「需給ひっ迫」「稼げる営業」「マネジメント経験」がキーワード!

30歳「年収10%UP転職」できる最強人材の条件

先行き不透明感がぬぐい切れない今、「年収が大幅にUPする転職」は難しいという印象が強い。しかしこんな中でも、前給より10%以上の年収UPを実現する人も数多く存在するのだ。「年収UP転職」を実現するには、どういう経験、スキルを、どのようにアピールすればいいのだろうか?企業側が「高い条件を提示しても採用したいと思える」人の条件を、専門家への取材で洗い出してみた。

2011年1月26日

<ADVISER>

佐藤人材・サーチ(株) 代表取締役社長/佐藤文男氏

佐藤人材・サーチ(株)
代表取締役社長/佐藤文男氏

総合商社、外資系証券、メーカーなど異業種を経て、97年に人材サーチ業界へ。2003年に起業し、ヘッドハンティングを中心に人材コンサルタントとして講演や執筆も手掛ける。2月下旬に『転職のバイブル2012年版』(経済界)を刊行予定。

(株)経営者JP 代表取締役社長/井上和幸氏

(株)経営者JP 
代表取締役社長/井上和幸氏

人材コンサルティング会社など数社でコンサルタント、マネジメントを務めた後、ヘッドハンティング会社・経営者JPを設立。今までに5000名超の経営者、経営幹部と対面した実績を持つ。著書に『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。

転職マーケット自体はどうなっている?

徐々に好転はしているものの、採用条件が厳しくなっている

「転職市場は徐々にではあるが好転。案件も増えてきている」というのが、佐藤氏、井上氏両氏の見解だ。
ただ、「円高、政局不安などで先行きは不透明で、企業の採用ニーズは完全復調とまではいかない。でも人手は不足しているため、『採用活動はするが、求職者に求める条件は厳しくなっている』というのが現状。以前よりマッチング幅が狭まっている」(佐藤氏)という。
「従来は、高い実績があればOKとするところもあったが、それに加えて即戦力になり得るかも重視するようになった。「実績」+「即戦力(業界・業務知識)」の2つがそろわないと、年収UPは難しい」(佐藤氏)。
逆に、経験・実力を即発揮できる場所を選び、「即戦力になり得る」ことをアピールできれば年収UPは可能ということだ。営業、事務系スペシャリスト、エンジニアなど、すべての職種に言えることだが、「特に、前職で高い業績を上げ、自社の売り上げ拡大にすぐに貢献してくれる営業職は若手から経営幹部層まで引く手あまた」(井上氏)という。

このご時世、実際に「年収UP転職」を実現したのは、どんな人?

【CASE1】ソフトウェアの豊富な営業経験、高い実績が評価され、同業他社へ

年収約700万円→約800万円へUP!
32歳男性●IT企業・ソフトウェア営業→IT企業・ソフトウェア営業


ソフトウェア系の会社2社を経験し、いずれの会社でも売り上げ目標を大きく上回る高い営業実績を収めていた。先月、同じソフトウェアに強みを持つ同業他社へ「横スライド」転職に成功。
「過去2社での営業実績が非常に高かったこと、ソフトウェア営業という今までの営業経験がフルに活かせることが決め手になりました。転職歴はあるものの、前回の転職でも年収は上がっており、ステップアップのための転職であったことがプラス評価につながった事例です」(佐藤氏)

【CASE2】マネジメント経験を高評価。大きなフィールドで働きたいという熱意も買われた

年収約600万円→約700万円へUP!
30歳男性●ネットベンチャー・ディレクター→IT企業・ネットソリューション担当

前職は数十人規模のネットベンチャー。Webディレクターとしてさまざまな案件を担当。業顧客ニーズを的確に拾って実績に結びつけてきた経験が買われ、大手ITソリューション会社のネットソリューション部門のプレイングマネジャーとして転職が決定。
「本人の、ベンチャーを飛びだしてもっと大きなフィールドで力を発揮したいという思いと、企業側の『その思いを実現できる環境を提供するので思う存分活躍してほしい』という思いがマッチングしたうえ、前職では小規模の企業ながら、会社を代表してさまざまな顧客ニーズを顕在化しており、マネジメント経験も豊富。即戦力であることが何より高く評価されました」(井上氏)

高スキルなのに、年収UPが叶わなかった事例も
簿記1級、財務で高い実績。経理職への転職を志すが「即戦力ではない」と判断

大手企業で経理財務職に就く30歳の男性。転職歴はなく、経理経験は浅いが財務分野での実務経験が長い。簿記1級を持っており、「財務だけでなくもっと経理のスキルをつけたい」と経理職を目指して転職活動を始めた。しかし、企業側は「財務としての実績は高いのはわかるが、経理の経験が薄いので即戦力にならない」との評価。当然、年収UPは果たせなかった。
「この方は、浅いながらも経理経験はあるし、簿記1級も持っている。おそらく経理に移っても比較的早く業務をキャッチアップできるはずです。しかし、今はキャッチアップまでのわずかな準備期間すら認められない。年収UPで迎えたいほどの重要なポジションであれば、入ったら即、活躍できるかどうかが判断基準なのです」(佐藤氏)。

今、30歳が「転職で年収UPを目指す」にはどうすればいい?

