店舗企画、事業企画、経営企画…

仕事が面白い人の「チャンスをつかむ行動力」

一日の中で仕事が占める時間は長い。できれば楽しくイキイキと働きたいもの。しかし、労働環境が悪化する中、仕事がマンネリ化してしまってはないだろうか。今回は、ビジネスパーソンに人気の高い「企画職」に就いている3人に取材し、天職への道のりを聞いた。

2010年3月24日

最初から向いている仕事に就けるわけではない

今回取材した3人に共通するのは、最初から「企画職に向いている」と思っていたわけではないこと。では彼らは、どんな意識で仕事に取り組み、どのような行動を起こし、面白い仕事を見つけていったのだろうか。そしてスキルや経験はどのように積み、成果をあげていったのか。彼らが実践した方法を参考にして、前のめりになれる仕事に就くためのヒントを見つけよう。

自ら手を挙げセレクトショップの企画職へ。
「結果を出したい」という思いで挑戦し続けた

今の仕事に就いたきっかけは?

ショップの人

アッシュ・ペー・フランス株式会社
AMERICAS本部 南米商品部
ARGENTINAプロジェクト主任
竹本祐三子さん(33歳)

ショップの商品

竹本さんが企画・運営する、東京・表参道にあるセレクトショップ「soup of he(r)art」。南米の作家のジュエリーや洋服を扱う

ジュエリーが昔から大好きでした。作品を見ては作られた背景やコンセプト、作品に込められたストーリーなどを考え、「私だったらこう使いたいな」「こういう場所にあったほうが、世界観が広がりそう」なんて勝手に妄想して(笑)、楽しんでいたんです。そのうちに自分でも作ってみたいと思い、ジュエリーデザインを学びにスペインやドイツに留学しました。日本の宝飾の世界も知っておきたいと、3年間、日本でもデザインの専門学校に通い、最終的には講師として同じもの作りをする視点で学生をアシストする職に就きました。その人の才能や魅力を引き出したり可能性をより広げる人やチャンスにつなぐ作業により魅力を感じるようになり、「自分でものを作るより、作品の魅力を発信する仕事に携わるほうが合っているんじゃないか」と思うようになった。そんなときに偶然出会ったのが、ジュエリーを主体に輸入販売する今の会社です。

最初から企画職として採用されたのですか?

もともとはショップスタッフとして入社したのですが、配属された店舗に社長自らコンセプトを立ててアートを展示しているユニークなプロジェクトが展開されていました。担い手が誰もいないので社長自身がアーティスト探しや運営を行っていると聞き、気づけば「私にやらせてほしい」と夢中で手を上げていました。それがきっかけで、入社半年ほどで「H.P.FRANCE WINDOW GALLERY」というプロジェクトを任され、アーティストの発掘から作品の設営、プレスまでほぼすべてに携わりました。もちろん、初めて経験したことばかりです。
それからは「面白そう」と思ったことには、何でも手を上げるようになって。廃墟ビルを期間限定で使用する話が社内で上がっていると噂を聞き、思いついたアイディアを社員の結婚式の二次会の場で社長にプレゼンして企画を通した、なんてこともありました。
現在関わっているのは、アルゼンチンを主体とした南米のデザイナーのブランディング事業ですが、この事業を立ち上げる際にも、その前身であるニューヨークのショールームを、一人で立て直さなくてはならなかったのです。何もわからなかったから、電話帳を見て片っ端から何千件も電話をして、何とかバイヤーを探したり。デザイナーとの契約の仕方も、さまざまな人にアドバイスをもらいながら見よう見まねで行いました。今思うと「できなかったらどうしよう」なんて一切考えずに、ひたすら前に進んできた感じです。

竹本さんを突き動かしているものは何でしょう?

毎日の仕事の中で出会う、素敵なデザイナーや魅力的な商品を、もっと多くの人に知ってもらいたいという思いでしょうか。会社の中にもチャンスがいっぱい落ちているので、手を上げないのはもったいない気がしてしまうのです(笑)。ただ、やるといったからには最後までやり通したいし、ぽんと任せてくれた会社の期待にもこたえたいという気持ちもやはり強いです。
あとは性格的なものもあります。私は面白そうだと思ったら、とにかく動かずにはいられません。やらないで後悔するよりも、やって後悔したいタイプ。そういう意味では、任せてくれる社風だったから、力が発揮できた、ということもあるのかもしれません。

未経験の仕事をすることに、不安はないのですか?

