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「〇〇があれば、細かいルールを気にしない勇気があっていい」女流落語家・立川こはる

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女性には向かない仕事――。「落語家」は、長らくそう言われていた職業の一つである。女流落語家がまだほとんどいなかった時代に、落語界の門を叩き、立川談春の一番弟子となった立川こはる。彼女が門を叩いたのは「女性は落語に向かない」と公言していた立川談志を家元とする立川流だった。なぜ、あえて厳しい道を選んだのか。女流落語家の生きざま、ロングインタビュー。

 

トビムシの研究をやめて落語の道へ

――落語に興味を持ちだしたのはいつからですか?

ありきたりなんですが、大学入学時の落語研究会への勧誘です。落語にはまったく興味はなかったんですが、「ラーメン食べない?」と声をかけてきた先輩たちの人柄や雰囲気にひかれてしまって。キャンパス内にゴザを敷いて、着物を着ている怪しい集団でしたが(笑)。

1年目は、寄席に行っても正直それほど面白いと思えず、落語にあまり興味を持たないまま、塾講師のアルバイトにばかり精を出していました。それが、2年生のときに落語研究会に同学年のメンバーがいなくなってしまい、「部の存続にかかわるので辞めないでくれ」と先輩にお願いされまして。落語をちゃんと聞くようになったのは、それからなんですよ。

 

特にハマりだしたのは、都内の上野鈴本演芸場で開催している早朝寄席を見てからです。毎週日曜に、二つ目が4人も出演するのに、木戸銭(入場料)は、500円なんですよ。当時の早朝寄席には、今は真打としてばんばん活躍している柳家三三師匠や、入船亭扇辰師匠、三遊亭歌奴師匠、桃月庵白酒師匠などが出演されていて、ライブならではの面白さに、どっぷりハマっていきました。

やっぱり、ライブだと落語の面白さが全然違うんです。同じ演目なのに、演じる噺家によってセリフや雰囲気が全然変わる。同じ噺家でも、当日の客席の雰囲気に応じて、演じ方を変えてきたりもするんですよ。

例えば客席に子どもがいると、大人向けの話に入ったときには、「ああ、子どもがいたよ。坊や、この言葉の意味は調べない方がいいよ」なんて言うと、周りがどっと笑う。演劇みたいにできあがった作品を鑑賞するのではなく、ジャズみたいな即興に近い双方向のコミュニケーションが面白くて、どんどんハマっていきました。

 

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――週に何回ぐらい通っていたのですか?

好きな噺家が10日間寄席に出ると聞けば、10日間連続で見に行っていました。もともとオタク気質なところもあって、ハマるととことんハマるんですよ。大学では、農学部でトゲトビムシの細胞培養にチャレンジしていたんですが、好きな噺家さんが寄席に出るときは、午後の実験をぴゃーっと抜け出していました。

研究室でも、当初はミスチルとか聞いていたのが、いつの間にか落語や浪曲のCDを聞いていましたね。3年生では、かなりの落語マニアになっていましたね。

 

私の師匠である立川談春の落語を初めて聞いたのもこの頃です。談春師匠の落語を聞いて、初めて「落語家になりたい」とも思いました。「らくだ」「富久(とみきゅう)」「文七元結(ぶんしちもっとい)」といった、いわゆる大ネタを目の前で演じている迫力が、もう、本当にものすごかったんですよ。

それまで、落語は気軽にゲラゲラ笑いながら見るものだったんです。それが、談春師匠の落語では、息もできないぐらい気迫に押されてしまって、会場から表に出たときに、ようやくため息ができる感じなんです。

「なんなんだ、これは…!?」という衝撃でしたね。

 

――そのときから、落語家を本気で目指した?

いや、最初はやはり躊躇していました。今でこそ、女流の落語家も30人ぐらいいますが、当時はまだほとんどいない時代でしたから。寄席は途中の出入りは自由なんですが、女性の噺家の出番になると、お客さんはたばこ休憩に行ってしまったりする。そういうのも見ていたので、「女性はやっぱり厳しいんだ」と、どこかで諦めていました。

就職活動の時期には、はじめ塾講師になろうと考えていたんですよ。学生時代は、ずっと塾講師のアルバイトをしていて、落語で学んだ「しゃべる」技術が生かせると思って。ただ、頭の片隅では、ずっともやもやしたままで、いざ内々定の電話をもらったときに、「このまま人生が決まってしまうのか」と躊躇して、その場で内々定を断りました。

どうしようか悩みましたが、トゲトビムシの研究も面白かったので、モラトリアム期間のように、そのまま大学院に進学しました。朝一番に高尾の森林総合研究所にトゲトビムシを集めに行って、午後少し昼寝をして、研究したり、落語を見に行ったり、塾講師に行ったりという日々を過ごしていました。

 

そんな中で、やはりどうしても落語家への道があきらめきれず、2年生に進学するのを機に、大学院を中退しました。落語家は、見習いと前座時代はほとんど収入がない状態になるので、大学院の授業料を払うぐらいなら、手元に生活資金として残しておきたかったんです。

「弟子にやさしい一門はどこか」「修業がしやすい一門はどこか」といった話も耳には入っていましたが、落語家になるなら師匠は立川談春以外には考えていませんでした。「落語家になりたい」というよりも、談春師匠の落語を学びたかったんです。談春師匠に弟子入りできなければ、落語家を諦める覚悟で大学院退学と同時に弟子入りを志願しました。

修業時代は「どうすれば相手が喜ぶか」を徹底的に学んだ

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――弟子入り志願は、スムーズに受け入れてもらえたのですか?

最初は、断られました。そもそも、談春の師匠である立川談志は「女性は落語家にふさわしくない」と常々公言していましたし。男性による男性のための芸として受け継がれてきた落語を女性が演じるのは、宝塚劇団に男性が入るぐらいの不自然さだと。

それでも、絶対に談春師匠の下で落語を学びたいと粘って、2006年3月31日、新宿末広亭の「余一会」で、初めてかばん持ちをさせてもらいました。そこから見習いとしてかばん持ちや、着替えの手伝い、着物の畳み方や、楽屋での立ち居振る舞い、出囃子の太鼓などを覚えさせてもらいました。

7か月後に「立川こはる」の名前を頂き、「前座」となってからは、他の師匠方の手伝いにも行かせてもらいました。落語の世界では、「見習い、前座は人にあらず」なんて言ったりします。作法をやさしく教えてもらえる世界ではありません。ミスをすれば「バカヤロウ」「出てけ」「やめちまえ」と日常的に言われる世界です。

 

師弟関係は、上司と部下という関係ではないので、「教える」というより、たぶん「しつける」感覚に近いんだと思います。重宝されるのは、邪魔にならず、気が利いていて、今すぐに使える人間です。

前座時代は他の師匠方に付いている先輩落語家のアニさんたちにもいろいろと作法を教えてもらいました。アニさんたちは、本当によく気が利いていて、下足を並べるにしても、誰の下足をどこにどう並べるかの一工夫があるし、杖を突いた師匠が来れば、さっと椅子を出す。その機微はたくさん勉強させてもらいました。センスがいい人は、楽屋働きはどんどんできるようになりますね。


――「センスがいい」人は、何が秀でているのでしょうか?

「どうすれば、相手が喜ぶか」を常に考えているんだと思います。楽屋にはケイタリングのおしぼりが置いてあるんですが、夏の暑い日なら、おしぼりを冷蔵庫に入れておこうとか、寒い日なら暖かくして出そうとか。

師匠ごとに着物の畳み方や、好みのお茶も違うけれども、ただ、決まりきったやり方に従うだけじゃなく、どうすればもっと相手を喜ばせることができるかを考えて実行している。その加減だと思います。

まあ、最初の頃は、良かれと思ってやったことでも、師匠方が求めていることには当てはまらずに怒られたりもしましたけどね(笑)。

 

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――見習い、前座の修業期間は、何が一番大変でしたか?

大変だったことは挙げればきりはないですが、強いて言うなら「時間」の感覚でしょうか。学生時代は、研究やアルバイトのスケジュールは事前にわかっているので、ある程度ルーチンで動ける。それが、入門してからは、24時間どんな呼び出しの電話がかかってくるかが分からない。

実は見習い時代に、隠れてアルバイトをしていたんですが、シフトの日でも師匠から「来い」と言われれば、絶対に断れません。前座になれば、たくさんの師匠方のお手伝いをさせていただけるようになる半面、呼び出される機会も多いので、アルバイトどころか、ほとんど自分の時間は持てなくなりました。

大変でしたが、それでも当時、談志家元に落語を聞いてもらえたのは、貴重な財産だと思います。まだ前座の落語なのに、じいっと聞いてくれて「おう、口調はいいね」と褒めてもらえた。「女性はだめだ」と言われ続けていた時代に、一つでも談志家元に褒めてもらえたことがあるのは、もう宝物のような感覚です。

 

1年ほど、家元の出囃子の太鼓係もやらせてもらってたんですよ。それが、ある日「おい、こはる」と名前を呼ばれまして。前座が家元に名前を呼ばれるなんて、そうないことなので、緊張しながら駆けつけると「…お前、女だったのか?」と聞かれまして(笑)。

確かに、入門と同時に髪もバッサリ切って、男の子っぽい恰好ではありましたが、まさか女だと気がついていなかったとは…。「はい」と答えたもの、こちらもどうしていいか分からない。家元からは、本当にいろいろと思い出を頂きました(笑)。

スケジュールぎっしりの多忙な日々

――どうすれば、前座から二つ目に昇進できるのですか?

立川流の場合は二つ目になるには、落語50席の他に、かっぽれや三味線、都々逸、太鼓などの歌舞音曲(かぶおんきょく)を覚えます。他にも軍記物を勇壮に語る講談も、素養として最低限は身に着けるように言われます。

それを身に付けたうえで、談春師匠に「二つ目になりたい」と伝えますが、別に「じゃあ、この日に試験をやるよ」と、日を指定されるわけではありません。落語50席のうち、いつどれを言われても演じられるように準備しておく。完全に身に付いているかどうかをチェックされる感じですね。

 

落語家は、二つ目でようやく一人前とみなされ、自分の名前で落語の仕事ができるようになります。前座の落語は、まだお金を頂くレベルではないという位置づけなんですよ。ただし、自分で仕事をもらいに行かないとスケジュールは真っ白なままです。いまはじわじわときている落語ブームのおかげで、それなりに忙しくさせてもらっているのは、ありがたい限りです。

 

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――スケジュール帳を拝見すると、隙間時間はほとんどありませんね。前座時代から合わせれば、丸10年、相当多忙な日々を過ごされている。その原動力は何でしょうか?

高座に上がるときのお客さんからの拍手と、ライトを浴びながら落語をやって、お客さんがうわっとウケてくれたときですね。あの快感を味わうと、落語家はもう辞められません。

高座に上がるときは、実はものすごくつらいときも、あるんですよ。これまで周りは男だらけの世界で気軽に相談できる人もいない。私生活がどんな状況であっても、どれだけ落ち込んでいても、高座に上がるときは、落語家はそんな空気はみじんも出しちゃいけない。お客さんは、日常を忘れて笑いたいって来てくださっているんですから。

もし、落語を「仕事」として考えていたら、このつらさは乗り越えらなかったかもしれないですね。支えてくれているのは、結局は「落語が好き」だからなんですよ。これに尽きると思います。

 

「本筋」がぶれなければ、失敗は取り戻せる

――会社員の場合は、なかなか真似できない心意気です。その「折れない心」の秘訣は、他にも何かあるのでしょうか?

