仕事観、人生観、家族観…、何がどう変わったのか?

3・11 大震災が変えた「仕事」と「生き方」、400人の真実

2011年3月11日に起こった東日本大震災をきっかけに、日々の生活はもちろんのこと、「仕事」についてあらためて考えさせられたという人も多かったはず。そこで、日本在住のビジネスパーソンを対象に、大規模アンケートを実施。震災が「ビジネスパーソンの働き方意識」にどのような影響を与えたのかについて、アンケートをもとに考察したい。

2011年8月10日

ビジネスパーソン「仕事」と「生き方」についての緊急アンケート

調査方法:インターネット上で実施
実施期間:2011年7月
調査対象:全国の20歳〜39歳のビジネスパーソン
調査人数:400人(男性280人、女性120人・メディアパーク調べ)

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社会学者 中央大学文学部教授<br>
山田昌弘氏

社会学者 中央大学文学部教授
山田昌弘氏

1957年生まれ、東京大学文学部卒業後、東京学芸大学教育学部教授などを経て2008年より現職。家族社会学、感情社会学を専門とし、あらゆる人間関係を社会学的に読み解くことで評判を呼んでいる。「パラサイトシングル」や「希望格差社会」などの言葉の生みの親としても有名。内閣府が行う「男女共同参画会議」の民間議員や、「幸福度に関する研究会」の委員を務めるなど、多方面で活躍中。「パラサイトシングルの時代」(ちくま書店)、『「結活」時代』(共著・ディスカヴァー・トゥエンティワン)など著書多数。

震災が変えた「仕事」と「生き方」とは?

約40%の人が、震災をきっかけに「仕事に対する価値観」が変化したと回答

約40%の人が「価値観が変化した」と回答。直接被災したかどうかは問わず、日本中の多くの人が、震災によって、「仕事」自体を見つめ直したということがこの結果から見てとれた。
社会学者の山田昌弘氏はこう語る。
「『リーマンショック』による不況、そして『無縁社会』の広がりによって、震災前からわれわれは目に見えない大きな不安の中にいました。そこに東日本大震災が起こり、さまざまな苦境を目の当たりにしたことで、大きく価値観を揺さぶられたということでしょう。つまり潜在的に課題感をもっていたさまざまなことが一気に表面化し、ますます意識されるようになったということです。その結果『人や地域といった身近なものとのつながり』を大事にしたいという意識が強まったのだと予想されます」
確かに、自由回答からは「人の役に立つ」「家族」「地域に貢献」というコメントが多く見られた。今回の震災によって、多くの人が見つめ直したのが、こうした“人・地域とのつながり”といえそうだ。

給与重視の一方で「もっと大切なもの」に気づいた人も

4人に1人が「重視するようになった」と回答した。特に「もしものときに蓄えがないと不安だから」「自分の身は自分で守るためにもお金は重要」という回答が多く見られた。
「多くのものを失った被災者の姿と重ね合わせて、“ものよりもお金が大事”と現実的に考える傾向は高まっていると思います」(山田氏)
一方、「重視しなくなった」人は6.8%。他設問の同項目と比較すると、その割合は高めであるといえる。
「“お金が大事だと思わなくなった”というわけではないでしょう。“大切なものだけど、もっと大切なものに気づいた”ということだと思います」(山田氏)
たしかに、「重視しなくなった」人のコメントを見ると「給与の額より、企業の安定性を求めるようになった」(28歳・男性)、「お金よりも家族との時間を大切にしたい」(36歳・男性)という「他に重視すべきことが増えた」という意見が目立った。もちろん、「お金がもらえるだけで幸せだと思うようになった」という意見もあった。
ちなみに、「震災前と震災後で、仕事選びで何を最も重視するか」についても聞いたが、震災前も後も変わらず「給与」は1位だった(震災前37.3%⇒震災後31.0%)。

多くの人が自分自身の仕事の意義を見つめ直すきっかけに

「仕事内容」を重視するようになった人は、「もしもの時に、誇りを持って人の役に立てる仕事をしていたい」(23歳・男性)、「後で後悔しないような、納得のいく仕事をしたいと思うようになった」(35歳・男性)、「何も考えずに過ごしてきたが、一日一日を大切に、一度きりの人生、もっとやりたいことをやろうと思った」(27歳・女性)といった意見が。また、「仕事を通じて社会貢献したいという意識が高まった」(36歳・男性)、「東北の力になりたいので、東北を中心に展開しているような仕事に就きたいと思うようになった」(20歳・男性)という人もいた。今回の震災によって「自分は誰のために、何のために仕事をするのか」という仕事の意義を見つめ直した人が多かったということの表れかもしれない。
一方で、「重視しない」と答えた人は、「今、目の前にある仕事を頑張るしかない」(31歳・男性)、「仕事以外に大事なものがあることに気づいた」(31歳・男性)、「仕事できる環境があるだけでも恵まれていると思うから」(31歳・男性)といった意見があがった。
「仕事のやりがい」については、「元から大事なことだと思っているので、震災が起こったからといって気持ちは変わらない」という意見が最も多かったが、「いつなにが起きるかわからないので、常に初心を忘れずにやりがいをもって日々働いていたい」(28歳・女性)という意見もあがった。 

