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事務系4職種の「これから増える業務・減る業務」
人事や経理財務、企画、法務といった「事務系職種」においては、この数年で業務のアウトソース化が急速に進んでいる。一方で、企業のグローバル展開に伴う業務は拡大しており、求められる役割はより高度化している。激動の時代に、事務系職種として活躍し続けるにはどんな業務分野の経験を積み、自身を鍛えればいいのだろうか?専門家の話を聞き、検証してみた。
2012年6月13日
どんな業務が増える?減る?
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株式会社 経営者JP |
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株式会社インフォプラザ |
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株式会社キープレイヤーズ |
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株式会社エグゼクティブスタイル |
【人事】海外の事業計画を踏まえ、中期視野でのグローバルリーダー育成が重要に
大方のルーティンワークはアウトソース化がさらに進行
「すでに人事業務の多くはアウトソースされており、今後もさらに進む」と、人事職採用に詳しい経営者JPの井上氏。
「給与計算や労務分野のアウトソーシングは大方進み、教育、採用分野もアウトソース化が進行しています。しかし、全体方針や企画などの『上流部分』は自社で行う必要があります。すなわち、自社の事業展望や戦略、人材フォーメーションや、自社が抱える問題を踏まえたうえで、人事制度を企画・設計するという業務。経営の根幹も担うこの業務の重要性は、アウトソースが進むにつれ逆に増してくると予想されます。人事の仕事はややもすると『アウトソーシング会社のコーディネーター』に陥りがちなので、現場でできるだけ専門性を磨きながら、より上流部分にどんどん手を挙げ、関わっていく努力が必要です」
日本企業の海外展開に伴い、次のような業務はさらに増えるという。
「アジア圏での現地スタッフの採用業務、および教育・研修業務は確実に増えますね。また、海外拠点に赴任して現地での事業立ち上げを担える、グローバルリーダーの教育は今後さらに必要性が増していくでしょう。今後の海外での事業計画を踏まえて、『数年後に○人のグローバルリーダーを育成するためには、今どんな精度が必要なのか』を考え、実行できる力が求められます」
国内では、事業の見直し・再編に伴う人員整理や配置換えの業務が一時的に増えると見られるほか、社員のモチベーション管理や50代後半〜60代の高齢社員の能力開発といった業務は今後も増えるという。
「定年延長を受け、年齢の高い社員の活用方法を考えるのは人事の重要な課題。また、国内市場の縮小や競争激化を受け、社員一人ひとりのプレッシャーが増大傾向にあるため、社員の心のケアを行いつつ、新たな人事制度や研修などの設計でモチベーションを高める必要も高まっています」
【経理財務】海外進出に伴うM&A増で、企業選定や資金調達など財務業務が増加
国内では合併や買収に伴う人員縮小やアウトソーシングが加速
経理財務も、ルーティンで定形的な作業が比較的多く、アウトソーシングが進んでいる分野。「経費精算や日時処理、決算業務といった業務は、大手を中心にシェアードサービスやアウトソーシング会社に任せる流れが強まっている」とインフォプラザの鎌田氏は話す。
「キーワードは『グローバル化』。海外進出の手がかりとして、現地企業あるいは海外進出している企業を買収するケースが増えていますが、それに伴う財務業務のニーズが高まるとみられます。つまり、よりシナジー効果の高い企業選定や財務状況の把握、買収金額の設定、資金調達などです。また、海外子会社が増えるにつれ、グループ全体の決算とりまとめや、各社の事業展開や設備投資計画を踏まえた資金調達業務なども増える見通し。今はまだ、進出したての企業が多いですが、現地の事業が軌道に乗り始める2〜3年後あたりから、これらの役割が本格化すると見ています」