折れかかったことは、何回もありますよ(笑)。落語の世界では、怒鳴られ、しかりつけられることは日常のコミュニケーションなので、普通の会社員よりは、自然と打たれ強くはなると思いますが。というよりも、怒鳴られたぐらいで動けなくなるようでは、見習いから前座になることすらできないでしょう。

私が頑張れているのは、「落語が好き」につきますが、もう一つは「本筋」が何かを意識していることは大きいと思います。

 

いま、やろうとしていることの本筋は何か。例えば、楽屋でおしぼりを出すときに、冷やすか暖かくするかも、季節ごとに決まりがあるわけではありません。その日気温や師匠方の様子を見ながら変えていくんです。

その本筋は、「師匠が喜んでくれるかどうか」です。それがないと、「夏はおしぼりを冷やす」と硬直的にしか動けない。

幸か不幸か、落語家は細かいことをルールとしては教えてもらえず、常に自分の頭で考えることが求められます。会社勤めの人の話を聞いていると、細かいルールを先に覚えることを求められて、ときに本筋を見失ってしまっているのかなと思います。そもそも上司も本筋を考えていないときもありませんか? その違いは大きいかもしれません。

 

更に言えば「仕事だから○○をしなきゃいけない」という感覚がないんですよ。お金も二の次です。落語好きな人が有志で開催する落語の会に声をかけてもらったとき、ギャラがいくらかを気にするよりも、主催者やその日のお客さんたちに喜んでもらって、また次につながっていくほうがいい。

仮にそこで、何か失敗してしまったとしても、本心からお客さんに喜んでもらいたいという気持ちがあれば、いくらでも取り戻せると思うんですよ。落語の世界は、一般の会社員とはかけ離れているので、同列には語れませんが、びくびくして何もやらないよりは、相手を思う心と、相手から期待されることがあっていれば、細かいルールを気にしない勇気があってもいいんじゃないかと思います。

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「心をえぐるような落語」を演じたい

――最後に、落語家としての目標を教えてください。

二つ目から真打に昇進しても、30代、 40代では、まだまだ若手真打と言われます。定年のない仕事ですから、そこから数十年、芸を磨き続けなきゃいけない世界です。

私は、その中で古典落語の世界を極めたいんです。これまで男性がすごく太く演じてきた古典落語の世界を、私がどう演じられるか。「女性の声」は、もはやコンプレックスでしかないんですよ。

それでも、「技術でカバーできる」部分と、「私だから伝えられる魅力」の、二つがあると思うんです。その両方を向上させていきたいです。もう稽古だけで身につくものではないですよね。

例えば「鼠穴」という演目では、主人公の竹次郎が、お金が尽きて親類を頼って江戸に出てきたものの、今の価値でたった3円のお金しか借りられなかった苦しみ、そこから立派な店を構えるまでのくやしさ、粘り強さは、同じような経験を味わった人間のほうが、より演じる内容に深みが増すはず。

落語にも軽い笑い話だけではない、もっと深い、人間の心がえぐられるようなシーンもある。そういうことを伝えられる落語家になりたいです。

<立川こはる>プロフィール

1982年生まれ。東京農工大学大学院中退。2006年3月立川談春に入門。立川談志存命中に、立川流に入門を果たした唯一の女性。2012年6月二つ目昇進。落語ブームの火付け役にもなった漫画「昭和元禄落語心中」(原作:雲田はる子)のTVアニメでは、主要登場人物助六の幼少期の声を演じる。
Twitter:@koharunokai

 

取材・文:玉寄麻衣、写真:鈴木健介

 

天職アドバイザー直伝、天職に出会うために捨てるべき5つの考え

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新たな仕事へ就こうと考えるとき、人は「高いスキルを持っていた方がいい」「資格は多く持っていた方がいい」など、新たな要素を身につけることに専念してしまいがち。

しかし、天職コンサルタントの梅田幸子さんは、「自分らしさを押さえてしまっている考え方や価値観などを“捨てる”ことで、自分に合った天職がクリアに見えてくる」と言います。そこで今回は、天職難民が天職に出会うために捨てるべき5つの考えについて伺います。

(1)「専門性が必要」「平凡じゃダメ」だ…という思考は捨てよう

天職とは、「自分の好きなこと・得意なこと」に対して、「好きな・得意なやり方」で、自分らしく取り組める仕事のこと。そんな天職と出会うために、「もっと専門性を身につけなければ」と、努力している人もいると思います。

しかし、専門性に捉われるあまり、興味がないことを無理して学んだり、今自分がしている仕事を卑下したり、人と違うことをしようと考えることは、かえって天職への出会いを遠ざけてしまうのだそうです。

「専門性やスキルは、高ければ高いほうが良いとは限りません。現実には、高度な専門性を必要とする仕事はそれほど多くなく、普通程度のニーズのほうが多いものです。

例えば、ある女性は独立起業をして、『税務も月次もできませんが、経費の入力を代行します』というサービスを起業家向けに提供しています。一見、経費入力の代行だけでは収入が低いのではと思われますよね?

しかし、商売が軌道に乗ってきた多くの起業家・個人事業主にとって、経理などの事務は『誰かにしてほしい』ものになります。起業家は、自身の仕事を時給換算し、それ以下ならば喜んで発注するのです。

 

 

【例】7,000円(起業家の時給)×4時間(起業家が経費入力にかかる時間)=28,000円の機会損失

 

彼女はこの経費入力の代行を24,000円で請けても、入力が得意なので、起業家の半分の2時間でこなせます。同じ代行を派遣の立場で請け負っていたら時給1,200円の仕事かもしれませんが、彼女はその10倍を得ることができるのです。

多くの起業家・個人事業主は、経費入力のために、常時アルバイトや派遣社員を雇っても、それほどの仕事量がありません。そのため、渋々自分で入力をしている人もいます。そういう人からすれば、月に数時間、経費入力だけを代行してもらえるのは、とてもありがたいのです。 

このようして、彼女はそれほど専門性が高くない経費入力という仕事で、あっという間に、スタッフを何人も雇い入れるまでに発展していきました」

 

なにかの分野で専門性があっても、転職の際には「こんな高度なスキルがあっても、当社では活かせないから、退屈だろう」「〇〇の専門家かぁ。当社は、いろんなことをやってもらうからなぁ。やめておこう」と不採用になることさえあるもの。平凡のままで天職につくことはできるのだそうです。

(2)「何でもする・いろんなことができるのが素晴らしい」…という思考は捨てよう

目指す方向やしたい仕事は決まっているのに、なかなか実現しない。そんな人たちの多くに共通するのが、「嫌いな仕事も、アピールに入れること」だと梅田さんは言います。

「例えば、転職活動のときに提出する職務経歴書や、社内の目標管理シート、評価面談。これらは、実績とできることを詰め込むものだと思われがちですが、そうではありません。

『翻訳家として生きていきたい。1人で集中できる環境で仕事がしたい』人は、『気配りして、雑用を率先してしました』のように、『あれもこれもしてきました』というプレゼンはしない方が良いのです。天職への出会いに行き詰る人のなかには、自分で多様なアピールをしておいて、『専門職として採用してもらえない』『専門職として扱ってもらえない』と嘆く人が、意外と多いものです。

また、年齢が上がると、マネジメントスキルは必須のように思われがちですが、本音で『部下の育成なんて面倒くさい。ストレスだ』と思うなら、過去に成果をあげていてもそれはアピールしないこと。アピールをすると、アピールしたことを期待されます。できること、これまで重宝されてきたこと、得意なことであっても、したい仕事でないならば、思い切ってアピール項目から消しましょう」

 

社内で成果を上げても、転職を繰り返しても、なかなか希望の仕事に就けないとしたら、ここが原因かもしれません。天職活動や評価面談では、好みでないもので自分を飾る必要はやめてみましょう。

(3)成功者のやり方を真似ればうまくいく…という思考は捨てよう

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天職につきたいと悩む人には、頑張り屋が多く、成功者の体験談やノウハウをよく学んでいる人が多いのだそう。しかし、それでも天職に向かっていると思えないとしたら、自分とは合わないやり方で頑張ることが、裏目に出てしまっているからなのかもしれません。

「結果が出ないと、『私は頑張りが足りない。もっと頑張らなくては』と、自分をどんどん追い込んでいきます。しかしそのように結果が裏目に出るのは、頑張りが足りないからではなく、やり方が間違っているからなのです。つまり、今のやり方の『裏』をすれば、表の成果が出ます。偉人から学び、取り入れるのは良いと思いますが、まずは自分に合わないやり方を辞め、成功の方法はほかにもたくさんあるということを知っておきましょう」

1人ひとりに合った天職があり、その内容や成功のサイズ、そこにたどりつく道のり、行き方は、人それぞれ。自分と合わない「すべき」が天職への道をふさいでいることが多いと梅田さんは言います。自分らしさを活かせば、楽に実現できることに対し、わざわざ違うやり方を選ぶのはもったいない努力だとも言えます。「こうじゃなきゃ、ダメ」「こうすべきだよな」というセリフが頭をよぎったら、自分らしくない方法を選ぼうとしているサインだと捉えてみましょう。

(4)ネガティブな感情を否定して無理やり作り出すポジティブ思考は捨てよう

天職を探そうとする人は、真面目で勉強熱心な人が多く、自己啓発や成功法則をよく知っているため、「嫌だ」「つらい」「悲しい」「さみしい」「腹が立つ」「もやもやする」「怖い」といったネガティブ感情を持つことに否定的になりがち。しかしネガティブ感情を持つことについて、梅田さんは次のように続けます。

「天職への扉は、自分のネガティブ感情を否定せずに見つめたときに開けます。逆にネガティブ感情を無視して抑え込み、“無理やりポジティブ思考”をしようとすると、かえってこの“無理やりポジティブ思考”が天職を遠ざけて、自分を追い詰めてしまう原因になります

例えば、もう体力も精神力も限界で、『辛い』『もう無理だ』と心や体が悲鳴をあげているのに、“無理やりポジティブ思考”で『本当にやりがいがあります』と言ってしまう人がいます。すると、これを聞いた周囲の人たちは『やりがいを感じているんだな』『忙しそうだけど、大丈夫なのね』と安心して、今までと変わらない量・質の仕事を依頼するだけでなく、さらに負担が増える可能性もあります。ポジティブに言い換えて、気持ちが本当に変われば良いのですが、単に言葉の置き換えをしているだけでは、問題が悪化するだけなのです」

 

また、仕事をするなかで抱くネガティブ感情は、天職に出会う上で3つの大きな役割を果たすのだそうです。

「1つ目の役割は、『そっちは天職じゃないよ、というメッセージ』です。今感じるネガティブ感情は、天職の方へ導いてくれるサインであり、それを、“無理やりポジティブ思考”でねじまげていては、天職がわからないのも当然なのです。

