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【プライベート編】妻に小遣い増額を願い出たい、繁忙期に有給休暇を取りたい…ビジネスパーソンのための「伝え方が9割」講座

「言いにくいことを言わなければならないが、どう言えば角が立たないだろう?」と、言い方に迷うことってありますよね?特に職場において、言葉の選び方に迷うシーンは意外に多いものです。そんなとき、「伝え方ひとつ」で、その後の展開は大きく変わります。ベストセラー『伝え方が9割』著者の佐々木圭一さんに、相手の心を動かす「伝え方の極意」を聞きました。昨日は「職場編」をご紹介しましたが、今回は「プライベート」編です!

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佐々木圭一さん
コピーライター、作詞家、大学非常勤講師。日本人で初めて米国の広告賞「One Show Design」でゴールドを獲得するなど国内外で51のアワードを獲得。2013年2月に発売された著書『伝え方が9割』(ダイヤモンド社)が66万部を突破するベストセラー。このほど『伝え方が9割②』を新たに刊行し、話題に。

「伝え方」は、すべてのコミュニケーションのカギになる!

 同じ内容のお願いをしているのに、イエスをもらえる人、もらえない人がいますよね?これは、多くは「伝え方の差」によるもの。あなたの意見を通すメリットを、どのように相手に伝えるかが大切なのです。
 ポイントは、言いたいことをストレートに伝えるのではなく、「相手の目線に立って、言葉にする」こと。相手の頭の中を想像して、メリットを感じる伝え方を考えるのです。
 その際に、参考になるのが次の7つの切り口。これらを組み合わせて、職場でのコミュニケーションに役立つ「伝え方」を考えて行きましょう。100%イエスをもらえるとは限りませんが、イエスの確率をぐんと高めることは可能です。

相手の返事を「イエス」に変える「7つの切り口」

1.「相手の好きなこと」を盛り込む
2.「嫌いなこと回避」で納得させる
3.「選択の自由」を与える
4.「認められたい欲」を刺激する
5.「あなた限定」感を出す
6.「チームワーク化」で巻き込む
7.「感謝」の意を伝える

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■CASE1「毎月のお小遣いを少し増やしてほしい…なんと伝えればイエスをもらえる?」

(伝え方アドバイス)
△「少しでいいから、お小遣い値上げしてもらえないかな…毎月苦しいんだ」
◎「お小遣いをあと5000円上げてくれたら、少なくともその倍はお給料で稼ぐよ!」

 あと少しでいいから、お小遣いを増やしてほしい…その気持ち、わかります。でも、ただ「値上げして」とお願いするだけでは、なかなかイエスとは言ってもらえないでしょう。やりくりが苦しいと伝えたところで、「いったい何に使ってるの!」と追及されるのがオチです(苦笑)。

 ここは、「1.相手の好きなこと」の出番です。値上げした分の、倍は稼ぐと言ってくれているのですから、奥さんとしては断る理由がなくなります。また、頑張ろうとしている人に、ノーとは言いにくいものです。
「倍は稼ぐ」というと、非常に大きな額をイメージしますが、5000円であれば、倍の額は1万円です。勤務先の給与システムにもよるでしょうが、月に1万円の給料UPであれば、頑張ればなんとかできそうですよね。もちろん、もっと稼げそう!という人は、この方法でさらに大幅な増額を交渉してみてください。


■CASE2「会社の上司から誘われた日曜日のホームパーティーを、体よく断りたい…」

(伝え方アドバイス)
△「すみません。その日は用事があるので、欠席させていただきます」
◎「田中さんにお誘いいただけるなんて、嬉しいです!でも、今担当しているプロジェクトのクオリティーをもっと上げたくて、休日はそのための準備に充てているんです。田中さんの仕事を見習って、もう少し粘りたいので、今回は泣く泣く辞退させていただきます」

 いくら気が進まないからといって、「用事があるからいけない」ではあまりにつっけんどん。あなたの印象を下げてしまい、仕事でのコミュニケーションも取りづらくなる恐れがあります。そこで、おすすめしたい伝え方は、「1.相手の好きなこと」「4.認められたい欲」という2つの切り口の複合技です。

「仕事のクオリティーを上げる」というのは、上司としての「好きなこと」です。そして、上司である田中さんを尊敬し、仕事ぶりを見習いたいと思っている姿勢を示すことで、「今が正念場だろうし、今回は仕方ないか」という気持ちにさせることが可能になります。

 なお、「相手の好きなこと」と「認められたい欲」の複合技は、特にビジネスシーンにおいては鉄板の伝え方です。仕事で活躍している人は、だいたいこの2つの使い方がうまく、相手の心を動かす伝え方ができていると感じますね。伝え方に迷うシーンがあったら、まずはこの2つを活用できないか、考えてみることをおすすめします。

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■CASE3「職場の独身の先輩に、結婚の報告をしたい。どう伝えるのが◎?」

(伝え方アドバイス)
△「実はこのたび、結婚することが決まりまして…」
◎「まだ誰にも話していないのですが、佐藤さんには本当にお世話になっているので一番に伝えたくて。実は結婚することが決まりました。これからも変わらず、仕事も頑張っていきますので、引き続きよろしくお願いします!」

 同じ部署にいる先輩で、これからもうまくやっていきたいと思っているならば、結婚報告は慎重を期したいところですね。

 私は出会ったことがありませんが、周りに聞いたところによると、普通の報告の仕方だと「あなたは結婚できないけれど、私はできるのよ!と思っているのかしら…」と気分を害する人もいるようです。こちらはそんなこと微塵も思っていなくても、です。

 そんな場合におすすめなのは、「5.あなた限定」と、「7.感謝」の切り口。誰よりも真っ先に報告するという姿勢で特別な存在であることを示し、「本当にお世話になっている」という感謝の言葉とともに伝えると、受け手は嬉しい気持ちになります。そのうえで結婚報告をすれば、「喜ばしいこと」と受け止めてもらいやすくなり、素直に「おめでとう!」と言ってもらえることでしょう。

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■CASE4「業務が忙しい時期に有給休暇を取りたい。上司にどう伝えれば角が立たない?」

(伝え方アドバイス)
△「どうしてもこの時期にお休みをいただきたいのです。お願いします!」
◎「山田部長がお休みを取るのは、お盆のあたりでしたよね?同じ時期に被らないように休みをいただこうと思っています。部長がお休みする時期の前か後だったら、どちらのほうがよろしいでしょうか?」

 ただ「休ませてください!」と伝えるだけでは、イエスをもらうのは難しいでしょう。自分の都合ばかりを押し付けても、相手には伝わらないからです。「忙しいんだから、別の時期にしろよ」と言われて終わり、となる可能性が高そうです。

 そんなときに有効なのが、「3.選択の自由」の切り口。「部長が休みやすいように、別の時期に取る」という「1.相手の好きなこと」を伝えたうえで、「その前と後だったら、どちらがいい?」と質問する方法です。人は、選択肢があると比較検討がしやすいため、ついどちらかを選んでしまうもの。2つの選択肢を投げると、部長の思考は「この時期に休みを取らせてもいいか、それともダメか」ではなく、「2つの時期のうち、どちらで休みを取らせるか」という思考に切り替わります。

 もし、部長も休みを取れないほどの超繁忙期にどうしても休みたい…という場合は、休みたい理由を伝えたうえで、「休み明けは皆さんの3倍働くぐらいの気持ちで臨みます!」などの「1.相手の好きなこと」切り口で訴えてみましょう。もちろん100%イエスとはならないでしょうが、ストレートにお願いするよりも可能性は高まりますよ。

 

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【職場編】はこちら

【職場編】宴会での失態を上司に詫びたい、後輩のタメ語を注意したい… ビジネスパーソンのための「伝え方が9割」講座 - リクナビNEXTジャーナル

 

【佐々木さんの「伝え方が9割」講座 バックナンバー】

【新人営業向け】専門用語がわからない、ミス報告方法…はこちら
【営業メンバー向け】あと少し数字が欲しい、周りを巻き込みたい…はこちら
【営業マネージャー向け】部下のミスのフォロー、部下をやる気にさせる言葉…はこちら
【企画職向け】低予算のプロモを成功させたい、他部署の協力を仰ぎたい…はこちら
【ITエンジニア向け】激務が続く環境を改善したい、常駐先を変えてほしい…はこちら

EDIT&WRITING 伊藤理子  PHOTO:平山諭 

 

【予約殺到!「ななつ星in九州」】客が熱狂するクルーズトレインの魅力とその経済効果に迫る!

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大人気のクルーズトレイン「ななつ星in九州」。高額な料金にもかかわらず、定員にたいして約20倍もの申し込みが殺到している。そんな「ななつ星in九州」の魅力とは、いったい何なのか。JR東日本・JR西日本で予定されているクルーズトレインとともに、その経済効果についても考えてみたい。

■“短時間・利便性”とは真逆に位置する「ななつ星in九州」

2013年10月15日、日本初のクルーズトレイン「ななつ星in九州」(JR九州)が運行を開始。

この時期を前後して、日本の鉄道は大きな局面を迎えていた。2011年には九州新幹線が全線開業、そして続くようにして2015年には北陸新幹線も開業となった。この新しい2線によって、東京駅〜鹿児島中央駅間は最速で「6時間半」、東京駅〜金沢駅間は最速で「2時間半」を切るなど、鉄道のスピード化にさらに拍車がかかることとなった。

しかし、「ななつ星in九州」はこのようにスピード化された鉄道の対極に位置している。その運行路線は以下の二つ(※2015年5月現在)。

  • 1泊2日コース 博多~有田〜長崎~(列車泊)~阿蘇~由布院~博多
  • 3泊4日コース 博多~由布院~(列車泊)~宮崎~都城~隼人(旅館泊)~鹿児島中央~鹿児島~(列車泊)~阿蘇~博多

料金は1泊2日で210,000円~、3泊4日で480,000円~(2名1室利用時1人あたりの旅行代金※2015年5月現在)と、豪華客船のクルーズ同様に高額である。

先を急ぐことなく、観光地をのんびりと周遊することができ、車窓の景色を眺めながらその土地ならではの食事を楽しむ。まさに、「ななつ星in九州」は起点から目的地までの速やかな移動を目的とした、現代の鉄道が持つ常識を根本から覆す乗り物として登場したといえる。

  

■「ななつ星in九州」は究極のリゾート列車だ!

