「企画提案力」と「スピード」で最強のクラウドエンジニアになる

クラウド時代を生き抜くネットワークエンジニアの条件

連日、IT業界を賑わせているクラウド関連情報の数々。クラウドを導入するメリットばかりが強調されている中で、その要を担うポジションにいるネットワークエンジニアの仕事や働き方は、クラウドの普及でどう変わるのか。もしくは変わらないのか。専門家に詳しく聞いた。

2010年12月15日

<ADVISER>

(株)リクルートエージェント プロフェッショナルサービス事業 第二マーケット 1グループ(IT技術・営業職領域)コンサルタント 廣瀬洋平氏

(株)リクルートエージェント
プロフェッショナルサービス事業 第二マーケット
1グループ(IT技術・営業職領域)コンサルタント
廣瀬洋平氏

日本マネジメント総合研究所 理事長 日本クラウドユーザー協会 会長 戸村智憲氏

日本マネジメント総合研究所 理事長
日本クラウドユーザー協会 会長
戸村智憲氏

2006年7月1日の管理会計学会(於:甲南大学)にて、世界初で独自開発の戦略業務とリスク管理の一元化経営モデルSRBスコアカードを発表し学者・実務家の双方から脚光を浴びる。リスク管理コンサルタントや公認会計士などの専門家を指導する講師としても登壇。(社)日本取締役協会会員。「IFRSリテラシー」(国際会計基準)、「クラウド統制」の提唱者でもある。主な著書に「なぜクラウドコンピューティングが内部統制を楽にするのか(技術評論社刊)」「ワンランクUPするための戦略脳のつくり方(明日香出版社刊)」などがある。

クラウド化が進んで、変わるものと変わらないもの

ネットワークエンジニアとしての基本的な仕事の進め方は変わらない

「これまで各事業会社でサーバやネットワークの構築や保守運用を担っていたものが、クラウド化によって外部のデータセンターなどにインフラ部分が移行します。だからといって社内SEとして、これまでネットワーク業務を担当していた仕事そのものがなくなるわけではありません」と語るのは、昨今のクラウド事情に精通しているリクルートエージェントの廣瀬氏。
そもそもクラウド化する最大の目的はビジネス戦略上、さまざまな事業のシステム化を短期間かつ低コストで実現することにあります。

そのために自社で担っていたシステムやネットワーク領域の一部を、外部に委ねるわけですが、そうなるとネットワークエンジニアの仕事がなくなってしまうことにならないのでしょうか。
「例えば直接、サーバやネットワークを設置・管理・運用する等、いわゆる“手を動かす作業”が大幅に減るという面では、仕事量が減少します。しかしそれだけが、ネットワークエンジニアの仕事ではありません。新しいシステムを構築する際には、要件定義や設計開発など主に上流工程の領域に関しては引き続き、社内のネットワークエンジニアが担うことになります」

変わるキーワードは「スピード」と「企画提案」

その一方、クラウド化が進むことによって、大きく変わる部分もあるそうです。そのひとつが「企画提案」
「これまで担当していた運用や保守などの負担が減る分、ネットワークエンジニアには戦略的な企画提案力が問われます。つまり自社のビジネス戦略を実現するための課題を深く理解した上で課題解決のためのベストな仕組み、すなわち“利益を生み出すためのインフラ・ネットワーク”の構築運用を経営陣に対して提案していく役割が、クラウド化の進展に伴い、今後さらに求められていくはずです」
このように、クラウド化によって手を動かす煩雑な業務から解放される一方で、今までより一段高いシステム提案力が重要な能力として、評価対象になるといえます。

そしてもうひとつ、別の観点から大きく変わる部分があると指摘するのは、クラウドのユーザー目線でクラウドの抱える課題や実現可能性等について研究している戸村氏。
「クラウド化によるメリットの一つが、スピーディにシステム化できる点です。例えば昨年、話題になった定額給付金制度。これは制度が決まってからわずか2カ月間という短期間で、要件定義からシステム構築してリリースしました。かなり巨大なシステムでしたが、短期間かつ低コストでネットワークを含めたシステム構築が可能になったのも、クラウドによるものです」
そのため、ネットワークエンジニアにとっては、クラウド化によってこれまで以上にスピーディな対応が求められるわけです。

