

・納豆は糸が出るほどうまくなるから、不精をせずに極力ねりかえす

・かたくねりあげたら醤油を数滴落としてさらにねる

・それを繰り返してねりまくる

・どろどろになったら辛子を入れて混ぜる(薬味を入れてもよい)

・ねる前に醤油を入れてはいけない

・通は醤油の代わりに塩を使うが、一般には醤油の方が無難なできあがり

(お茶漬けのやり方)

・納豆茶漬けをやる時はとりわけ熱い飯がよい

・煎茶をかける

・味が薄ければ醤油をたらしてよい

・飯の中に入れる納豆の量は、飯の4分の1程度がもっともうまい

ところで魯山人は納豆の善し悪しについて、ねっても糸をひかないのは発酵が不十分な未熟な品で救い難いと言い放ちます。一番おいしいのは、仙台、水戸などの小粒納豆とのことです。

納豆のネバネバ成分は夏バテにも効果的。よければお試し下さい。

参考文献:『魯山人 味・陶・書・花・人・・・業深く崇高な芸術家』河出書房新社

底本:青空文庫

文:本山光 

編集:大山勇一(アーク・コミュニケーションズ)   

仕事がデキない人は、文章が「デコボコ」!?同一情報はまとめて書こう!

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■行ったり来たりの「デコボコ文章」が読者の混乱を招く!

 

情報Aについて書き終えたあと、情報Bについて書き、再び情報Aについて書く……そんな書き方をしていませんか? もしも答えが「イエス」だとしたら、注意が必要です。情報A→情報B→情報Aという具合に、情報が入り組んだ「デコボコ文章」は、読む人の混乱を招きがちだからです。

 

混乱を防ぐためには、同一情報(関連性の強い事柄同士)をまとめて書く必要があります。情報Aは情報Aで、情報Bは情報Bでまとめて書くことによって、読みやすく、理解しやすい文章になります。

 

■「デコボコ文章」かどうかは、分解するとよく分かる

 

【例文1】

「田舎」の魅力をアピールする旅館につき、周辺にはレジャー施設や観光地がほとんどありません。誇れるものといえば、豊かな森と清流、それに、都会では決して味わえない「おいしい空気」です。居酒屋やカフェなどの飲食店も、半径10Km圏内にはありません。天気のいい日の夜に見える満天の星も、一度は味わっていただきたいです。

 

この文章の意味が分からない人はいないはずです。しかし、読みやすい文章かといえば、そうともいえません。

この文章を分解すると、以下のようになります。

 

<田舎にないもの>

①周辺にはレジャー施設や観光地がほとんどありません。

②居酒屋やカフェなどの飲食店も、半径10Km圏内にはありません。

 

<田舎にあるもの>

❶誇れるものといえば、豊かな森と清流、それに、都会では決して味わえない「おいしい空気」です。

❷天気のいい日の夜に見える満天の星も、一度は味わっていただきたいです。

 

色分けすると次の通りです。

 

【例文1】

「田舎」の魅力をアピールする旅館につき、周辺にはレジャー施設や観光地がほとんどありません。誇れるものといえば、豊かな森と清流、それに、都会では決して味わえない「おいしい空気」です。居酒屋やカフェなどの飲食店も、半径10Km圏内にはありません。天気のいい日の夜に見える満天の星も、一度は味わっていただきたいです。

 

赤字(太字・下線なし)<田舎にないもの>青字(太字・下線あり)<田舎にあるもの>です。ところが、原文では、「レジャー施設や観光地がない<田舎にないもの>」の次に、「誇れるものといえば、豊かな森と清流〜<田舎にあるもの>」が登場し、再び「居酒屋やカフェなどの飲食店もない<田舎にないもの>」に戻り、最後にまた「天気のいい日の夜に見える満天の星<田舎にあるもの>」が登場します。

 

このように、情報がデコボコに流れてくると、読む人は、そのつど頭のスイッチの切り替えを強いられて大変です。情報が伝わりにくくなるだけでなく、「この人(書き手)は正しく情報を整理・分類できないダメな人だ」という烙印を押されかねません。最悪の場合、書き手自身の信用低下につながります。

 

では、どのような書き方をすれば、読みやすい文章になるのでしょうか? 同一情報をバラバラに書くのではなく、まとめて書けばいいのです。

 