新幹線網の拡張により、短時間で日本各地が結ばれるという利便性はやはり捨てがたいものがある。しかし、鉄道のスピード化はその代償として、旅の醍醐味でもある“道中での情緒”を減少させてしまった。かつての列車の旅には、過ぎ去りゆく車窓の景色を眺め、食堂車で食事をするなど、旅の過程を楽しむ「ゆとり」があった。しかし現在において、新幹線の車内でどれだけの乗客が車窓に目を向けているだろう。スピードを最優先にした鉄道は、少しでも速く、遠くに乗客を運ぶという移動手段と化してしまった。

 

こうした状況の中、なぜ「ななつ星in九州」には予約が殺到しているのだろうか。

九州は人気観光列車の宝庫ともいうべきエリアである。九州新幹線の開業にともなって、観光を目的とするリゾート列車を積極的に導入し、沿線各地と協力して、観光客の誘致・もてなしをしようと努めてきた。こうした努力は着実に実を結び、「ななつ星in九州」の成功にも繋がることとなった。

 

■最高のサービスに美しい風景…まさにそこは非日常の世界

これだけの人気となった「ななつ星in九州」の魅力を探ってみよう。

まずはその希少性だ。1回の運行で乗車可能なのは最大で14組30人、2015年3月~9月の平均競争力が22倍という狭き門がさらにプレミア感を演出している。最後尾のDXスイートAは、最高倍率が268倍という数字を記録したほどの人気ぶりだ。

しかし、希少性だけでこの列車の人気を解き明かすことはできない。その秘密は、クルーズトレインというコンセプトの中にこそある。

「ななつ星in九州」の存在そのものが、非日常の世界にあるのだ。

 

高い倍率の末に手に入れたプラチナチケット。

乗車前にはドレスコードの案内等が封入されたご案内が届くとともに、クルーズトレインツアーデスクの担当者から旅の目的やアレルギーの有無、旅の間に聴きたい曲のリクエストなどのお伺いやご案内の連絡が入る。この時点でゲスト達は優雅なクルーズトレインの旅に思いを馳せて、胸を高まらせることだろう。

そして待ちに待った出発日。博多駅の専用入口からレッドカーペットを経て「ななつ星in九州」に乗り込んだ瞬間から、目の前には今までの列車の概念を超越した空間が広がる。

数日間を過ごす列車内の部屋は「懐かしくて新しい」をコンセプトとした和洋折衷で、きらびやか過ぎず、品があるウッド調の落ち着いた雰囲気に包まれている。壁や床には木が使われていて、車窓を見なければそこが列車であることを忘れてしまう。この旅における楽しみの一つでもある食事は、皆が集うラウンジカーやダイニングカーで味わう。提供される料理は地元九州を中心に厳選された食材を用いており、さらには九州を代表する料理店のシェフが自慢の腕をふるう。

クルーによる「家族のように寄り添う」おもてなしにプラスして、車窓からは九州ならではの美しい風景が広がり、その勇壮な景色も眺め楽しむことができる。ただ旅をするだけではこの二つを同時に味わうことは難しい。「ななつ星in九州」は、ゲストを日常から隔離された世界へ誘い、鉄道で旅する喜びを心ゆくまで堪能させてくれるのだ。

 

■「ななつ星in九州」に続くクルーズトレイン続々登場!

「ななつ星九州in九州」の成功はクルーズトレインという新たな市場を創出し、同じJRグループ各社にも大いに刺激を与える結果となったようだ。JR東日本では17組限定の豪華寝台列車「トランスイート四季島」、JR西日本も30人程度限定の豪華寝台列車「トワイライトエクスプレス瑞鳳」の運行をともに2017年春から予定している。

どちらもまだその詳細に関してはイメージ画像の発表程度にとどまり、運行ルートも明らかにはしていない。しかし、路線沿いの地域との連携を密にし、観光スポットに立ち寄っての観光を含む、「クルーズトレイン」として計画されているようだ。

 

 

■クルーズトレインがもたらす経済的効果は計り知れない

「ななつ星in九州」がもたらす経済効果については様々な意見がある。

1回の定員が30名のため、年間100回運行しても売上は5億円程度にとどまる。約3,400億円の売上高を持つJR九州(2013年3月連結決算)としては経営の核になりえない。それどころか、30億円という総工費や人件費などを考えると赤字も覚悟の上だ。それはこれからクルーズトレインを運行しようとする他のJRグループにしても同様だろう。

 

では、なぜJR各社はクルーズトレインに力を入れるのか。それは、「ななつ星in九州」そのものを観光資源として、観光客を九州へ誘致する広告塔のような働きを持たせることができるからだ。この列車を通じて九州の文化や伝統工芸などを多くの人に知ってもらい、九州へ訪れる機会をつくること。そうすることであらゆる観光産業に与える波及効果を狙っているのである。これらがしっかりと実践できればその経済効果は計り知れないものになるだろう。そしてクルーズトレインの確固たるスタンスが築かれるのではないだろうか。

 

さらにクルーズトレインには、外国人観光客を取り込む狙いもあるようだ。欧米の富裕層は日ごろから船舶や鉄道のクルーズ文化に慣れ親しんでおり、クルーズトレインの客層としては最適ともいえる。彼らの口から伝わる「観光地」としてだけでなく「文化」としての日本の素晴らしさは、それだけで大きな宣伝効果を生むことだろう。

 

日本初のクルーズとしてだけでなく、鉄道にも観光にも様々な影響を与えている「ななつ星 in 九州」。クルーズトレインとしてだけでなく、日本における観光そのものにも風穴を開けるかもしれない。今後も変わり続けるであろう、日本におけるクルーズトレインの動向に注目していきたい。

 

画像提供:JR九州

監修:リクナビネクストジャーナル編集部

最近やる気が全然出ない…これって五月病!?【今すぐできる五月病のセルフチェック&セルフケア】

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 GWも気がつけば終了…!連休明け、ちゃんと仕事できましたか? 生活のリズムが乱れて睡眠時間がぐちゃぐちゃ、会社に行ってもやる気が出ない…など、不調を感じ始めたら要注意!もしかしたら…“五月病”かもしれません! 五月病は放っておくと悪化し、「うつ病」になってしまう恐れもあるとか…。

 そこで今回は、「おかしいな?」と思ったらすぐにできる「五月病のセルフチェック&セルフケア」を、産業医としてビジネスパーソンの健康サポートをしている奥田弘美先生に聞いてきました!

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奥田弘美(おくだ・ひろみ)

精神科医・産業医・作家。1992年山口大学医学部卒業。精神科医、都内約20か所の企業の産業医として数多くのビジネスパーソンの心と身体のケアに関わるとともに、執筆や講演活動を行う。銀座スキンクリニックではカウンセリングルームを持ちメンタルケアコーチングやダイエットコーチングを実施している。著書に『何をやっても痩せないのは脳の使い方をまちがえていたから』(扶桑社)、『女医が教える 働く男の怒りと疲れをパワーに変える処方箋』(メディカルトリビューン)、『ココロの毒がスーッと消える本』(講談社+α文庫)、『これならできる!魔法のスリム習慣』(太陽出版)などがある。現在は、FM世田谷「三浦和人とドクター弘美の心デトックス・ナイト」(毎週金曜日23:30~)のパーソナリティーも務めている。

http://medical-life.info/ 

五月病は、なんと3月から始まっていた!?

——そもそも五月病とはどういう症状なのですか?

 「軽い抑うつ状態」と診断されるような状態のことを指しますが、医学用語ではありません。3月~4月の環境の大きな変化や、連休中の遊び疲れ、不規則な生活などによって、自律神経の働きの乱れと身体の疲労が合わさって憂鬱になり、体調が優れないなどの症状が表れます。

 

——自律神経について詳しく教えて下さい。

 循環器、消化器など自分の意思で動かせない臓器の活動や各種ホルモンの分泌、睡眠などの調整する神経で、体の活動時、つまり昼間に活発になる交感神経と、睡眠時や夜に活発になる副交感神経の2つから成り立っています。2つのバランスが乱れることが「自律神経の乱れ」です。連休中の不規則な生活や、仕事などのストレスによって自律神経の働きが乱れると、さまざまな不調が現われてきます。

 

——具体的な五月病の原因はどんなことですか?

 3月から4月は環境が大きく変化する時期で、その頃からメンタル面の不調を訴える人は増えていきます。就職や転職、転勤、異動といった職場環境以外にも、子供の入学、受験といった家庭環境の変化に伴う緊張感やプレッシャーで、知らず知らずのうちに自律神経の働きは乱れていきます。また、この時期は天候も不順で温度差も激しく、10℃くらいまでしか上がらない冬日だと思ったら、25℃くらいまで上がる夏日ということも多いですよね。5℃以上の気温差も自律神経の働きが乱れる原因のひとつです。ストレスが貯まりやすい3月、4月の間に蓄積された疲労が、5月の連休でひと息ついた瞬間にドッと出てしまう状態が「五月病」です。せっかくの休みだからと遠出をしたり、びっしりと予定を入れてしまったり、ストレスが溜まった状態で無理すると、生活のリズムを崩して体調に影響が出てくるのです。

 

——五月病になりやすい人とはどんな人ですか?

 自分のわがままを抑えこみ、気持ちを出さずに周りの顔色を見て合わせてしまう、いわゆる「いい人」ですね。あるいは、完璧主義で人に任せられない人。一から十まで自分でやろうとする人や、コミュニケーションが苦手で頼めずに抱え込む人。そういったタイプは同時に自分の悩みや不安も抱え込みやすいのです。

 

——周りにつらそうな人がいたときの対応はどうすればいいですか?

 まずは心身共にゆったり過ごす時間を増やしてあげてください。相手が部下や同僚の場合は、叱咤激励は避けて見守るように心掛け、アフターファイブも無理に飲みに誘わない。気分転換も大事なので、本人が話を聞いて欲しいなら積極的に聞いてあげて欲しいのですが、根掘り葉掘り聞き出そうとするのは逆効果です。メンタル不調時は集中力や決断力が鈍るので、責任やプレッシャーのかかる仕事を与えると悪化してしまいます。本人と相談しながら、一時的に仕事を引き受けたり、締め切りを延ばしたりと、抱えている仕事を減らす気遣いをしてあげて下さい。家族の場合は、睡眠や食事をきちんと取れるように衣食住のサポートをして、土日などは無理やり外に連れ出さない。家族で出かければ気分が晴れると思うかもしれませんが、本当に疲れているときはかえって負担になってしまいます。本人が嫌がる場合は出かけずに家でゆっくりしたほうがいいでしょう。

 

「五月病」のセルフチェック&セルフケア

【五月病かも…?と思ったときのセルフチェック】

①寝つきに1時間以上かかる、中途覚醒など睡眠の異常はありませんか?

