第3回(2016年度)表彰式の様子

受賞取り組みの発表に先立ち、審査員であるアキレス美知子氏が「社員の力を信じる会社」と題して基調講演を行いました。この中でアキレス氏は自身が人事本部長を務めるSAPジャパン株式会社の取り組みとして、ビジョンと戦略を一気通貫にする手法や社員エンゲージメント調査、社員が働き続けたい会社であり続けるための活動、社内SNSサイトの運用方法などを紹介。取り組みを有効に進めるためのポイントとして、
「エンゲージメント調査結果を詳しく共有する」
「活動内容や進め方は社員に自由に考えてもらう」
「経営陣・人事部はメンター/コーチとしてサポートする」
「経営陣との対話の機会を提供する」
「社内SNSでグローバルコミュニケーションを図る」
「活動の数と広がり、継続性を重視する」
「前例にとらわれず、とにかくやってみる」
という成功体験を共有しました。また、「いかなる活動も楽しくなければ続かない」と指摘。「HAVE FUN@WORK 」というメッセージで基調講演を締めくくりました。

表彰式後は、グッド・アクションに選出された取り組みの皆さまが参加して懇親会を実施。お互いの取り組みについて詳しく情報交換し合い、今後のヒントとして生かす姿が随所で見られました。報道陣によるインタビューも行われ、グッド・アクションに対する関心の高さがうかがわれました。

審査員総評

社員個人のオーナーシップによって変革が生まれ、成果につながる
アキレス 美知子 氏

SAPジャパン株式会社 常務執行役員人事本部長
横浜市政策局男女共同参画推進担当参与
NPO法人GEWEL(Global Enhancement of Women’s Executive Leadership)副代表

小さな企業と大きな企業では、当然のことながら違いがあります。小さな企業の場合はリソースが限られるため、なかなか人が集まらない、事業が進まないなどの課題がありますが、意思決定のスピードが早く経営と従業員とのコミュニケーションもスムーズです。大きな企業では、リソースは豊富ですが、意思決定や部門の壁は厚いものがあり、部門を越えたイノベーションが生まれづらいというケースがあります。それでも、この現状を変えたいとの思いを持った中核社員が動き、周りを巻き込んで行きます。

共通しているのは、新入社員の発信などで新たな視点がもたらされ、変革につなげていくということ。また、活動を定着させるために人事制度を含めた仕組みを社員自身が考えるなど、個人のオーナーシップが発揮されていることです。そして、「1年やって終わり」ではなく継続することで、業績向上や定着率向上、採用が活況になるなど、さまざまな成果につながっています。

最終審査では審査員同士の意見が別れ、大変盛り上がりました。「この角度から見るとどうだろう?」と、さまざまな観点から意見が出ます。楽しい反面、学びもたくさんある場となりました。

「個」を大切にする企業から、グッド・アクションが生まれる
守島 基博 氏

一橋大学大学院商学研究科教授

今回のグッド・アクションでは、一つひとつの取り組みの裏側にある担当者の思いを聞かせていただき、非常に勉強になりました。今、人事の世界で必要なのは「社員の個と価値観を大切にする」ということだと思います。本日受賞された8つの取り組みに共通しているのは、社員を「個」として大切にしていることだと思いました。

アイシン精機さまの取り組みでは、参加メンバーそれぞれの得意領域や好きなことをオープンに共有し、個人の価値を大切にされています。また千代田化工建設さまは、Voiceを発信した社員のもとへ担当者が行き、それぞれの思いやストーリーを聞いて共有していました。

他にも介護に直面する人材とどう向き合うか、若手社員の能力や価値観をどう重要視するかなど、さまざまなテーマがありました。やり方は企業それぞれですが、「個」を大切にするという点は変わらない基盤なのだと感じています。

取り組みを続けることそのものが「グッド・アクション」
若新 雄純 氏

慶応義塾大学特任講師/株式会社New Youth代表取締役

本日の表彰式に参加して、会場でいちばん使われていた言葉は「取り組み」でした。取り組みとはプロセスそのもの。結果でもアイデアでもなく、プロセスを評価することがグッド・アクションの意義だと感じています。途中段階にある非常に曖昧なものを審査員の皆さんとともに議論するのは大変でしたが、取り組みそのものに目を向けることで、「変化する余地」の可能性も重視することができるのだと思いました。

LASSICさまは「地域への貢献」というやり方。またフォルシアさまは「全員による評価」というやり方。これらは、取り組みの結果がうまくいったかどうかを問うことにあまり意味はないのかもしれません。取り組みを続けることそのものに価値があり、そのプロセスから変化や発展の余地を感じることができる。だからこそ「グッド・アクション」と呼ぶにふさわしいのだと思います。

止めて、解決の道を見出し、また動かす
藤井 薫 氏

株式会社リクルートキャリア リクナビNEXT編集長

私が今回のグッド・アクションで強く感じたことは、「“職場”は生き物である」ということでした。生き物なので、職場の活動は一度止めてしまうとイキイキしなくなります。しかし一方で、思い切って一度活動を止めて、振り返るからこそ分かる課題もあります。

シグナルトークさまは、社員の花岡さんが社長に在宅勤務を直訴したことで大きな制度改革が始まりました。セプテーニ・ホールディングスさまの場合は、長年にわたりデータを蓄積し、勇気ある仮説をぶつけてマネジメントラインや現場を変えています。勇気を出して、今までの常識や習慣を立ち止まって見つめ、課題解決のための道筋を確かめてまた動かす。そんな取り組みがグッド・アクションにつながっているように思いました。

※ 本ページの情報は全て表彰式当時の情報となります。