“TOEICのスコアが高いのに「英語力」がない人”が欠けていること<リスニング編>

『頑張らない英語』シリーズ(あさ出版)『英語を「続ける」技術』(かんき出版)など数々の英語学習に関する著書を出されている西澤ロイさん。英語の“お医者さん”として、英語学習の改善指導なども行っている西澤さんに「正しい英語学習の方法」についてお話しいただくこのコーナー。第14回目の今回は、「TOEIC(R)試験のスコアアップと英語力アップを両立させる学習法(リスニング編)についてです。

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TOEICスコアに見合った英語の実力が伴っている人と、そうではない人の違いは一体どこにあるのでしょうか。スコアが上がるのはもちろんのこと、英語力UPもきちんと両立させられるリスニングの学習方法をお伝えします。

TOEIC試験の「落とし穴」

「TOEICでは高いスコアを持っているが、英語が話せない……」

このような人があなたの周りにはいないでしょうか?

TOEICは英語におけるコミュニケーション能力を計るための試験であり、一定のスコアを採用や昇進などの要件としている企業も多いです。ある程度の実力を示す指標として、例えば700点や800点といったスコアが目安とされたりします。

しかし現実には、スコアに見合うだけの英語力や英語コミュニケーション力が伴っていない人も少なくありません。一体なぜそのような「ズレ」が起こってしまうのでしょうか?

ちなみに、TOEIC自体は非常に「よくできた」試験です。リスニング問題がテストの半分を占めているとか、時間が極めて限られている……といった「クセ」は多少ありますが、ビジネスで実際に使われる英語表現も多く登場するという意味で「実用性」に優れ、「信頼性」も非常に高い、素晴らしい試験であることは間違いありません。

年間200万人以上が受験しているわけですが、面接がなく、マークシート方式で受験できる「便利さ」や、5点刻みのスコアが示される「分かりやすさ」もその人気に一役買っていることでしょう(対比されることの多い英検では、(基本的に3級以上は)面接が存在し、また、受験した級に対する合否判定が行なわれる形式となっています)。

実力が伴う人と、そうでない人の違い

ただし、いくら素晴らしい試験だからといって、万能なわけではありません。2人の学習者がいて、例えば700点という同じスコアを持っていたとしても、英語の実力が同じレベルだとは限らないのです。その違いは、一体どこから生まれるのでしょうか?

私の考える答えは「学習者がもっている意識の差」です。

TOEIC試験は基本的に、4択の中から答えを選ぶ形式になっています(Part 2のみ3択)。そうすると、中には「正しい選択肢が選べればOKだ」と考えて勉強する人もいるでしょう。逆に「ただ正解を選べるだけではダメで、もっと深いところから理解すべきだ」と考える人もいるでしょう。それが「意識の差」ということです。

Part 1のサンプルリスニング問題に挑戦してみよう

今回は「リスニング編」ということで、Part 1のサンプル問題をご用意してみました。まずは余計なことを考えずに、これを解いてみてください。「意識の差」についての具体的な話は、その後でお伝えしたいと思います。

A~Dまでの4つの英文が1回ずつ流れますので、写真を最も正しく描写しているものを選んでください。

<サンプル問題>


TOEIC試験Part 1リスニングサンプル問題(『TOEIC L&Rテスト最強の根本対策 PART1&2』より)

リスニング中に持つべき意識とは?