 睡眠は、身体はもちろん、脳の疲れも取ってくれるもの。通常は6時間以上寝ないと翌日に疲れを持ち越し、気分が憂鬱になったり作業能力が落ちたりするほか、健康被害が増えると言われています。寝つきに1時間以上かかる、途中で何度も起きる(中途覚醒)、早朝に目覚めて眠れない(早朝覚醒)などの睡眠障害が起こっていないでしょうか?

②極端な過食や食欲減退、アルコールの多飲などはありませんか?

 食欲が落ちたり、甘い物やアルコールを過剰摂取したりと、食事に影響が出る人も多いです。気持ちが落ち込んでいる場合は、自分が「美味しく食べられているかどうか」を見直して下さい。原因不明の胃もたれ、胃痛、便秘、下痢が続いている場合も自立神経の働きが乱れているサインです。

③感情が不安定になっていませんか?

 イライラしたり、怒りっぽくなったりする人も多いです。興奮してはしゃいだと思ったら泣いてしまうなど、感情が不安定になり、ブレーキが効かなくなっていると感じたら要注意。

④身体がだるい、気持ちが憂鬱などの心身の倦怠感はありませんか?

 朝起きたときの倦怠感も、五月病のサイン。20代~40代の働き盛りの方ならば一晩ぐっすり寝ると疲れはほぼとれているのが普通ですが、抑うつ状態になってくると、朝起きても身体のだるさが残り、日中も気だるく憂鬱さが晴れないなど心身の倦怠感が続いていないでしょうか?

⑤うっかりミスが増えていませんか?

 脳が疲れて抑うつ状態になってくると、うっかりミスが増え、パフォーマンスが低下します。今まで1時間でできていた仕事が2時間以上かかる、料理のメニューがなかなか決められないなど、思考力低下や判断力低下を招くことも。「頭にモヤがかかった感じが増える」「考えがまとまりにくい」といった症状を感じていないでしょうか?

⑥「人嫌い」の症状は出ていませんか?

 人と会うのが面倒くさい、苦痛になるという症状が出ることも。ケンカをしたわけでも、仲がこじれたわけでもないのに、電話が鳴っても出たくない、メールの返信をするのも億劫、遊びに誘われてもつい断ってしまう…といった「人嫌い」症状は要注意です。 

⑦「面倒くさい」と思うことが増えていませんか?

 すべてが面倒くさく感じ、女性はおしゃれや化粧が手抜きになり、男性は髭も剃らずに髪の毛はボサボサ…といった具合に、身だしなみに気を配れなくなります。異性への興味や性欲も減退していくので、合コンやデートに誘われても断ってしまうことも。趣味やスポーツ観戦などへの興味もなくなり、家にこもりがちになっていないでしょうか?

⑧「被害妄想」が増えていませんか?

 飲み会に誘われなかったり、友人からの連絡が間遠になったりしただけで、「嫌われている、仲間外れにされている」といった被害妄想を感じる人も多いです。SNSなどでリア充な人々を見て過剰に落ち込むのも、被害妄想が原因の場合があります。

 たくさん当てはまる人ほど要注意!少ししか当てはまらない場合も、2週間以上症状が続き、生活に障害が出ているようであれば“五月病”かもしれません…!

 

【五月病を改善するためのセルフケア】

①仕事をセーブし、6時間以上睡眠を取る

 まずはなんとか仕事をセーブする。上司や先輩、同僚に体調が悪いことを伝え、プレッシャーのかかる仕事や宿泊を伴う出張は免除してもらい、なるべく定時勤務をさせてもらう。早めに帰宅できたら、普段12時に寝ている方なら10時か11時までには布団に入り、できれば7時間は寝る。遅く寝ることは体内リズムを乱す原因になりますが、早く寝る分には体調に影響しません。本来人間は、日の入りとともに休み、日の出とともに起きるという体内リズムを持っているので、なるべくそれに合わせた生活を心がけることをオススメします。友達と遊んだり、話を聞いてもらったりする場合も、早めに切り上げて7時間の睡眠を確保するようにして下さい。眠れない場合はお風呂にゆったり浸かる、心地良い音楽を聴くといったリラックス時間を増やすと眠りやすくなります。公園で日向ぼっこをしたり、近場の緑地帯をゆっくりと散歩したりすることも、緊張過多に傾いていた自律神経の調整に役立ちます。

②スマートフォンやゲームなどIT機器を見過ぎない

 スマートフォンやゲーム機器などのIT機器は脳を疲労させメンタル不調を悪化させる可能性があります。ブルーライトが不眠症を誘発させることも指摘されています。特にSNSは、不調の時はあまり見ないほうがいいと思います。自分が辛いときに他人の幸せな様子を見て辛くなったり、LINEなどの文字だけのやりとりですれ違ったりと、良いことはありません。そもそもコミュニケーションとはストレスを生むことなので、ネガティブ思考が働いているときは余計なことが気になってしまいます。スマホは寝る2~3時間前から見ないこと。電源を切ってしまってもいいです。夜中に着信に気づいて起きてしまい、眠れなくなるといった話も多く聞きます。スマホをいじるのをやめて、自分の好きな音楽を聞いたり、雑誌をパラパラとめくったり、ゆったりとした時間を過ごして良い睡眠を取っていただくことが理想です。

③バランスの良い食事を摂る

 タンパク質には疲労回復物質がたくさん入っているので、疲れているときはタンパク質をしっかり摂って下さい。脂っこいものは胃もたれの原因になるのでNG。蒸鶏やお刺身、焼き魚やお鍋、冷しゃぶ、温泉卵など、油分が少なめのあっさりとしたメニューは、食欲がないときにもオススメ。とにかく良質のタンパク質と野菜をしっかり摂ること。糖質も脳のエネルギーになり、気持ちを安定させてくれますので、炭水化物もほどよく摂って下さい。「糖質オフダイエット」をしている人は少しお休みを。食事をゆったり食べることで、緊張していた神経がほぐされて、頭の切り替えにもなります。無理に調理をするのは大変なので、ひとり暮らしの人はデパ地下やコンビニの惣菜、定食屋さんやファミレスを活用して下さい。

④適度な運動を心がける

 無理して運動をする必要はありませんが、休日などを利用して、ウォーキングやサイクリング、ジョギングなど、できるところから有酸素運動を取り入れてみて下さい。ジムで軽く身体をほぐすのもいいと思います。ヨガやピラティスなどを習慣的に取り入れるのもオススメです。身体を動かすことでストレス発散にもなりますし、筋肉の凝りや疲労もほぐれて寝付きも良くなっていきます。一駅前で降りてウォーキングするなど、簡単なことから始めてみるといいと思います。

⑤悩みや心配ごとを溜め込まない

 真面目な人ほど自分の気持ちを抱え込みやすいので、会社での不安や心配ごとは、信頼のおける上司や同僚に聞いてもらって下さい。話すことで気持ちがデトックスされるという効果もあります。ただ、秘密保持の出来ない人に話すと大変なので、人は選ぶこと。何ごとも溜め過ぎず、ほどよくわがままになることも大切です。

⑥アロマ効果を活用する

 純度の高いアロマのエッセンシャルオイルは実際に脳に働き感情や認知能力に役立つことが科学的にも明らかになっています。五月病の症状があるときは、とにかくリラックス効果の高い、ラベンダー、オレンジスウィート、カモミール、ローズなどのアロマオイルがオススメです。ティッシュやハンカチに数的振りかけ、枕元やソファーの近くに置く、ディヒューザーで拡散させたり、入浴時に数的振り入れたりといった方法で、アロマセラピーの効果を試してみるのも良いでしょう。

 

●デキるビジネスパーソンは「セルフケア力」を身に着けている!

——セルフケアをしても改善されない場合はどうすればいいですか?

 自力で眠れないことは、メンタル面に不調をきたしている大きなサイン。いきなりメンタルクリニックに行くのはハードルが高いのであれば、市販の導眠剤なども試されてもいいとは思います。それでも寝付きが悪く途中で何度も起きてしまうなど、なかなか改善しないようであれば医師に相談しましょう。眠れるけど会社に行く気力がわかない、不安で仕方がないといった、普段と違うような兆候が1週間以上続くような人も相談してみて下さい。今はメンタルクリニックも敷居が低くなっていますので、“少し話を聞いてもらう”といった感覚で、まずはお問い合わせを。

 

——最後に、悩めるビジネスパーソンにメッセージをお願いします。

 産業医として多くのビジネスパーソンと接していますが、ストレスに強く、仕事のデキる人は、自分の健康に関心が高い「セルフケア力」のある人です。まずは自分の生活を振り返り、寝不足が続いていたらその状態を連続させないこと。寝不足な日の次の日は寝る。遊び過ぎて疲れたらゆったりするといった感じで、緩急を上手につけることでメンタルは強くなっていきます。当然ながら、身体が疲れると気力が下がっていきます。いかに身体を疲れさせずにベストコンディションに持っていけるどうかが、ビジネスパーソンとして良いパフォーマンスをするための基本ではないかなと。これから自分のキャリアを伸ばして行きたいと思っていらっしゃる方には、ぜひ「セルフケア力」を身につけていただきたいです。

●奥田弘美先生の最新刊はコチラ

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光文社/1,404円(税込) 

 EDIT&WRITING:石本真樹

脳の研究にビジネスチャンス! 瞬時にやる気が出る「やる気スイッチ」は作れるか!?

「やる気スイッチ、ON!」

やる気スイッチ、ON!

パチン! とスイッチを押す気軽さで、瞬時にやる気が出てくればどんなにいいことでしょう。

世界で脳の研究に巨額の投資が始まっている

21世紀は脳の時代です。脳の全貌解明を目的とした大型プロジェクトが世界中で始まりました。EUは10年間で約1,500億円、アメリカは10年間で約1000億円、日本も10年間で数百億円を研究に投資します。大型プロジェクトが生み出す効果は、経済的にも大きな注目を集めています。

脳プロジェクトの成果としては新薬の開発などが期待されますが、それだけではありません。脳科学の知見に基づいて開発される「未来のガジェット」が私たちの生活を変えることでしょう。そんなガジェットの1つとして、冒頭に書いたような「やる気スイッチ」を作ることが可能なのか、少し考えてみました。

脳の活性化に使われる「電磁力」と「バイオテクノロジー」

脳の部位のうち、どこが「やる気」に関わるのかが同定されつつあります。脳の真ん中近くにある側坐核(そくざかく)や、腹側淡蒼球(ふくそくたんそうきゅう)といった脳部位を活性化する方法があれば、スイッチを入れるように、やる気を瞬時に出せるかもしれません。

SF映画では「頭にチップを埋め込んで人間を自在に操ってしまう」なんて設定をよく目にします。神経細胞は電気信号を発して情報を伝えるため、外から人為的に電気信号を加えれば、脳を制御できると考えられます。実際、1965年には暴れ牛の脳に電極を刺して、リモートコントロールでその動きを止めるというデモンストレーションに成功しています。

脳を制御する手法は、それから50年以上かけて改良され続けてきました。現在は大きく分けて2つの手法が使われています。「電磁力」による方法と、「バイオテクノロジー」による方法です。

人間で実用化されている「電磁力」なら実現も早い?