不安はもちろんあります。でも、「わからなかったら、まず動く」。いつもそうして解決しています。ショールームの告知をするバイヤーのリストがなかったら、一軒一軒ショップに電話をして聞けばいいですし、イベントやギャラリーのプロモーションだって、出版社にこちらから熱意をもってプレゼンテーションをすれば、賛同してくれる人は必ず現れます。
「チャンスは向こうからは絶対にやって来ない」というのが私の信条。欲しい情報や出会いは、自ら迎えにいけばいいのです。自分から動いて、つかみに行かないと何も始まらないと思います。そうしてつかんだものは、責任もって育てないと進化していかない。私はいつもそういう気持ちで仕事をしています。

PROFILE■高校卒業後、ジュエリーデザイナーを目指してスペインに留学。3年半滞在した後、ドイツへの留学を経て日本のヒコ・みづのジュエリーカレッジへ入学。3年間通学後、副手として2年間勤務した。2003年4月、アッシュ・ペー・フランスにショップスタッフとして入社。東京・丸の内にある店舗のショーウインドウを使ったPRプロジェクト「H.P.FRANCE WINDOW GALLERY」を担当した後は、ショップとかけもちで企画職を担当し、ニューヨークのショールームやアルゼンチン・プロジェクトの立ち上げのほか、表参道にある南米のデザイナーの作品を取り揃えたセレクトショップ「soup of he(r)art」の出店を任される。

営業で磨いた折衝力を活かし「テーマパークの事業企画職」へ。
求められるのは、「アイディアを生み出すことより、形にすること」

企画職を目指したきっかけは?

遊園地の人

アミューズメント運営会社勤務
テーマパーク事業部
花岡真さん(仮名・31歳)

入社時に希望したのは、営業職でした。浮かんだアイディアを形にして社会に提供したい。そう思って今の会社に入ったのですが、自分は次から次へとアイディアがあふれ出るようなタイプではなかった。どちらかというと、人との関わりの中で何かを作り出していくことのほうが得意だったんです。だから、まずは営業を経験して、顧客のニーズを汲み取る力を身につけようと思いました。それができるようになって初めて、社会のニーズに気つけるようになり、物事を発想する力につながるはずだという考えでした。
3年間経験した営業職では、企業や官公庁向けに、周年行事や福利厚生の一環として自社のテーマパークを利用してもらうための提案営業を担当しました。「キャラクターとコラボしたイベントを行いたい」「施設をこんなふうに使いたい」といった要望と、当社の規定を照らし合わせながら契約内容を精査していきました。

営業職のときに、意識的に身につけたスキルは?

顧客からの要望については、「不可能なこと以外はできる限りの努力をして実現させる方法を考えるように」していました。「前例がないから」「面倒だから」という理由で断らず、とりあえず実現可能かどうか動いてみる。そうすると、意外に実現できたりするものなんです。
もちろん周囲の協力は不可欠ですから、関連部署に相談することになりますよね。無理難題にどうやったら耳を傾けてもらえるか、考えなくてはいけません。だから、普段から周囲との人間関係の構築には気を遣うようになりました。仕事以外の会話で接点を作り、何でも話せる関係を築いておくとか、実際に会って話す機会を増やすといったふうに。また、案件にまつわる専門知識をきちんと勉強したうえで相談し、「中途半端な気持ちでお願いしているんじゃない」ことはアピールしていました。
そういう仕事の進め方が意識的にできるようにすると、仕事そのものが面白くなるんです。当然、成果も上がりますから、自信が持てるようになりましたね。

企画の仕事をするうえで心がけていることは?

企画職をひと言で言うと、「最後まで責任を持って形にしていく仕事」だと思います。もちろん発想力やひらめき力は大事ですが、それだけでは何も形になりません。一方で、数字や理屈だけでも足りない。その両端の役割を担う人たちをつなげ、総合的にバランスを見ながら、完成図を描いてコントロールする技術が求められます。正直なところ、営業時代に培った折衝力がこんなに必要だとは思いませんでした。
そうした役割を全うするためにも、自分自身を磨くことを心がけています。例えば、社外で色彩の勉強をしているのですが、それは一緒にチームを組んでいるデザイナーとの共通言語を作り、アトラクションの仕上がりイメージをより具体的に伝えるためです。英会話に通ったり、投資を通じてビジネスや経済について学ぶことも、ビジネスパーソンとしての視野を広げるだけでなく、企画を通すために説得力を持たせる材料の一つだと考えているんです。

やりたい仕事に近づくには、どうしたらいいでしょうか?

何かを始める前に、「できるかできないかを考えすぎないこと」が大事だと思います。とりあえず挑戦してみて、続けるうちに力が足りないと感じる部分があれば、周囲に助けてもらえばいいんです。あとは、自分の役割の中で、自分らしさを活かせるように努力すること。それは営業だろうと企画だろうと、どんな職種でも同じはず。「今の自分が持っているもの」の中に、前のめりになれる仕事のヒントは必ずあると思います。

PROFILE■大学卒業後、テーマパーク運営会社に入社。営業部に配属となり、主に首都圏の大手企業、官公庁、旅行代理店などを中心に約300社を担当する。3年間経験の後、ジョブローテーションにより統括部に異動。かねてから希望していたアトラクションの企画に携わる。

行動力を武器に、写真家から「事業企画」に転身。
「楽しめる場所作り」にこだわりながら、人と人をつなぐ

企画職を希望したきっかけは?

