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SI業界成長の鍵は「クラウド+固有技術」が握る!
2008年に起こった世界的な経済危機によって、一気に厳しい業績悪化に陥ったSI業界。その一方、クラウド・コンピューティングの本格的な普及が急速に広がる中で、SI業界はこれからどこへ向かおうとしているのか。今後、エンジニアに必要とされる能力とは?専門家に詳しく聞いた。
2010年07月21日
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(株)アイ・ティ・アール |
2010年クラウド元年。SI企業の多くが挑むべきテーマだが課題も山積
2009年を底に、回復の兆しを見せるSI業界
90年代、SI業界はビジネスのIT化の波に乗り、コンサルティングから開発、運用保守までのいわゆる上流から下流まですべてを網羅する、トータルソリューションサービスを軸に、急激な成長を遂げました。
その後ITバブルの崩壊で一時的に厳しい状況はあったにせよ、21世紀に入っても引き続き、業界全体としては成長してきたといえるでしょう。
しかし2008年秋の「リーマンショック」による世界的な経済危機、その後の不況によって状況は一変。SI業界のクライアントである、国内ユーザー企業は守りに入り、新規開発案件は軒並み凍結、中にはERPのような高度なサポートを必要とするアプリケーション保守契約まで打ち切る企業も少なくありませんでした。
不況の影響で特にダメージを受けたのが、SI業界の中でも二次請け・三次請け企業。昨年、倒産やリストラが相次いだのは記憶に新しいところです。
しかし昨年度の第3・4四半期ころから世の中の景気見通しが明るくなってきたのを契機に、IT関連事業にユーザー企業各社が予算をつけるようになり、SI業界にも少しずつ回復の兆しが見えてきているのが現在の状況です。
急速に普及するクラウド。ビジネスにおける最大の課題は「収益化」
ところがそのまま、以前のような活気のある状況にSI業界が戻れるという保証は、どこにもないのです。その理由は、昨今急速に普及し始めてきた「クラウド・コンピューティング(以下クラウド)」と「グローバル展開」、この2つのキーワードにあります。
ネットを介してサービスを提供するクラウドの登場によって、多くの企業が外部のリソースを積極的に活用して、自社のビジネスを展開していこうとする流れが加速しています。
グローバルビジネスを展開している国内企業にとっては、クラウドによってインフラや情報通信など、それまで世界各地域それぞれで独自に作っていたシステムを、容易かつ低コストで世界共通のシステムに統一できるメリットもあります。
今年は「クラウド元年」と呼ばれるほど、日本でも本格的にクラウドビジネスが一般市場に普及し始めたことで、SI業界はクラウドを軸にした新たなビジネスを展開していく必要に迫られているといえます。
しかしクラウド市場の急拡大に反して、SI企業の多くはいまだ、クラウドを軸とした新たなビジネスモデルを構築できていないのが現状。その理由はずばり「収益化のメドが立っていない」ということに尽きます。これまでのように自社でコンサルティングから保守運用までのサービスを一括で売るビジネスに比べ、クラウドは開発などごく限られた部分にしか関われないケースも多い。そのため、あるSI企業では年間売り上げがクラウドの場合、従来に比べ1/5程に激減してしまうほど。クラウド事業で収益化していくにはハードルが高いのです。
SI業界で生き残るカギは、やはり“技術力”にあり!
クラウド&グローバル化に対応できる固有の技術力が必須
SI企業の本音としてはこれまで同様、収益率の高い独自開発のシステムソリューションやパッケージソフトを売るビジネスを今後も続けていきたい。しかし今後の予測では、金融系の勘定系システムやメーカーの生産管理システムなど、ユーザー企業のビジネスの根幹となる業務を除けば、営業支援ツールや情報共有系、メールやスケジュール管理などのITインフラ分野などのシステムの多くがクラウドに移行していくでしょう。SI業界は、今後も生き残っていくために否が応でもクラウドを軸にしつつ、数年で収益化可能な新たなビジネスモデルを構築しなければなりません。
そうした厳しい環境下で生き残っていくために、SI企業に必要とされているのが「固有の技術力」。クラウドに移行すれば、クライアントはよりよいシステムをより早く、安く作れる企業を求めて、海外も含め必然的に他へと流れていってしまいます。
顧客をつなぎとめるためには、例えばアジャイル開発に強みを持つなど、独自の強みや特徴があって、クラウドならではのサービスを迅速に提供できるSI企業でなければ、この先存続し続けることはできないでしょう。
SI業界のエンジニアに提言。今こそ原点回帰して、技術力を磨くべき
SI企業に指摘した技術力の重要さは、SI業界に在籍するエンジニア個人に対しても言えることです。私の経験上、SI業界のエンジニアの中には、業界に入ったころは技術志向が高く、IT技術の限りない可能性に魅力を感じていたのに、技術志向だけではキャリアアップできないSI業界ならではの事情で、気がつくと技術と疎遠になっているケースが意外に多いような気がしています。
実際、これだけクラウドが話題になっているにもかかわらず、クラウドのコアな技術やシステムをきちんと理解していないエンジニアがいまだに多いと感じます。
しかしこれからは、高い技術力を持ったエンジニアこそが高く評価される時代、つまりエンジニアらしさを如何なく発揮できるチャンスがクラウドによって到来しようとしているのです。
クラウドの時代がどうなっていくのかは、今のところ未知数な部分も多い。しかしその中で目先の利益に捉われず、独自の技術力を駆使し、中長期的な視点で我慢強く収益を生み出すビジネスモデルを築けるSI企業は、例え今は無名でも数年後にはきっと業界で一目置かれる存在になっているはずです。
同じようにエンジニアも、SI業界で今後も活躍し続けていくために、今こそ核となる技術力を磨いて来るクラウド全盛時代に備えましょう。
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- EDIT&WRITING
- 山田モーキン
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