もう日本にはこだわらない!ハードワークな分だけ成長できる

アジアで働く営業職が見た「吸引力」

経済成長著しいアジア市場に注目し、アジアへの本格進出を図る日本企業が拡大している。それに伴い、アジア各国に赴任し、活躍する若手ビジネスパーソンも増えている。今回は、アジアで自社の商品やサービスを売り込むために奔走している営業職にインタビュー。日本にはない、アジア市場ならではの「ヒト、モノ、カネ」を惹きつける強い吸引力を感じながら働いている彼らに、アジアで働く魅力を語ってもらった。

2011年8月3日

【中国】「誰もが常に今より上を目指している」という熱すぎる環境。
任される範囲にも挑戦できる範囲にも、リミットがありません

株式会社エリアカザン 直井周平さん

株式会社エリアカザン
営業部
直井周平さん(31歳)

●あなたが感じる中国の「吸引力」とは?
当社は、主に中国マーケットにおけるビジネスコンサルティングを手掛ける会社。私は上海において、日系企業に対して事業展開に関する戦略立案営業を担当しています。現地でのマーケット調査をもとに、営業チャネルの開拓やブランディング施策、営業体制の改革、知的財産の保護など、中国での事業展開に必要な戦略すべてをソリューションとして、企業に提案しています。
経済成長が著しい中国においては、市場の動向が目まぐるしく変わるうえ各種規制の変更も頻繁なので、計画通りに事業計画を進めるのは困難です。これから中国に進出予定の企業だけでなく、すでに事業展開しているもののなかなか軌道に乗らない企業や、事業は拡大しているが今のうちにローカルメーカーへの対抗策を練りたい企業など、さまざまな課題を抱えた企業からどんどん相談が舞い込みます。日系企業への新規開拓営業も行っていますが、ほとんどの案件が既存顧客からのリピートや紹介によるものです。

初めに顧客企業の課題を聞き出し、ターゲットとするマーケットの調査を行いますが、中国は日本ほど効率的に統計データが集められる環境が充実しておらず、正確なマーケットリサーチができる土壌もまだ整っていません。加えて、中国は領土が広大で、各省ごとでも文化や慣習、人々の個性や嗜好などが大きく異なるため、「社員が中国全土に飛び、自らの足で情報を集める」方法を取っています。
例えば、あるインフラ関連企業から中国での新エネルギー事業展開について相談を受けたときは、北京、重慶、内モンゴルなど、中国のあらゆる地域に出向き、その分野に詳しい大学教授や、協会や団体の有識者、関連する現地企業など、20人以上のさまざまな立場の「その道の専門家」に取材を行いました。案件によっては、50人以上の人に取材するケースも。担当者が情報収集からみっちり取り組んだうえで、戦略立案、実行までのすべてに関わることで、「今」の市場の動きを反映した提案につなげています。
中国人は非常に気さくで、たとえ著名な有識者であっても、急な取材の申し込みに快く対応してくれるケースがほとんど。日本に比べて取材のハードルが低いのは、おそらく「中国の経済成長につながるのであれば」と思ってくれているためでしょうか。プロジェクトの場数を踏むごとに、中国全土で人脈が広がっていくのを感じますね。

●仕事を進める上での日本との違いは?
日本と中国の商習慣の違いは、私自身はあまり感じないのですが、働く人のパワーは全く違うと感じます。中国では、会う人会う人すべてが成長に対して貪欲で、常に「今より上」を目指しています。今の日本経済が抱えている「閉塞感」など、中国では全く感じたことがありませんね。そんな環境で働けること自体が非常に刺激的であり、楽しさを感じる部分でもあります。
ただ、このように成長意欲が高い競合がひしめく環境の中、「勝てる事業戦略を練る」のは大きなプレッシャーです。中国経済全体に「どんなことにもチャレンジしてよし」という雰囲気があるため、顧客企業も日本での事業展開とは違い、自由でリミットのない提案内容を求めてきます。裁量は大きいですが、われわれが顧客企業の中国展開の成否を握っていると言っても過言ではありません。「これでいいのか」という自問を繰り返しつつ納得のいくまで市場調査を重ね、顧客にとって最良だと思う提案を行い、その結果、期待にこたえられた時にはこのうえない喜びを感じますね。

●語学力はどのようにして身につけた?
大学卒業後に上海の語学学校に留学し、そのままこちらに就職したので、中国での標準語(北京語)は一通り使いこなせます。中国語の国家試験であるHSKは9級(上級)を取得しています。上達のために心がけたのは、「とにかく現地の人としゃべる」こと。中国語を話す機会を増やすために、語学学校卒業後に現地の大学院に進み、日本人留学生のいない環境に敢えて身を置きました。50人のクラスのうち、日本人は私一人。その環境で下手なりに周りにどんどん話しかけることで、語学力がぐんぐん上がりました。