電磁力を使って人間の脳を刺激する方法が実用化されています。

発電機にも使われている電磁誘導という現象を利用して、外部から脳の中に微弱な電流を発生させ、脳を刺激する装置があります。これは数cmの精度で脳を刺激することができ、幻聴の治療や脳機能の研究などに使われています。

また、運動に関係する病気の治療に、小型化した埋め込み電極が使われることもあります。こちらも、工夫次第ではやる気スイッチに活用できるかもしれません。

電磁力を使って人間の脳を刺激する

「人間で使用されているなら、やる気スイッチの実用化も秒読みの段階なのでは?」
と思われるかもしれません。

しかし、これらの方法では、やる気だけを活性化することがまだ難しいのです。実は、側坐核は「やる気」のほかにも、「快楽」や「嘘」に関わることが分かっています。やる気スイッチを押したはずなのに、間違って気持ちよくなってしまったら困ります。仕事になりません。

これらの方法に技術的なブレークスルーが起きれば、すでに人間で実用化されているだけ、やる気スイッチもいち早く実現できるかもしれません。

バイオテクノロジーを使って「やる気」だけを刺激できる?

前節でみたように、人間で実用化されている手法では「やる気だけを刺激する」ことが、まだ難しいのですが、バイオテクノロジーの技術を使えば、これが可能かもしれません。

この技術のミソは、光に反応して電気を発生させる特殊なタンパク質を細胞に組み入れるところにあります。

光のオン・オフで神経細胞の活動を制御できる

2004年頃、まさに部屋の電気のスイッチを入れるかのように、光のオン・オフで神経細胞の活動を制御できることが示され、世界が驚きました。

例えば、光を感知するタンパク質を、運動を制御する神経回路に組み込めば、手足の動きを光で自由に制御することができます。「光でマウスの記憶を消すことに成功した!」といったニュースを見かけることがありますが、この特殊なタンパク質を、記憶に関係する神経回路に応用したわけです。

この手法で「やる気だけに関与する神経回路」を活性化すれば、スイッチを切り替えるようにやる気を出せる可能性があります。

光で脳の奥深くを刺激することはまだ難しいのですが、つい先月、磁力とバイオテクノロジーを組み合わせて、脳の奥深くを刺激することに成功したそうです。人間に応用するためには安全性などの問題が残りますが、将来的にはこの問題も解決されることでしょう。

脳科学分野のビジネスチャンスに目を光らせよう!

やる気スイッチが開発されるまで待ってください

やる気スイッチを実現する技術として、電極、磁気刺激、バイオテクノロジー手法のどれが最適なのかは、まだ分かりません。脳研究に大型予算が投与される今後10年間で、技術革新がさらに早まり、ますます実用に近づくと期待されます。

脳の活動を制御する技術の応用性は、無限大です。病気に関わる神経回路を操作して直したり、記憶を書き換えたりもできるようになるかもしれません。

未来のガジェットを作りたい人や、これから起業や投資を考えている人なら、脳科学研究の最新動向をチェックしておくと、他人に差を付けられるかもしれませんよ?

著者:ドクターP (@)

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日常会話のネタになるような科学記事をメインにブログを書いています。

アレ待チろまん

イラスト: まび(@

「会社に振り回されやすい人」が陥る 3つの罠とその対処法

会社に振り回される人生、送ってませんか?悩んで悩みぬいて転職を決意したのに、うまく辞めることもできず振り回され続けていませんか?

「こんなハズじゃなかった…」とか「何のために生きてるんだろう…」なんて考えがチラついてしまう人は、もしかしたら現在進行形で会社に振り回されている…のかもしれません。

実際、「働きたいのに辞めさせられてしまう」という解雇やリストラの法律相談だけでなく「辞めたいのに辞めさせてもらえない」という相談もかなり多いのです。

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会社の暴論に振り回されやすいタイプとは?

・キミが辞めたらこの会社つぶれちゃうよ?

・そんな辞め方をして、この業界にいられると思うな?

・もし辞めたら損害賠償請求させてもらうから

 

極端な事例ですが、上記のような暴論を上司等から言われ「辞めたいのに辞められない…」なんてこともザラだとか。

 

もうこれ、明らかな脅しですよね。

 

普通に考えれば無視して意思を貫けばいい話なんですが、どうにもそうは出来ないタイプの人がいるようです。

では、会社に振り回されやすいのはどんな人でしょう?

 

Type1:頼みを断れない「いい人」タイプ

わかりやすいところで言えば、頼みを断れない人がいます。上司のムチャ振りや飲み会の誘いをうまく断れない人は、そのまま会社に振り回されやすいタイプであるといえます。

 

Type2:あまりにも論理的すぎる「頭脳派」タイプ

意外なところで言えば、論理的すぎる人も振り回されてしまうことがあります。

頭脳派論理思考タイプの人は、同タイプの人とのやりとりは得意ですが、他のタイプを相手にしたときに、「相手も自分のように考えるはず」ということを前提にしてしまいがち。上司の暴論とも言えるテキトーな発言にも「論理的にどうか?」を考え、議論し、結果として巻き込まれてしまいやすいのです。

 

会社に人生を振り回されないための対処法

さて、今回はあえて会社や上司の話を出していますが、会社を辞める(≒一種の別れ)と考えると、その多くは恋愛関係においても応用可能だったりします。

 

・別れを切り出せない

・いつもパートナーに振り回されていて苦痛

 

という人は、以下お伝えする対処法について「上司」「会社」を「彼女・彼氏」「妻・夫」のように変換して読むと役に立つかもしれません。

 

振り回されやすい人がついつい陥りがちな泥沼ポイント『罠』はどこに潜んでいるのか?

その正体は?対処法は?各シチュエーションとパターン別に3つほど紹介してみたいと思います。

 

感情論の罠…感情に論理で返せば泥沼化

会社に辞めることを伝えたら、「キミが辞めたらこの会社つぶれちゃうよ?」なんて泣きついてくるような発言が上司から飛び出したらうしましょうか?

 

「そう言われては、残るしかないですね…」

 

なーんて応じてしまっては、完全に相手の思う壺。またもや振り回される人生が続くことになります。こんな時、絶対にやってはいけないのが”感情論に論理で返す”という行動。例えば…

 

「いえ、うちの営業はしっかりしていますし、田中もいるから大丈夫ですよ」

 

一見、何の問題もない返しに見えます。が、これが悪手なんです。感情で押し通そうとしている相手にしてみれば、論理で返された答えはいくらでも返しようのある言葉となってしまい

 

上司「いや、田中君とキミじゃやっぱり格が違うよ」

あなた「え?いや、しかし…」

 

------押し問答-------

 

上司「とりあえず、この件は保留にしておこう」

 

…といった具合に煙に巻かれてしまいやすくなるんです。重要な点について議論するのは良いですが、もともとの話は何だったか思い出してみましょう。「キミが辞めたら、つぶれちゃうよ」という泣きつきでしたよね?

 

そもそも、従業員には辞める権利があります。当然に。が、当然のことを言われ、かつまともな反論ができないとき、相手は感情に訴えてくることがあります。

 

そんな感情論に対して、議論をしても生産的ではないですし、いつの間にか消耗させられてしまうのです。

 

これ以上、振り回されたくないのなら、感情的な言葉に反応しなくていいです。聞こえないふりをしてもOKなんです。

 

優秀な部下が辞めようとするときだけではなく、店長の明らかなセクハラを訴えようとしたら「オレがいなくなったら、この店はつぶれるぞ?」

 

部下の使い込みを追及しようとしたら、「オレが抜けたら、営業ヤバイんじゃないっすかね」と、近いうちに流行語大賞になりそうなくらい使われています。

 

まともな反論ができないとき、人は問題をすり替えて感情論に走るわけですね。それに踊らされては無駄に消耗してしまいます。

 

まあ、たいていの場合、エースが抜けても何とかなるもんですよ。

 

集団迎合の罠…多数派に流されてOKなのは ”検討が面倒な時” だけ

会社に振り回されるのが嫌で、改善を求めたとしましょう。

 

ところが、上司は「みんな、これでガマンしてるよ?」と言ってきます。

 

「みんなはOKだよ?」という言葉は、言われるとけっこうキツイですよね。一人だけ違う、少数意見だと何か不安になるじゃないですか。

 

駅のホームで周りに人がいないのに、反対車線のホームに人がいっぱいいると、「あれ、こっちのホームで良かったんだっけ?」と少しだけドキドキしてしまうもんです。

 

会議で反対意見なのに、「反対の人います?」と言われて、誰も手をあげないと、「自分の考えはおかしいのか?」と自信が60パーセントくらい減ります。

 

2カ月ほど前にも、ネット上で「ドレスの色、何色に見える?」といった話題がありましたよね?

 

あの写真を、実際に何人かで見た際「青に見える」「青でしょ?」と複数人が発言してしまうと、後から一人の友人がオドオドと「オレは…白に見える…んだけど」とつぶやいていました。

もし、彼が最初に「白」と言ったならばもっと自信を持って言えていたことでしょう。

 

私たちは、集団内でつい他人に合わせてしまいます。

 

それは、ラクだから。

 

行列ができているお店の食べ物はそこそこ美味しいですし、ランキング1位の本がつまらなくて破りたくなるということは滅多にありません(たまにはありますが)。

 

我々人間にはこんな性質があるので、「みんな、ガマンしてるよ?」なんて言われると、つい「自分もガマンしなければ」と考えてしまいがちなのです。

 

が、集団を作る側からすると「みんな」は演出できてしまいます。

 

行列はサクラかもしれないし、ランキングは操作されたものかもしれないのです。

 

だから、そんな他人に合わせる必要はありません。特に重要なことは。

 

他人に合わせるのは、検討する手間を省いてラクをするため。であるならば、なおさら重要なことはラクをせずに、ちゃんと吟味しましょう。

 

「みんなはこれで納得してるよ?」などと言われたら「それが何か?」「だから?」と他人の動向は本来関係ないということを思い出しましょう。

 

 

変化を嫌う罠…変わらない一貫性はラクな反面リスクも多い

癖や悪い習慣を直そうとしても、なかなか直らないですよね。人は簡単に変わらず、過去の自分と一貫性を保とうとするのです。

 

ある会社に、自己啓発が大好きな上司がいました。

 

本を読んだり、セミナーで新しい情報を手に入れるたびに、職場に新しいルールを持ち込もうとします。飲み会を急に増やしたり、唐突に合宿が始まったり…といった感じですね。

 

で、この手の人にありがちなんですが、大抵が長続きしません。

 

今回も、急に「明日から毎朝、トイレ掃除をしよう。これで業績が上がるはずだ」と提案してきました。いやいやいや……

 

「また変なことを言い始めた・・・」

「テキトーな思いつきで提案するの勘弁してくれー」

 

こんな風に感じる人が多いでしょう。

 

でも待ってください。そう感じるのは実は「変わりたくない」からではないでしょうか?