経営企画

株式会社コンプラット代表取締役・
コミュニケーションコンサルタント・
フードアナリスト・写真家
菊池 研さん(36歳)

らくだ

広告写真家時代に菊池さんが
イエメンで撮影した写真

実は、これまでに一度も企画の仕事をやろうと自ら選んだことはないんです。私は人に会って話したり、いろいろな場所に行くことが好きで、そうした体験を積み重ねていくと、いずれは面白いことにつながるはずだと考えています。事業企画職に就いたのも、写真家時代、私が企画した写真展に興味を持った人から「うちでやってみない?」と誘われたから。自分自身では向いているとは思っていなかったのですが、なぜか他人からは得意そうに見られたんですね。私は2年近く毎週1回、交流会を企画しているのですが、それもいい刺激を与えあえるような出会いの場を作りたいからなんですよ。

なぜ写真展を企画しようと思ったんですか?

大学を卒業してしばらく大手書店に勤務していたのですが、その後、広告写真家になり、海外はヨーロッパを中心に、国内は中国・関西を中心に活動していました。写真家を辞めようと思ったときに、転職活動のつもりで写真展を企画したんです。培ってきたものを見せれば自分という人間を知ってもらえるだろう、興味を持ってもらえれば次につながるだろうという風に考えたんです。その写真展が結果として自己ブランディングにつながりました。「自分が思う自分自身の姿よりも、人から評価される自分像を信じた」ということです。
そのほか、何かを始めるにあたってつねに指針にしていたのは、「楽しめるかどうか」です。いつも楽しいと思える場所に身を置いていれば、新しいアイディアはどんどん浮かびます。クライアントに提出するビジネスモデルやセミナー、イベントなどの企画も、楽しそうだと感じてもらえれば評価される。今の会社で「人や情報のハブになることでコミュニケーションをつなぎ、楽しめる場をつくっていく」ことに取り組んでいるのも、そういう理由からなんです。

自分自身の強みは何だと思いますか?

行動力を評価されることが多いですね。企画職としてスカウトしていただいたのも、写真展を実現させたその行動力を企画という仕事に活かしてほしいということだったんです。確かに「最初の一歩」を恐れない性格ですから(笑)、人生を切り開いていく力には自信があった。その面白さを多くの人に伝える能力を身につけたいと考えたことが、コンサルタントという仕事を選んだ理由でもあるんです。
現在は事業企画、経営企画、広告企画とさまざまな仕事を請け負っていますが、基本的な業務知識は会社員時代に仕事を通じて身につけたものです。社内の研修もいろいろと受けましたが、必要な知識に関しては自分でも勉強できる。それよりもまずは「やってみること、一歩踏み出すこと」が大事だと思います。

向いている仕事に就くためにはどうしたらいい?

自分で下した評価より周りの人からの評価のほうが、自分自身を的確に捉えていることが多いように思います。私自身が「得意そうだから」と任されてきた経験が、今のコンサルタントとしての仕事につながっているように。だから、人に褒められたことを続けてみるというのは一つの方法かもしれません。あとは、仕事とは関係ないことでも、楽しそうだと感じたらとりあえずやってみるのもいいでしょう。やりたいことだけを続けていれば、いずれ「自分はこういう人間なんだ」と見えてくる瞬間があるはずです

PROFILE■大学卒業後、大手書店勤務を経て広告写真家に転身。ヨーロッパなど10カ国を撮影して回る。2001年にアートプロモーション会社に転職し、イベント企画などを担当。2004年にベンチャー・リンクを母体とするコンサルティングブランドの立ち上げに参加。2007年株式会社コンプラットを創業、代表取締役に就任する。コミュニケーション・コンサルタントとして活躍するほか、個人としてもビッグイシューの経営アドバイザーを務める。交流会「コンぷらっと火曜会」「Bizプラット」主宰。著書に「自分ダントツ化計画」(グラフ社)がある。

「まず、やってみる」。これが大事

夢にむかって

始める前から「できる、できない」を考え過ぎると、なかなか前には進めない。今回登場した3人の共通するものは「すさまじい行動力」だ。「まず、やってみる」「やってみてから、考える」取材中、この言葉を何度も聞いた。少しでも興味が持てる仕事があれば、その気持ちを大切にして、まずは挑戦してみよう。仕事をしていく上で足りないと感じるスキルがあれば、その都度、身につけていけばいい。そうするうちに、心から仕事が面白くなるだろう。

面白い仕事に就ける人は、目的と行動が明確。
リクナビNEXTスカウトのレジュメに、「やりたいこと」を書いておこう!

方向性が決まったら、レジュメのキャリアプランに「やりたいこと」と「そのために努力していること」を書いておこう。チャンスを逃さないためにも、早めに「リクナビNEXTスカウト」にレジュメを登録し、企業からのオファーを待とう!好きな仕事に就くために、自分を知ることはとても大切なこと。企業からのオファーは自分の市場価値を知るツールにもなる。新たな自分探しの一歩を踏み出そう。

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EDIT
高嶋ちほ子
WRITING
志村 江
PHOTO
刑部友康、平山 諭
ILLUST
matsu(マツモト ナオコ)

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