クラウド化が、キャリアアップのビッグチャンス

絶対数が不足している“クラウドエンジニア”に早く変身すれば、数々のメリットが

クラウド化によって、ネットワークエンジニアに求められる「スピード対応力」と「企画提案力」。一見するとこれまで以上に、高いパフォーマンスを要求されることで、厳しい道のりが待ち構えているとネガティブに捉える方もいるでしょう。しかしクラウド化は、ネットワークエンジニアにとって「千載一遇のビッグチャンス」だと、戸村氏は指摘します。
「これだけクラウド化が叫ばれながら、実はクラウドの本質を理解しているエンジニアの絶対数はかなり少ないのが現実。だからこそ、クラウドに精通したネットワークエンジニア、つまり“クラウドエンジニア”の市場価値は非常に高く、飛躍的にキャリアアップする絶好のチャンスと言えます」

これまで大手ベンダーを中心に先行的に導入が進められてきたクラウドは今後、中小企業をはじめとした日本の企業の大部分を占める市場に普及が進んでいくと予想されています。これから導入しようとする企業の経営陣にしてみれば、「クラウド導入によって、ビジネス上のメリットは何か?」という点を最も知りたがっている。それに対して、クラウドを活用したIT戦略をネットワークエンジニアが提案できれば、経営陣に高く評価され、社内で貴重なポジションへと昇進できるのです。

またクラウドエンジニアに変身できれば、従来のネットワークエンジニアに比べて“つぶしがきく”メリットを享受できるといいます。
「クラウドは、社内の各事業領域のシステムを一元的に管理・運用できる特徴があります。特に大企業の場合、そこでネットワークやシステム経験を積むことができれば、これまで担当できなかった領域も経験できるわけです。その後異なる業種に転職したとしても、クラウドの知識や経験を活かせる可能性が高くなるというメリットも得られるでしょう」

クラウドエンジニアになるために必要なこと

ネットワークエンジニアがクラウド化の流れに乗ってうまく“クラウドエンジニア”に変身することができれば、数々のメリットを享受できることはわかりました。しかし、まだクラウドを導入していない企業に勤務しているネットワークエンジニアが、クラウドエンジニアになるためにはどうすればいいのでしょうか。
「まずクラウドの本質を理解することが、クラウドエンジニアになるための第一歩。そのためにはデベロッパー向けのクラウド講習に参加するなどして、知識を深めることが重要です。クラウドを理解できれば、クラウドを活用して何ができるのかを考えることができます。その中で導き出したノウハウを上司や経営陣に対して提案していけば、クラウドの導入やその後の運用も、提案したエンジニア自身が中心になって動かすことができるので、非常に有益な経験を積みながらキャリアアップできるのです」

戸村氏によると、今後1年程度の期間内でクラウドの知識や経験を深めることができれば、キャリアアップできる可能性が高くなるとのこと。クラウドにいち早く対応することが、ネットワークエンジニアにとって大きなチャンスとなるのではないでしょうか。
 

ネットワークエンジニア&クラウド関連の求人情報

あなたのスキル・経験に注目した企業から声が掛かる
リクナビNEXTスカウト活用のススメ

「ネットワークエンジニアとして、自分のスキルやキャリアはどう評価されるのか?」
そう思ったら、リクナビNEXTスカウトに注目を。自身のスキルとキャリアプランを記載した匿名レジュメを登録しておけば、その内容を評価した企業からオファーが届きます。その際、今の業務範囲やスキルレベル・志向性を、レジュメ内に明確に記すことがポイント。もしかしたらあなたの理想とする企業からピンポイントでオファーが届くことも。
チャンスを逃さないためにも、今すぐ登録してみましょう!

スカウトに登録する

EDIT&WRITING
山田モーキン
PHOTO
モーキン山田

会員登録がまだの方

会員登録(無料)

会員登録がお済みの方

「今すぐ転職」にも「いつかは転職」にも即・お役立ち!リクナビNEXTの会員限定サービスに今すぐ登録しておこう!

1転職に役立つノウハウ、年収・給与相場、有望業界などの市場動向レポートがメールで届きます

2転職活動をスムーズにする会員限定の便利な機能

・新着求人をメールでお届け

・希望の検索条件を保存

・企業とのやりとりを一元管理など

3匿名レジュメを登録しておくとあなたのスキル・経験を評価した企業からスカウトオファーが届きます

会員登録し、限定サービスを利用する

※このページへのリンクは、原則として自由です。(営利・勧誘目的やフレームつきなどの場合はリンクをお断りすることがあります)