ノミネート企業
「建設業は男性の職場」というイメージがある中で、女性が働きやすい職場作りを進めながら、女性が活躍する領域を広げている。 住宅営業やリフォーム営業の部門に女性を採用し、女性目線での提案を行うことで部署内での最多受注を獲得。 建築現場においても、取得難易度の高い一級施工管理技士の資格を得て活躍する女性がいる。 また在職中に一級建築士の資格を得た女性もいた(現在は退職)。
従来は一人ひとりの社員が仕事を抱え込み、長時間労働の原因となっていたが、業務を切り分けて分担することによって女性のみならず高齢者や障害者の雇用も進み、同時に全社的な労働時間削減につなげた。
鳥取県中部を代表する企業である同社は、行政と連動して2008年頃から業界に先駆けて働き方改革を実施。県内の同業他社が人材確保のために井木組を模倣する動きも出てきており、取り組みの成果は地域全体へと波及しつつある。
女性が子育てをしながら働ける場所として「いろむすびcafe」を運営し、3段階キャリアステップの仕組み「ママプラス」を実施している。 抱っこ・おんぶをしながら赤ちゃんと一緒に働く「カンガルーワーク」、スタッフ同士で子どもを預かり合ったり保育スタッフに預けたりしながら働く「ペアワーク」、子どもが保育園や幼稚園、小学校へ行っている間に働く「単身ワーク」の3段階が可能。 結婚・出産を機に一度離職した人や、次の転職・起業に向けて準備をしたい人が集い、地域に貢献しながら社会とのつながりを感じられる場所として機能している。
いろむすびcafeが生まれたきっかけは、設立者であり共同代表である佐野と赤星が子育てと仕事の両立に悩んでいたこと。その取り組みに共感した子育てママや来店客が徐々にスタッフとして働くようになり、現在の組織へと成長していった。
介護施設における主だった3つの離職理由、「残業」「腰痛」「メンタル不調」をなくすための「トリプルゼロ」を実践。 「ワークライフバランスの栞」というオリジナル冊子をもとに、長時間労働の問題点を共有して慣例的に行っていた朝礼や会議、研修などを必要なものだけに絞り込み、専門職ではなくてもできる間接業務をワークシェアした。
専用機器を導入してノーリフティング(抱えないケア)を行い、毎月役職者が職員全員に「トーキング(個人面談)」を実施して仕事やプライベートの悩みを把握。 無駄なコストを徹底的に削減した財源で余剰人員を配置する取り組みも行い、過去には離職率40%、労働基準監督署の是正勧告も受けていた状況から大きく改善して、現在は離職率7〜8%、年平均残業時間が0.02時間と、介護業界としては驚異の数字となっている。 さらに男性職員向けに家事スキルを高める研修を実施し、共働き支援をすることで離職率を低減。障害者や引きこもり者を職員として迎え入れて経済的自立を支援するなど、新たな取り組みも次々と進む。
「エーデル土山で働きたい」と考える介護福祉士や看護師などの専門職人材も増えているが、募集枠に空きがないため「入職待ち」の状態。同業の介護施設などからの視察依頼も急増しており、業界全体に取り組みが波及しつつある。
社長と社外取締役による経営体制から、社内取締役を立てた新たな経営体制へ移行する中での1つの取り組みとして、社員全員参加で経営計画を作る「アジャイル中期経営計画」に取り組んだ。 中期経営計画の策定プロセスをα版、β版、1.0版の3段階に分け、各段階で未完成の内容を社員に共有。
方針・戦略の方向性から言葉の使い方まで、年齢・社歴に関係なく社員の意見を求めていった。 α版で121件、β版で63件という社員からのフィードバックすべてに経営陣が回答し、良いアイデアを取り入れて1.0版が完成。以前は2ページしかなかった中期経営計画が、206ページにおよぶ冊子となった。
リリース後の社内アンケートでは、回答者の90%以上がこの策定プロセスを好意的にとらえ、80%以上が「経営陣の考え方が理解できた」と答えている。中期経営計画に対する社員の当事者意識を高め、リリースと同時に計画実行へ動き出せる体制を作った。
7年前に障害者雇用を推進するために特例子会社を設立。 特に障害者を積極的に採用し、発達障害者が持てる力を最大限に発揮するための環境作りを推進している。
一人ひとりにどのような特性があり、会社生活を行う上でどのような困難が生じるかを深く理解するために、特例子会社代表との1on1面談や支援機関面談、上長面談、カウンセリングなどを実施。その上で、易疲労・過集中などに配慮した休憩室や、聴覚過敏用のイヤーマフ、光過敏用のサングラスなどを用意して環境を支援し、マニュアル整備や作業工程の見える化によって業務をサポートしている。
