迷って当然だからこそ“考え過ぎ”に要注意

「やりたいことがわからない」人のためのヒント

「自分は何者なのか」「何が好きで、どんな仕事が向いているのか」について考えることは、いつの時代においても人生の大きなテーマの一つだ。特に、変化が激しく、先行き不透明で不安定な今の時代においては、「何がしたいのかわからない」ことに不安を覚え、頭を抱える人が増えている。そんなビジネスパーソンのために、人気の専門家による大胆な「適職発見術」を紹介する。

2010年08月25日

<ADVISER>

株式会社プラネットファイブ 代表取締役 人材コンサルタント/コンテンツプロデューサー 田中和彦氏

株式会社プラネットファイブ 代表取締役
人材コンサルタント/コンテンツプロデューサー
田中和彦氏

一橋大学卒業後、就職情報会社に入社。転職情報誌など4誌の編集長を歴任。98年にギャガ・コミュニケーションズに転職し、映画プロデューサーへ転身する。キネマ旬報社の代表取締役専務を経て現職。2万人の面接経験をもとにした人材コンサルティングには定評がある。「42歳からのルール」(明日香出版)など著書多数。最新刊は「断らない人は、なぜか仕事がうまくいく」(徳間書店)。

有限会社アンギルド 代表取締役社長 心理学者 内藤誼人氏

有限会社アンギルド
代表取締役社長 心理学者
内藤誼人氏

心理学者。慶應義塾大学社会学研究科博士課程卒。執筆活動、講演・セミナーのほか、社会心理学の知見をベースにしたコンサルタント業務など幅広いジャンルで活躍する。欧米流自己演出術である「パワープレイ」の第一人者として知られている。著書は『すごい!ホメ方』(廣済堂文庫)『他人に軽く扱われない技法』(大和書房)『ウソつきは成功のはじまり 他人をだますならまず自分をだませ』(徳間書店)など、200冊を超える。

【人材コンサルタント・田中和彦氏が指南】 
「断らない人」になって、適職に出会う

STEP1 頼まれたら「断らない」習慣をつける

「断らない」というと、「受け身」といったイメージがあるかもしれませんが、決してそうではありません。「断らない」のと「断れない」のは、全く違います。「断れない」のは受け身ですが「断らない」のは主体的。他人からの頼まれ事に対して、「あえて断らない」という選択をすることで、自分自身が気づかなかった可能性の扉を開くのです。
「ジョハリの窓」という言葉をご存知でしょうか?人間の心には、(1)自分も他者も知る「開放された窓」、(2)自分しか知らない「秘密の窓」、(3)他者からしか見えない「盲点の窓」、(4)自分も他者も知らない「未知の窓」、という4つの窓があるという心理学の学説です。
他人からの依頼は、(3)の「盲点の窓」がきっかけになっている可能性が高いということ。依頼者はあなたの中に何か価値を認めたからこそ、「この人にお願いしよう」と考えたわけです。つまり、依頼の理由には、「自分では気付いていない、あなた自身の価値」を探るヒントが隠されているというわけです。

STEP2 「依頼の理由」を必ず聞こう

ですから、依頼を受けたら、「なぜ私に頼んだのですか?」と理由を必ず聞いてみましょう。理由を聞こうにも依頼がないという人がいるかもしれませんが、「依頼」とは決して大げさなことではありません。
どんな人でも職場の上司や友人、家族から「ちょっと相談してもいい?」「お願い事があるんだけど」と、何かしら頼まれ事をされているはずです。「こういうの、やってみない?」というのでもいい。それこそが、あなたの適職のヒントになる「依頼」。ほんの些細なことに価値を見い出し、チャンスだと捉えられるかどうかが、実は運命の分かれ道なのです。

STEP3 割に合わない仕事も「断らない」

仕事には、経験を糧にお金を稼ぐ「アウトプット型」の仕事と、経験が足りないために報酬が少ない「インプット型」の仕事の2種類があります。
「アウトプット型」は、自分の枠の中で簡単にできてしまうため、不安も少なく、すぐにお金になりますが、新たな「気付き」は生まれにくいのです。対して、「インプット型」の仕事は、経験がないわけですから、効率も悪ければ不安も大きい。非常に割の合わない仕事となってしまう場合が多い。しかし、そういう仕事があなたを成長させ、価値を上げるのです。
「アウトプット型」の仕事ばかりしていると、才能はいずれ摩耗していきます。「インプット型」の仕事をし、新たな経験を積極的に積んでいくことで、人は努力をする楽しさを覚えるのです。できなかったことを克服すると、仕事そのものが楽しくなってくる。苦手だと思っていた仕事が、得意なものに変わってくるのです。
そうやって面白がって仕事をしている人には、必ずまたいろんな仕事が舞い込んでくるんですよ。