 

変わるって大変なんですよ。「大きく変わる」って書いて「大変」ですからね。変わらない方がラクなのです。

 

上司の新しいルール提案に「勘弁してくれー」と感じてしまう人は、一貫性への依存度合いが強いのです。

 

そんな人は、会社に振り回されると、そこから抜け出しにくい傾向にありますので、気をつけてください。それまで「振り回されていた自分」を大事にして正当化してしまうのです。

 

急に掃除ルールを持ち込まれたら、「どんなロジックで業績が上がるんだ?」と前向きに考えてみると良いかもしれません。

 

・キレイにするというメンタル面の変化があるのか

・身体を動かすことで、他の動きも早くなるのか

・お客さんからの見た目が良くなるのか

 

などなど。色々とありそうですよね。

 

 

まとめ

振り回されて悩んでいる人は、3つの罠に引っかかってないか意識してみてください。

 

まあ、会社に引き止められるうちが花ですよね。

 

みなさんが、逆に会社を振り回せるようになるよう願っています。

 

P.S.

今回の3つの罠を仕掛けてくるめんどうな人も、書籍『めんどうな人をサラリとかわしテキトーにつき合う55の方法』で取り上げています。ぜひチェックしてみてくださいね。

著者:石井琢磨

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『めんどうな人をサラリとかわしテキトーにつき合う55の方法』著者。弁護士。幼少時から家族が次々と壺を買わされるという、ダマされ環境で育つ。偏差値35から中央大学法学部に合格。在学中に司法試験一発合格、消費者事件を中心に活動中。

ブログ「相模川の弁護士55

メンターに「学ぶことがあった」先輩は73%!もらいたいアドバイスとは?

 皆さんは、“メンター”をご存じですか? “メンター”とは、あなたのよき指導者・助言者のこと。あなたにとっては、業務やキャリア、プライベートなことも相談できる先輩。昨今は、新人だけに限らないメンター制度がある企業もあり、聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか?
 そこで20代を中心としたビジネスパーソン459人を対象に、『メンターについてのアンケート』(※)を実施。メンターからどのようなことが学べ、どんな成長が見込めるのか、知ってみませんか。これからメンター側に回るかもしれない方も、ぜひご覧ください。
(※調査方法/インターネットリサーチ 期間/2015年03月26日)

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5人に1人はずっと!? メンターがついたことのある人は3分の1

 “メンター”とは、"メンタリング"をする人を意味しています。"メンタリング"とは、人の育成、指導方法のひとつ。相手に指示や命令ではなく、アドバイスや対話をすることで、自発的な気づきと自律的な成長を促すのです。メンター制度を導入している企業では、新人の時に社会人3~5年目ぐらいの先輩をつける場合や、キャリアやマネージメントなどの悩みにもアドバイスできるような経験ある人を常につけている場合などがあります。

 では、実際に“メンター”についてもらった経験のある方がどれぐらいいるのかでしょうか? Q1で伺ってみました。

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 すると結果は、「いた・いる」と回答した方は147人で、32.0%に留まりました。反対に、「入社時から特にいない」という方が68.0%となり、“メンター(制度)”はまだ一般的とは言えないよう。とはいえ、メンターの被経験者のうち、「入社時~現在までいる」と回答した方は95人で、全体の20.7%にも上ります。つまり、同世代のうち、7割近くがメンターに接していない中、2割には入社時からずっとメンターがいることになります。
 常にメンターの存在があることは、それだけで大きな強み。日々細かなことを確認できる人がいる安心感から始まり、広い視点ではキャリアプランや人生における目標までも相談できるなど、たくさんのメリットがあります。仮にメンターと価値観が違ったとしても、別の価値観からのアドバイスを得ることによって、さまざまなことに気づける機会となるはずです。

相談したいのはモチベーションの維持、将来について…。メンターからほしいアドバイスとは?

 そこで、メンターがいた方たちに『学ぶことがあったか』をQ2で聞いてみると、なんと72.8%もの方が「あった」と回答しました!

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 では、もしメンターがいたら、どんなことを相談したいのでしょうか。また、それにどのようなことを期待するのでしょうか。フリーコメントからご紹介いたします。メンターや先輩たちから学べることが見えてきますので、新人の方はぜひ参考にしてみてください。また、すでに社会人2、3年目で後輩が入ってきた人は、新人が求めていることを思い返し、今度は自分がどうアドバイスできるかを考えてみてはいかがでしょうか。

【メンターに相談したいこと】
●仕事の対応/ビジネスマナー、敬語、メール文面、電話の応対
●具体的な業務/円滑に仕事を進捗させる方法、仕事での人の動かし方
 顧客との付き合い方、時間の使い方、仕事をする上でのポイント
●姿勢/仕事へ取り組む姿勢、キャリアプラン、仕事を楽しくする方法
●メンタル/モチベーションの維持方法、日々の不安、失敗した時の気持ちの保ち方
●プライベート/ストレス発散法、恋愛、お金、私生活、将来、人生相談
●個人としての指摘/人間関係、気づいていない自分のダメなところ、自分が今の仕事に向いているか、日ごろの言動や態度や対応、転勤の可否(Uターン希望)
 
 社会人として基本的なことから始まり、仕事のことはもちろん、それ以外でも同じビジネスパーソンであり、すでに多くを経験している先輩方にさまざまなことを相談したい様子。具体的な業務などは、研修で学ぶかもしれませんが、現場での臨機応変な対応や個別案件ごとに変わる事項などは即活かせそうですね。
 また、メンタル面やプライベートに関することは、一見相談するのに抵抗がありそうですが、同じ環境の中で「自分を分かってくれる存在」であることから、オープンになれるのかも。同様に、日々一緒に仕事をする中での信頼感から、いち個人としての悩みを何でも言え、指摘もすんなり受け入れられる関係性が築かれていくのかもしれません。

【メンターにアドバイスされたいこと】
●経験
-実体験に基づく助言、自分はどうやってどんな結果がついてきたか

-いろいろなロールモデルや先輩を紹介してほしい
-指導の仕方
●具体的な方法や知識
-自分を客観的にみる方法、多くの場面で使える知識、仕事に必要な高度な知識
-初対面の人とのやりとりのやり方、目上の人を相手にする場合の心構え
-優先順位が高いこと、取り組む前の段取りの仕方


 やはり経験に裏打ちされた、現場で役立つアドバイスを求める声が多いよう。ですが、中にはただ聞いてほしい、現状をわかってほしいなど、受け止めてほしい、味方になってほしいという気持ちが出ていることメントもありました。
 具体的なアドバイスとしては、やんわりと指摘したり、さりげなく「簡潔に、こうするといいんじゃない?」といった教え方をされたいようです。他にも「いくつか選択肢がほしい」という声がある一方、「考えさせるアドバイスがほしい(答えはいらない)」といった声も。当たり前ですが、人によって求めることや、されたいアドバイスの仕方も変わります。そしてまた、メンターにも個性があり、人によってタイプが異なるもの。メンターはその役割から、基本的には相手を理解し、受け止める姿勢をもって、新人と向き合ってくれます。ですが、それに依存するばかりではなく、アドバイスしてもらいやすいよう、真摯な態度や、アドバイスの実践など、アドバイスしてもらいやすいよう「新人」もしくは「後輩」としての信頼を得ることが大切です。

 まずはコミュニケーションをとり、理解し合えるよう努めることが第一歩。いくら役割だからといっても、何を考えているかよくわからない相手の味方にはなってくれません。たとえ多少の年齢差があったとしても、分かり合うことによってお互いが相手に合わせたキャッチボールができるようになる可能性が高まり、求めているような指導や言われ方で、あなたにとってよいアドバイスがもらえるようになるはずです。
 言葉は悪いですが、せっかくついてくれるメンターならうまく活用し、自分に役立つアドバイスを引き出して、成長につなげていってください。あなたの成長は、メンターを喜ばせることにもつながります!

 なお、もし自社にメンター制度がないのであれば、いっそ会社から離れて考えてみるのもありかもしれません。例えば、「e-Education」プロジェクトを手掛けた税所篤快氏のメンターには、一橋大学イノベーション研究センター教授の米倉誠一郎氏(参考記事へ)や、元リクルートフェローで元杉並区立和田中学校校長の藤原和博氏などがいます。

 新人のうちは難しいかもしれませんが、社会人としてキャリアを積む中で、社内外で「この人は」と思う人がいたら、積極的にコミュニケーションをとり、自分の中で「メンター」としてアドバイスをもらう(アドバイスとなりえることを見つける)といった思考をすることで、考え方やキャリアを進むベクトルが変わりそうです。 

 WRITING 田中美穂

人間の本質は時代を経ても変わらない。だから、過去に学ぶといい。【脳科学者 中野信子さんの仕事論】

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テレビなど数多くのメディアに出演する一方、
大学でも教鞭をとる、注目の脳科学者である。
世界で上位2%のIQ所有者が入会できる
MENSAの会員としても知られている。
多方面で活躍する彼女に、
仕事で成果を出すための秘訣を聞いた

 

■今、調子がよさそうな人のまねをしないこと

人とコミュニケーションをとることが苦手な人が増えていますよね。それが仕事で成果を出しづらくしている大きな要因だと思います。

昔はコミュニケーションというのは、生きていくうえで必要不可欠なものでした。天災、飢餓、猛獣、感染症などの人類の脅威に対抗するためには、群れを作って立ち向かうことが生存に有利だったからです。そのために人はコミュニケーション手段をどんどん発達させていきました。でも現代、特に都市部では一人で生きていけるようになりました。すると、コミュニケーションをとる必然性はない。逆に、下手にコミュニケーションをとると危害を加えられかねないという、人類史上始まって以来の難しい時代がきてしまったんです。