一方、日本国内では、大手企業を中心に国内事業の見直しや再編に伴い生き残りをかけた合併・買収が増えつつあるが、「今後はその流れが中小企業にも広がっていく」と予想する。その結果、経理財務面の統合業務が増えると見られるが、それにより経理部門の人員数は縮小が予想される。「業務のアウトソース化も相まって、経理財務の役割はますます専門化、国際化が予想されます。そしてそのほとんどが海外がらみの業務になるため、英語力は必須のスキルとなるでしょう」
なお、適用が延期となっているIFRSも、グローバル展開を目指す企業には避けては通れないテーマ。「すでに大手上場グローバル企業では先行導入を進めており、社内で適性のありそうな経理財務人員にIFRS対応を任せる動きもあります。まだIFRS導入が決まっていない会社に勤めている人も今から勉強しておいて損はないでしょう」
【企画】海外戦略立案業務から、マーケティングやPR業務に比重が移る
資料作成などのサポート業務はすべてアウトソースに置き換わる
「もともと、経営企画や事業企画、マーケティングといった企画系職種は人数が少なく、業務が大幅に減る事態は考えにくい」と、企画系職種に強みを持つキープレイヤーズ高野氏は言う。「しかし、アウトソーシング化は企画職においても進みつつあり、企画文書や調査結果をまとめたりプロジェクト全体のスケジュールを管理するといったサポート的役割は、効率化を考え、おおかたアウトソースやGoogleAppsなどに切り替わっていくでしょう」
一方で、グローバル展開の加速に伴う役割はさらに拡大し、重要度も増すと見られている。
「グローバル展開に関する戦略立案やM&Aの実行計画などは、すでに各社で進んでいると思われますが、現地でのマーケティング活動や広告PR戦略はまだ緒に就いたばかり。今後本腰を入れてくる企業が増えると見られます。進出国に対する知見がある人への求人ニーズは高く、今後も拡大するでしょう」
国内では、営業効率化に伴うネット集客の企画・立案業務が増える見通し。
「人海戦術による新規開拓は人件費がかかるため、見直される傾向。最初の顧客アプローチをネットに切り替えてコスト削減と効率化を図る企業は増えるでしょう。ここではSEO、SEMの知識とネット集客経験、そして営業経験を持ち合わせている人に対するニーズが増えると予想されます」
【法務】海外での契約締結、コンプラ対応などグローバル法務としての役割は拡大
弁護士の企業法務転身増加などを受けルーティン分野のアウトソースはさらに加速
「日本企業の海外進出拡大に伴い、法務が担うべき仕事も拡大。いわゆるグローバル法務の役割が増大する」とエグゼクティブスタイルの松田氏は言う。
「海外企業のM&Aに伴う事業提携や、現地法人の設立に関する法的検討、英文契約書の作成や、現地の弁護士とのやりとりなどは当然増加します。そして特に重要な役割となるのはコンプライアンス業務。事業展開先の各国の法律に合わせたコンプライアンス活動は必須となってきます。また、グローバル化に伴い、知財の存在価値もますます高まっています。特にメーカーなどは海外での模倣品対策や特許出願は最重要課題。自社の権利と利益を守るために、現地の法制度や文化・慣習を理解しつつ、現地当局とコミュニケーションを取って模倣品対策を練る努力が必要です。従って、これからの法務には、専門性のみならず、各国法律関係者とやりとりできる英語力とコミュニケーション力が必須スキルとなります」
法務職は、企画系職種と同様、少数精鋭部隊であるケースが多いが、定形的な契約書発行業務や契約書レビュー、従業員向けの法律相談業務などは専門会社にアウトソースされ始めているという。「海外進出においては『何事も契約書に落としこんでおかないと契約不履行になる恐れ』があるため、欧米の契約慣習に合わせて契約行為全体を見直す動きが、一時的に高まりつつあります。しかし、弁護士が企業法務に転身するケースが増えている現状を考えても、専門性の高い業務以外はアウトソースするという傾向は中長期的に続くと見られます」
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事務系職種のプレゼンスは、主にグローバル展開において高まる見通しです。今の職場はその環境にない、さらにグローバルで戦える人材になりたいと思った人は、ぜひスカウトを活用しましょう。
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