 

2つ目は、『ネガティブ感情を抱く自分の内面の癖を知るヒントになる』ということ。天職を生きる人がポジティブなのは、無理やりポジティブ思考をしているのではなく、ただ、日々起こる出来事をポジティブに受け取っているからです。そうなるためには、自分は、どのようなことにネガティブ感情を抱きやすいのか、その根本原因が何かを知れば、ネガティブに解釈する癖を治していくことができます。

 

そして3つ目は、『心地よい感情を強調してくれるスパイス』としての役割です。何でも思い通りになって、全くネガティブ感情が湧かない毎日は、どのようなものでしょうか。寂しさを知っているから、人の温かさが心にしみます。嫌なことがあるから、好きなことがわかります。ネガティブ感情は、自分にとって心地よい感情を強調してくれるスパイスであり、必ずしも否定するべきものではないのです」

 

無視されたネガティブ感情は、より傷ついて心の中に溜まっていきます。突然感情が大爆発したり、ブレーカーが落ちるようにやる気がなくなったり、病気になったりする人は、我慢のしすぎかもしれません。ネガティブ感情が湧いても、「こんなことを思ってはいけない」と自分を責めずに、「ああ、いま、こう感じているんだなあ」と、そう感じる自分を許してみましょう。

 

(5)「まだそのレベルにないから力がついたらしよう」…という思考は捨てよう

したいことがある・これが天職だと感じるものがあるのに行動しない人は、「まだそのレベルにありません。力がついたらします」と言うことが多いのだとか。しかしこれでは、いつまで経っても天職を手にすることはできないですよね。

「今のままチャレンジしたら、なかには、『下手くそ』『まだ早い』と言う人もいるでしょう。しかし、『やってもいい』と言ってくれる人がいるならば、チャレンジしてみましょう

今超一流として活躍している人も、駆け出しで、下手な頃があったのです。失敗したり、恥をかいたり、体験して初めて見える壁にぶつかったり、思わぬトラブルに試行錯誤したりしながら、できるようになっていきます。そして、これらの経験によって、より自分らしい方向が定まり、天職の方向へ軌道修正ができるものなのです。『わたしにさせてください』と手を挙げるところから、天職への道は開けていきます」

 

 

「今の自分ではダメだ」が天職を遠ざける

また、天職に出会うために捨てるべき5つの考えに共通しているのは、「今の自分ではダメだ」と思ってしまうことだと梅田さんは言います。

「自分らしさを押さえてしまっている考え方や、居心地の悪い価値観、向いていないやり方など、余計なものを捨てていきましょう。いらないものがなくなれば、なくなるほど、天職がクリアに見えてきますし、自分らしく働けていると感じられます。

このように言うと、『それでは成長しない』と反論される方もいるかもしれません。しかし、逆なのです。これまで自分自身を縛って押さえつけていたものを捨てると、邪魔するものがなくなり、自然と自分らしく伸びていきます。勝手に成長してしまうのです。これまでのように、足りないから補うために学ぶのではなく、興味に従って学ぶようになります。だからこそ、学びが活きてきます。邪魔をしていた思考を取り除けば、自然とあなたらしく成長し、天職として花開くのです」

 

 

まとめ

人によっては、「これではダメだ」と思ったからこそ頑張ってこれたこと、学んでこれたこと、身に着けてこれたことがあり、それによって成長する喜びを得られたものもあるかもしれません。しかし、もし本当に天職を実現したいと思ったなら、これからは自分に合わない考えや方法を「捨てる」ことも意識してみてはいかがでしょうか。

 

 梅田幸子(うめだ・さちこ)

天職コンサルタント。東証第一部上場企業からベンチャー企業まで3社にて、採用・研修を中心に人事業務を経験後、2005年に開業。その人の持つ魅力と喜びの源泉を見つけ、仕事につなげるコンサルティングや、キャリア講座の講師をつとめる。また、複数の企業で、面接や研修をおこなっているため、応募者、企業双方の視点を踏まえたコンサルティングに定評がある。『あなたの天職がわかる 最強の自己分析』(中経出版)、『だから内定をのがす! もったいないカン違い45』(日本経済新聞出版社)、など著書多数。

 

最終的には「人」。優れたリーダーには人間力がある【日本マイクロソフト株式会社代表執行役会長 樋口泰行氏の仕事論】

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樋口泰行(ひぐち・やすゆき)

1957年兵庫県生まれ。 80年大阪大学工学部電子工学科卒業。同年松下電器産業(現パナソニック)入社。91年ハーバード大学経営大学院(MBA)卒業。92年ボストンコンサルティンググループ入社。94年アップルコンピュータ入社。97年コンパックコンピュータ入社。2002年日本ヒューレット・パッカード(日本HP)との合併に伴い、日本HP執行役員インダストリースタンダードサーバ統括本部長。03年同社代表取締役社長就任。05年ダイエー代表取締役社長就任。07年3月マイクロソフト代表執行役兼COO、08年4月同代表執行役社長就任。2011年2月日本マイクロソフトに社名変更。2015年7月より現職。著書に『「愚直」論』、『変人力』(ダイヤモンド社)『マイクロソフトで学んだこと、マイクロソフトだからできること』(東洋経済新報社)がある。

 

2007年、マイクロソフト日本法人(当時)に
COOとして入社。
翌年、社長に就任し、
弱かった法人部門を強化すべく、
社内改革を進めてきた。
2011年には、前年比2桁成長を達成。
経営のプロに、リーダーにとって
必要なことを聞いた

 

リーダーの確固たる信念があってこそ、共感が生まれる

リーダーとして社員を引っ張っていくためには、“みんなが一丸となる”ことが必要です。そのためには強いモチベーションがいる。それは何かというと「共感」です。心から共感できることがあるか、それが生産性に大きく影響するんです。

仕事である以上、お金のために働く一面は当然ありますが、お金だけではいいパフォーマンスは期待できません。お金を超越した働くモチベーションがないと一体感は生まれない。「何のために働いているのか」。働く人が心から賛同し、共感できるビジョンがないとだめなんです。

 

ビジョンは“信念”という言葉で置き換えてもいいかもしれません。信念とか軸とか、そういったぶれないものがあって初めて、組織というのはまとまります。それを明確に打ち出すのがリーダーの役目です。

過去、名経営者と言われる人もみな、そういう確固たるビジョンを持っていました。だから苦しい状況下でも、みんながついていったんです。やはり最終的には“人”。金銭的な価値ではなく、「この人と働きたい」と従業員が強く感じないと、求心力は生まれません。

 

マイクロソフトの場合はどうだったかと言うと、マイクロソフトにはもともと、「ソフトウェアの力で、世界中のすべての人々とビジネスの持つ可能性を最大限に引き出すための支援をする」という企業ミッションが明確に打ち立てられていました。これは「世界を変えられる」というミッションを一人ひとりが持つことにつながっていました。

 

私がマイクロソフトに入社したのは2007年。そのときは代表執行役兼COOでした。最初から社長として働くより、社内の状況や会社が置かれている環境を把握するにはCOOのほうが、都合がよかったんです。

社長に就任したのはその翌年。就任してからは、「お客様に顔が見え、親しまれ、かつ尊敬できる企業」といった、マイクロソフト日本法人(2008年当時、2011年日本マイクロソフトに社名変更)が「目指すべき企業像」を社員総会で明確に示しました。これはとても好評で、「非常に共感できた」というフィードバックを従業員からたくさんもらいました。

 

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就任した時、
マイクロソフト日本法人が
抱えていた問題は、
法人向け事業が遅れていたことだった。
樋口氏は自ら、300社以上の顧客企業を訪れ、
不満や要望を聞いて回ったという

 

マネジメントをするには、自分の弱みを知って改善することが大事

社長に就任してから、弱かった法人部門を強化すべく改善点を洗い出しました。そのため、まず行ったのは顧客企業を訪問すること。1年で300社ほど回ったでしょうか。その際、「マイクロソフトのロゴは知っている。でも人の顔が見えない」という厳しい意見をいただきました。そこで、「顔の見えるマイクロソフト」になるため、社内改革を行ったのです。

成長において自分の弱みを見つけ、改善していかなくてはならないのは、組織であっても、個人のキャリア形成であっても同じです。もちろん強みだけを伸ばしていくという考え方もあります。ファイナンシャル関連など高い専門性が必要な仕事の場合はそうでしょう。強みが突出しているほうがいい。そういう職種は別ですが、リーダーとして組織全体をマネジメントしていくには、自分の弱みを知って補強していかねばなりません。キャリアのステージが上がっていくほど、求められるスキルは幅広くなりますからね。

 

実は弱みの種類は2つあるんです。1つは、スキル上の弱み。もうひとつは性格上の弱みです。前者は知識を学んだり、仕事の経験を積むことで補強することができます。特に若いころは幅広くいろんなことを学び、がむしゃらに仕事に取り組んだほうがいい。マネジメントをするなら、「財務わかりません、経理わかりません、ITわかりません」では通用しない。最終的には全ファンクションが理解できるレベルに持っていかないと、マネジメントはできません。自分もそうでしたが、わからないことや苦手な分野は必死に勉強し、いろんな業界で経験を積み重ね、圧倒的な仕事スキルを磨くことが必要なんです。

もうひとつの性格上の弱みですが、これは治すのが難しい。コーチングなどで変わる場合もありますが、やはり難しいでしょう。私は昔からくよくよ悩む性格で、それは治りません。ただ、リーダーはいろんなタイプがいてもいいと思うんです。性格上の弱みは、自分らしさにつながります。それは魅力にもなるし、求心力にもなりますから。

 

私はくよくよ悩む性格だと言いましたが、そのおかげでよかったこともたくさんあります。仕事をした後は、もっとうまくできたんじゃないかといつも悩む。常に課題を抱えているので、もっと勉強しようと思う。振り返ることは成長につながりますからね。くよくよした性格があったからこそ、いろんな経験を次に活かすことができたのだと思います。

 

人の成長を喜ぶこと、厳しい環境に身を置くことで人間力は磨かれる

リーダーに必要なことはもう一つあります。それは人間力です。国内外問わず、優れたリーダーはみな、人間力を持っています。

じゃあ、人間力はどうしたら身につくのか。まずは人の成長を喜ぶこと。伸び悩んでいる人がいたら手を差し伸べてあげられるか。そういった「人に対しての感受性」を持っているかどうかで、人間力の有無は決まってきます。

 

苦労をしていることも大事ですね。誰からも見向きもされないような部署から這い上がってきた人は感受性があるなと感じることが多い。そういう人は困っている人に対して何をしてあげたらいいのか、すぐに察知できます。甘やかされた環境で育っても人に対するセンスは身につかない。やっぱり苦労は買ってでもしろ、なんですよ。

 

本当は何が欲しいのか、顧客一人ひとりの生の声を聞くことが大事

あと、重要なのはやはり信頼ですね。これはリーダーだけに必要なことではありません。どんな職種にもいえること。組織としても同じです。信頼が企業を支えます。

 