【例文1の修正文】

「田舎」の魅力をアピールする旅館につき、周辺にはレジャー施設や観光地がほとんどありません。居酒屋やカフェなどの飲食店も、半径10Km圏内にはありません。一方、誇れるものといえば、豊かな森と清流、それに、都会では決して味わえない「おいしい空気」。天気のいい日の夜に見える満天の星も、一度は味わっていただきたいです。

 

 

情報を①→②→❶→❷の順、つまり、<田舎にないもの>→<田舎にあるもの>の順に並べたこの文章であれば、ストレスなく読むことができます。

 

ちなみに、この修正文では、<田舎にないもの>から<田舎にあるもの>へ移る場面に「一方」という接続詞を置き、情報の区切りをより明確にしました。

 

■情報がデコボコした実務文は、ミスやトラブルの元凶!

 

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もちろん、仕事で使う実務的な文章でも、「デコボコ文章」は厳禁です。

 

【例文2】

誠にお手数ではございますが、先日発注した商品Aを商品Bへ変更いただけますでしょうか。また、別途、商品Cを80個、追加注文したく存じます。なお、商品Bの数量は60個でお願いします。

 

おそらく、書いた本人に悪気はないのでしょう。しかし、この「デコボコ文章」では、意味を取り違えるなど、読む人が混乱を来しかねません。

 

【例文2】

誠にお手数ではございますが、先日発注した商品Aを商品Bへ変更いただけますでしょうか。また、別途、商品Cを80個、追加注文したく存じます。なお、商品Bの数量は60個でお願いします。

 

この場合、商品A&Bの情報は同一です。商品Cは別情報です。冒頭で商品A&Bについて書いてから、商品Cの情報が登場します。問題はそのあとです。商品Cの情報のあとに、再び商品Bの話に戻ってしまいました。

 

このような書き方をした場合、読み手が文章を見誤って「商品Cを60個用意する」といったミスが生じる確率も高まります(正しくは商品C=80個です)。危うい文章と言わざるを得ません。

 

【例文2の修正文】

誠にお手数ではございますが、先日発注した商品Aを商品Bへ変更いただけますでしょうか。商品Bの数量は60個でお願いします。また、別途、商品Cを80個、追加注文したく存じます。

 

同一情報同士をまとめたこの書き方であれば、読む人の誤読や誤解や招く心配はありません。

なお、文章が長くなればなるほど、書き手自身が「情報の分断」に気づきにくくなります。長文を書くときは、「同一情報をまとめて書く」という意識を、より強くもちましょう。

 

■同一情報がバラバラに登場する「デコボコ文章」への対処法とは?

 

同一情報をまとめて書ける人は、あらかじめ頭のなかできちんと情報を整理できている人です。一方で、同一情報がバラバラに出てくる「デコボコ文章」を書いてしまう人は、頭のなかで情報を整理できていないか、あるいは、文章作成中に思いついたことを、好き勝手に書いてしまう人です。

 

こうした原因を勘案すると、「デコボコ文章」をなくすための対処法は以下のふたつです。

 

対処法①:事前に情報をまとめてから書き始める

対処法②:書き終えたあと、文章を見直す

 

幸いにも、会話と違って文章の場合は、書き終えてからも修正することができます。同一情報がバラバラに書かれていることに気づいたときは、そのまま放置せずに、同一情報同士でまとめてあげましょう。同一情報をまとめて書ける人は、読む人に余計な負担をかけない人です。

 

著者:山口拓朗

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『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則』著者。

 伝える力【話す・書く】研究所主宰。「伝わる文章の書き方」や「メールコミュニケーション」「キャッチコピー作成」等の文章スキルをテーマに執筆・講演活動を行う。著書に『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(日本実業出版社)『書かずに文章がうまくなるトレーニング』(サンマーク出版)『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則』(明日香出版社)他がある。モットーは「伝わらない悲劇から抜けだそう!」。

 

山口拓朗公式サイト
http://yamaguchi-takuro.com/

印象アップ&気合チャージに効果てきめん!ビジネスに効く顔ヨガ特集

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やる気をアピールしているはずなのに上司に伝わらない、大事なプレゼンなのに声がうまく出ない…。そんな悩み、実は顔の“表情”が原因かもしれません!

顔ヨガ講師・間々田佳子さんによると、「自分がいまどんな表情をしているのか」を意識するだけで、周りからの反応がグッと変わってくるのだそう。

今回は疲れが取れるうえにポジティブになり、なんと仕事もうまくってしまう!? 

