(株)リクルートエージェント
転職力向上プランニングコンサルタント
細井智彦氏
83年に入社後、キャリアアドバイザー、マネージャーを経て、現在は2万人以上が受講した「面接力向上セミナー」や、「企業向け面接セミナー」などのサービスの企画・講師を務める。著書に『転職面接必勝法』。
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相次ぐ倒産、リストラ、失業率の上昇と、景気が回復したとは言い難い状況が続いている。給与もボーナスも激減する中、このまま会社に残るべきか、思い切って外に飛び出すか、非常に悩むところだ。そこで、経験豊富な人材コンサルタントに、「かしこい退職のタイミング」について話を聞いた。事例をもとに、自分にふさわしい岐路を選択しよう。
2009年7月15日
(株)リクルートエージェント
転職力向上プランニングコンサルタント
細井智彦氏
83年に入社後、キャリアアドバイザー、マネージャーを経て、現在は2万人以上が受講した「面接力向上セミナー」や、「企業向け面接セミナー」などのサービスの企画・講師を務める。著書に『転職面接必勝法』。
キャリアコンサルタント
藤井佐和子氏
メーカーの海外営業部にて3年半従事。その後、株式会社インテリジェンスにて人材派遣、人材バンクのキャリアアドバイザーとして活躍。今までにカウンセリングした人数は延べ1万人を超える。著書に『伝え上手でキャリアアップ!』など。
<置かれている状況>
・ | 2008年9月のリーマンショック以降、業界全体が落ち込んでいる。 |
・ | 親会社が大幅な減収減益による連結赤字決算を発表。 |
・ | 役員報酬、管理職給与が削減に。 |
・ | 派遣、契約社員の契約が打ち切りに。 |
・ | 正社員の給与、賞与ともに大幅ダウン。 |
・ | 希望退職を募る目的の「キャリア面談」が正社員全員に行われた。 |
・ | 希望退職では、3カ月分の給与が退職金に上乗せされる。 |
・ | 営業成績の芳しくない人、高齢者など、退職勧告された人もいる。 |
・ | トップ営業など、優秀な人材は他の業界に転職を始めた。 |
<Aさんのプロフィール>
大学卒業後、印刷会社に入社、営業部に配属され、4年間従事。その後、半導体関連メーカーに転職。営業職として2年経った。27歳。独身。持ち家なし。
▼専門家はどう見る?
不況の影響で採用案件が激減しています。これはAさんのいる半導体業界のみならず、他の業界でも同じです。自分が働きたいと思う会社の求人がどれだけあるのか、会社を辞める前に「リクナビNEXT」や「リクルートエージェント」に登録するなどして、現状を把握した方がいいですね。もちろん求人がないわけではありませんので、こんな時代であっても、これまで高めてきたスキルによっては希望に沿った転職先が見つかる場合もあります。しかしながら何カ月も仕事が見つからず、貯えが底を突き、経済的にも精神的にも追い込まれてしまう人がとても多いことも事実です。今、企業が求めているのは、強い専門的なスキルに加え、主体性、意欲、ストレス耐性を持っている人。そういう人物でない限り、辞めてから転職活動を始めるのは非常に危険です。
細井氏
景気にかかわらず、「とりあえず会社を辞めて、仕事を探そう」という人は、失敗するケースが多いですね。不景気でも、「自分ができること」「進みたい方向性」など自己分析や情報収集がきちんとできている人ならば、辞めても大丈夫だと思います。ただし、退職前にきちんと自己分析ができていても、転職先がなかなか決まらない不安から、考えにブレが生じてしまうことも多いので、周りに流されやすい人、意志の弱い人は、会社を辞めずに転職活動をしたほうがいい。やる気がある人でも、社会と接点がない状況がしばらく続くと、「何のために働くんだろう」「働かなくともいいのではないか」とどんどんマイナス思考に陥ってメンタル面でくじけてしまう人が多いんです。市場価値を測る意味でも転職活動は在職中に始めた方がいい。優秀な人を企業は放っておきません。少し動いてみれば、自分の経験、スキルが社会で通用するかどうか、すぐにわかりますよ。
藤井氏
▼専門家はどう見る?