先ほど、自分で顧客の会社を300社ほど回ったとお話ししましたが、それは「本当に欲しいものは何か」をお客様に直接うかがいたかったからです。昔は、新しい技術を使って商品を出せば、新しい技術が付加価値となって商品が売れた。でも今は違います。新しいだけでは付加価値にはならない時代です。顧客が求めるものを常に聞いていかなければ売れない時代なんです。

 

そうやってお客さんと話をしていると、「マイクロソフトは顔が見えない」「誰と話していいのかわからない」と厳しい非難の声をいただきました。そこで、お客様の声を真摯に受け止め、期待にこたえるために、お客様から上がってきた品質問題にすぐに対処できるCQO(チーフ・クオリティ・オフィサー)という役職を作りました。これで「電話1本ですぐに対応できる」体制ができたんです。このことはお客様の信頼構築に大きく寄与しました。

 

ただ、組織として忘れてはならないのは、盲目的に顧客の要望を受け入れるわけにはいかないということです。すべてを受け入れていたのでは、経営は成り立ちません。全体最適と部分最適のバランスが大事なんです。組織全体の効率化を踏まえてソフトウェアの開発費などを考えることが、全体最適。一方、現場の営業の視点は部分最適です。要は、特殊な要望をなるべく減らして効率よく予算を使うということ。全体最適と部分最適をバランスよく考える。この感覚がなくては経営はできません。

 

もうひとつ持っておきたい視点が、時間軸です。5年後を見たときにニーズがあるか。15年前は内需が見込めましたが、今後は内需に期待が持てません。しかも今は、ものすごく変化の激しい時代です。そんな未来を見据えて、ニーズを考えていきます。

マイクロソフトの場合は、「Microsoft Azure」を主力としたクラウド・コンピューティングに力を入れていますが、これも将来を見据えてのことです。すでに結果が出ていて、2017年には売り上げの半分をクラウド・コンピューティングで担う予定です。

 

では、どうしたら、未来を見据える力を持てるか。難しいことですが、1つ言えるのは大きな船にばかり乗っていると、感じる力が弱くなるということです。小さい船に乗っていると、揺れをすぐ感じますよね。世の中の動きを感じ取る力も同じです。なるべく小さな変化を感じ取れるシチュエーションに身を置くといいでしょう。

 

今はダイバシティの重要性が高まっていますが、多様性がある環境に身を置くことは大事です。それこそ転職もいいと思いますよ。私も、松下電器産業、ボストンコンサルティンググループ、アップルコンピュータ、日本HP、ダイエーと様々な業界で働いてきました。やはり社風もそうですが、その会社を取り巻く環境、従業員が置かれている状況は個社ごとに全く違っていました。その都度、たくさんの人にいろんな話を聞いて勉強し、自分ができることを考えていきますが、いつも試行錯誤の連続です。そういった意味では毎回、大きな壁にぶつかっているようなもの。でも、そこで悩んだり苦しんだりすることが、自分を成長させているのだと思います。だから、今、厳しい状況にいる人は、そこでできることを精一杯やってみる。今の職場で刺激がないようなら、あえて厳しい環境に飛び込んでみる。そうやって胆力や判断力は磨かれていくのだと思います。

 

【information】
『Microsoft Azure』
「Microsoft Azure」とは、Microsoftが提供するクラウドコンピューティングサービス。Azureのサービス、統合ツール、テンプレートを使うことによって、エンタープライズ、モバイル、ウェブ、モノのインターネットのアプリケーションを開発して管理できる。コスト削減、災害対策、IT基盤の整備が迅速にできるというメリットがある。2014年度にはクラウドパートナーは1500社だったが、2015年度には2500社に、2016年度は3500社に拡大する予定。日本マイクロソフトが主力とするクラウド製品はほかに、「Office 365」「CRM Online」がある。

 ※リクナビNEXT 2016年4月13日「プロ論」記事より転載

EDIT/WRITING高嶋ちほ子 PHOTO栗原克己

「恋愛」に活かせる“仕事スキル” 「仕事」に活かせる“恋愛スキル”

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人材コンサルティング会社・株式会社ジョヤンテ代表の川崎貴子です。


私は本業の他に「婚活結社魔女のサバト」という女性向けの婚活勉強会を主宰しております。毎回その勉強会を始める前に、全員の近況を聞くのですが……

「仕事が忙しくて恋愛や婚活どころではなかった」

という報告を受けることが多いです。そのたびに、私は片眉を上げて「それは言い訳ですよ」と、くぎを刺しています。

確かに、繁忙期や大きなプロジェクトに関わったりすれば、究極のプライベートである「恋愛」「婚活」は後回しになりがちです。サバトのメンバーはキャリア女性も多く、責任者や管理職になれば、なおさらその傾向が強まってしまうのはよく分かります。

ただ、私の周囲のバリキャリといわれる女性たちは、ある種“どう猛”なほど(笑)、激務と恋愛、もしくは結婚生活を両立させています。観察しているとよく分かるのですが、彼女たちは、何も寝ていないわけでも、自由な時間が多いわけでもなく、「仕事で培ったスキルを恋愛に、恋愛で培ったスキルを仕事に」と上手に転用し、活かしているのです。

「恋愛」に活かせる“仕事スキル”とは?

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1.スケジューリング力

「仕事もプライベートも忙しくて彼になかなか会えない」と、言っているようでは恋愛新入社員。誘われるがまま、女子会やら趣味のサークルやら会社の飲み会などなど、仕事も忙しいのに予定が埋まってしまい、気付いたら大切な彼と予定が合わない……なんていうのは「できない女」そのものです。

仕事では、そのタスクの「緊急度」と「重要度」を見極めた上で、優先順位を付けて「スケジュールを立てる」必要があります。これはプライベートタイムにおいても同じことが言えます。「自分の人生において、今現在、重要度の高いものは何か?」をしっかり把握して「スケジュールを立てる」ことができれば、大切な彼を失くさないで済むでしょう。

2.交渉力

全く同じ価値観の人間がいないように、同じ恋愛観を持つ男女もいません。なので、どんなに好き同士の二人でも争いが起きるわけです。特にありがちなのが「彼が○○してくれないのは私のことが好きじゃないからだ」と、勝手に妄想してすねて破局するパターン。これは本当にもったいない!

恋愛中こそ、仕事で培った「交渉力」をいかんなく発揮し、自分と相手の快・不快の感情をすり合せることが大切です。交渉というと、理路整然と「切った張った」するイメージが強いですが、仕事上でも交渉上手は決して攻撃的ではありません。相手と自分の利害を把握して、折衷案や代替案を用意し、柔和な雰囲気でポジションを取っていく様子には「お見事!」と叫ばずにいられない。相手は交渉されたことすらよく分からないのがプロの技ですので、ぜひ恋愛の現場でも存分に活かしてくださいませ。

「仕事」に活かせる“恋愛スキル”とは?

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3.コミュニケーション能力

恋愛するということは、優しい言葉をかけたり、笑顔を見せたり、何かプレゼントをしたり……デイリーに喜ばせたい相手ができるということです。また、お付き合いをすれば、毎日メールで互いの思いをやりとりしたり、休日のデートでは会っておしゃべりしたり……要はコミュニケーションを取らざるを得ない状況になるわけです。

業務連絡以外の会話が日常に多ければ多いほど「コミュニケーション能力」は上がります。あるデータによれば、既婚者と独身者では既婚者の方がコミュニケーションスキルは高いという結果が出たそうです。これも、既婚者は帰宅後に妻や夫や子供たちと、毎日なんらかのコミュニケーションを取っているからで、「今日はプライベートでコンビニの店員さんとしか話していない」とは、シチュエーション的になりづらいからではないでしょうか?

企業が採用活動で重要視していることの一つは「コミュニケーション能力」であり、ビジネス上ではありとあらゆる場面で高いコミュニケーション能力を求められます。その能力が、大好きな人とのやりとりで培われるなんて一石二鳥! ぜひとも、お仕事の場面で活かしちゃってください。

4.ストレスマネジメント能力

近年、ストレスによる精神疾患から仕事をリタイヤ、もしくは休業する人が増え、「ストレスマネジメント」はビジネスマンの必須スキルになりました。

大変残念なことに、ストレスのない社会、ストレスのない人など存在しないので、自分が何に不快を感じ、何に心地よさを感じるのかを把握し、体に症状が出る前に何らかの対処が必要となります。

究極のプライベートである「恋愛」シーンでも、良いストレス・不快なストレスが発生します。喜びや感動も大きいですが、一人のときに感じる気楽さとはまた別で、デート中などは相手から受ける刺激に常に反応することになります。でも、好きだから、そこに喜びがあるからプライベートで会い続けるわけで、それを繰り返すことによって自分のツボや地雷、快・不快の種類や許容範囲が分かってくるのではないでしょうか?

恋愛は、相手を知ることも大きいですが、振り返れば「自分はどういう人間なのか」を知る行為であったと最近つくづく思います。恋愛で培われた「自分を知る力」「心の状態を把握する力」を、仕事でも上手に活用してストレスに対処して参りましょう。

最後に

上記で挙げた他にも、恋愛スキルと仕事スキルは数多くリンクしています。私自身「仕事で培ったスキルが役に立ったわ~!」と、近年痛感しました。それは「結婚後」です。子供が生まれ、夫や親族やベビーシッターさんなどの手を借りながら、仕事と子育ての両立をしていた時です。身内やベビーシッターさんの間でメーリングリストを作り、引き継ぎや情報共有のオペレーションを決め、何よりも皆のモチベーションが下がらないように工夫を凝らしていました。結果的には、皆が子育ての当事者としてやる気を持って娘を育ててくれました。仕事でマネジメント経験を積んでおいて良かった……と、心から思った次第です。

「スキル」は持って生まれた才能ではなく、習得できる「技術」がほとんどです。そして、さらに汎用性があるならば、人生を豊かにするためにも身に付けておいた方が絶対にお得。チャンスを逃さず、貪欲に習得してゆきましょう!