●今後のキャリアプランは?
思い切って上海に来てみて、自分自身のキャリア観ががらりと変わりましたね。「日本人だからといって日本で働くことに固執することはないんだ」と気付き、視野が広がりました。今はアジアのいろいろな国で働いてみたい。上海だけでなく、アジアのどこかの都市をメイン拠点として、アジアをまたにかけて働きたいと思っています。

【タイ】旺盛な自家用車ニーズにダイレクトにこたえられる環境。
自分の頑張りで、人々の生活が便利に、豊かになるのが嬉しい

総合商社/自動車事業担当・山田俊樹さん(31歳・仮名)

総合商社/自動車事業担当・山田俊樹さん(31歳・仮名)

●あなたが感じるタイの「吸引力」とは?
自動車メーカーの海外戦略パートナーとして、タイで現地のカーディーラー向け営業を担当しています。経済が停滞している日本ですが、タイ経済は右肩上がりで成長を続けており、自動車の需要も非常に旺盛。2011年1〜6月のタイ自動車市場の総販売台数は、前年同時期比で約20%増の約43万台に伸びており、タイの成長力の高さを肌で感じることができます。
タイには日本車メーカーの生産拠点が揃っているのが特徴。通常、アジアの他国に車を販売するときは、どうしても生産拠点である第三国を通さなければならず、多少なりともタイムロスが生じますが、タイでは工場で生産して、同国内ですぐに販売できる。旺盛なニーズにすぐこたえられるので、日々スピード感を肌で味わいながら働いています。また、自分が頑張れば頑張った分、タイ社会に車が普及し、人々の生活が豊かになると思うと、モチベーションが上がりますね。
若手のうちに、こういう活気ある環境で営業として経験を積めるのは貴重だと思っています。成長国でビジネス経験を積むことが、複眼的に世界経済やビジネスの動きをとらえるための糧になるとも感じています。

●語学力と今度のキャリアプラン
タイ語はまだ勉強中の段階、英語はビジネス会話レベルです。もともと英語の勉強は続けていましたが、ビジネス英語はそれぞれの業種により使う単語が変わってくるので、こちらに来てからは現場でどんどん英語を使うことで、OJTで磨きをかける努力をしています。
今後はまた別の第三国で、代理店向け営業の経験を積んでみたいですね。日本には戻らずタイからそのまま別の国に赴任し、サプライチェーンの中でもできるだけお客様に近い場所で、営業力を磨き続けたいと考えています。

【香港】アパレル生産拠点として名高い香港。世界中から最先端の素材や
デザインが集まる場所だからこそ、日本ではできないデザイン提案が可能です

専門商社/アパレルウェア担当・北川雅彦さん(27歳・仮名)

専門商社/アパレルウェア担当・北川雅彦さん(27歳・仮名)

●あなたが感じる香港の「吸引力」とは?
香港の現地法人に出向し、客先である国内アパレルメーカーや小売店に向けて、カジュアルニットのデザイン提案や素材提案を行っています。香港は、世界的なアパレルの生産拠点として歴史が長く、デザイン的な評価も非常に高い。世界中から、さまざまなアパレル素材が入ってくるうえ、デザイナーなどの「人」も集まり、最先端のトレンドが把握できる環境にあります。また、素材の仕入れからデザイン、加工、生産に至るまでの流れすべてを香港内で完結できる土壌があるので、素材背景も深く理解できますし、アパレル産業に携わる者としてはこのような場所で働けること自体が刺激的ですね。先日は、台湾、イタリア、中国から素材を集め、香港でそれらを組み合わせたカジュアルニットを提案し、新規受注につなげました。日本の顧客に対して、香港でしかできない素材提案、デザイン提案ができることが嬉しいですね。

●語学力と今度のキャリアプラン
まずは、業務ですぐに必要となる「広東語」を習得しました。家庭教師を雇い、香港人スタッフに教えてもらい、週末は香港人の友人と遊びに行く…という方法で猛勉強。カジュアルトークはまだ苦手ですが、仕事を進めるうえでは支障のない程度にまで上達しました。
香港では、英語も公用語として話されています。英語、北京語、広東語と3言語に触れることができるので、グローバル人材としてキャリアアップするにはもってこいの環境だと思いますね。
香港で働くようになって、素材の出所からデザイン、加工、生産までの一連の流れを把握し、製品のクオリティを自分の目で理解することが、営業にとって大切なことだと気付かされました。東南アジアに新たな生産拠点を設立するという計画が出ているので、ぜひ立ち上げメンバーに立候補したいと思っています。

「アジアで働く営業職」の求人情報

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中国をはじめとするアジア各国が、日本企業のビジネスの主戦場になると予想される今、営業としてアジア市場に関わった経験は、今後も高く評価されると見られています。
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伊藤理子
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平山 諭

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