銀行・証券・保険…いま求められる人材の正体に迫る

完全復調?「金融スペシャリスト」の採用最新事情

国内景気の回復に合わせて企業の中途採用ニーズも増え、求人件数は着実に回復しつつある。不況の影響を最も受けたといわれる銀行、証券、保険業界も、セールス部門の募集は着実に増えているが、いわゆる「金融スペシャリスト」と呼ばれる分野の採用動向は、どのようになっているのだろうか?専門家に聞いた。

2010年9月1日

<ADVISER>

ロバート・ウォルターズ・ジャパン(株) ファイナンシャルサービス ディレクター/ジョン・マックロワン氏

ロバート・ウォルターズ・ジャパン(株) 
ファイナンシャルサービス ディレクター/ジョン・マックロワン氏

世界18カ国に拠点を持つ人材紹介会社ロバート・ウォルターズ・グループの日本支社。外資系企業のほかグローバル展開を図る日系企業にも強みを持つ。

(株)コトラ 代表取締役/大西利佳子氏

(株)コトラ 代表取締役/大西利佳子氏
金融専門の転職支援を手掛ける人材紹介会社。国内大手金融機関、外資系金融機関、投資ファンド、金融ファームなど幅広い金融機関と取引を持つ。

<中途採用マーケットの現状・今後>

リストラの穴を埋める動きに加え、新規採用も

リーマンショック後の景気低迷の影響を最も受けたのが、金融スペシャリスト系職種。国内・外資とも生き残りのために大規模なリストラを行い、新規採用を完全凍結した。しかし、景気回復の流れに乗って、徐々に採用が復活しているもようだ。
「昨年末あたりから、証券会社やインベストメントバンキングの求人が回復。今年の第一四半期までは過去1年半に及ぶ人員削減のリプレイスが中心でしたが、第2四半期以降は新規採用の動きが出始めています」(マックロワン氏)、「リストラの反動に加え、業界再編、グループ再編に伴う企業戦略の変化による新規採用の動きも見られますね」(大西氏)
採用職種に大きな偏りはなく、まんべんなく求人が増えているというが、「中でもニーズが高めなのは、バックオフィス、ミドルオフィスのサポート業務。プロダクトコントロールやファイナンシャルアナリストのリポーティング業務などのニーズが高いですね。銀行では、コンプライアンスチームの強化によるコンプライアンス担当者の採用が目立ちます。生保ではアクチュアリー、アンダーライター、クレイムズなどの案件が動いています」(マックロワン氏)。
M&AやECM、DCM、カバレッジバンカー、各種ファイナンス等の投資銀行業務に加え、ディーラーやセールスなどのマーケット業務やバイサイドである投資ファンド、リテール分野も求人が増えています」(大西氏)
今後の見通しについては、「少なくとも今年いっぱいは現状の採用ペースが続く」(マックロワン氏)と見られるものの、一本調子の回復とはいかなさそうだ。「業界全体が上昇気流にはなく、優勝劣敗がつきつつある各社の個別事情によるところが大きい」(大西氏)といい、採用についても「人材は増やしたいが、増やしすぎないよう厳選採用で一歩ずつ…という企業が多い」(マックロワン氏)。

<どんな人が求められているか>

若手・中堅クラスのニーズ拡大。外資は即戦力採用が中心

「現在の採用の中心は20〜30代の若手・中堅クラス」と両氏とも口を揃える。人員構造的に一番手薄であり、現場でフットワークよく動けるクラスが求められている一方で、給与水準が高く、真っ先にリストラの対象になったマネージャー層の採用はあまり動いていないようだ。
若手・中堅クラスの求人が増加する一方、そのクラスの転職希望者が少ない状況のため、思うように採用が進んでいない企業もあります。そのためか、ダイレクトスキルがなくとも、募集職種と関連のある経験があれば、採用されるケースも多いですね。また、日系大手の場合は、コミュニケーション力や人間関係構築力を求める企業が多く、専門性を突き詰めた方は組織になじまないと判断されることもあります」(大西氏)
外資の場合もほぼ同様だが、若手であってもより高い専門性が求められるケースが多い。
「フィナンシャルスキルやコンサルティング手法を測るための課題が出されるなど、Day1から活躍できる人材かどうかを見極めるための選考がされています。例えば、ある外資系投資ファンドの中途採用では、面接の場で渡された有価証券報告書から適正な企業価値を所要時間3時間以内で算定せよというテストが実施されました。このように、実践に即したテストが選考に組み込まれています」(大西氏)
外資は採用を増やしてはいますが、若手でも十分な実績を持ち、すぐに業績に貢献できる人を求める傾向が強まっていますね。加えて、新規ビジネスの開拓ができそうな人が人気。業界にネットワークを持っていたり、個人でクライアントを多数抱えている人が高く評価されています」(マックロワン氏)
なお、異業種からの転職は、「一般企業の財務や、会計士、税理士、コンサルタント出身者のポテンシャル採用例などが個別には散見されるものの、決して数は多くない」(大西氏)という。「経験者が十分に転職マーケットに存在するし、企業の選別眼が強まっている今は業界未経験者はかなり厳しい」(マックロワン氏)ようだ。

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上記記事のように、金融スペシャリスト職の採用は増えているものの、厳選採用の動きが高まっています。それに伴い、「スカウトの非公開求人を使って欲しい人材に直接アプローチする」という金融機関が増えています。
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