著者:川崎貴子

川崎貴子

1972年生まれ。埼玉県出身。1997年に働く女性をサポートするための人材コンサルティング会社(株)ジョヤンテを設立。女性に特化した人材紹介業、教育事業、女性活用コンサルティング事業を展開。女性誌での執筆活動や講演多数。著書に「結婚したい女子のためのハンティング・レッスン」「私たちが仕事を辞めてはいけない57の理由」「愛は技術 何度失敗しても女は幸せになれる。」「上司の頭はまる見え。」がある。2014年より株式会社ninoya取締役を兼任し、ブログ「酒と泪と女と女」を執筆。婚活結社「魔女のサバト」主宰。女性の裏と表を知り尽くし、フォローしてきた女性は1万人以上。「女性マネージメントのプロ」「黒魔女」の異名を取る。10歳と3歳の娘を持つワーキングマザーでもある。 Facebookはこちら

職場に「苦手な人」がいる時に。ストレスを感じないための4つの心得

年度初めの4月は新しい組織体制が組まれる時期。部署やチームのメンバーが入れ替わり、「苦手なタイプの人と一緒になってしまった…」と、憂うつになっている人もいるのでは。あるいは、新しく担当になった取引先の人物が苦手なタイプで、不安を感じている人もいるかもしれません。

今回は、職場で「苦手」「嫌い」と感じる人とどのように向き合うかについて、セルフコーチングコンサルタントの早川優子さんにアドバイスをいただきました。

早川さんが言うには、「相手の言動が気になってしまうのは、相手にコミュニケーションの主導権を握られている状態といえます。そうならないためには、自分の意思を持って相手とのコミュニケーションの仕方を変えましょう」とのこと。早川さんがお勧めする方法をご紹介します。

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「避ける」ことは、悪いことではない

苦手な人に対し「何とかして良好な関係を築かなければ」「相手を好きになるようにしなければ」と努力している人も多いのではないでしょうか。しかし、ムダな努力をするより、避けて通れるものであれば、そうした方がいいでしょう。

実は、夢や目標を実現している成功者というのは、どうしても好きになれない人や苦手だと思う人とは距離を置いていることも多いものです。人を嫌ったり憎んだりするのは非常にパワーを使うもの。相手を変えようとしたり、相手に合わせるために自分を変えようとしたりするのは、さらにパワーを要します。『そんなパワーを使うのはムダ』と割り切り、苦手な人を避けて通ることでコミュニケーションの主導権を握っているのです。

苦手な人と付き合うことにパワーを使い、神経をすり減らすよりも、その分、他の人たちとの関係を深めることに力を注ぐほうが有意義。苦手な人からも学べることはもちろんあるでしょうが、好きな人たちと時間をともにするほうが、その何倍も得るものがあります。

とはいえ、自分の意思で相手を避けることができない状況のほうが多いと思います。
その場合は、次のような方法を試してみてください。

相手の言動に対し、「解釈」を変えてみる

例えば、「すぐに大声で怒鳴る」上司に対し、苦手意識を抱いているとします。「自分のことを嫌っていて、感情をぶつけてくる」と捉えて怒りや反発を感じる人もいれば、「自分の能力のなさが相手をいら立たせている」と捉えて、落ち込んでしまう人もいるでしょう。こうした場合、「できるだけ顔を合わせたくない」「近寄りたくない」となってしまいます。

しかし、視点を変えて「この上司は誰にでも怒鳴り口調だが、怒っているわけではなく、そういうコミュニケーションパターンなのだな」と捉えれば、冷静に接することができます。

さらには、「自分のことを思うあまり、指導に熱が入り過ぎるんだ」「自分を育てることに必死になってくれて、ありがたいことだ」またはなどと解釈してみれば、ポジティブな気持ちになれます。喜怒哀楽の感情というのは、事実はどうであれ、「自分がどう考えたか」によって決まるものです。

「些細なことをネチネチと突いてくる」と思うと腹が立ちますが、「細かいことに気付いてくれるので助かる」と思えば、感謝の気持ちが生まれます。さらに(わざとらしくても)言葉にしてそれを相手に言えたならば、よりネガティブな感情は鎮まるでしょう。

自分が「喜」「楽」を感じられるような考え方および表現力に持っていければ、その時点で、あなたは相手とのコミュニケーションの主導権を握ったといいっていいでしょう。

感情にこだわらず、「目的」に集中する

仕事上、苦手な人を避けて通れない。視点を変える努力をしてみても、関係が改善されない――そうした場合は、感情を抑えて「淡々と目標を目指す」のが得策です。仕事においての「本来の目的」を意識してみてください。それは「上司・同僚・取引相手と仲良くすること」ではなく、「ミッションや目標を達成すること」であるはずです。

「その目標を達成するためには…」と冷静に状況を観察し、その相手とコミュニケーションを取らなければならない理由は何なのか、どの程度のコミュニケーションが必要なのかを考えてみましょう。そうすれば、感情に振り回されず、ドライに「目的達成のために必要なこと」として、最小限のコミュニケーションにとどめることができるようになります。

「A については突っ込んだ話し合いが必要だが、B については自分の独自判断で進めよう」といったように、自分の行動を取捨選択するのです。そうすれば、コミュニケーションの主導権が握れていることを実感でき、人間関係のストレスも和らぎます。

「味方」を増やせば、苦手な人の存在が気にならない

苦手な人以上に、自分の味方になってくれる人、応援してくれる人がたくさんいれば、苦手な人の存在が気にならなくなるもの。では、たくさんの味方を得るためには、どんなことを心がければいいのでしょうか。

大勢の味方がいる人を観察してみると、ある傾向が見られます。

一つは、「周囲の人たちにこまめに働きかけている」こと。

挨拶はいつも自分から。「楽しそうだね。いいことあった?」「最近、ちょっと疲れてない?」「この間話してた案件、うまくいってる?」などと、業務に関係ないことでも、ちょっとした言葉がけをしています。言葉をかけられた側は、「自分のことを気にかけてくれる」とうれしくなります。その人が困っているときは力になってあげたい、と思うようになるというわけです。

もう一つは、「自分の知識や情報、アイデアを惜しみなく皆に与える」ということ。

例えば、自分が苦労して作成した資料を「使ってください」と皆に提供したり、自分がうまくいった営業戦術を他のメンバーにも共有したり。「求める」より前に「与える」ことを実践し、チームに貢献している人は、多くの味方を得ることができるのです。そうした人が仮に「苦手な人」と対峙することになったとしても、味方が多い分、心強く感じますし、優位に立てることでしょう。

 

――これまでの話を踏まえ、下記の項目について考えてみてください。

  • 自分が苦手とする人と、今後付き合わずにすむか
  • 具体的に、相手のどんなところが苦手なのか。例えば、その人のある言動に対し、どのように感じるのか
  • そうした自分の感じ方を、別の視点から考えてみるとどう変わるか
  • その人とコミュニケーションをとらなければならない目的とは
  • その人を好きにならなくても、その目的を達成する方法とは


言葉にして書き出してみることで、客観的に捉えることができ、最善の対処法が見えてくるかもしれません。

 

早川優子氏/セルフコーチングコンサルタント

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上智大学文学部教育学科卒業後、オムロン株式会社入社。研修の企画立案、インストラクター、ビジネスマナー研修、フォローアップ研修の講師などを担当。その後、株式会社リクルートに転職し、求人広告や人材派遣の営業を経験する中でライフワークについて考えるようになり、社会保険労務士資格を取得。

人事コンサルティング会社に転職し、社内に社会保険労務士早川優子事務所を設立。労務・人事全般のコンサルティングやセミナー講師を行う。さらにコーチングも学び、財団法人生涯学習開発財団認定コーチとなる。2004年に独立し、セルフコーチングコンサルタントとして企業研修やコーチングセミナーなどを開催。著書に『夢が実現する9つのルール~セルフコーチングで愛と成功を手に入れる』(大和出版)

 

 EDIT&WRITING:青木典子

 

【オフィスでできる! 体幹トレーニング】体幹部の正しい動きを身に付け、カッコいい体を作る

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最近、「体幹トレーニング」という言葉を耳にする機会が増え、世間一般にも知られるまでになっています。アスリートやファッションモデルがいち早く導入したことで注目を集めましたが、彼らはハードなトレーニングや食事制限を並行して行っており、決して体幹トレーニングだけで引き締まった体型を作り上げたわけではありません。体幹トレーニング自体は、動きが小さく、消費エネルギーも小さいため、直接大きなダイエット効果が得られるトレーニングではないのです。

では、体幹を鍛えることにどういった効果があるのでしょうか? 体幹トレーニング本来の目的は、体の軸となる体幹部の筋肉の使い方を覚え、正しい動きを身に付けること。その効果が美しい姿勢や体に負担をかけないしなやかな動きとなって現れ、結果的に日常生活での代謝を高めることにもつながるというわけです。 そこで今回は、腹部の動きを覚える体幹トレーニング3種目を紹介します。

脚上げデスクプッシュ

★ターゲット >>> 腹直筋・腸腰筋
◎目標:10秒×3セット

まず最初は、腹部を縮める体幹トレーニング。腹筋を収縮させて体幹部を丸める動きを覚えれば、前屈動作が腰に負担をかけないしなやかな動きに改善され、腹部前面の腹直筋と下腹部深層の腸腰筋を強化できます。
脚上げデスクプッシュの動きは以下の3段階。「①イスに座ったまま、両手を肩幅に広げてデスクにつく」→「②腹部を縮めながら両脚を浮かす」→「③両脚を浮かせたまま、両手でデスクを下方向に10秒間強く押す」

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この種目のポイントは、腹部をできるだけ縮めること。頭から背中を丸めながら、腹部前面の腹直筋に力を入れます。腹直筋を使って腹部を縮める動きをしっかり体で覚えましょう。日常生活動作でも腹直筋を自然に使えるようになれば、代謝が増えるとともに、腹部の血行が促進され、お腹のたるみを軽減する効果も得られます。

ニー&エルボータッチ

★ターゲット >>> 腹斜筋群・腹直筋・大腰筋
◎目標:左右各5秒×2セット

次は、脇腹をひねりながら縮める体幹トレーニング。脇腹でひねる動きを覚えれば、スムーズに腰が回るようになり、脇腹の腹斜筋群も鍛えられます。さらにこの種目では、脚を上げる動きで下腹部深層の腸腰筋も強化されます。
二ー&エルボータッチの動きは以下の3段階。「①イスに座ったまま、両手を耳の後ろにそえる」→「②体幹部をひねる」→「③体幹部を横に曲げながら片脚を上げて、肘と膝(腕と反対の脚)を5秒間押し付ける」

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この種目のポイントは、脇腹をひねったまま横に曲げること。体幹部を横に曲げる動きで肘を膝に押し付け、脇腹の腹斜筋群に力を入れます。腹斜筋群を使って体幹部をひねる&横に曲げる動きを体で感じましょう。日常生活で使われることが少ない腹斜筋群を働かせることで、脇腹の血行が促進され、脂肪がつきにくくなる効果もあります

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▲もう少しトレーニングの負荷を上げたいという人は、立った状態で行ってみましょう。骨盤を正しい位置に整える腸腰筋がより強化され、バランス力も向上します。

ドローイン

★ターゲット >>> 腹横筋
◎目標:20秒×2セット

最後は、お腹を凹ませる体幹トレーニング。腹部深層の腹横筋を収縮させて腹圧を高める動きを身に付けます。腹圧を高めることで腰の負担を減らすとともに、ポッコリお腹を引き締め、立ち姿を美しくします
ドローインの動きは以下の2段階。「①ゆっくり息を吸いながらおへその深部に力を入れ、お腹を凹ませる」→「②できるだけお腹を凹ませた状態で20秒間キープする」

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この種目のポイントは、腹部に手をあてて、軽く押しながらお腹を凹ませること。手をあてることでお腹を凹ませる動きがイメージできます。腹横筋は収縮することで腰を守るコルセットの役割を果たすため、腹横筋が自然に使えるようになれば腰痛予防につながりますさらに腹圧で内臓が押さえられ、ポッコリお腹も解消できます

 

文=谷口洋一(スポーツ&フィットネスライター 兼 編集者)

撮影・編集=アーク・コミュニケーションズ

 

映画「プラダを着た悪魔」に学ぶ、理不尽な上司とのつきあい方

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(C)2012 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