ビジネスで役立つ顔ヨガを間々田さんにうかがいました!

表情が明るくなると、つられて心もポジティブに!

実は間々田さんご自身も顔の印象に悩んでいた時期があり、顔ヨガを始めたことで「以前の私の顔は運動不足だったんだ」と気づいたとのこと。

 

「ただし、表情ができていない状態で“なんとなく”笑ったとしても周りには伝わりません。運動の前に準備運動をするときと同じように、顔の筋肉も事前の準備運動が必要です。普段から表情筋を鍛えることで、自然と表情をコントロールできるようになっていきます。そして『大事な発表の場だから、頰をもう少し持ち上げて印象を良くしよう』と、場面に応じて表情と一緒にメンタルも切り替えることができるんですよ」

最近では企業の研修にも取り入れられているという顔ヨガ。顔の筋肉を活性化させることで、印象が良くなるだけではなく、メリハリのある話し方になるというスキルアップ効果も。

さっそく、間々田さんオススメの「ビジネスに効く顔ヨガ」を実践してみましょう!

落ち込んだメンタルに効く! 明るい表情を作るポジティブ顔ヨガ

上司に怒られたときや仕事に失敗してしまったとき、誰でも表情がどんよりと暗くなってしまいます。そこでググッと頬を上げる顔ヨガで、メンタルも一緒に上向きにしていきましょう。

◼︎「おだんごロック」のポーズ

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まず下の歯を見せず上の歯だけを見せて口角を上げて頬を持ち上げ、そのまま5秒キープ。

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親指と人差し指で輪を作り、下から頬の“おだんご”を持ち上げてさらに持ち上げて10秒キープ。目はしっかりと開けたままおこないましょう。

◼︎「おいしい顔」のポーズ

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同じく口角を上げ、上の前歯を8本見せて笑います。このとき、口角の筋肉を意識しましょう。 

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喉の奥から舌を出してきて、舌先を上に向けます。そして端から端まで交互にゆっくりと舌を移動させていきます。

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舌先を移動させているとき、口角が下がらないように注意しながら、三往復おこないましょう。

こうした動きによって、頬の筋肉と口角が上がった状態を筋肉が記憶し、自然と明るい表情になっていきます。また、また舌筋を動かすことで滑舌が良くなるうえに声の通りがよくなるという効果も!

「心に余裕が無い人が笑顔になっても、どこか硬い表情になってしまいます。そうしたとき顔ヨガをおこなうことで表情が柔らかくなり、気持ちを落ち着けることもできるという、良いサイクルが生まれますよ」と間々田さん。

疲れが取れて好印象フェイスに!一石二鳥なスペシャル顔ヨガ

続いて、「眠気」「ダルさ」「顔のむくみ」、それらを一気に解消してくれる万能顔ヨガをご紹介!さらに、「リクナビNEXTジャーナル」だけの特別版も披露していただきました。

◼︎「あっかんべー」のポーズ

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目線だけを上に上げて天井を見ます。目は大きく開きましょう。額にシワを寄せないように注意して。

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舌を思いっきり下方向に出し、口から息を「ハーッ」と吐き出し、舌を戻して鼻から息を吸います。これを3回繰り返してみましょう。

舌は喉やインナーマッスルとつながっているため、思いっきり舌を出すことで内臓や血流・リンパの流れを刺激!

◼︎スペシャル版:「おでこロック+目ワイパー」のポーズ

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額を手で押さえ、横に引っ張ってひろげます。これによって額に「動かない状態」を覚えさせながら、目を大きく開けましょう。

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そのままぎゅっと目を閉じます。このときも額を動かさず、目の周りの筋肉だけを使うことを意識します。

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ふたたび大きく目を開き、目線を遠くにしながら右→上→左→上→右と、ワイパーのように動かします。

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黒目を左右に動かす目ワイパーは、ドライアイにも効果てきめん!

「この一連の動きで目もとの疲労が解消されるうえ、最高の目ヂカラアップになりますよ!」と間々田さんの太鼓判もいただきました。

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額にシワがよってしまうのはNG!手でしっかり額を押さえて伸ばし、動かないようにしましょう。

「疲れ顔」や「緊張グセ」を顔ヨガで打破!