本当の自分を見せないように、若い人はペルソナ(外界に適応するための社会的・表面的な人格)を作りますよね。 “人当たりがよく、怒らず、地味で主張しない”というペルソナ。本心を見せず、そのペルソナを通じてコミュニケーションをとり合うから、余計に相手のことがわからなくて不安になるわけです。仕事で出会う人だって仮面をかぶっているわけですから、本心はわからない。その状態で消費者ニーズをつかむのはとても難しいでしょう。

 

では、どうしたらいいか。ひとつには、「数値化したものを分析して答えをあぶり出していく」という方法があります。これはすでに多くのコンサルティング会社がおこなっていますし、この記事を読んでいるくらい意識の高い人たちはすでにやっているでしょうから、私からの説明は省きます(笑)。

私が脳科学者という立場からアドバイスするとしたら、「今、調子がよさそうな人のまねをしないこと」です。まねをするなら「自分がいいと思った人」のまねをすることです。

テレビでも出版でも、ネットでバズったことであっても、「これがイケる」と思うとみんないっせいにそうし始めますよね。話題になった人がいるとどの番組でもこぞって取り上げようとするし、売れた本があると似たようなタイトルの本がたくさん書店に並びます。ゲームでもそうですよね。ヒットしたゲームがあると、次から次へと同じようなつくりのゲームがたくさん出てくる。

確かに2匹目のドジョウは、ある程度は売れます。でも、それを続けていると、その業界自体が疲弊してしまうんです。消費者は「どうせ同じものばかりしかない」と思い、テレビを観なくなり、本も買わなくなっていきます。

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■歴史をひも解き、本能的に欲しがるものを探す。そこにチャンスがある
先日サッカーを見ていて思ったのですが、小学生くらいのサッカーだと、弱いチームは、みんないっせいにボールがあるほうに走っていくでしょう? ボール回しのうまいチームが対戦相手だったら、右往左往させられて簡単に負けてしまいます。同じことが仕事でも言えるんです。要は、「負ける人は、自分の頭で考えていない」ということです。

 

テレビでも出版でも草創期は違っていたと思いますよ。ボールがどこにくるか予測して、そこで待っていられる人がたくさんいたはずです。だからたくさんの大ヒットが生まれたし、時代をけん引できたのだと思います。

草創期にはロールモデルがいないから活躍するのが難しいと言う人がいますけど、ロールモデルなんていないほうがいいんです。誰もいなければすぐに一番になれるんですから。探せば、今は誰もいないけど待っていたらボールが飛んでくるところが必ずあります。そんな場所を見つけてしばらく待っていればいいんです。

 

自分では見つけられないという人は、歴史から学ぶことです。歴史は繰り返すと言いますが、まさにそうなんですよ。戦国時代でも幕末でもいい。時代は問いません。「昔あったサービスだけど、今あったらいいよね」というものを探すという手があります。

例えばリサイクルなんてそうですよね。江戸時代にはいろんな形でものがリサイクルされていました。その後、消費をあおるような時代が続いたため廃れてしまいましたが、今あったらいいなというものがたくさんあります。そんなシステムを収益化できるようにアレンジしたら、いくらでも需要のあるビジネスを生むことができるでしょう。

ポイントは、「人間が本質的に欲しがるものをあぶり出すこと」です。人間の本質は、時代を超えてもそう大きく変わるものではありません。特に感情や欲求に関することは同じです。

 


人間の本質は変わらない。
そのなかの一つに「妬み」がある。
このやっかいな感情こそが
いい仕事をする上で、大きなトリガーとなるのだそうだ

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■実は女性より男性のほうが妬みを感じやすい
さきほど人間の本質は変わらないと言いましたが、そのなかの1つに「妬み」という感情があります。小さいころから妬みはよくないものだと教わりますよね。でも決してなくなることはありません。それこそソクラテスの時代から、目立つ奴は妬まれて毒殺される、みたいなことがあったわけです。妬みをなくすことはできず、あるのが自然な状態です。

では、男性と女性、どちらが妬みを感じやすいと思いますか? 女へんがついているから女性のような気がしてしまいますが、実は男性のほうが妬みを感じやすいんです。それは男性のほうが“社会的報酬”を感じやすい生き物だからです。仕事で認められると嬉しいですよね。それはお給料をもらえるからではなく、社会的報酬をもらえるからなんです。つまり、仕事の本当のモチベーションは、お金ではなく、「社会から自分の存在意義を認めてもらうこと」なんです。

 

失職するとひどく落ち込みますよね。それは社会から「いらない人間」と烙印を押されたような気になるからです。つまり失職によって失ったと感じるのは、お金ではなく“人間の尊厳”なのです。失職をきつく感じるのはそのためです。

もしあなたが、今いる場所が自分に合っていないと感じているなら、それはその場所と自分の能力が合致していないのではなく、「自分は正当に評価されていない」という気持ちが大きいのかもしれません。そういう状況では、自分を求めてくれる場所があったら、嬉しくなってそっちに行きたくなってしまうということが起こり得ます。たとえそこが社会的に問題のある場所であっても。人はそうやって道を間違ってしまうこともあるんです。

 

■妬みは必然。人と比べないで幸せを感じられる人はいない
面倒なものなら妬みの感情なんてなければいい、と思うかもしれませんが、実は妬みは人が生きる上で必要不可欠なものなんです。なぜなら、人は他人と比べることでしか、満足を得られないからです。人と比べず自分の中だけで満足できればそれに越したことはないけれど、残念ながらそういう人はいない。

 

環境に満足する人としない人、環境に変化があった時に生き残れるのはどっちだと思いますか? 正解は満足しない人です。なぜなら、常にもっと良くなろう、変わろうと準備しているので、環境の変動にすぐに対応できるからです。長い時代を経て、満足する人の多くは淘汰されてしまったと考えられます。

 

このように妬みというのは必要不可欠なものなのですが、同時に苦しい感情でもあります。私たちは、妬みとどのように対峙していったらいいのでしょうか。有効な方法の1つは、妬みの対象の相手を引きずり降ろす、です。でもこれは個人にとっても組織にとっても短期的にしか有効性が発揮されません。繰り返されると組織はやがて壊れてしまいます。では、どうしたらいいか。それは、「いい仕事をして、その人に勝つこと」です。それが、長期的に誰もが得をする唯一の解といえるでしょう。

 

■「どうしてその人に妬みを感じるのか」。分析すれば勝つ方法が見つかる
妬みを持った人に勝つために必要なのが、「自分はどういう観点でその人に妬みを感じるのか」を自分に問うてみることです。妬みを感じるポイントはいくつもあります。自分よりも上位の何かを持っている――例えば、自分より収入が多い、容姿が優れている、異性に人気がある、みんなに評価されている、新しいことを次々と思いつく発想力がある、人の気持ちを踏みにじれる力強さがある、など。自分が相手に対して何に一番、妬みを感じているのか、そのポイントを見極める。苦しくともじっくり考えてみるんです。

頭の中で考えるだけでははっきりしませんから、書き出してみるといいですよ。言語化することで整理ができていきます。

 

自分が嫌だと思うポイントがわかったら、次はその人を越えるための戦略を立ててみる。超えるということは「自分がその人よりどうなれば満足できるのか」ということです。収入がその人より多ければいいのか、社会的地位が高くなればいいのか、知名度が高くなればいいのか、かっこいい男と結婚することなのか。“妬みを晴らすゴール”を考えるんです。

そして、そこにたどり着く道を探ります。超えたいものが自分のなかに明確にあれば、必ず道は発見できます。その道を丁寧にたどっていけばいい。

 

自分の置かれている状況を客観的に見るのはしんどい作業ですが、それを可能にするのが、人間の知性です。脳のなかに前頭前皮質の背外側部というところがあるのですが、そこがこの役割を担っています。だいたい25歳で完成すると言われていますが、トレーニングしないと育ちません。若いうちに自分を客観視することで鍛えないと、中高年になってからではなかなか鍛えられないんです。でも、いったんできてしまえば、将来、多くの人に羨ましがられる才能になると思います。

 

【Profile

なかの・のぶこ●脳科学者、医学博士。東京大学工学部卒業、東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。2008年から2010年までフランス国立研究所で研究員として勤務。2013年から東日本国際大学客員教授、横浜市立大学客員准教授、2015年4月から東日本国際大学教授。研究のかたわら、さまざまなテレビ番組のコメンテーターとしても活動している。著書に『コミックエッセイ 脳はなんで気持ちいいことをやめられないの?』『世界で活躍する脳科学者が教える! 世界で通用する人がいつもやっていること』(アスコム)、『脳はどこまでコントロールできるか?』(ベスト新書)など。

information

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『正しい恨みの晴らし方 科学で読み解くネガティブ感情』
中野信子、澤田匡人著
「なぜ人は恨みの感情を持っているのか」この疑問を、脳科学、心理学それぞれの立場から問うた本。妬みは人間に必要なものとしたうえで、妬みを仕事や生活に活かす方法が具体的に書かれている。「妬みに操られないための方策」「いじめの構造」「リア充が気に入らない理由」「正しさで鈍る正しさ」「他人の不幸を喜ぶ脳」など興味深い内容が満載。日常生活のみならず、恋愛、ビジネスにも使える話がたくさん載っているので、ぜひご一読をお勧めする。
ポプラ新書。

※リクナビNEXT 2015年3月11日「プロ論」記事より転載

EDIT/WRITING高嶋ちほ子 PHOTO栗原克己

キャリアプランは立てている? 先輩社会人のキャリアに関する意識調査

 社会人になるにあたり、ご自身のキャリアついて考え始めた方も多いはず。例えば、「起業を目指し、5年は企業で修行する」「5年でリーダーになる」といった具体的な目標がある方ほど、「キャリアをプランニングする」という考え方に気づけたのではないでしょうか? 企業によっては入社から数年後に、その後に進むキャリアの選択を迫られることもあるのです。

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 そこで20代がメインのビジネスパーソン466人を対象に、『キャリアに関するアンケート』(※)を行いました。キャリアを考える上で、30歳はひとつの区切り。日々に追われて先のことまで考えられないという方も、20代でどの程度キャリアを意識しておいたら迷わずに済むのか、ぜひ参考にしてみてください。

(※調査方法/インターネットリサーチ 期間/2015年3月26日)

 

約半数がキャリアを意識。うち4割が具体的なキャリアプランも!