 

たった一本の映画が人生を変えてしまうことがあります。そんな「運命の映画」には、必ず「刺さるセリフ」があるものです。

映像、音楽、衣装など、総合芸術と呼ばれる映画にはたくさんの見どころがあります。中でも私たちの胸を強く打つのが、登場人物たちが語るセリフ。悩んだとき、落ち込んだとき、人生に足踏みしてるとき。たった一本の映画の、たった一言が、その後の自分を大きく揺さぶることがあるのです。そんな「運命的な映画のセリフ」を、筆者の独断と偏見でお届けするこのコーナー

今回ご紹介するセリフは、きらびやかなファッション業界誌の舞台裏をユーモラスに描いた「プラダを着た悪魔」(2006年)から。ニューヨークでいきいきと働く女性たちのファッションに魅了されつつ、恋に仕事にまっすぐな主人公の姿に「あしたも頑張ろう」と思える刺激的な作品です。

公開当時、まだ社会人になったばかりの駆け出しだった私は新人アシスタントの主人公アンディ(アン・ハサウェイ)に、自身の境遇を重ねていました。ところが働きはじめてそれなりに日々が経過した今、改めて鑑賞してみると、アンディに悪魔のような命令を下し続ける鬼上司ミランダ(メリル・ストリープ)にも共感できる自分がいました。そしてミランダの横暴さをよく表したセリフに、新人時代の苦い記憶とあいまって、思わず吹き出してしまうのでした。

 

パワハラ上司の鬼指令

一流ファッション誌『RUNWAY』のカリスマ編集長ミランダのもとでアシスタントとして働くことになったアンディは、ドルチェ&ガッバーナとは何かも知らない、ファッションに無頓着な女性。お世辞にもお洒落とは言いがたく、ミランダからは「センスゼロ」とばっさり。同僚からも「お婆ちゃんのスカート」と陰口を叩かれる始末。本人も「なぜアシスタントに採用されたのかわからない」と首を傾げるほどで、もともとの夢であるジャーナリストとは程遠い仕事内容やファッション業界の慣習が、どうにも面白くありません。

加えて上司は、気まぐれでサディスティック。彼女の要求に応えられず、クビにされた人は数知れず。たとえば「嵐で欠航した飛行機を今すぐ飛ばせ」といった無理難題を平気で押しつけてきます。しかもアシスタントを困らせるための意地悪でも、力量を試すための試練というわけでもなく、心の底から求めてくるからタチが悪い。いつも眼鏡を少しだけズラし、用件のみを手短に語れば、あとはお決まりの“That's all.”(以上よ)。うーん、この悪魔。

 

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(C)2012 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

 

ミランダに許されるのはプランAだけ

しかし頑張り屋さんのアンディはめげません。どうにかミランダに食らいつこうと、社内の同僚や知り合った業界人の助けを得ながら、必死でニューヨークを駆けずり回ります。高いヒールの底がすり減りそうなほどに。

そんなある日、まだ発売されていない『ハリーポッター』シリーズ最新刊の原稿を娘のために入手しろ、という無理難題を課されたアンディ。相談した知人には「諦めて代案を考えろ」と呆れられます。しかし彼女は「それもそうか」と開き直ることもなく、ひたむきに問題解決の道を探ります。なぜならアンディは、ミランダのことがよく分かっているからです。

 

「彼女はミランダなのよ。彼女にプランBはないの」

 

さて、アンディは『ハリーポッター』最新刊を無事に入手できたでしょうか。

 

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どう働くかは、どう生きるか

ミランダほどでないにせよ、理不尽な上司はどこの会社にもいます。しかしそれは上司の性格もさることながら、彼や彼女の置かれた立場が理不尽さを招いている、そんな場合が少なくありません。つまり部下には往々にして、上司の要求が理不尽に映るもの。

たとえばミランダはファッション業界そのものを左右する実力者です。彼女の誤った選択が、あるいは優柔不断な態度が、たくさんの人を振り回し、彼らの人生を不幸にするかもしれません。プランBを認めない、代案で済ますことを許さないというのは、それだけ仕事に厳しく、重責を担っていることの裏返しなんですよね。新人時代を脱し、仕事のイロハを身につけ、部下を持ちはじめた立場になったなら、ミランダの気持ちにも寄り添うことができるのではないでしょうか。

かくしてミランダは「ミランダ」であることに徹します。悪魔と呼ばれても、冷酷なサディスト扱いされても、ミランダとして生き続けることを選びます。どう働くかは、どう生きるかと同じこと。

さて、アンディはどうか。これを読んでいるあなたはどうですか。ミランダやアンディのように、仕事に真摯に向き合い、自分はどう生きるべきかを胸に問いかけ続けていますか。賛否の別れるラストを、ぜひ観て、感じてみてください。ちなみに私はアンディに対して賛成派です。

 

 

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 『プラダを着た悪魔』

ブルーレイ発売中
¥2,381+税
発売元:20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン

※今回、取り上げたセリフは当該シーンの字幕を元にしています。原文の解釈や表現できる文字数の違いから、吹き替え版とは若干異なります。

 

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文:松岡厚志
1978年生まれ、ライター。デザイン会社ハイモジモジ代表。ヨットハーバーや廃墟になったプールなど、場所にこだわった映画の野外上映会を主催していた経験あり。日がな一日映画を観られた生活に戻りたい、育児中の父。
イラスト:Mazzo Kattusi

 

フリーランスになるってどういうこと? ボクは2年ぶりに会社員に戻ります

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退職エントリーとか古い!(あいさつ)

こんにちは、記憶力の低下にともなってガンガンにポジティブになってきているサワヤマです。いやー世間的に『退職エントリー』って流行ってますよね。あれって面白いんですけど、まあ当たり前っちゃ当たり前ですが前職の人が読んだら微妙だなと思う所もあると思うんスよね。なんで、前職がない状態で『就職エントリー』として書いたらどうなるかって感じで見切り発車してみます。

 

ゆーても、僕はフリーランスではありましたがエンジニアではなく編集者です。それも、スポーツ系がメインです。普通、あんま食えないと思います。実際、同じような業態でフリーやってる人はそんな多くないです(ライターさんは多い)。でもまあ、そこそこ年商(≠年収)は稼いで来ました、ぶっちゃけ。職業柄、経費がすごく多いんで所得自体はアレですが、年商を多く取ること自体は戦略をきちんと立てればそう難しくないと思います。

 

なので、これからフリーランスを目指そうって人に「こんな誰もしらんよーなオッサンでも、やり方工夫すれば食っていけるんだ」ってのを示せたらいいと思います。が、まあ参考になろうがなるまいが正直知ったことではありません。だってボク、5月から就職しますし(笑)

 

何やってきたの?

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まえがきにも書きましたが、スポーツ系の編集者です。キャリアは12年。うち会社勤めは半分ぐらいで、内訳も正社員・契約社員・常駐の業務委託とバラバラです。

 

ざっくり言うと、2004年2月に今や『サッカーキング』が有名な会社フロムワンさんに入社。当時はゴリゴリの出版社だったので、紙媒体の編集からキャリアを始めました。その後、携帯サイトの会社を経由してスポーツナビ、livedoorなどに所属したり(上記しましたが正社員だったりそうじゃなかったりです)、合間にフリーでライターやったり翻訳や校正やったり書籍のリライトしたり、有料メルマガを立ち上げて6年間運営したりという感じです。メディア運営の知識は一通り持ってる、と思います。

直近では2014年5月までサッカーの育成年代向けサイトの編集者をやってました。なので、会社勤めに戻るのはちょうど2年ぶりですね。

スポーツ系のフリーってどんな仕事?

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ちょいちょい言われるのが「選手に会えるの?」「試合タダで見られるの?」「趣味を仕事にするって最高ですね」的なことです。まあ、そういう側面があるのは事実ですが、この仕事ってイメージと実際はだいぶギャップあります。

 

とにかくね、フィーが安いんですよ(苦笑)。最近こそ、それなりの額を支払ってくれる媒体も出ては来ました。しかしこの12年を振り返ると、マーケットの小ささに加えて出版不況の影響もあって、全体的には報酬は抑えめです。他ジャンルの仕事を平行して受けてきたボクは、そのギャップがよくわかります(笑)。誤解してほしくないのは、媒体側も別に悪意で低くしてるわけじゃなくて、「薄謝で申し訳ない」という姿勢です。ボク自身も、発注するときは心底そう思ってました。

 

それから、概ね『労働集約型』です。働いた分しかお金が入らないうえ、拘束時間は決して短くありません。

例えばJクラブを取材する番記者さんは、誤差ありますが週3回+週末の試合取材という形です。これだけで結構な拘束時間です。例えば練習取材ですが、練習場って郊外にあることが多いので自宅を7時に出て10時練習開始、12時半からコメント取り、14時ぐらいに選手・監督が全員ハケてから作業開始、16時か17時ぐらいにアップ終えるみたいなのは普通。

試合日はだいたい水曜か土日です。試合2時間前に現地着、2時間の試合を見て(試合自体は90分ですが、ハーフタイムありますから2時間です)、試合後2~3時間はコメント取りや記事執筆に費やします。自宅に戻るのは25時過ぎなんてのもザラ。拘束時間を計算すると、平日は10時間ぐらい、土日でも7~8時間ぐらいなんてこともあります。これだけで、週の総労働時間は40時間ぐらいになるかと思います。

さらに、この練習+試合取材だけで生活費を賄ってる人はほとんどいないんじゃないでしょうか。実際は、取材を通じて得た知識を様々な媒体に書き分けて収入を増やしている人が多いと思います(契約上、それができない人もいます)。

フリーランスの苦労って?

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ここまでは「スポーツ系媒体で食う」特徴を書きましたが、フリーランスならではの苦労もあります。

 

まず、駆け出しの頃は仕事を選ぶ余裕なんてありません。独立したての頃、「オレはスポーツの仕事だけやって食っていく」と思ってましたが、割と早い段階に断念しました。前述のとおりスポーツ系のフィーは安いことが多く、それだけで食っていくボリュームを確保するのは無理でした。

 

さらに、名刺パワーのなさを思い知らされます。独立する前は「ぜひ取材に来てください」と言われることも珍しくなかったですが、フリーになった直後は「あんた誰」からのスタート。「●●のサワヤマです」で伝えればトントン拍子で取材アポを取れたところが、メールで取材意図から自己紹介からビッシリ書き連ねても返信が来ないことも。電話しても、地域によっては「ワシャよくわからん」とガチャ切りされた経験も何度かありました。

 

それなりに実績を積めば起こらないことではありますが、フリーランスは見下されることもあります。ある有名企業にMTGに行った際、自己紹介するまで「サワヤマさん」と言われたのが、フリーの名刺を渡してしばらく経つと「サワヤマくん」に謎の格下げされたことも。一応、初対面なんでくん付けはどうかと思いますが(笑)、こんな露骨なケースはまれとしても、見下されること自体はよくある話です。ボクはあんま気にしないタチなので、「そんなこともあったな」程度で振り返ってますが、過度に気にする人はフリーには向いてないかもしれません。

なんでフリー辞めるの?