「『顔ヨガをするとシワができるのでは?』という声もありますが、顔ヨガは表面を伸ばすのではなく、内側の筋肉を柔軟にしていくため、シワが増えることもありません。」とのこと。

「いつも疲れた顔になりがち、人前に立つと顔が引きつってしまう、そんな人こそ顔ヨガをやってほしいです。」と間々田さんは語ります。

自分の表情をコントロールすることは感情のコントロールでもあり、気分が落ち込んでいたとしても表情が笑っていれば、心も自然とポジティブになるといいます。

表情だけでなく内面もグッと上向きになる顔ヨガで、印象&スキルアップを目指しましょう!

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プロフィール

間々田佳子

顔ヨガ講師・顔アスリート/アルゼンチンタンゴダンサー兼講師。2010年アルゼンチンタンゴダンス世界選手権アジア大会優勝。「顔も体と同じように鍛えられるはず!」と2010年、顔ヨガ講師資格を取得。テレビ、雑誌、新聞などのメディアや講演などでも活躍中。著書はAmazon総合ランキング2位になり、10冊累計46万部を超え大ヒット。顔ヨガ協会  

 <WRITING>伊藤七ゑ <PHOTO>岩本良介

仕事の効率をアップ!「集中」するための6つのダンドリ

「労働時間を短縮し、生産性を上げる」。そんな目標を掲げる職場が増えています。
効率化の仕組みを整える一方、個人に対しても「業務の効率化」が求められるようになっていますが、中には「気が散って1つの仕事に集中できず、テキパキとこなせない」と悩んでいる人もいるのはないでしょうか。

そこで、『仕事ができる人の『集中』する習慣とコツ』の著者である石井貴士氏に「集中するコツ」をお聞きしました。

石井氏によると「『集中力がない人』はいない。そもそも『集中力』というのは存在しない概念。『集中状態』か『非集中状態』かということであり、誰しも『集中状態』に入ることができる」といいます。では、集中状態に持っていくためには、どういう行動習慣を付ければいいのでしょうか。

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1日を3分割し、仕事内容によって行う時間帯を変える

1日のうちで脳が一番活性化するのは午前中。午後、夜にかけて働きが鈍くなっていきます。それをふまえると、仕事の内容によって、仕事を次のように振り分けるのが理想的です。

午前中…企画や戦略を考えるなど、1人で集中して行う仕事
午後…打ち合わせや会議など、複数人でする仕事
夜…会食、社外の人に会うなど、集中を必要としないこと

仕事にとりかかるとき、重要度の順に片付けていこうとしがちです。一見もっともですが、集中状態に入れば1分でできるかもしれないことを、集中できない時間帯に行うのは非効率。1日をトータルで考えて、午前中にすべきこと、午後にすべきことを考えてから1日の仕事をスタートさせることを意識してみてください。

自分の「ゾーンタイム」を設定。90分単位で区切る

もちろん、職場や職種によって、集中しやすい時間帯は異なるでしょう。「午前中に電話応対が集中する」「午前中に会議が組まれる」など、先に挙げたような時間の使い方ができないケースもあります。

そこで、自分が集中状態に入る「ゾーンタイム」をあらかじめ決めておくことをお勧めします。例えば「9時から11時までの2時間」「10時から14時までの4時間」というように。

「この時間内に集中して○○を片付ける」と決めることで、気持ちが高揚し、身体が動くもの。これを毎日のゾーンタイムとして習慣づけると、身体になじんで、集中状態に入りやすくなります。

最初は短時間で設定し、慣れてきたら時間を伸ばしていってもいいでしょう。そのうちに、長時間、集中状態を保てるようになります。

なお、集中には周期があり、15分程度ごとの波を繰り返します。小学校の授業は45分で設定されていることが多いですが、3回の集中の波に応じて、学習にメリハリをつける意図があります。集中状態を続ける限界は90分と言われます。90分経過したら、少しでも休憩をとったほうが、次のゾーンに入りやすくなります。

「やることリスト」を書いてから仕事にとりかかる

出社していきなり仕事にとりかかる人もいらっしゃいます。このように「行き当たりばったり」で仕事をしていると、仕事が途切れた瞬間に集中も途切れます。そうならないために、朝はまず最初に「やることリスト」を作成しましょう。

今日は何をするのかという全体像を描き、その中で、今自分が何をしているかを客観的に把握することが大切です。

「頭でわかってるから書く必要はない」と思っているかもしれませんが、それだと、仕事をしながら「他にあれもしなければならない」と、目の前の仕事以外に気をとられることに。結果、集中がそがれ、作業スピードが落ちることになります。