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 まずQ1で、キャリアについて意識しているかどうかを聞きました。「意識している」「やや意識している」という回答を合わせると、49.7%です。つまり、20代の約半数が、多少なりともキャリアを意識していることがわかりました。20代はまだ目前のこと一生懸命であり、そんな状況であっても「自分がどうなりたいか」というビジョンを持っておくことは、とても大切です。

 

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  そこでQ2で、その「意識している」と回答した層に「具体的なキャリアプランを立てているか」を伺ったところ、40.1%という結果にキャリアを意識しているものの、具体的なステップなどまでイメージできている層は、約4割にとどまっています。ちなみに20代前半だけに限定してみると、20代全体よりもその割合は低く、35.5%。年齢とともに仕事での経験が増えていくに伴ない、自分がどう成長したいのかを俯瞰して考える余裕が生まれ、必然的にキャリアへの意識も高まっていくと考えられます。

 

イメージしているキャリアプランは「5年以内」が73.1%!

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 それでは、一体何年先までのキャリアプランを意識したらよいのでしょうか? Q3の結果を示したグラフをご覧ください。「3年先以内」を含め、「5年先以内」をイメージしている先輩は、なんと73.1%にも! また「10年先以内」と、長期的なイメージをお持ちの方も21.5%と、2ケタを占めています。イメージしている期間が短い場合には、具体的にどうしたらよいかという行動や方法を考えやすく、努力すべきことが定めやすいかもしれません。自分が伸ばしたいと考えているスキルや能力など、注力すべきことが認識しやすくなりそう。逆に長い場合には、最終的な目標を定め、そこまでのマイルストーンや道筋をフレキシブルに考えることができるかもしれません。いくつかの道筋の存在を知り、自分や状況にあった山の登り方をすればよいため、仮に最終的な目標を達成できる可能性が高まるのではないでしょうか? 最終的な目標を意識することで、遠回りを回避でき、また予想外に進めなくなった場合にも、その時点で最適な次の道筋を見つけやすいはず。何より、最終的な目標をあきらめてしまうことがなさそう。
 まだベースキャリアを積んでいる最中ともいえる20代ですが、ある程度「自分がどうなりたいか」のイメージを持っておくことで、進む方向を定める有効な判断軸にできそうです。

 

3年後にマネージャー、5年後に独立? 先輩のキャリアプランを拝見!

多くの人が見据えている期間はわかりましたが、具体的にどのようなキャリアプランを描いているのでしょうか? フリーコメントから一部をご紹介します。

・1年後/1人でバリバリ仕事がしたい
・1年後/職階を上げたい
・1年後/新しい会社で、興味のある貿易関連の仕事に携わりたい
・3年後/チームリーダー、マネージャー、主任になる
・3年後/まったく違う業種へ転職していたい
・3年後/それまでに国際複合輸送士の資格をとり、専門知識に困らない状態に
・3年後/ケアマネジャー資格を取りたい
・4年後/今の会社を辞めて、海外へ留学したい
・5年後/海外の仕事を軌道に乗せて後身に譲り、自分は独立
・5年後/グローバルプロジェクトの中心になりたい
・5年後/係長、部長、管理職にキャリアアップ、周りを活かせるような立場に
・5年後/結婚してパート勤務をしていたい
・10年後/教育関係で起業をしていたい
・10年後/それまでに独立、開業したい
・20年後/退社して、ゲストハウスを運営

 「キャリアプラン」というと、きっちりした計画のような印象を受けがち。いきなりキャリアプランを立てることに抵抗のある方は、気楽に「いつまでにどうなりたいか」をどんどん書き出してみてはいかがでしょう。その後、優先順位や順序を整えれば、一気に現実味のあるキャリアプランに。また、日々の仕事の中で面白いと思ったことが何か、得手・不得手が何かという観点から、将来的にどうなりたいかを一旦立てて、時々見直してみるのもひとつの手です。とはいえ、企業の事情や成長スピードなどの問題で、キャリアプランの通りにいかないこともあると心得て。そんな時にも、何が目標で、何に主軸を置くのかが分かっていれば、調整や次の対応が明確です。軌道修正をするにしても、役立つに違いありません。

 WRITING 田中美穂

【20代の不格好経験】ミュージシャンとして大学時代にフジロック出演。メジャーデビューを目指したが芽が出ず挫折~VASILY(ヴァシリー)代表取締役 金山裕樹さん

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今、ビジネスシーンで輝いている20代、30代のリーダーたち。そんな彼らにも、大きな失敗をして苦しんだり、壁にぶつかってもがいた経験があり、それらを乗り越えたからこそ、今のキャリアがあるのです。この連載記事は、そんな「失敗談」をリレー形式でご紹介。どんな失敗経験が、どのような糧になったのか、インタビューします。

リレー第13回:株式会社VASILY代表取締役 金山裕樹さん

株式会社Viibar代表取締役 上坂優太さんよりご紹介)

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(プロフィール)
1978年生まれ。大学時代に結成したバンドで2000年にフジロックフェスティバルの舞台に上る。卒業後もバンド活動を続けたが、なかなか芽が出ず活動停止。音楽コンテンツ配信会社に2年間勤務した後にYahoo!JAPANに転職し、「Yahoo!FASHION」や「X BRAND」などのメディア立ち上げとマネジメントを経験する。2008年にVASILYを設立。

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▲VASILYが2010年に始めた、女性向けファッションコーディネートアプリ「iQON」。提携するECサイトのファッションアイテムを、ユーザーが自由に組み合わせてコーディネートを作成できる。現在投稿されているコーディネートは200万件以上あり、お気に入り登録して楽しんだり実際に商品を購入することもできる。現在の会員登録数は約200万人

■納得のいく音楽を追求し続ければ、絶対に成功すると信じていた

 基本的に、過去は振り返らないタイプです。なぜなら、未来を創り出すのが我々の存在価値を証明することだと思っているからです。

 それに、過去の経験を知見にするのはいいのですが、一方で「こんな経験をしてきたのだから、こういう道に進むべきでは?」などと「過去が未来の行動を制約しかねない」とも思っています。だから、「本当に必要なものは、振り返らなくても体に染みついていて、いざというときに力を発揮するだろう」と信じて、前だけを向くようにしています。

 だから、今回の取材を機に久々に過去を振り返ってみたのですが…自分ながら、なかなか波乱万丈な面白い人生を歩んできているなぁと(笑)。その過程で、いろいろな失敗をしでかしているのですが、「これは一番の失敗だった」と言えるのは、大学時代にミュージシャンというキャリアを選択したこと、ですね。

 大学入学してすぐに音楽サークルの同期と先輩との3人でバンドを組み、21歳のとき、ちょっとしたプチ成功体験をしました。日本有数のロック・フェスである「フジロックフェスティバル」の舞台に上ってしまったんです。しかも、3番目に大きいステージに。

 当時、CSのミュージックチャンネルが新人のインディーズバンドを推薦する枠があり、ラッキーなことに我々に目を留めてくれたんです。経験も浅いのに、たくさんのオーディエンスの前で、彼らの熱気を感じながらプレイする快感を味わってしまいました。それを機に、テレビや雑誌にもたびたび出るようになり、「これは音楽で食っていけそうだぞ!」と思いましたね。

 しかし、現実はそこまで甘くありませんでした。「自分たちの音楽」を追求するあまり、リスナーの気持ちを全く考えなかったんですね。1曲7分以上ある曲をいくつも作ったり、ライブでもジャムセッションばかりやっていたり。今考えても、マーケットに受ける曲とはお世辞にも言えなかった。

 でも当時は、「自分たちが納得のいく音楽を追求し続けていれば、絶対にいつか日の目を見る」と信じていました。…これって「顧客ニーズも測らずに、やりたいことをやって失敗する」というベンチャーあるあるに通じるものがありますね(笑)。結果、バンドは結成6年で活動休止となりました。悔しい気持ちはありましたが、やり切った結果だから仕方ないと踏ん切りがつきました。

■ユーザーがユーザーを呼ぶ、ネットならではの循環を生み出したい

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 すでに大学は卒業していたので、すぐに就職先を探しました。自分に何ができるだろうと考えたとき、頭に浮かんだのはWeb系の仕事。バンドをPRするために、自分でデザインを考えてプログラミングをして、ホームページを一から作った経験があったのです。フジロックでお世話になった会社が音楽情報のコンテンツ配信事業をしていることを知り、応募してみたところ、面接官として出てきたのがなんと当時のスタッフ。とんとん拍子に話が進み、正社員として入社しました。

 その会社では2年間、主に携帯の公式サイトの立ち上げと運営に関わりました。数十万単位の有料会員を抱える人気サイトで、デスティニーズ・チャイルドやコールドプレイなどに取材したりもしましたね。そんな超大物アーティストに会えて羨ましい!という人もいましたが、私自身は全く楽しくありませんでした。だって、この前まで自分がアーティストだったんですから。「なんで俺、今インタビューする側にいるんだろう」って。

 そんな中、私が面白さを感じていたのが、「Webサイトの仕組み」づくり。面白いと思われる企画を考え、実行したり、Webの導線を改善するなど、工夫を凝らした分ユーザーがぐんと増えるのが楽しかったんです。サイト作りのために行ったユーザーインタビューでは、直に「面白い」「いい情報をありがとう」などの声をいただいたりもして、何とも言えない喜びを感じました。

 それまではアーティストとして、自分が奏でる音楽で人をポジティブにしたいと思っていましたが、ここでの経験を通じて、会社組織であっても人をポジティブにできるんだ!と気付かされました。そんな日々を通して、徐々に「自分が得意とするネットを活用して、自分のやり方で人の心を動かしてみたい。そんな会社組織を、自分の手で作ってみたい」と思うようになったんです。

 そこで、起業に必要なことを学ぼうと、“ネットの世界で勝ち組”であるヤフーの門を叩き、「Yahoo!ミュージック」の担当に。その後、総合ファッションサイト「Yahoo!FASHION」(現在はサービス終了)、雑誌の最新号の記事が読める「X BRAND」などいくつかのサービス立ち上げ経験をさせてもらった後に、2008年にVASILYを設立しました。

 VASILYのメイン事業は、女性向けファッションコーディネートアプリ「iQON」の運営。このビジネスに着眼したのは、インターネットの本質である「ユーザーが情報を生み出し、それを別のユーザーが見に来て、今度は自分が情報を生み出したくなる」という循環を生み出したいと思ったことと、「このままでは日本の女性のファッションに対する意欲が薄れてしまうのではないか」と危機感を抱いたからです。

 ファッション雑誌を読む女性がどんどん減っているのに、ネット上にはこれといったファッション媒体がない。このままでは女性がどんどんファッションに触れる機会がなくなり、おしゃれを楽しまなくなるのではないか。ならば、自分の手で女性のファッションシーンを盛り上げよう!と考えました。ちょうどそのころ、アメリカでコーディネートサイトが現れ始めていたので、「日本でもやるべきだ」と思い、すぐに「iQON」の企画を練り、起業を決意しました。