安易な気持ちで学校に逃げるのであれば無防備すぎます。「どうしてもその資格がないと仕事ができない」など明確な目的がない限り、会社を辞めて資格取得することのメリットは大きくないと思ってください。いちばんの問題は、離職している間に、その人の評価がどんどん下がってしまうこと。回遊魚が泳いでいないと死んでしまうように、会社員は仕事をしていないとブランク期間と見なされ、企業からの評価が厳しくなります。大抵の資格取得は在職中でも取れるものだし、忙しくとも時間をやりくりして資格取得に励んでいる会社員はたくさんいることを忘れないでください。
細井氏
仕事と関係ない趣味的な資格取得や学校に通って、景気が上向くのを待つのはリスクが高すぎます。たとえ景気が回復したとしても、その期間はブランクとみられ、転職活動に非常に不利になるからです。ただし、志望する仕事と直接つながる資格や学校であれば、この機会をチャンスと捉え、新しいことにチャレンジしてみてもいいのではないかと思います。学校だけでなく、これまで興味があっても挑戦できなかった業界にアルバイトから入ってみるなど、あえて正社員にこだわらない働き方で、チャンスを広げてみるのもいいですね。
藤井氏
▼専門家はどう見る?
倒産しかかった企業が復活する例もありますし、会社に残ること自体はいいと思います。問題は、「何も考えていない」こと。今の自分を受け入れられず、問題を先送りにするだけでは、倒産やリストラなど緊急事態に直面したとき、どうすることもできません。今の状況をいいきっかけができたと捉え、自分の市場価値を測り、将来のキャリアパスを考えましょう。なかなかエンジンがかからない人は、「半年後に会社を辞めよう」とゴールを決めるといいですよ。「この会社にいるのも、あと半年だ」と思うと、自分のやるべきことも見えてくるし、やる気も出てきます。
細井氏
「このまま残って、倒産したとしても悔いなし」と思える会社ならば、無理に動かなくてもいいでしょう。その場合は、結果的に倒産やリストラの憂き目にあったとしても、不運を上司や環境のせいにしないこと。そのためにも、不安におびえ、ただ会社にしがみついているのではなく、主体性を持って実績を残せる働き方をすることが大切です。万が一会社が倒産しても、やるだけのことをやっていれば悔いが残らないし、自分の能力も磨かれているので、転職先探しも有利になります。
藤井氏
▼専門家はどう見る?
転職活動は在職中がベストとよく言われます。確かに在職中に転職活動をするデメリットとして「同僚の目が気になる」「会社や上司に後ろめたさが残る」「転職活動に時間がとられる分、現在の仕事がおろそかになる可能性がある」「時間が限られているため、多量に応募できず、思いもよらなかったような企業との出会いがない」などが考えられます。しかし、「ブランク期間がない」、「思うように転職先が決まらなかった際のリスクを回避できる」というメリットは大きい。すきま時間をうまく利用すれば、職務経歴書を作成する、「リクナビNEXT」「リクルートエージェント」などに登録し、志望先の情報を仕入れる、くらいはできると思います。そして、必ず世の中と自分自身を客観視し、「応募したいと思う会社がどれだけあるか。そしてその会社に求められている能力が自分にあるか」を在職中に確認しましょう。もちろん、転職活動をしているからといって今の仕事をおろそかにしないことも重要です。
細井氏
転職活動する時間がないからという理由で、離職して転職活動をするのはかなり危険です。役員面接以外ならば、夕方以降に時間をセッティングしてくれる企業も多いので、まずは1社応募してみましょう。転職活動を始めれば、すぐに自分の市場価値がつかめると思います。時間の節約のために、キャリアアドバイザーなど専門家に職務経歴書作成のアドバイスを受けにいくのも手。自分では気づいていない「強み」が見つかります。今の会社は辞めたいが、どこに応募していいのか見当がつかない人は、業界関係図や会社データが書かれている「業界図鑑」のような本を読んでみるといいでしょう。そして気になった会社の採用情報を調べてみると、求められている人物像が浮き彫りになってきます。それを繰り返すと必要なスキルとともに自分のやりがいもわかってくる。自己分析につながります。
藤井氏
この景況下で「退職してから転職活動をするのは、かなりリスクが高い」と言えます。
かしこい退職タイミングを探る上で、まずはリクナビNEXTに会員登録し、応募したい求人が存在するかどうか、応募して書類選考を通過できるかなど、情報収集・行動…できることを始めておくのがオススメです。
会員登録と一緒にスカウトに登録しておくと、今の会社にいながらにして「企業からのオファーが届く」可能性も。会社を辞める前に、まずは登録しておきましょう!
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