意識が散漫にならないようにするためには、目の前の仕事以外の項目は紙に書いて、一旦忘れるようにしましょう。そして、やることリストは常に持ち歩くこと。そうすることで何をすべきか忘れず、1日を送れます。

「やることリストを書いている時間があったら早く仕事にとりかかったほうがいいのでは」と思うかもしれませんが、1日の全体を通すと、この作業をしておくことで結果的に多くの作業をこなすことができるはずです。通勤電車の中で作成しておいてもいいでしょう。

その日の「2大目標」を決める

毎日、やることを最速で終えるために、「2大目標」を立てましょう。「今日はこれだけやればいい」という1つだけの目標はNG。3つ以上の目標を掲げるのもお勧めできません。

その効果を、わかりやすく勉強に例えてみましょう。

「今日は英語と数学をやる」という2つの目標を立てたとする。英語をやっているうちに行き詰まることも。そのとき、数学が待っている。数学を解いていると、答えが導き出せないことも。すると、逃げ場として英語が用意されている。そういう状態を作ると、1日を終えたとき、英語と数学の両方を勉強するという目標が達成されていることになります。

しかし、「今日は英語だけ勉強する」と決めた場合、行き詰まったとき、勉強自体しなくなってしまいます。もちろん、勉強と会社の仕事では質が異なりますが、集中状態を維持するという観点では、この方法が応用できます。

仕事で2大目標を設定してみてください。できれば、この2つはなるべくかけ離れた業務がいいでしょう。例えば、「外回りをする/企画書を作成する」「資料をまとめる/3人のお客さまに電話する」といったようにです。

「やることリスト」にはもっと多くの作業項目があるでしょうが、あえて優先順位が上位のもの2つを決めてください。その2つが達成されると、達成感も得られ、次の日にも集中状態に入りやすくなります。

「雑用」をウォーミングアップに使う

「やることリスト」のうち、大切なことから順番にこなしていこうと考えがちです。
しかし、優先順位と着手すべき順位は異なります。すぐにできるような雑用から始めるほうが効率的です。

なぜ一番大切なことから始めないのかというと、助走をつけてからでないと「ゾーン」に入りづらいからです。10分程度は雑用をして過ごし、ウォーミングアップをするといいでしょう。

やることリストを書き出した際、簡単に終わらせられる雑用に「1」と書いて、そこからとりかかることをお勧めします。

「助走」として適している作業の一つが「メール返信」。助走の役割を果たすだけでなく、朝一番でメールを送っておけば、相手が一番に自分のメールを見てくれる可能性があります。

ただし、「ゾーンタイム」を午前中に設定した場合、午前中にメールの応酬をするのは好ましくありません。午前中にメールが返ってきたとしても、急ぎの内容でない限り返信は14時以降に行うと決めておくくらいのほうが集中しやすくなります。

キリの悪いところで終わらせる

「ここまでやればキリがつく。キリのいいところまでやって今日は終わろう」。
そう考える方は多いでしょう。

しかし、集中しやすくするという点では、「あえてキリが悪いところで仕事を終える」という習慣をつけるほうが望ましいのです。

キリがいいところで仕事を終えると、翌日、ゼロから重い腰を上げて仕事にとりかからなければなりません。しかし、前日から「あれがまだ終わっていない」と思いながら翌日を迎えると、すでに助走がついている状態からすぐにトップスピードに乗れるというわけです。

気分はスッキリしないかもしれませんが、エンジンをかけっぱなしにしておくことも、集中を高い状態に持っていくには有効です。

 

――このように、ほんのちょっとしたダンドリによって集中しやすくなり、作業がはかどるものです。自分に合ったやり方から取り入れ、習慣化してみてはいかがでしょうか。

 

石井 貴士/作家、(株)ココロ・シンデレラ 代表取締役

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1973年生まれ。高校2年のときに、「1秒で目で見て、繰り返し復習すること」こそ、勉強の必勝法だと悟る。代々木ゼミナール模試・全国1位(6万人中1位)、Z会慶応大学模試・全国1位を獲得し、慶應義塾大学経済学部に合格。大学卒業後はテレビ局のアナウンサーとして活躍。在職中に、突然、「無職からスタートしてビッグになったら、多くの人を勇気づけられるはず!」と思い立ち、退職。世界一周旅行に出発し、27カ国を旅する。帰国後、日本メンタルヘルス協会で「心理カウンセラー資格」を取得。2003年に(株)ココロ・シンデレラを起業。現在、1冊を1分で読めるようになる「1分間勉強法」を伝授する一方で作家活動も展開。累計63冊、200万部を突破するベストセラー作家になっている。主な著作に、『仕事ができる人の『集中』する習慣とコツ』(すばる舎リンケージ)、『本当に頭がよくなる 1分間勉強法』(KADOKAWA/中経出版)ほか。