STEP4 「たまたま」の出会いを大切にする

流れに身を任せて漂流していくうちに、面白いと感じる仕事にたどり着くという考え方を「キャリアドリフト」といいます。過去の偉人たちや、現在活躍するビジネスパーソンの多くの人が、「たまたま」の出会いを大切にし、向くかどうかなんて考えずに前のめりになってチャレンジすることで、自分の適職を見つけていきました。
「自己分析」や「自己実現」はもちろん素晴らしいことです。しかし、それに捉われすぎるがゆえに、実現できなかった「思い通りでない人生」を悔やみ、否定することはあまりにももったいないことです。それよりも、「たまたま」の出会いから派生したことを最大限楽しむべきです。
大事なのは、「自分が知っている自分」というのは、いかに限られたものであるかを自覚しておくこと。そして、仕事というものは、自分で考えるよりはるかにたくさんあるということを知っておきましょう。

【心理学者・内藤誼人氏が指南】 
「ニコニコ」していると、すべてがうまくいく

STEP1 自分の「人づきあい適性」を知ろう

まず、以下の項目がどれくらい当てはまるかを調べてみましょう。
□ 人が喜ぶと、自分も楽しい
□ 周りからよく「何か楽しいことでもあったの?」と言われる
□ 人を楽しませる芸を、今すぐ3つできる
□ 恋愛体質である
□ すべてを開けっぴろげにできる友人がいる
□ 今すぐ思い出し笑いができる
□ ダジャレを5つ言える
□ 自虐ネタを持っている
□ 小さいころに大家族で育った
□ 人と一緒にいる時に、たくさん飲み食いができる

STEP2 ニコニコと愛想を振りまこう

このテストで、あなたの「人を喜ばせるスキル」がわかります。当てはまる数が多ければ、人を楽しくさせる能力も高いということ。もしすべて当てはまるのであれば、何の仕事をやってもうまくいくはずです。
なぜなら、この世に人と接しない仕事はないからです。つまり、人付き合いが上手い人は、どんな仕事をしても、必ずうまくいきます。
つまり、仕事選びの際にもっとも気にすべきことは、スキルや適性ではありません。それよりも、愛想よく振る舞えるか、人として人当たりがいいか、人を楽しませる力を持っているかどうかが重要なのです。ひと言でいえば、「どれだけニコニコできるか」です。ニコニコ顔で愛想よく振る舞うことができれば、スキルや適性にとらわれて悩まなくていいのです。どんな仕事でも挑戦していい「資格」があると思ってください。
ニコニコしていれば人に嫌な思いはさせませんし、ちょっとした失敗でも大目に見てくれるもの。常にニコニコして、顔に貼り付くくらい、笑顔を絶やさないようにしましょう。そして、声を出して豪快に笑う。それだけで、周りはあなたを受け入れるでしょう。
はっきり言ってしまえば、「適職」なんてものはありません。だから、業界研究も自分探しもしなくていい。愛想がよくて、いつもニコニコさえしていれば、自分が何者かなんてわからなくても仕事はうまくいくのです。

STEP3 ニコニコしながら言葉で暗示をかけよう

ニコニコ顔が板についてきたら、次は言葉によって暗示をかけてあげましょう。たとえ嘘でも、「楽しくてしょうがないなあ!」と繰り返し言い続けながら、ニコニコ働くのです。つまり、楽しい仕事だと自分をだましましょう。
人間というのは不思議なもので、心で思い込んでしまえば、必ず身体的な反応も伴います。ドーパミンやホルモンが分泌されたり、場合によっては免疫力が上がり風邪をひかなくなるなんてこともあります。「思い込み」という暗示は、バカにできないものなのです。
ニコニコしながら、楽しい楽しいと言っていれば、ほんの数秒で本当に楽しい気分になります。楽しくなると苦痛を感じなくなり、どんなことでも続けられます。その積み重ねで10年続いたものが、あなたに一番合う仕事だと考えればいいのです。10年続けられたら、その時には経験もしっかり備わり、自分に合う仕事になっている、と言えます。

STEP4 ニコニコしていれば人脈も広がる

ニコニコしている人の周りには、たくさんの人が集まります。心理学的にいえば、笑顔というのは、「私の世界に入ってきてもいいよ」という合図だからです。つまり、ニコニコしていれば、知らず知らずのうちに「周りがほっとかない人」になれるというわけです。(ちなみに、人前でモリモリと食事できる人も、人を受け入れやすいといわれます。合コンや交流会では、ニコニコしながらモリモリ食べましょう)
また、人間の習性からいって、パッと頭に浮かぶ顔というのは笑顔の人です。つまり、この仕事を誰に頼もうかなあと考えている状況で、思い出されやすいということ。笑顔は、仕事のチャンスも広げてくれるのです。
「人は見た目が9割」ではないですが、温和で愛想がよく、常に周囲を受け入れそうな人に対しては、高い評価をしがちです。つまり、ニコニコしていないと損なのです。
最初からぴったり合う仕事を求めるから悩むのです。楽しい楽しいと続けた先に「自分に合った仕事がある」と考えれば、何も悩むことはありませんよ。

やりたいことのヒントは身近なところにある

二人のアドバイスに共通しているのは、「日常のちょっとした行動の中にこそ、ヒントはある」ということ。もちろん、自分を見つめ直したり、業界研究することも大切だ。しかし、今ここにいる自分をベースにした生活や仕事の中での小さな心がけが、適職への道筋を照らすことも大いにある。肩肘張らず、できそうなことから実践してみよう。

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EDIT
高嶋ちほ子
WRITING
志村 江
ILLUST
まるやまともや

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