今のサンプル問題は、難易度が高くはありません。ですから、正解が分かった方が多いでしょうし、もし迷ったとしても、少なくとも2択くらいには絞れたのではないでしょうか。ただし、私が指摘したいのは、正解うんぬんよりも、もっと深いところにある「意識」についてなのです。

例えばBの音声では、walking(歩いている)やpark(公園)という単語が聞こえてきます。そうすると、明らかに正しくないことが分かるでしょう。しかしそれでは単に、耳に入ってきたいくつかの単語から、全体の意味を推測しているに過ぎないのです。

おそらく大半の方が、「正しい選択肢を選べること」を目指して勉強をしています。もちろん、勉強をしていることも素晴らしいし、正しい選択肢が選べるようになることも素晴らしいです。ただし、そこを目指してしまうと、スコアに見合った英語の実力が手に入らなくなってしまう危険性があるのです。

英語のリスニングをするときに、キーワードを探すような聞き方をする人や、推測だらけになってしまう人が、実は日本人には非常に多いです。残念ながらそのような聞き方をしていては、本当のリスニング力はなかなか身につきません。

英語の実力をきちんと身につけたい方はぜひ、「全てを聞き取ろう」という意識をもってリスニングしてください。

全てを書き取る「ディクテーション」に挑戦してみよう

ぜひ次にやってみていただきたいのは、先ほどのサンプル問題を使って、聞こえてきた英語を全て「書き取る」こと(ディクテーション)です。

なお、正しく書くことが目的ではありません。書くことによって、「聞こえたもの/こう言っていると思ったもの」を見える化するのが目的だと考えてください。ですから、単語のスペルが分からなければ適当でよいですし、カタカナでも構いません。例えば「うまく聞き取れないけど、sの音が聞こえた」と思えば「s」を書いておいてください。

何度も繰り返し聞いて構いません。一時停止をしながら、4つの英文を書き取ってみてください。

<サンプル問題(再掲)>


TOEIC試験Part 1リスニングサンプル問題(『TOEIC L&Rテスト最強の根本対策 PART1&2』より)

英語がしっかりと聞き取れる耳を養おう

いかがでしたか?(正解は本記事の末尾に掲載してあります)

全てを聞き取ろうと思うと、結構難しく感じた人も多いのではないでしょうか。

聞き取れなかった箇所については、日本語には存在しない音があったり、弱く発音されていたり、音がつながるなどの変化をしていたり……といった原因が存在します。

リスニング力を伸ばしたければ、そこをしっかりと確認した上で、また何度も繰り返し聞いて、耳を慣らしていく必要があります。そうやって、英語の音としっかりと向き合わない限り、英語がきちんと聞き取れる耳を養うことはなかなかできないのです。

実際に書き取ってみることで、ただ「正解を選べる」ところを目指す場合とは、リスニングに対する意識が大きく違うことが実感していただけたのではないかと思います。

音声を何度も繰り返し聞き、書き取る作業は大変です。かなり時間もかかりますから、いつもディクテーションをする、というわけにはなかなかいかないかもしれません。ですがせっかくTOEICを受けたり、そのための勉強をしたりするのですから、ぜひ「英語の実力がより身につく意識」をもって英語学習をしていただけたらと思います。

<サンプル問題の正解>

(A) They are looking at a computer screen.<正解>

(B) They are walking in the park.

(C) Both of them are sitting by the window.

(D) One of them is talking on the phone.

西澤ロイ(にしざわ・ろい)
イングリッシュ・ドクター
英語の“お医者さん”として、英語に対する誤った思い込みや英語嫌いを治療し、心理面のケアや、学習体質の改善指導を行なっている。英語が上達しない原因である「英語病」を治療する専門家。
TOEIC満点(990点)、英検4級。
獨協大学英語学科で学んだ言語学に、脳科学や心理学も取り入れ、英語流の「発想」や「考え方」を研究、実践することで、大人だからこそ上達する独自のメソッドを確立する。

暗記の要らない英会話教材「Just In Case」正しいリスニング方法が身につくトレーニング教材「リアル・リスニング」も好評を博している。ベストセラーとなっている『頑張らない英語』シリーズ(あさ出版)『英語を「続ける」技術』(かんき出版)他、著書多数。さらに、ラジオで4本のレギュラーがオンエア中。特に、木8の番組「めざせ!スキ度
UP」が好評を博している。

TOEIC L&Rテスト最強の根本対策 PART1&2

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