 

EDIT&WRITING:青木典子

 

プレゼンテーションは次郎さんから学びました

こんにちは、Omsubi(オムスビ)のハブチンです。

プレゼンテーションの勉強をしたことがある人なら、きっと一度は参考にしたこがあるだろう、スティーブ・ジョブズのプレゼンテーション。まだ観たことない方がいたらぜひ観てほしいのが、2007年に行われたiPhoneの発表です。

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神妙な面持ちでスクリーンにゆっくり近づき、ちょっとためてつぶやく。

「2年半、この日を待ち続けていた。」

その瞬間、僕はスティーブジョブズに引き込まれていく。
『な、なにを待ち続けていたんだ!(ゴクッ)』

「数年に一度、すべて変えてしまう新製品があらわれる。アップルは、Mac、iPodという革命的な製品を世に送り出してきた。そして、本日、革命的な新製品を3つ発表する」

まだまだタメていく。スティーブジョブズはジラシも天才だ。じらさまくって聴衆のテンションは最高潮。このあとの展開は詳しくは動画をご覧いただきたいが、私は思った。

『こんな感じでプレゼンテーションしたら気持ちいいだろうなぁ!!』

惜しみのないドヤ顔と拍手。舞台袖に戻って思わずガッツポーズして、今夜は美味い酒が呑めるぞなんか言ったりして。妄想は膨らむばかり。

 

その後もスティーブ師匠のプレゼンテーションを見よう見真似で覚えて、とうとう自分のプレゼンテーションの機会がやってきた。

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タメにタメまくって、惜しみのないドヤ顔を決める。
しかし聴衆はノーリアクション。あれ?シュミレーションと違う。想定外のトラブルに汗がダラダラ吹き出て、伝わらないから補足しようと言葉に言葉をかさねてよくわからなくなっていく。プレゼン途中で、終了の合図。

ご静聴申し訳ございませんでした!

 

その時、悟りました。あっ自分は「スティーブ・ジョブズ」ではなかったと。電話もなにも再発明しておりませんでした。意気消沈な帰り道、電車のなかでSNSで友達がシェアしていたYoutubeの動画をひらく。

『千葉次郎の挑戦』千葉二郎さん?名前も知らないまま動画が始まる。

www.youtube.com

電車のなかで号泣。
もしこれが女性だったら心配して声をかける男性もひとりやふたりいるかもしれないが、どこぞのわからない兄ちゃんが泣いているときは、どうかそっとしてあげてほしい。

千葉次郎さん(以下次郎さん)に感動した。しかしサックスで福山雅治の「家族になろうよ」を演奏するのだが、しょっぱなから音を外している。このままでは家族になれないはずなのに、どうしてこんなにも心を動かされるのだろうか。

(以下、動画をご覧いただいた後でお読みいただけると幸いです)

 

想いやストーリーがある

お父さんが結婚式で「ふたりを驚かせたくて」新郎新婦に秘密で音楽教室に通いサックスを習う。習いたてのサックスを一生懸命演奏するお父さん。たとえ音を外していたとしても、サックスを短期間で学んだことがすごいし、最後までやり抜く姿に心をうつ。誰かのため何かをする、それが特定の誰かであればあるほど伝わっていく。

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「俺の演奏を聴いてほしくて」というスナックのカラオケではない。でも自分のプレゼンテーションは「俺の話を聴いてほしくて」になっていた。誰のためにプレゼンテーションしていたのだろう、改めて考えるようになった。

 

言葉で説明ではなく体験で表現する

動画の中で次郎さんは一言も言葉を発しない。演奏するだけ。演奏という体験だけで表現する。たとえ音を外していても、想いやメッセージは伝わる。料理は食べてみてはじめてわかる、レシピをどれだけ眺めても美味しいかどうかわからない。

でも自分のプレゼンテーションは、きっとレシピを説明しようとしていた。新しいアイデアであればあるほどイメージをしてもらうのは難しい。最低限でもいいから、体験できるもので語るということを意識にするようになった。

 