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直接的には、直近で仕事していた顧客との契約が切れ、そのタイミングでオファーもらったからです。ただ、その以前から「フリーでは大きな仕事はやりづらいな」と感じていたからでもあります。

やっぱりね、フリーに出す仕事って「外に出せるレベル」の仕事でもあったりするので。気楽ではありますが組織の中で大きめの予算動かして、周囲を巻き込んでグワーッとやるダイナミズムみたいなのとは違うと思います。やりがいは両方ありますが、その質が違う感はありますね。

 

入社する先は、WEB系のコンテンツマーケティング会社『サムライト』さんです。ボクが3月にたまたまドイツで取材をしてた時にオファーの連絡を頂戴しました。コンテンツ制作においてはまあ12年経験あるんですが、コンテンツマーケティングではまだプロではありません。様々な情報を収集し、このジャンルは伸びるなと思ったのでお世話になることを決めました。今は「3年後までに、コンテンツマーケティングのプロを自称できるレベルになる」のが目標です。

フリーランスを目指す人へ提言

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上記したように、割と特殊な経歴なんでそんなアドバイスできることもないんですが、まあこれはやったほうがいいかな的なことを3つ提言します。「自前のメディアを持つ」「予想を裏切り、期待を上回る」「健康を保つ」です。1つずつ説明します。

 

1つ目、「自前のメディアを持つ」。上記したように『徹マガ』があったおかげで、受注に頼らなくてもある程度の収入を得られました。なので、「これはナシだなぁ」と思った仕事を断ったりできました。普通、フリーランスは全受けしないと怖いものなんですが、選択権を持てたのは精神衛生上良かったと思います(まあ、実際にそんな頻繁に交渉したり断ったりしてないんですけど)。

有料メルマガだけでなくサロンやnoteなど、今は様々な方法がありますよね。もちろん、地方でブログを炎上させて消耗しながら広告収入を得ることだって可能です(簡単とは言ってません)。あと自前メディアとして、Twitterアカウントも大事です。うまく発信できれば莫大な人数に読まれ、立派な個人メディアになります。さらに直接の収入源ではなくても、フォロワー数は発注において一定の判断材料になります。フォロワー数は、多いに越したことはないです。

 

2つ目、「予想を裏切り、期待を上回る」納品をし続けること。まあ、簡単なことではないです。今この原稿すら、そうなってるかは微妙です(汗)。しかし、その姿勢を持たなくなったら発注は来なくなります。ライターなら、読者に求められる水準にあることは大前提として、いかに“最初の読者”である編集者の期待を上回るか。「うお、この人の記事おもしれーな」と思ってもらえるか。数字的な結果はもちろん、目に見えない期待感みたいなのも大事です。

 

3つ目は、当たり前すぎて書くのもアレですが「健康であること」です。風邪をひかないよう常にマスクする、毎日アミノバイタル飲む、野菜をしっかり取る、あとはジムで筋トレをするとか。特に筋トレに関しては強く勧めたいですね。単純に、腹筋背筋を鍛えることで座り仕事が苦にならなくなりますし、代謝が上がれば勝手に脂肪が落ちます。血流が良くなればポジティブになり、失敗にクヨクヨしなくなり、納品物のクオリティに直結します。30歳を超えたフリーに関しては、筋トレをやらない理由がわからないってぐらいオススメしたいです。

まとめ

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気がついたらフリーランスの厳しさメインの原稿になりましたが、フリーは気楽ですよ。満開の桜を見たいとフラッと平日に中目黒に行くことも、人が少ない平日に江ノ島に行くことも、外ごもりと称して那覇に一週間行くことも自由です。これ全部、ボクが最近やったことです(笑)。

その代わり、それが原因で仕事が飛んだりトラブルが起こっても自己責任です。すべての行動はリスクと隣り合わせです。それが楽しいと感じられるかは、もはや好みでしょうね。「うへぇ」って思った人は会社勤めを続けるほうが無難と思います。

 

ただ、会社員とフリーランスそれぞれ6年ずつぐらい続けた人間としていうと、双方に優劣はないと思うんですよ。「大きめの仕事をしたい」と思ったら会社員になればいいし、「気楽に働きたい」って思うならフリーランスを選べばいい。「フリーランスで一本立ちしてるのはすごい」って言われるのは悪い気はしませんが(笑)、ボクからすれば同じ勤務先で10何年もずっと勤めてる人のほうがはるかにすごいです。ボクには到底できないことです。

 

まとめると「フリーランスって厳しいけど気楽ですよ、でも別に会社員と比べて偉いわけでもないっすよ」ってことでしょうか。結局、プライオリティをどこに置くかだと思います。そこをハッキリしたうえでフリーランスを選択するなら、どんな状況にあっても自分の責任として受け入れられるのではないかと思います。

真面目か!って感じのまとめですが、まあ参考にならなくても知ったこっちゃありません←ご清聴ありがとうございました。

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文:サワヤマダイスケ(澤山大輔)
1978年12月生まれ、編集者。フロムワン(サッカーキング運営会社)、スポーツナビ、livedoorなどを経て独立。空手有段者、中学はバスケ。15歳の時、三浦知良のセリエA挑戦をきっかけにサッカーに鞍替え、未経験者にもかかわらず書籍十数冊に関わったり、編集・プロデュースした記事がヤフートップを何回か飾ったりした。「必死より必殺」をテーマにコンテンツ展開を行なう。最新の訳書「Mourinho ジョゼ・モウリーニョ自伝 」(東邦出版)が発売中。Twitter:@diceK_sawayama

モデル:後藤ティファニー 

 

頭脳明晰、けれど冷酷?!エリートに多い「サイコパス上司」の見分け方

 スマートで仕事ができ、会話力も抜群。一見すると誰もが羨む「デキる上司」。しかし、裏に回ると成果第一主義で、相手が自分にとってメリットがあるうちはチヤホヤしてくれるが、用済みとなると全面否定。一度、敵とみなされるや否や、相手を完璧に叩きのめすまで、その手を緩めない――。そんな上司に出会ったら、どうすればよいか?

 今回は、エリートに多いといわれる「サイコパス特性」の実態に迫る。 

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大統領や大企業のCEOにも多い「サイコパス特性」

 近年アメリカでは、正常とされる人格から離脱した「サイコパス」と呼ばれる得意な人格の研究が進んでいる。「サイコパス」と聞くと、「残虐で冷酷な殺人鬼」を想像しがちだが、圧倒的に多くのサイコパスは実社会で普通に生活している「非犯罪者」だ。大統領や大企業のCEOなど、社会的成功を収めている人物にサイコパスはかなり多い。

 アメリカの研究によると、サイコパスは男性で0.75パーセント、女性で0.25パーセントいるといわれ、傾向があるとされる者は、1.23パーセントから3.46パーセントとされている。50人から100人の職場に1~2人いる計算だ。

 「サイコパス」と呼ばれる人たちの脳は、通常人と比べて、前頭前皮質腹内側部から扁桃体にかけての活動が低下しているという。この部分の機能が低下すると、衝動性が高まり、他人との感情の共有に大きな障害が出てくる可能性が高まる。情動に関わる認知がうまくできなくなるぶん、理性的な認知が活発となり、「良心の呵責」や「共感」にとらわれない冷静な判断や行動を得意とし、他人を自在に操ることができるようになる。

 サイコパス志向の持ち主が、ある部分では社会のために大きく貢献し、一方で周囲の人たちに大きな被害を与えている可能性が高いといわれるのはそのためだ。 

サイコパス特性のある人物の見分け方

 ロバート・ヘアは、サイコパスに関するそれだめの研究結果をまとめた「サイコパシー・チェックリスト」の中で、「サイコパスの特徴」を示している。あくまで目安であるが、下記10項目以上にチェックが入るなら、サイコパス的な人格のある可能性が高いという。ただし、サイコパスの診断を下すためには、専門医が本人と面談したうえで、基準に沿って慎重に判断する必要がある。下記リストは、「サイコパシー・チェックリスト」の一部であり、あくまで目安である。

 ・口達者で魅力的だといわれる

・自己中心的で自分には価値があると過信している
・退屈しやすい。フラストレーション耐性が低い
・平気でウソをついたり人を騙したりする
・ずるい。正直さが欠けている
・良心の呵責や罪悪感が欠けている
・情緒の深みがなく感情が浅薄
・無神経で共感性がない
・他人に寄生するような生活様式
・短気でコントロールができない
・性的関係の乱れ
・幼少期から行動上の問題があった
・現実的で長期的な計画が実行できない
・衝動性がある
・親として無責任な行動をとる
・何度も結婚や離婚を繰り返す
・少年時代から非行歴がある
・自分の行動に対して責任を取れない

 

サイコパス度が高い職業・低い職業

 「冷酷な殺人鬼」というイメージの強いサイコパスだが、実際は「面白い人」「魅力的な人物」として、各方面で活躍していることが多いという。 

サイコパス度が高い職業は、

1.企業の最高経営責任者(CEO)
2.弁護士
3.報道関係(テレビ/ラジオ)
4.セールス
5.外科医

となっており、冷静な判断力と、大胆な行動力が必要とされる職種が目立つ。

 逆にサイコパス度が低い職業は

1.介護士
2.看護士
3.療法士
4.職人
5.美容師/スタイリスト

となっている。サイコパス度が低い職業は、より「共感力」が必要とされる職業がランクインしている。

 法心理学者スティーブン・ルーベンザ―と心理学教授トマス・ファシンバウアーらによると、アメリカ合衆国の歴代大統領である、ジョン・F・ケネディや、ビル・クリントンをはじめ、何人もの大統領が顕著な「サイコパス特性」を示したという。プレッシャーに負けない決断力やチャーミングな語り口調、恐れを知らない果敢な行動力は、サイコパス特性とされ、大統領としての資質につながっているのだ。 

サイコパス度の高い上司とコミュニケーションを取るには

 頭脳明晰ゆえにバリバリ仕事をこなしていく。けれど、「共感力」に欠け、時に残酷に人を切る。そんな「サイコパス特性」を持った人物が、自分の上司になったらどうすればよいのだろうか。注意すべき点として「サイコパス特性」のある人物は、普通の意味での感情の共有ができないため、通常のやり方ではうまくコミュニケーションが取れない。軋轢や衝突を避けるためには、いくつかのポイントをおさえておく必要がある。 

1.相手の「サイコパス度」をよく観察し、理解する

 肩書や著名度、お金持ちかどうかに惑わされず、まずは相手がサイコパス度の高い人物かを見抜く必要がある。うまく感情が伝わらない、背筋がぞっとする感じがする、笑えない冗談や行動をすることが多い等、サイコパス度の高い人物像の特徴を頭に入れておこう。

2.「付き合いを避ける」ことが基本

 サイコパス的な特徴を持つ人物は、自分の目的を達するために、相手を「手段」として利用してしまうことが多い。いいように使われて、利用価値がなくなればさっさと捨てる。良心の呵責がないため、こうしたことが起きやすいのだ。

