2008年版あのヒット商品の仕掛け人 5万円台ミニPC はるさめヌードル

エコロジー衣料でヒット イメージ戦略で勝利!

「シャワークリーンスーツ」 バイヤーのお仕事

世界初。温水シャワーで汚れを洗い流せて、ノンアイロンで着用可能なウール100%のスーツ。2008年2月の店頭販売開始以来、今期20億円とした売り上げ目標は、悠々の達成見込み。ヒットの理由は、「衣料分野初の、わかりやすいエコロジー製品」だったこと。「クリーン・エコロジー・スタイリッシュ」を掲げたこのスーツは、岩谷氏が育てた!

シャワークリーンスーツ
バイヤー・商品開発担当。素材を活かして、着心地がよく市場に受け入れられるスーツに仕立て上げるため、サンプリングやブランド選定を行い、記者発表会の実施などまで行いました。携わったメンバーは、社内では私を入れて2名。あとは社長です。

株式会社コナカ 商品本部商品一部 部長代理 岩谷達志氏(49歳)

大学卒業後、九州に本社を置く紳士服専門店「フタタ」に入社。営業・販売に従事。店舗主任などを務めた後、本部の商品部に異動。2006年、同社がコナカに経営統合されたことにより転籍し、現職。

記者発表会ぎりぎりまで社内秘だったプロジェクト。バイヤーとしての本来の業務を進めながら、プロモーションビデオの制作などまで担当

シャワークリーンスーツの売れ行きは?

今期の生産計画で掲げた年間20億円の売り上げ目標は達成できる状況です。この分ですと、来期はもう少し目標を大きくしてもいいだろうと思っているところ。毎日スーツを着られるビジネスパーソンの方々の衣替えの季節、5、6月は本当によく売れましたね。

シャワークリーンスーツは、どんな商品?

実は「洗えるスーツ」というのは、20〜30年前からすでにある商品群。ただし、ほとんどはポリエステルなどの合成繊維製。質感や手触り、シルエットなどがスーツとしてはいまひとつ。ビジネススーツ市場では、評価の低い商品群なんです。ですから「洗えるスーツ」と聞くと、この業界の方なら「うーん」と首をひねる。そこに、ファッション性を前面に押し出し、しかもスーツとして申し分ない“ウール100%”の素材で作ることに成功したのが、この「シャワークリーンスーツ」でした。

2008年4月から放映された松岡修造さんのCMが印象的

この商品がヒットした理由は?

また、ここ1〜2年、消費者の間でも環境問題への関心は高まっています。環境問題を身近に捉え始めたことで、自らが購入する商品にもその目を向けています。同時にマスコミも、エコロジー商品関連の特集などをよく組んでいます。すると、車や電化製品などは紹介できる商品があるものの、衣料分野ではエコロジーをキーワードにしたわかりやすい商品がこれまではなかったわけです。そんなときに、われわれのシャワークリーンスーツができ上がった。洗剤不要で簡単に水洗いできて、翌朝には着ジワニオイもとれて乾いていると…。2008年2月の商品発売前からマスコミに注目してもらえ、発売以降も取材の引き合いは多い。市場に発表したタイミングが良かったのも、ヒットした理由の一つだと思います。

この商品を生み出すまでに苦労したことは?

このプロジェクトが本格的に動き出したのは、2007年8月ごろ。発売が2008年2月と決まっていたので、もともとあまり時間がなかったのですが、まあ頑張るか!と。ところが発売前の12月に記者発表会をしようという話が持ち上がりまして。記者発表会をするために、試作品を2カ月前倒しで完成させなくてはいけなくなり、そのうえプロモーションビデオも用意したほうがよいということになり、大慌てで制作。試作品もプロモーションビデオも、仕上がったのは記者発表会の数日前。今にして思えば、あの慌ただしかった半年ちょっとは、濃密でしたね。そうして記者発表会を行ったことにより商品が注目され、売り上げも伸びたわけですから、予定外の事態にも必死に取り組んで良かったなと思います。

シャワークリーンスーツは、急遽レディーススーツも同時に発表することになり、大慌てで試作品制作のための依頼をした。結果、リクルートスーツとしても売れ行きは上々

この商品に関わって良かったと思うことは?

私の仕事はバイヤーであり、商品開発です。1つの素材を「お化粧して店頭に並べる」のが仕事。どんなシルエットにするか、どんなイメージで売るかなど、売価を含めて市場で受け入れられる形に作り上げるわけです。ところがこのプロジェクトは、記者発表会の直前まで社内秘だったため、広報活動の分野までわれわれものづくりの人間が遂行しなくてはなりませんでした。試作品を着せるモデルを選んだり、プロモーションビデオの撮影に立ち会ったり。これほど売れる商品になるとは思わなかったので、すべて予算はかつかつの状況で。振り返れば、大変ではありましたが、いい経験です。

また、今回のシャワークリーンスーツの生地はすべて国内生産(原糸はオーストラリアから輸入)。今は国内の紡績関連企業は、海外に押されて正直ガタガタ。唯一活況を呈しているのが、このシャワークリーンスーツ絡みです。産地疲弊が起きている中、このプロジェクトによって国内の企業や工場に、ある程度安定した仕事が出せて、喜んでもらえる。それも良かったなと思っています。

コナカに転籍したのは2年前。「以前から前職と今の会社は協力関係にあったし、業種も職種も変わっていませんが、会社が変わればやはり、社風や習慣の違いを感じることもありました」(岩谷さん)

この仕事の魅力は?

まず、スーツという商品自体が魅力的。スーツを作る工程は昔から変わりません。しかし糸縫いの手法や素材の質感で、同じ型紙を使っても全く異なる商品ができあがる。それはミシンの縫い線1つにも、作る人たちの思い入れがあるから。いいスーツを作りたいという到達点はみんな同じでも、そこにいたるプロセスは関わる人の数だけあるということが面白い。

商品開発という仕事については、いったん進みだしたら逃げることもできないし、後戻りの指針も出せない。大きな工場や企業が何社も絡んできますから。関わる会社の規模が大きいので余計、坂道を転がりだしたときの怖さはあります。目をつむって前に突っ走るしかないんですよ。でもその分、スケールや波及効果の大きな仕事に携われるというのが、魅力だと思います。

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