自分以外の誰かが語ってくれる

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動画で新婦さんが涙ぐんだとき、一番ジーンとしてしまった。全く知らない商品を、営業マンの説明をいくら聞いても欲しくないけど、友人が推薦されたら買ってしまうのと同じかもしれない。

でも自分のプレゼンテーションは、営業マンのセールスだった。説明に説明を重ねれば重ねるほど、嘘くさくなっていく。プレゼンテーションは一方的に発信するものではなく、聞き手や顧客と対話しながら作られていくものと思った。


次郎さんの動画はプレゼンテーションのノウハウについての動画ではないけど、プレゼンテーションにとって大切なことを教えられた気がした。

 

想いやストーリーがある。
言葉で説明ではなく体験で表現する。
自分以外の誰かが語ってくれてる。

 

あとでスティーブ・ジョブズの動画を見返したら全部やっていた。

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【筆者プロフィール】羽渕 彰博(ハブチン)
1986年、大阪府生まれ。2008年パソナキャリア入社。転職者のキャリア支援業務、自社の新卒採用業務、新規事業立ち上げに従事し、ファシリテーターとしてIT、テレビ、新聞、音楽、家電、自動車など様々な業界のアイデア創出や人材育成に従事。2016年4月独立。

寝たきり高齢者を減らしたい!~若手医師夫婦が「認知症カフェ」で目指す未来

「認知症カフェ」というものを、ご存じだろうか?認知症患者やその家族、地域の人々、そして医師や看護師、介護福祉士などといった専門家が、認知症に関する情報を交換したり、交流を図ったりする場所のことだ。

認知症カフェは、厚生労働省による「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」の施策として掲げられており、開催件数が全国で急増している。

そんな中、「認知症についての正しい知識を、もっと多くの人に持ってほしい」との思いから、認知症専門外来を持つクリニックを開業し、月1回ペースで「認知症カフェ」を開催し続けている若き医師夫婦がいる。認知症にかける2人の情熱の源泉と、実現したい未来について聞いた。

 

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目白MMクリニック
院長・内田暁彦さん/副院長・小野寺加奈さん

1日でも長く「その人らしい生活」を送るためにも、認知症を正しく理解してほしい

 7月上旬、東京・目白にある介護付有料老人ホームの一角を借りて、目白MMクリニック主催の「認知症カフェ」が開かれた。参加者は約20名、認知症の患者とその家族、認知症への不安を抱えている高齢者、親の介護に悩んでいるミドル世代などだ。

 この日は、認知症についての簡単な講義と、言葉のパズルゲーム、そして体操。認知症に関する不安や悩み、困ったことなどを自由に話し合う時間も多く取られ、皆活発に語り合っていた。そして笑顔で「また来月!」と帰っていく姿が印象的だった。

 中心に立ってプログラムを進めたり、参加者と交流するのは、認知症専門外来を持つ「目白MMクリニック」の内田院長と、小野寺副院長夫婦だ。

「物忘れや無気力など、認知症の前兆が見え始めても、歳だから仕方ないと加齢のせいにしてしまう方が多い。生活習慣を見直すだけでも発症率はガクンと下がるのに、認知症に関する知識がないことで対応が遅れ、精神症状が悪化し、対応し切れないままに最終的には寝たきりになってしまう方も多い。『その人らしい生活』を長く送るためにも、まずは正しい知識を持ってほしい」(小野寺さん)との思いから、認知症カフェをスタート。今回が6回目の開催になるが、徐々に参加者が増えつつあるという。

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▲「認知症カフェ」の模様。認知症についてざっくばらんに話し合うことで、認知症への理解につなげている

医療現場で「医師がもっと認知症に関する理解を深めるべきだ」と痛感

 2人とも医大を卒業後、初期研修で精神科の道を選び、その現場で「認知症問題の深刻さ」を目の当たりにしたという。中でも小野寺さんは、早くから認知症に特化し、経験を積んできた。

「認知症の初期症状の一つとして精神的に不安定になることがあるため、精神科には高齢者の患者さんがたくさんいらっしゃいました。でも、当時の精神科では、認知症に対する理解が今ほど進んでおらず、ほかの精神疾患の患者さんと同じように精神症状を抑える薬を投与することが多かったんです。すると、場合によっては薬が強すぎて、精神症状は抑えられたものの寝たきりになってしまうというケースがありました。…実は認知症は、未だに『どの科が診る』という規定がなく、病状によって神経内科だったり精神科だったり、脳外科、内科だったりとまちまちなのですが、精神科の医師こそがもっと認知症という病気を正しく理解するべきだと痛感させられました。そこからは、認知症一筋。さまざまな病院で現場経験を積み、認知症に関する知見を深めてきました」(小野寺さん)