 サイコパス度の高い人物に対しては、自分の弱みをさらけ出さず、深入りしないのが賢明。もし、被害に遭ったなら、復讐しようとは考えず「逃げる」ことに徹しよう。

3.そのような生き方があると学ぶ

 とはいえ、会社の命令で、サイコパス度の高い上司の下につかなければならないこともあるだろう。サイコパス度の高い人物は、成果第一主義、業績重視の可能性が高いので、まずはきちんと成果を挙げることに徹するのが賢明。少しでも「デキない人物」と思われると、いじめに遭うなど不当な扱いを受けやすくなる。

 また、「絶対服従」は基本だ。独特のやり方に固執したり、相手のやり方を批判したりすると、思わぬ攻撃を受けてしまうので注意しよう。「極端な人格」があることを知り、「このような考え方をする人もいるのか」と冷静に距離を置きながら接することを刺激することなく、自分自身を守ることができる。

 とはいえ、前述したように「サイコパス」の診断は、専門医のみが可能だ。思い込みによるレッテル貼りは、避けたいところである。

 

文:山葵夕子

引用:
ゆがんだ正義感で他人を支配しようとする人/梅谷薫(講談社)
診断名サイコパス―身近にひそむ異常人格者たち/ロバート・ヘア(ハヤカワ文庫NF)

 

【なぜ中3で起業を選んだ?】女子大生社長・椎木里佳さんの「これからの戦略」と「野望」

中学3年生の時に起業し、メディア事業やアプリ開発、女子中高生向け商品・ブランドプロデュースなどを幅広く手掛けている椎木里佳さん。18歳にしてはや、社長業は4年目に入った。先日は『女子高生社長、経営を学ぶ』(ダイヤモンド社)を刊行するなど、さらに活躍の場を広げている。

この4月には慶應義塾大学文学部に進学し、「女子大生社長」となった椎木さんに、わずか中3で起業を選んだ理由、そして今後の目標を聞いた。

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株式会社AMF 代表取締役
椎木里佳さん
1997年生まれ。中学3年生の2月に株式会社AMFを設立し、代表取締役に就任。目覚ましアプリ「JKめざまし」や女子中高生の動向を調査・研究する「JCJK総研」などを立ち上げ、話題を集める。2016年2月には、『女子高生社長、経営を学ぶ』(ダイヤモンド社)を父・椎木隆太氏との共著として刊行。この4月に慶應義塾大学文学部に入学、現在は社長業と女子大生を両立しながら活躍する。

中1の時に「起業」という選択肢を知り、衝撃を受ける

――椎木さんは中学3年生で起業され、現在18歳にして社長業4年目ということですが、いつ頃から起業を考え始めたのですか?

 中学1年生の時です。小さなころから好奇心が旺盛で、やりたいことが常に山のようにありました。中1の時にやりたいことを整理したら、映画を作りたい、芸能事務所を作りたい、アプリも作りたい…と、あっという間に20個ぐらい挙がってしまって。

 これらを1つずつやっていたら、命がいくつあっても足りない!と思って父(株式会社ディー・エル・イー代表取締役CEOの椎木隆太氏)に相談したら、「起業」という選択肢を教えてくれたんです。起業すれば、やりたいことを一つひとつ、事業として展開することができるよ、と。その瞬間、雷に打たれたような衝撃を受けて、その場で「私、起業するわ!」と即答していました。

 ただ、「起業ってどうやればいいの?」と聞くと、「自分で調べなさい」との答え。そこでネットで検索してみたら、まず「定款を作成」するとあったのですが、この定款の“款”の字が読めなくて「これはダメだ!」とストップ(笑)。結局、その後2年間、行動に移すことはありませんでした。

――起業したのは中3の冬ですね。なぜ、急に行動したのですか?

 当時、いろいろな男の子ととっかえひっかえ付き合っていた時期があったのですが(笑)、ある日、その男の子たちに一斉に、ネットで悪口を書かれたんです。…怖いでしょ?!それで頭に来ちゃって、「起業して有名人になって、彼らを見返してやろう!」って思ったんです。

 もちろん、起業への前向きな想いは中1の時からずっと心の片隅にあったのですが、負のエネルギーって強いじゃないですか。くそー!男たちめ!という怒りが引き金になって、一気に起業に至ったという格好です。

 12月25日のクリスマスの朝に父に「私、起業する!」と宣言し、その日のうちに行政書士さんのところに連れて行ってもらって、翌年の2月14日には起業しました。行動に移してからは、あっという間でしたね。

学生だからと舐められ、あしらわれる日々…悔しさをエネルギーに変え突き進む

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――中3という若さで起業ということで、かなり注目を集めましたね。

 もちろん、メディアには注目され、取材もたくさん受けました。でも、いいことばかりではありません。起業当初は相当舐められました。

 学生起業家が増えたと言っても、偏見の目を持っている大人は多いものです。もちろん、当時の私には圧倒的に実績が足りなかったし、未熟で言葉足らずだったところもあったかもしれません。当初は適当にあしらわれることが多くて何度も悔しい思いをしましたね。でも、これも猛烈な「負のエネルギー」になりました。

 今もたまにネットで叩かれたりしますが、叩かれるのは、まだ自分が“圧倒的な存在”になっていないだけ。すごすぎる人って、叩けないじゃないですか。私のことを叩いている人が、「椎木のことを叩いているお前がバカ」と言われるぐらい、自分を高めないといけないと思っているんです。

 これでも以前は傷つきやすくへこみやすい「豆腐メンタル」で(笑)、適当にあしらわれたり、叩かれたりするたびに泣いていたのですが、中には「なるほどな」と反省させられる部分もあったし、それにいつまでも被害者ぶっているのってなんか格好悪い。批判を燃料にして自分を高めたほうがいいって、無理やり自分に言い聞かせたんです。おかげで今は強くなりましたね。人って変われるものですよ。

――起業して3年超、辞めたいと思ったことはありませんか?

 ありますよ。何度もあります。学業と仕事を両立するのは予想以上に大変でしたし、前述したようにへこむことも多かった。でも、「仕事を辞めて普通の高校生として生きる方が幸せなのか?」と自問自答すると、決してそんなことはなくて。やりたいことはどんどん増えているし、何かを生み出したいという思いも強かった。だから、「楽に流されない」と覚悟を決めて、突き進んできました。

 高校時代は、夕方までは学校で授業を受け、その後オフィスやビジネスパートナーとなっている企業に出向いて打ち合わせをして、夜は会食…というのが基本スケジュールでした。満18歳未満は労働基準法で22時までしか働けないので、その時間ぎりぎりまで。それでも、翌朝はちゃんと7時に起きて休まず学校に通いましたよ。母が厳しくて、「学業をおろそかにするならば仕事は辞めなさい」という方針でしたから、自然と「ちゃんと両立して、仕事を守らなければ!」という思いが強くなりました。

学生だからこそ見えてくる世界があり、気づけるビジネスの芽がある

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――この春に大学に進学して「女子大生起業家」になりました。高校卒業後、仕事に専念するのではなく、大学進学を選んだ理由は?

「大学に行かない理由がないから」です。できる経験は、できる限りしておきたい。大学生として得られる経験をし尽くしておきたいという思いが強いですね。

 以前、学生起業家仲間で「仕事が楽しいから、高校を中退した」という友達がいたのですが、なんてもったいない!と思ったものです。高校生だからできる経験はたくさんあるし、そもそも途中で辞めてしまったら最終学歴は「中卒」になってしまう。それに、学校と仕事を両立して頑張っている学生の方が、大人から見れば応援したいと思うものではないでしょうか。

 ずっと女子中高生マーケティングを手掛けてきましたが、彼女たちの流行って1週間単位で変化するので、渦中にいないとわからないことが多いんですよね。高校を卒業したので、今後は中高生のインターンにある程度任せながら事業を進めていく予定ですが、大学生になって女子大生の渦中に入ってみたら、また見えてくるものがあるんじゃないかな?と楽しみにしているんです。

少しでもやりたいことがあるならば、絶対にチャレンジしたほうがいい

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――同世代の若者、そして椎木さんから見て少し上の若手ビジネスパーソンを見て、感じること、思うことはありますか?

 私の世代は、「さとり世代」に当てはまる世代で、欲がなく、ガツガツしていないだけに、自分の将来も「いつか何とかなる」と思っている人が多いんです。でも、誰かが自分の将来を決めてくれるなんて絶対にない。自分の人生なのに、いつ気づくんだろう?いつか「ヤバイ」と思う時が絶対に来るから、当事者意識を持っておくべきだと言いたいですね。私は、真逆のタイプです。自分で自分の道を切り開いていきたいと常に思っています。

 若手ビジネスパーソンにも、同様のことが言えるんじゃないでしょうか。このままこの会社にいれば、30ぐらいにはこれぐらいのポジションに行っていて、お給料はこれぐらいで…と流されるがままに今を過ごしている人が多いように感じています。それなのに「毎日がつまらない」「刺激がほしい」なんて言う人が多くて、矛盾を感じますね。

私は先が見えている人生なんて嫌だけれどなぁ。50歳ぐらいになって「ああ、若い時にあれをやっておけばよかった」なんて後悔したくない。若い今なら、何だってチャレンジできるのに。

 今回、『女子高生社長、経営を学ぶ』を刊行したのは、こういう若い世代の行動を後押ししたい…という思いがあります。行動を起こさないと、何も始まらないんだということ、そして、私みたいな人間でも中3で社長になれるんだということを知ってもらえれば、一歩踏み出すきっかけになるんじゃないかなと思って。少しでも「やってみたい」と思うことがあったら、そのままにせず、絶対にやってみたほうがいい。そこから必ず、何かが見えてくるはずなんです。

目指すは2020年、最年少上場。これからも「やりたい」に正直に生きていく

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――椎木さんの今後の目標を教えてください。

 目先の目標は、2020年、22歳で最年少上場を果たすこと。具体的な目標を立てないと向かっている先がわからなくなるので、必ず決めるようにしています。そうすれば、どれだけ紆余曲折したとしても、結局は目標にたどり着けると思うから。

 そして、最終的には、伝記に載るぐらい世界に影響力を持つ人になるのが夢です。そのための方法はまだ見えていないけれど、80歳ぐらいまで生きる予定なので、それまでには何とか見つけないと。

 今までは女子高生マーケティングで実績を挙げてきましたが、年齢に特化してビジネスを展開するのは女子高生まで。これからは、女子大生社長というよりは、「椎木里佳」個人としていろいろなチャレンジができたらと思っています。やりたいことはまだ山のようにあって…アプリは作れたし書籍も出せたけれど、映画はこれからだし芸能事務所もまだだし、広告やCMだって作りたい。中1の時に書き出した「やりたいことリスト」をすべて、ビジネスでやり遂げていくイメージを持っています。

 もちろん、マネタイズをしないと上場という目標は達成できないので、そこはシビアに考えています。自社単体で展開するのではなく、影響力を持つさまざまな企業と連携を取りながら、一つひとつ確実に実現する計画です。

 自分の「やりたい」に正直に、これからも楽しみながらビジネスを進めていき、後悔のない人生を歩みたいと思っています。

 

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▲『女子高生社長、経営を学ぶ』(ダイヤモンド社)

EDIT&WRITING:伊藤理子 PHOTO:平山諭