特例子会社代表の福田さんは本体であるグリー株式会社の事業マネジメントを兼務しており、障害者雇用において単純な作業労働だけでなく、グループの主軸事業であるゲーム・インターネット領域に貢献して利益を出せるように戦略構築を進めてきた。 現在は56人の社員のうち37人が発達障害者であり、グリーグループの事業における戦力として、グループ全体で価値を共創しながら経営を持続している。
「10年で一人前になる」のが当たり前だった塗装職人の世界で、未経験の人が「3年間で技術習得できる」独自の育成プログラムを開発。 職人の仕事を分析し、「パテ塗り」「下塗り」といった比較的用意に習得できる仕事から徹底的に基本を教えている。これによって基本工程のプロを育て、その上で熟練の職人が専門性の高い技術を伝授していく体制である。
KMユナイテッドに所属するベテラン職人のほか、社外からも業界トップクラスの講師を招いて若手を育成。 かつては男性の職場だった現場で女性職人が活躍している。
さらに、職人の技を動画撮影して配信するキャリア支援ツール「技ログ」を開発し、映像教材をいつでもどこでも活用できるようにした。外国人材に向けてベトナム語などにも翻訳し、実際に同グループ会社では外国人の職人も積極的に採用している。
全盲の視覚障害者のエンジニアが入社したことをきっかけに、会社での業務や生活におけるありとあらゆる環境を見直し、社員の意識を変えていった。 全盲だと、二基あるエレベーターのうちどちらが到着したのかが分かりにくく、上へ行くのか下へ行くのかを間違えてしまうことも多い。 ともに仕事をする仲間がこの問題を社内SNSに投稿したところ、その日のうちにさまざまなアイデアが集まり、一般的なPCやBluetoothスピーカーを使って低予算で実現できる音声案内システムが生まれた。
こうした体験から、多くの社員が「目に見えているものだけで物事は判断できない」という事実に気づき、会社の事業領域であるデザインの分野では、インクルーシブデザインについての知見が深まっている。
スタートアップ企業28社で、2019年に新卒入社した社員の合同入社式を行った。 目的は「人生の財産になる仲間を見つけてもらうこと」と、「いろいろな価値観を知って自分の会社に還元してもらうこと」。
スタートアップへ新卒入社する人は会社唯一の新卒メンバーであることも多く、同期がいない中でキャリアをスタートさせる。 発起人である岩崎さんは自身の新卒入社時の同期と深い関係を築き、自身の起業時に助けられた経験があることから、この取り組みを着想した。
当初は知り合いの社長同士の4社ほどで企画していたが、Twitterで呼びかけたことで参加希望のスタートアップが続々と手を挙げ、最終的には28社から約100名の新卒社員が参加。 合同入社式当日は参加者それぞれが自由なスタイルで自己紹介を行い、協力することで仲間を作る貿易ゲームなどを実施。 参加者は入社式以降もつながりを保ち、共同でブログを運営するなど、会社の枠を超えた同期として互いを支え合っている。
将来の幹部候補として新卒採用枠の10〜15%の割合で外国人採用を行い、定着、育成および活躍推進を目的したプロジェクトを進めている。 入社後は他の日本人新卒社員と同様に支店(トラックターミナル)での(現場)研修を実施し、12カ月をかけて接客や荷物の積み込み、仕分け業務、トラックへの運転・同乗などを経験。
また採用後のフォローアップ制度として2018年度から実施している、活躍推進プロジェクトにおいては外国籍社員だけの4つのプロジェクトチームを結成し、「入社後の初期フォロー」「相談窓口」「キャリアパス企画」「イベント企画」を通じて定着と成長を継続的にサポートしている。 2016年まで新卒採用の外国人は0人だったが、現在は22名が人事・総務や新規事業開発、企画・営業部門などで活躍。
インドネシア国籍の社員が人事部の採用担当としてインドネシアでの現地説明会を開催したり、新規事業担当として母国の企業とのコミュニケーションを円滑に進めたりと、グローバル化を進める西濃運輸の事業展開にも大きく貢献している。
需要が高まり続ける訪問看護の現場で働くスタッフを支えるため、独自の働き方改革「ソフィアWOW!」(Work for Our Wonderful life!)を実行。 2時間単位で取得可能な有給休暇や育休明けスタッフの正社員再登用、仕事・プライベートのどちらでも相談できる弁護士ホットライン、定年後の再雇用上限75歳への引き上げ、やむを得ない事情で退職したスタッフの職場復帰支援などを制度化した。
また、同性同士の事実婚に祝い金を支給したり育児休暇を適用したりといったLGBTQのスタッフの働き方支援など、多様な人材が活躍できるようにするための制度も整えている。