 しかし、当時はヤフーでの仕事が猛烈に忙しく、かつ楽しくもあったので、起業準備になかなか時間が割けずにいました。本来ならば、ビジネスモデルをしっかり固め、サービスの大枠も作り上げてから起業すべきなのでしょうが、このままではいつまで経っても起業できない!とまずは会社登記をしてしまい、後には引けぬ状況を自ら設定して起業。そのため、立ち上げ当初は思いもよらぬ壁に幾度となくぶつかりましたね。キャッシュフローの計算を間違えて、給与未払い危機に陥ったりもしましたが、お気に入りのユーザーのコーディネートから商品を購入できるという目新しさでファンが増え、ファッション×ネットの融合により「ユーザーがユーザーを呼ぶ循環」にも手応えを感じつつあります。今ではユーザー数は200万人、投稿されたコーディネート数は200万件に上っています。

■失敗とミスは別物。成功するために全力を尽くしてこそ失敗があり、学びがある

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 冒頭で、自身の過去を振り返り、「今に至るまでにいろいろな失敗をしでかした」と言いましたが、最近、失敗の定義をはき違えている人が多いという印象を受けています。

 何かを絶対に成し遂げようと考え、行動した結果、うまくいかなかったのは「失敗」。でも、多くの人が捉えている「失敗」は、準備不足や注意力散漫による単なる「ミス」であるケースが多いように感じます。失敗はベンチャー企業にはつきものであり、そこからの学びも多いですが、ミスはたった1回であっても命取り。決して許されるものではありません。ちなみに、先ほど挙げた「キャッシュフローの計算間違い」は、私の不注意による大きなミス。創業期に、危ない橋を渡る羽目になりました。

 一方で、「若いうちは失敗をたくさんしたほうがいい」と言う人がいますが、「失敗をする前提」で物事に臨んでも、何の学びもならないと私は思います。絶対に成功する!という気持ちでベストを尽くすからこそ、たとえ失敗したとしても次につながる学びが得られるんです。

 私の場合、ミュージシャンというキャリアを選んだのは確かに失敗でしたが、6年間「絶対に成功する」と信じて全身全霊で打ち込んだからこそ踏ん切りもついて、迷いなく新しい一歩を踏み出せたし、「ミュージシャン時代のように、人の心をポジティブにする仕事がしたい」という自身の想いにも気付くことができました。

 VASILYのミッションは、「人類の進化に貢献する」です。インターネットの力で人類の進化のスピードを高め、理想の未来を創り出したいと考えています。何とたいそうなことを…と言われるかもしれませんが、不可能だなんて思ったことはありませんよ。自分たちの力を信じ、絶対にこのミッションを成し遂げる!と、日々全力で挑んでいます。

EDIT&WRITING:伊藤理子 PHOTO:平山諭 

>>【あわせて読みたい】「20代の不格好経験」シリーズ

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リカバリーしてむしろ評価UP!? 先輩が遭遇した仕事の“修羅場”とは?

 研修を終え、現場デビューする新社会人も多い頃ですね。現場に出れば日々新しいことを任され、成長の実感もあることでしょう。と同時に、自身に起因することだけに限らない、“修羅場”に出くわすことも。
そこで20代前半のビジネスパーソン1,258人を対象に、『職場の修羅場に関するアンケート』(※)を行いました。ピンチな事態は、ある意味で成長の糧。自分がミスした場合はもちろん、チームでのトラブル回避など、先輩たちはどのような修羅場に遭い、その時どう対処したのでしょうか。
(※調査方法/インターネットリサーチ 期間/2015年3月26日)

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遅刻や社内の大ゲンカ…入社2年目までの“修羅場”経験者は、約3割!

 始めは電話受けや必要データの作成など、上司や先輩からの頼まれごとに近かった仕事が、いつの間にか1人で打ち合わせ資料を作成…。なんて、できることや役割はキャリアと共に増えていきますが、先輩たちは一体いつごろ“修羅場”を経験したのでしょうか?
 Q1の結果をご覧ください。まず20代前半にも関わらず、すでに460人もの人が“修羅場”を経験していることがわかります! これは全体の36.6%にあたり、うち全体の28.0%を占める353人が、「入社2年目」までに“修羅場”を経験していました。
“修羅場”の捉え方は人それぞれですが、そのような事態に遭わなかった方は、上司や先輩による新人指導が行き届き、一緒に仕事をする仲間にも大きなミスがなかったと言えます。とても恵まれた職場環境だとも捉えられるのではないでしょうか。その辺りは、「どんな時に仕事で“修羅場”だと感じたのか」の回答からも分かります。20代前半の方々が出遭った“修羅場”をフリーコメントからご紹介します。

【原因が自分のミス】
・後輩の作業を手伝った時に、自分がやった所が間違っていた
・プライバシー問題に触れるSNS投稿をしてしまい、入社早々始末書を書いた
・自分のミスで製品を流出させてしまい、損害を出した
・補助金の提出書類や段取りでミスをしてしまい、補助金がおりなかった
・理不尽なクレームを受けた時に、相手を逆上させる態度を取ってしまった

【原因が自分以外】
・停電(停電に伴ない、業務が停止)
・休みがとれない、連続勤務、毎日の残業
・先輩が全員辞め、組織のフォローなく、1人で全仕事をしなければなくなった
・何度も確認して段取りをした仕事が、先輩社員が連絡ミスをしてぶち壊し
・担当者が不在で、入社3カ月めでとばっちりで顧客のクレーム処理を任された

【原因が人間関係】
・顧客の前で社員同士の大喧嘩をした
・社内で、違う部署同士の壮絶な言い争いになったとき
・上司、同僚との恋愛関係。先輩の好きな人と付き合うことになったなど

他にも、自分のミスなら遅刻、顧客からの資料を紛失、相手の名前を失念などがありました。ミスではありますが、まだ仕事次第で信用は取り戻せそう。一方の人間関係では、少なからず恋愛事情が関係している様子。会社の雰囲気にもよりますが、やはり社内恋愛は周囲へ配慮をする必要がありそうです。


大切なのは「修羅場での対処」。 逆手にとって信頼をリカバリーせよ!

 さまざまな理由から“修羅場”が起こってしまう訳ですが、もしそうなってしまったら、考えても仕方ありません。頭を切り替えて行動しましょう。重要なのは、いかに問題の原因を解決し、目の前で起こっているトラブルを迅速に収束させられるか。原因が自分のミスであった場合は、なおさらです。1人で何とかしようと思って対応が遅れてしまうと、事態を悪化させることにもなり兼ねません。すばやく周囲に相談して助言をもらったり、何かの作業を手伝ってもらったりすることなども、迅速なリカバリーには重要です。トラブルが起きた場合、その内容にもよりますが、段取りや作業の割り振り、連絡や調整、スケジュールなど、意外と多くのことを迅速に判断、決定しなければなりません。が、そのすべてをあなたが知っているとは限りません。反省も必要ですが、まずは損失や被害を最小限に食い止めることを意識し、全力で対処して、ミスをリカバリーするよう努めましょう。

 そこでQ3では、“修羅場”での対応の良し悪しでリカバリーができるのか、上司、部下、同僚に加え、取引先について、評価の有無を聞いてみました。結果はグラフをご覧ください。「上司」に評価された方は42.9%、「部下」に評価された方は37.2%、「同僚」に評価された方は44.7%、「取引先」に評価された方は34.7%という結果に。
 つまり、上司と同僚は、“修羅場”での対応次第で約4割が評価してくれるということ。部下や取引先であっても、約3割5分が評価をしてくれています。部下や取引先は、上司や同僚と比べれば、厳しくあなたを見ているのは当たり前。部下は自分より経験があると考えていますし、取引先はビジネスでのお付き合い。ですが、そんな中でも最悪の事態を回避する対処を評価してくれると考えられます。また、上司と同僚は、修羅場となった原因や経緯を認識しており、そこであなたが行った対処を評価できる視野や知見が、少なくともあなたと同じかそれ以上あるため、対処の仕方次第では信頼のリカバリーができるかもしれません。


“修羅場”を経験したからこそのアドバイス! 後輩へのメッセージ

 できれば避けたい“修羅場”。ですが、それを経験したからこそ学べた貴重なことがあるはず。そこで、これから職場で修羅場を体験するかもしれない後輩へ送るメッセージから、一部をご紹介します。

【“修羅場”を経験して学べたこと】
・どんなことでも注意、確認を怠らない
・臨機応変の対応をする
・困った時こそ自分で対策を考え、どんどん人に相談する
・自分以外の人の知識を借りる
・お客様であっても、できないことはできないと明示する
・しっかりと流れを確認する。全員がルールを把握する
・言葉選びには気をつける。口は災いの元
・物事は、自分の目線で考えてはいけない
・どんなに頑張っても頼るところを間違えるとどうにもならない
・自分の仕事はやりきる。社会人として当たり前のことをできる人間になる
・何事も、何とかなるし、何とかするしかない。肝が据わった
・大変な仕事でもいつかは終わる

【後輩へのメッセージ】
・上司といえども人なので、ミスをする。あまり信用しすぎないこと
・社内恋愛は止めとけ
・修羅場は、仕事をしていれば何回か起きる。
 偉そうな上司も、何回も修羅場を体験して今のポジションにいる。
 辛いが逃げないで。修羅場をくぐり抜けると、何となく仕事が上達している
・耐えきれず自分が壊れてしまいそうな時は、すぐに逃げるべき。
・事前準備8割
・人と比べられても、「自分は自分」と自信を持って頑張って
・なんとかなる
・意見は出せ
・我慢も大切
・そこが踏ん張りどき
・失敗は成長の種

 辛さを経験している彼らからは、心が折れないよう、気持ちの持ちようについてのメッセージも多くありました。経験者だからこその実感がこもっています。彼らが言うように、現場で“修羅場”を乗り越えた場合、あなたの経験値は間違いなく上がるはず。また、どうしてそうなったのか考えることで、二度とその原因は作らないよう心掛けることができ、事前にどうしておけばよりよく仕事を進捗させられるかが分かるようになることでしょう。
 そして、自分のミスではなく、担当部署や仲間のミス等で“修羅場”に巻き込まれてしまった場合は、その不運を恨みつつも、ぜひ「転んでもタダでは起きない」の精神で挑んでほしいと思います。何を掴むかはあなた次第ですが、少なくとも「自分の限界を超えるくらい全力で何とかした」という実体験に裏打ちされた「(少なくとも)自分はここまでできる」という自信につながるはずです!

WRITING 田中美穂