仕事の喜び　THE・リアル vol.2:2／リクナビＮＥＸＴ[転職サイト]

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　大切なのは情報を提供する占い師の選び方である。この世界も競争が厳しく、協力してくれる占い師次第で売り上げに大きな差が出る。
「僕が注目したのは“銀座の父”と呼ばれていた男性占い師でした。それまでは“～の母”はたくさんいたけれど、父はいなかった。社内では『ウケるわけがない』という意見もありました。でも『自分で責任を取りますから』と嘆願、結局は上司も熱意を認め、チャンスを与えてくれました」

　“銀座の父”はユーザーに好評だった。相手を否定せず、親切に相談に乗ってくれるキャラクター。さらに白石さんはいかにも対面で相談しているようなリアル感を出したくて、写真などにも工夫を凝らした。その成果が結びついて、記録的ヒット数と利益を実現したのである。

　そればかりではない、ISPの担当者とは、自分が提供するサイトにユーザーの目を向けさせるため、トップ画面などに工夫してもらうよう、交渉を重ねた。ユーザーが増えればISPも利益が上がる。WIN&WINの関係をどのように作るかが、プロデューサーとしての腕の見せ所である。

　もっとも、白石さんとて最初からここまでの仕事をまかされたわけではない。去年の11月に転職後、PC版占いサイトの仕事をしていたものの、社のトップはこの分野への参入に慎重な見方をしていた。「違う事業で白石の力を発揮してみたらどうだ」といわれ続けてもいた。だが将来性を信じた白石さんはトップに2週間もかけて直接交渉する。「必ず成功させるから、僕にやらせてください。給料が下がってもいいです！」

　そんな彼の気迫に打たれたのか、トップは白石さんにまかせる決断をする。結果は予想以上の大成功。部下の数も増えて、今では開発担当も含めると9人のメンバーを抱えている。5月までは3人のチームだったというから、社内の期待の大きさがわかるというものだ。「僕は自分のペースでやらないとだめな人間。それをよく理解してまかせてくれたと感謝しています。そういう上司のためならがんばれますよ」

　自分のペースを大切にする白石さんは、部下のペースも大切にしたいと考えている。ひとりひとりのやりたいことや将来の夢を聞き、それが実現する方向に進むよう、手助けもする。「毎日の仕事でも確認はさせてもらうけれど、本人の意思はできるだけ尊重します。僕は前の会社にいたとき、上司に恵まれました。その人はいつも、自分の人生観と考え方を大切にしろといってくれたんです。だから僕も今、部下に対してそのように接しています」

　できるだけ友人やチームメイトを大切にしたいという白石さん。実は最近、会社の四半期のMVPに23歳の部下が選ばれた。本人も涙ぐんだが、白石さんも思わず泣きそうになった。「この仕事やっててよかったな」。そう思えた瞬間だった。

「リクナビNEXTを読んでる人に言いたいな。会社って大きいからいいわけじゃない。安定しているわけでもない。自分でやりたいことをやれる会社を選ぶほうが大事じゃないですか？　うちの会社でも自分から『これをやりたいからやらせてくれ』と積極的に言ってくる人間はまだ少ないけれど、今後はもっとそういう人材が必要になると思っているんですよ」。やりたいことを自ら叶えてきた人だけが持つ、明るい笑顔だった。

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あなたの仕事観を変えた言葉はありますか？　社会人156人の「仕事って…」リアルVoice



	実は白石さん、いったん入学した高校になじめず、大検で大学受験資格を取ったといいます。そのときも、17歳ですべての資格を取得するほどがんばったのだとか。自分で目標を定め、納得すればとことんやりきってしまう力が彼にはあるのでしょう。十分にやりきることのないまま転職を繰り返すのではなく、やってしまったから好きなことに取り組むため次の道をめざす。そんな前向きな姿勢がとても印象的でした。



ライター：千葉望（ちば・のぞみ）プロフィールノンフィクション・ライターとして、気鋭の経営者から作家、芸術家、学者などさまざまな分野の人物論を執筆。書評も各誌に連載を持つ。著書に『よみがえるおっぱい――義肢装具士・中村俊郎の挑戦』（海拓舎）『21世紀への手紙　ポストカプセル328万通のはるかな旅』（文春新書）、『「アイ・ラヴ・ピース」への道』（海拓舎）、『実践する！仏教』（すばる舎）がある。