「地元志向」「職場の立地・安全性」への意識が高まった

「勤務地」を重視するようになった人が35.0%。その理由の多くが「地元で働きたいと思うようになった」というものだった。
「若い人の間では地元志向は震災前からありました。しかし、震災を機にその思いを強くした人は多いでしょう。震災で『地域貢献』の大切さを痛感し、住んでいる街をより意識するようになったとも考えられます。また『非常時にすぐに家族の元に駆けつけたい』という気持ちの表れや、実際に帰宅難民になった人が『家と職場は近い方がいい』と考えるようになったのではないでしょうか」(山田氏)
「職場の立地や施設の安全性」についても、現実的な意見が多数。「ビルの耐震性を気にするようになった」(29歳・男性)、「逃げやすいルートがあるかどうかは大事」(29歳・男性)、「古い建物は心配」(30歳・女性)、「強い地盤かどうか気にするようになった」(39歳・男性)。また「津波や浸水の影響がある低い土地は裂けたいと思うようになった」(28歳・男性)という津波を心配する意見もあがった。重視するようになった人たちの根底にあるのが、「一日のほとんどを職場で過ごすことを考えると、立地や安全性はとても重要だと思った」(38歳・女性)ということだろう。
「立地や施設の安全性については、メディアの影響も大きいでしょうね。直接被害に遭わなかった人も、『もし今の職場で被災したら』と不安が大きくなり、意識も高まったはずです」(山田氏)
震災を通じて、勤務先の立地や施設そのものが命に直結する可能性があることを学んだということかもしれない。 

“人・地域とのつながり”意識の高まりにより「職場の連帯感」を重視するように

「特に変わらない」と85%もの人が回答しているように、「社風」への重視度合いが変わった人は多くないようだ。一方で、ボランティア活動や、近隣住民との交流など、“人・地域とのつながり”への意識が高まったことによって、約30%の人が「職場の連帯感」を「重視するようになった」という結果に。
「震災が起こったのが、職場にいることの多い平日の日中だったというのも、『職場の連帯感』を意識させた理由の一つでしょう。逆に言えば、今の職場の連帯感に不安を感じている人が多いからこそ、より重視する人が増えたという見方もできます」(山田氏)

「家族と過ごす時間」をより重視する人が増えた

「勤務時間」を「重視するようになった」という人は約20%。「家族と過ごす時間を大切にしたいと思ったので」(29歳・男性)、「早く帰って家族とふれあいたい」(31歳・男性)等、家族とのふれあいを理由に挙げる人が多かった。一方「重視しなくなった」人のコメントでは「地震はいつ起こるかわからないので」(30歳・男性)といったものがあがった。「年間休日数」についても、「勤務時間」の結果と同じく、「家族との時間を増やしたい」という意見が多いほか、「プライベートも充実させておきたい」と考える人も少なからずいた。興味深かったのは。「休みが少ないのも嫌だが、多すぎるのも不安で嫌」(39歳・女性)という意見。目の前に打ち込むべき仕事があることを感謝しなくてはいけないと、あらためて考えさせられたようだ。

全体の約20%の人が「転職を考えるようになった」と回答

転職への意識に変化があった人が約20%。そのうち実際に転職したという方も4.5%という結果に。被害の大きかった東北や関東圏に住んでいる人に限らず、日本全国から「転職を考えるようになった」という回答があった。「好きなことをやりたくなった」(26歳・女性)、「会社や業界がどうなるかわからないので、自分で力をつけていかないとダメだと思った」(30歳・男性)といった意見のほか、「震災によって取引先の多くが潰れてしまったため」(34歳・男性)という、“転職せざるを得なくなった”という人も。
「社会の流れとしては、不景気によって『企業の業績の安定性』や『安全性』を重視する人が増えており、特に今回の震災を機に、潜在化していた安定志向がよりいっそう顕在化したと言えるかもしれません。仕事選びにもその傾向は確実に表れます。もちろん、転職することをリスクと考えて、『今のままでいい』と考える人も少なくないでしょう」(山田氏)
震災という価値観を揺さぶるような出来事をきっかけにして、「今できることが何なのかを考えるようになった」「何か改善したい」「人の役に立てるようになりたい」と考える人が増えているようだ。

震災によって気づかされた「身近な人・地域の大切さ」

今回の調査を通じて浮かび上がってきたのは、震災をきっかけにして、“人や地域などの身近なものとのつながり”を意識するようになったビジネスパーソンの姿だ。そして、実際の仕事選びにおいても、こうした志向が強く影響を与えていることがわかった。一日を過ごす中で、「仕事」が占める割合は決して小さくない。だからこそ、何を大切にして生きるかによって、仕事の選び方が変わるのは当然だろう。あなたはどうだろうか。ぜひ、働くことの意義・仕事選びの基準について、いま一度考えてみてほしい。

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EDIT
高嶋ちほ子
WRITING
志村 江

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