これらの結果、直近2年で大きく事業展開を行い拠点数・従業員数ともに飛躍的に増加する中で、離職率は逆に大幅に低下させ、訪問看護を必要とする利用者へより充実したサービスを提供できる体制となった。
キッズスペースつきのワーキングスペース「ハグスク」を社内で運営。 取り組み主体者である清水梢さんらの「出産後の女性営業社員の営業職への復帰を応援したい」という思いで作られた。
外勤営業ではなく、電話やメールなどを活用したインサイドセールスの仕事ができる場所として活用され、ワーキングママは子どもと一緒に出社し、子どもたちは専属の保育スタッフのもとで過ごす。 子どもは常に親の目の届く範囲にいて、食事やオムツ替えなどの世話は親自身が行っている。
設置に制約の多い企業内保育所ではなく、「預かり」をメインとした施設として、同種の施設運営にノウハウを持つママスクエアの支援を受けて設立。 2019年4月から運用開始となり、現在はインサイドセールスに携わるワーキングママだけでなく、他部門・他拠点の社員(ワーキングパパも多い)が子どもと一緒に出社する機会も増えている。
社員を対象として、雇用から業務委託契約をベースとした「個人事業主(フリーランス)」に切り替える「日本活性化プロジェクト」を実施。 希望する社員は誰でも手を挙げることができ、会社と合意に至れば個人事業主として独立し、会社から業務を受託できる。 個人事業主に転じた際の不安を軽減するため、契約期間を3年間として仕事の安定性を確保したり、雇用時に会社負担だった社会保障費分を固定報酬の基礎に含めたり、個人事業主同士の互助組織である「タニタ共栄会」を設立してオフィス環境を利用できるようにしたりといった支援を行っている。
2017年に8人の社員が実際に独立してスタートし、この8人は初年度に手取り収入が平均28.6%増加。 子育てと両立したり、他社の仕事に関わったりと、それぞれが希望するライフスタイルの実現に向けて活動している。
2019年現在は3期目となり、これまでに計18人がこのプロジェクトを利用して独立した。
オフィス移転や会社合併などの変化を経験し、社内コミュニケーション活性化に課題を感じる中、「オフィスをカフェ化する」プロジェクトが始動。 コーヒー好きの社員3人が中心となって、社内の遊休地となっていたミーティングスペースを活用する運営構想を会社に提案した。
「カフェを会社の文化にする」「社員が誇りに想い、人に語れる空間づくり」「妥協しないクオリティーを気軽に体験」という3つのマニフェストを示し、世界各国のスペシャルティコーヒーを100円で提供する「Link&Relax! L&RCafe」が誕生した。
役職・部署を超えた有志メンバーは本格ハンドドリップを学べるワークショップに参加し、柔軟なシフト運営でカフェを運営。 毎週水曜の午後を中心にメンバーの気まぐれで営業し、運営費用はすべてコーヒー販売の売上から捻出しており、誕生以降黒字経営を続けている。 社員の交流の場としてはもちろん、クライアント向けにもカフェを営業ツールとして活用。他社からの視察依頼や講義依頼も届いている。
事業拡大に伴い拠点や部署が増え、社内コミュニケーションが希薄化していた状況を打破するためにウェブ社内報「未来通信」を運用。 広報や人事だけでなく、社内全体の社員に執筆を依頼することで各部門の現場からリアルな声を伝えてもらっている。
専用テンプレートで執筆の負担を減らす一方、未来通信を運用する社内広報委員会のメンバー複数人が関わって執筆された原稿を編集。 質の高い記事が生まれることで、会社の公式ブログやWantedlyなどの採用コンテンツへも二次利用できるようになった。 未来通信が社内へ浸透することで、個人や部署として登場することがステータスとして認識され、「記事を書きたい」という声も社内広報委員会へ次々と寄せられている。
また未来通信は現在、社内報ソリューションとして製品パッケージ化され、同様に社内コミュニケーションの課題を抱える他社へも提案されている。
代表の三好さん自身が出産を経て復帰、子連れ出勤などしながら経営と子育ての両立を模索し、育児中の女性が働きやすい環境を整えてきた。 リモートワーク推進のため社内データのクラウド化や雇用契約内容の多様化を進め、子供を持つ社員へのフォローや育児経験のない社員への知識共有、さらに自社運営メディア「LAXIC」(ラシク)では活躍するワーキングマザーにインタビューし、そこで得たノウハウを社内の環境整備に活かしている。
また、本社勤務も働き方のひとつと考えアクセスの良い場所に移転し椅子を刷新。 育児中の女性に限らず、パパ社員や独身社員など様々な立場の働きやすさを実現する姿勢が社員に安心感をもたらし、結果的にママの働きやすさにつながっている。
