「IFRS」「英語」は今後の必須スキル?

経理として勝ち残るために、今しなければいけないこと

海外進出の加速、IFRSの導入…などで、会社の数字を担う「経理職」が大きく変化しようとしている。今後を見据えたとき、経理を取り巻く環境にはどんな変化が予想され、どんな経験・スキルを持った人が評価されるようになるのだろうか?専門家に聞いてみた。

2010年12月8日

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株式会社BizBrain 代表取締役 チーフコンサルタント/槐島(げじま)健氏

株式会社BizBrain 代表取締役 チーフコンサルタント/槐島(げじま)健氏
総合商社の経理職、国際会計事務所を経て、2004年に経理専門の転職エージェントBizBrainを設立。20〜30代の転職希望者のカウンセリング、顧客企業の求人ニーズヒアリングを手掛ける。

弥生株式会社 管理本部財務経理部財務チーム 課長代理/阿部進氏

弥生株式会社 管理本部財務経理部財務チーム 課長代理/阿部進氏
上場企業、ベンチャー企業などさまざまな企業で経理責任者を経験。中小企業、個人事業者向け会計ソフト「弥生会計」などを展開する弥生株式会社で、財務経理部門の取りまとめ役を担う。

【これまでと今後】経理の仕事、役割はどう変化していくのか?

入力業務などの作業はなくなり「数字を分析し経営戦略を練る」が主業務に

経理の仕事は手書き→入力業務から、経営企画的な役割へ

経理の仕事は手書き→入力業務から、経営企画的な役割へ

そもそも経理の仕事は、IT化の進行とともに、今に至るまでにも大きな変化を遂げてきた。「90年代の後半までは、まだ手書き伝票、手書き帳簿、電卓とオフコンでの計算が主流。そのため、経理には『間違えず、正確に数字を管理する力』が求められていました。それが2000年代に入り、一気にシステム化が進行。大手だけでなく、中堅、中小企業にも普及が進み、以前はメイン業務だった入力業務など作業的な仕事はどんどん減ってきています」(阿部氏)。
業務内容の変化に伴い、足元で、「経理に求められる役割」が大きく変化しつつある。経理の従来業務の大半は、システムが行うようになり、いわゆる「経理の仕事」は、数字を判断材料として今後の経営戦略を練るという「経営企画的な役割」を指すようになる…というのが専門家の見方だ。
「『単なる記録のための作業者』としての役割が減少しつつある一方で、挙がってきた数字の意味を考え、その数字がはじき出された理由を自分なりに分析・判断して、経営陣や関連部署に改善や改革の提案をする力が求められるようになっています。例えば、『今期の利益は1億円でした』という単なる数字の提示は誰にだってできます。この1億円という数字が果たしていいのか悪いのか、他社に比べてどうなのか、どこをどうすればもっと増やせるのか…。数字の裏側を読み取り、今後の方策までを考えられる力が必要です。求職者の話を聞いていると、年次決算の次は連結決算…などできる作業を増やすことにばかり意識が向いていますが、それだけでは生き残れませんよ」(槐島氏)
「これからの経理には、過去のトレンドをもとに将来を予測する『フォーキャスティング』の視点が求められるようになるでしょう。目の前の数字を、今後の経営にどう活かしていくか?を常に考え、経営陣に提供し続けるという役割が重要になっています」(阿部氏)

【評価される経理になるには?】どんなスキルをどのように鍛えるべきか?

広くアンテナを張り、他部署と交流を持って幅広い知識を得ることが大切

他部署と交流を持ち、社内で起こっていることを常に把握する努力を

他部署と交流を持ち、社内で起こっていることを常に把握する努力を

これからも評価され続ける経理になるためには、「経理以外の分野にも視野を広げ、幅広い知識をつけることが重要」と槐島氏、阿部氏とも口を揃える。
「数字を見て、その背景を探るには、経理分野だけに精通していても無理。自社のビジネスに今起こっていることを常に把握しておく努力が必要です。そのためには、積極的に他部署とコミュニケーションを取り社内の動きをつかんでおくことはもちろん、業界の動向や経済状況など、自社を取り巻く諸環境もつかんでおく必要がありますね。例えば月次決算で、ある科目の残高が前月や前年同月と比べて増減していたら、その原因を自分なりに考えてみる。自分の考えが合っているのか、関連部署に増減の理由を聞きにいく。それを繰り返していれば、取引の全体像や背景、周辺情報も分かるようになってきます。経理としての専門性は持ちつつも、目の前の数字の判断材料となり得る経済知識・ビジネス知識を保有していることが重要なのです」(槐島氏)
「日々の業務を単に作業として流さず、一つ一つの数字が持つ意味を考えるクセをつけるだけでも、視野は格段に広がるはず。なぜこの数字になったのか、それは会社のせいなのか日本経済全体のせいなのか…と考えてみる習慣を持ちましょう。もしくは、いっそ『広い視野を持たざるを得ない環境に身を置く』のも一つの手。創業期のベンチャーや数十人規模の中小企業には、経理だけでなく総務や人事、営業事務などあらゆる管理業務を任される環境がある。経験値がおのずと高まりますよ」(阿部氏)

【プラスアルファのスキルは?】「IFRS」「英語」はどれだけ必要になる?

知識があるに越したことはないが、経営戦略スキルをつける方が先決

海外進出の加速、IFRS導入の動きなどを受け、「経理にはIFRS(国際財務報告基準)の知識や英語力が必須となる」などと予測されているが、専門家の見方はどうだろうか?
「IFRSは、日本では2010年3月期から一定の要件を満たす上場企業の連結財務諸表について任意適用が始まり、2015年頃に上場企業の連結財務諸表に強制適用される見通しです。上場企業に属している、もしくは上場企業に転職したいと考えている人ならば、IFRSは当然習得すべきです。そうでない人ももちろん習得するに越したことはありませんが、現時点では非上場の会社への強制適用は想定されていません。英語力も、あれば当然活躍の場が広がりますが、日本全体の企業数から見れば、まだまだ経理に英語力を必要としている企業は少数派でしょう。情報に惑わされることなく、IFRSや英語力が自分の勤務先や転職先で求められているのかを先ず見極めることです。そして、求められているスキルをしっかりと身に付けた上で、ワンランク上を目指すために、前述した『数字を分析・判断し、経営戦略につなげられる提案力』をつけていくことです。早晩、どの企業においても必ず求められるようになるスキルです」(槐島氏)
ただ、IFRSの考え方自体は、経理職がつけるべきスキルの方向性と合致している…と阿部氏は話す。「IFRSは、原理原則主義を基礎としていることから、より一層『物事を考える力』が求められるうえ、将来キャッシュフローの現在価値を使って資産を評価するなど『将来予測』に重点を置いた処理も求められます。IFRSの知識習得は、経営戦略スキルを習得することにもつながるのだと思います」(阿部氏)。

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