どの職種においても、高い実績+即戦力になり得ることが年収UPの条件。
同業界同職種で、今までの経験ができるだけ直結して活かせるところを狙おう(佐藤氏)

年収UPを目指すならば、「異業界・異職種」への転身は得策ではありません。「営業経験を活かして異業界の営業へ」も、残念ながら即戦力とは見なされにくいのが現状です。
中途採用者を「育てる」という余裕は、今の企業にはありません。なぜなら、ここ数年、新卒採用に置いても厳選採用の方針を取り入れ、優秀な新人が育ち始めているから。「1年待てば彼らが十分に育つ」ということがわかっているので、わざわざ高いお金を出して中途をポテンシャル採用する必要がないのです。
そのため、年収UPを実現したいならば、どの職種の人も、応募しようと思う求人広告の「欲しい人材要件」をきちんと読み込み、「それに自分の過去のキャリアがうまくはまる!」と思えるところを選ぶべきです。
企業にとって、過去に挙げた実績は、高いに越したことはありません。営業であれば、売り上げ目標に対する達成度は数字で示すこと。最低でも、目標比で100%を超える実績が求められます。
事務系ならば、一つの分野に長く携わっていることが絶対条件。大手などはジョブローテーションがあるでしょうが、30歳ぐらいになれば、少なくとも一つの分野に最低3年間は関わっていてほしいですね。
エンジニアで年収UPを狙うなら、もっとシビアです。「ウチのこの技術ができる人」という完全なスキルマッチングになっています。
ただ、求められる技術は会社によって異なるので、「現在の会社とできるだけ近しい業態の会社を狙う」ということになるでしょう。
これらに当てはまらない…というならば、今は無理に動かず、現在の会社で専門領域を見つけ、それを強化する努力をするのがベストです。特に大手企業の30歳前後はジョブローテーションでいろんな部署を経験している人が多いですが、いくつかの中でも「自分は今後、この分野で勝負していく」という柱を見つけること。自分の専門領域を持ち、それを特化させる努力をしないと、転職市場では評価されないことを理解しましょう。

需給ひっ迫分野、稼げる営業、マネジメント経験者、が年収UPのキーワード。
「ロジック&ファクト&ナンバー」の3つを意識して自己アピールを(井上氏)

今、転職で年収UPを実現する「条件」は、大きく3つあります。
1つ目は、「採用熱がヒートアップしている分野の流れに乗れる人」。
今ですと、Webコンテンツやソーシャルメディア企業の一角で過熱している、ネットエンジニア採用が挙げられます。求人ニーズが過熱している分野に飛び込めば、それだけ需給がひっ迫しているので高待遇で迎えられる可能性が高い。ただ、目先の好景気にとらわれず、長い目で見て自分のキャリアにとってプラスかどうかじっくり考えて飛び込むことをお勧めします。
2つ目は、前職で高い実績を挙げてきた「稼げる営業職」。不景気とはいえ、本当に稼いできてくれる営業職には、企業は高い報酬を還元します。今の職場で努力を重ね、目標数値を大幅に上回る実績を挙げ続けているのに、会社がそれを正当に評価せず低い給与で我慢しているならば、外界を見渡せば年収10%UPぐらいならばいくらでもチャンスがあるはずです。
基本的には、経験とスキルがフルに活かせる同業他社に移るのが近道ですが、たとえ異業界でも営業スタイルや営業先が近しく、知見が活かせるところはあります。デキる営業職であれば、興味を持った企業の営業先や営業パターンを調べ、「異業界出身ですが、御社ならば今までの経験をフルに活かせるはず」と自分を売り込めるはず。これぐらいの「目利き」ができる人であれば、異業界出身であっても企業は高く評価するでしょう。
そして3つ目は、「マネジメント経験者」。現在の会社でのマネジメント経験をアピールし、それをベースに転職先でさらに責任のある立場を任されれば、当然年収UPにつながります。
年収UPを目指すならば、書類や面接では「ロジック&ファクト&ナンバー」の3つを意識してアピールしてください。これは、「事実と実績数字を、論理立てて説明する」ということです。例えばマネジメント経験者であれば、「メンバー20人を束ねるマネージャーとして、売り上げ目標10億円を担い、○○や××のような手を打ちながら、△△というアウトプットを実現した。その結果、前年比で130%の高い売り上げ実績を挙げることができた」などの表現になります。抽象的な表現では、企業の心は動きません。事実と数字の積み重ねがあってこそ、初めて評価の対象になり得るのです。

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伊藤理子

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