全国各地、十数人の社員が多様な職種をリモートで担当し、事業も拡大中。 2015年までほとんど育児中の女性がいなかったノヴィータでは現在女性社員の半数近くが子育て中である。
社員の約半数が入社1年以内という急激な事業拡大局面で、社内コミュニケーションを活性化させ、自社の歴史を伝えていくための施策として社内ラジオ「パネラジ」を開始。
「自分は元ハガキ職人」と語るほどのラジオ好きである社長の名越さんがメインパーソナリティを務め、毎週金曜日に配信している。 会社のビジョンを語る場とは切り分け、ラジオではフランクに、プライベートのことも語ることに重点を置く。 社員からラジオネームで投稿される鋭い質問に答えたり、社員をゲストに招いたりと、双方向のコミュニケーションツールとして活用され、社内放送とは思えないクオリティの高さが特徴。 2019年10月末時点では第14回まで放送され、過去放送分もアーカイブされているため、新たに入社したメンバーもさかのぼって聞くことができる。
東京本社だけでなく名古屋・大阪・福岡の各拠点メンバーからも積極的に投稿があり、3カ月に一度全社員が集まる総会の場では、ラジオをきっかけに初対面メンバーが打ち解けられるようになった。
従来の左官業界にあった「見て覚える」「技術は盗むもの」という育成方法の常識を覆す独自のトレーニングを導入。 名人が壁を塗っている動画を手本にして、その動きを完全に真似することで塗り方を覚えていくトレーニング方法である。 これを研修の導入編として行うことで現場に出てからの成長も早まった。
かつては一人前の職人なるまでの期間が人によってバラバラだったが、現在は見習い期間を「4年」と明確に設定。 見習い期間の終了を意味する「年明け」(ねんあけ)のタイミングでは家族も招いた披露会を実施し、見習い期間中の学びや仕事の模様を収めたフォトブックをプレゼントしている。
キャリアパスが明確になったことで、定着率が向上。 20年前は見習い期間の定着率が30%にも届かない状況だったが、現在では80〜90%と大きく改善された。
子育て中の主婦やアクティブシニアが働ける拠点「PIC」(Pencil Innovation Central)を設置。 膨大な業務量を抱えて長時間労働を余儀なくされていたコンサルタントの仕事を切り分け、工数管理が明確なオペレーション業務としてPICが担当している。 PICは残業がなく、ライフステージの変化に合わせた働き方ができる組織となった。
福岡市中心部だけでなく郊外や、長崎県の離島、壱岐島にも拠点を開設し、これまでにはなかった働き方の選択肢を地域に提供している。
また、主婦層やシニア層の視点が加わることで、事業そのものにも新たな付加価値ができた。 PICで勤務するシニアチームが、シニアの視点でウェブサイトを診断し改善策を提案することで、健康食品の購入率が2カ月で1.9倍に向上するなどの成功事例も生まれている。
ワーキングマザー支援の一環として独自の病児シッター制度を運用。 通常は約3万円かかる費用のうち、1回につき300円の自己負担で利用できるようにした。 当日になって子どもの体調が良くなり保育園に通えるようになった場合のキャンセル料も300円なので、気兼ねなく予約し活用できる。
また、この制度には利用回数の制限がなく、インフルエンザに代表されるように、保育園などへの登園許可が出るまでに日数がかかる病気の場合でも繰り返し利用可能。 きょうだいが交互に罹患した場合にも対応できるため、通用なら出勤をあきらめざるを得ない状況でも大事な会議やプレゼンに参加できるようになった。 この制度が確立したことによって、「子どもの病気で休むこと=会社に迷惑をかけること」と考えがちだったワーキングマザーの精神的負担を軽減している。
土日・祝日・年末年始の日数と、所定休日105日(うるう年は106日)の差の日数分だけ「フレックス休暇」を付与する制度。 個人の裁量で休暇日を変更でき、2018年度の例では年間で16日分を自由に動かせるようになった。
「日本では祝日だが海外では平日」といった状況から起きるスケジュール調整の苦労や、やむを得ない休日出社が発生している課題を解決。 国内と海外拠点の連携をよりスムーズにし、国内で働く外国籍社員の「母国の祝祭日に合わせて休みたい」という希望も叶えられるようになった。 土日や祝日に出勤し、平日に休みを取るという選択ができることで、混雑する連休を避けて充実した休暇を過ごす社員も増えている。
また、この制度を運用することによって「個人の裁量で柔軟に働ける環境を目指す」という会社のメッセージを社員に伝えることにもつながっている。