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 夫である内田さんは、「暇さえあれば認知症のことばかり話している」という小野寺さんの影響を大いに受けたというが、精神科医として現場で活躍する中で「自身の経験は、認知症の分野でこそ活かせるのではないか」と強く思うようにもなったという。

「勤務先の病院には、もう何十年も入院している精神病患者が数多くいました。社会生活を送るのが不安だから、家族がいないからなどの理由で、漫然と入院生活を送っている。でも、人として生まれたからには、病院の外で生活できるのであればそのほうが絶対に幸せ。そこで、患者さんの不安を一つひとつ聞き出し、自立した生活を送るためのプランを考え、福祉サービスなどのサポートの利用を手配したりグループホームを利用するなどして、『病院外での生活』をしていただくことに力を注ぎました。その結果、外来で病院に見えた時、皆さん『勇気を出して退院して良かった』と笑顔でおっしゃるんです。とてもやりがいを覚えましたね」

 そんなある日、「これは認知症患者においても同じではないか」と気付かされた。

認知症だからと家に引きこもってしまうとどんどん症状は悪化してしまうため、早い段階できちんと診断して、今後の見通しを示しながらケアの方法を考えることが大切です。ここに精神科医として注力してきた経験が活かせると思いました。今までにたくさんの認知症患者を診てきましたが、認知症患者が急増する中で認知症に特化した治療やケアの必要性は高まる一方。自分こそがやらねば!という思いにかられたんです」(内田さん)

10年後には65歳以上の3人に1人が認知症。若い人も決して他人事ではない

「自分がやらねば」と決断してから開業までは早かった。認知症のプロフェッショナルである小野寺さんとともに今年3月にクリニックを開業し、認知症カフェを企画・開催するなど認知症の治療や啓もうに情熱を注いでいる。来院者の半数は、認知症治療もしくは認知症に関する相談が目的。「開業当初に来院くださった患者さんの表情が、診察に来るたびに明るくなる。それを見るのが何より嬉しい」と2人は声を揃えて言う。

「認知症は、早期に治療開始することで、自宅で、その方らしく暮らせる期間が確実に延びます。われわれ医師がどんどん表に出て情報発信することで、少しでも認知症に対する意識を持ってもらいたいですし、『気になることがあれば相談すればいいんだ』と思ってもらいたいですね」(内田さん)

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 10年後には、認知症患者は700万人を突破すると予測されている。65歳以上の5人に1人は認知症という計算だ。さらに、MCI(軽度認知障害)と呼ばれる「認知症予備軍」を入れると「65歳以上の3人に1人」に跳ね上がる。なお、MCIと診断されると、5年以内に約半数が、7年以内に約8割が認知症になるとされている。

 これだけ認知症患者が増えれば、20代、30代の若手ビジネスパーソンにとっても、決して人ごとではない。

「認知症なんて自分には関係ない、人ごとだと捉える方が多いかもしれませんが、ご両親の世代はどうでしょうか?親が発症し、急に“当事者”になって慌てふためき、仕事も生活もガタガタになってしまうという方が実に多いのです。おかしいと思ったら、早めに我々のような専門の医療機関を受診することをお勧めしたいですね。認知症カフェにも、若い人こそもっと気軽に足を運んでほしいと思っています」(小野寺さん)

 認知症の中でも最も多いと言われているアルツハイマー型認知症は、βアミロイドという蛋白質が脳神経細胞に蓄積されることが原因とされているが、早い人は40歳ごろから蓄積が始まると言われている。若いうちから運動やバランスのいい食事、生活を心掛けることが、将来発症するか否かを大きく左右する。つまり親世代だけでなく、「当事者」としても、決して他人事ではないのだ。

まずは『認知症は決して他人事ではない』と認識してもらえるだけでも、社会は変わると思っています。若い方が認知症に意識を向けてくれれば、患者に対する見方も変わり、引きこもりがちな患者も今より外に出られるようになるでしょう。そしてゆくゆくは、認知症を地域で支えあう社会の実現につながればと願っています」(内田さん)

 

EDIT&WRITING:伊藤理子 PHOTO:刑部友康